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名もなき毒
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.7 425件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2006.8
  • 出版社: 幻冬舎
  • サイズ:20cm/489p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-344-01214-3
  • 国内送料無料

紙の本

名もなき毒 (杉村三郎シリーズ)

著者 宮部 みゆき (著)

どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北...

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名もなき毒 (杉村三郎シリーズ)

1,944(税込)

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商品説明

どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。【「BOOK」データベースの商品解説】

【吉川英治文学賞(第41回)】あらゆる場所に「毒」は潜む−。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎が、私立探偵・北見を訪れて出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。現代ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

宮部 みゆき

略歴
〈宮部みゆき〉1960年東京都生まれ。「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理新人賞を受賞し作家デビュー。「龍は眠る」で日本推理作家協会賞、「理由」で直木賞受賞。

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みんなのレビュー425件

みんなの評価3.7

評価内訳

紙の本

そこにありそうな罪の物語。

2006/08/30 10:32

10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:おと - この投稿者のレビュー一覧を見る

前作「誰か」に続き、隣で起こり得そうな「罪」の物語。「火車」「理由」「模倣犯」のような題材にインパクトのある大作、という訳ではないが、こういうどこにでもあって、誰の心にも住みつくものを、宮部みゆきは本当に、どうしてこんなに、というほど、面白く、上手く描く。
起こってしまった殺人事件と、現在進行形で段々と形を大きくしていく事件を絡ませながら、「人間」の物語が進む。淡々とでも決して飽きさせることのない語り口は見事。
読みながら、主人公の妻の財産だけではない、でも財産が生み出した部分も多いだろう裕福さを羨む心が、「毒」が、私の中にもあるからこそ、一人の犯人のやりきれない哀しみともう一人の犯人のやりきれない怒りが、自分を浸していくようだった。
家、家族、人生、一生の「大きな買い物」のリスクとその幸せを考えると、なんだか怖いような気分にもなるのだけど、それでも今の自分の「幸せ」を実感し、「立派な人間」になれるように頑張りたいとも思える作品である。

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紙の本

宮部みゆきの作品は、私たちが生きる社会の今を、エンタテインメントに富むミステリーの形を通して教えてくれる

2007/09/02 19:07

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る

 宮部みゆきほどの売れっ子作家になると、失敗作は許されなくなる。作家自身のプレッシャーも相当なものだろうが、読者としても「今回の作品は果たしてどうだろうか」と思うものだ。しかし、宮部みゆきの書くものは安心して手に取ることができる。それは、豊かな才能に恵まれているだけではなく、執筆前に、警察や薬品会社など、必要なところへの入念な取材を忘れない堅実な執筆スタイルを維持していることを知っているからだ。

 本作では、登場人物の語りを通して、宮部の人となりが浮かび上がる。作品中に、うまく埋め込まれてはいるのだが、宮部が自分の心情を吐露しているのが分かる箇所がいくつかある。ミステリーは、それ自体として完結しているべきなので、宮部の素顔がのぞいてしまうような書きぶりにやや危うさも感じてしまう。しかし、こういったこともやってのけるほど、作家として円熟期を迎えていると考えるべきなのだろう。

 本作は、登場人物が多く、一連の事件や出来事がいろんな場面で、平行して起きてくる。大企業広報室でのアルバイト女性をめぐるごたごた、関東近郊における4件の連続毒殺事件、警察をリタイアした意味ありげな私立探偵など。といっても、読者は登場人物やその相関関係を手元のメモ帳に控えておいたりする必要はない。いずれも明快に書かれてあり、混乱することはないからだ。

 489ページにおよぶ大作であり、ゆっくりと事態は進んでいく。はやる気持ちを抑えつつ、読み進めているうちに、どんどん作品世界に引き込まれていく。

 最後の100ページほどは、急激に事態が展開し、ページを繰る手がどんどん速くなっていく。同時並行で起きていた出来事が絡み合い、ひとつになっていくシーンは鮮やかだ。この最後の100ページのために本作があるといってもいいくらいだ。よほどしっかりと準備して執筆にかからないと、こうも巧みに、もともと無関係な出来事が結び合わさっていくような読み物にはならないだろう。

 宮部は今の世の中を映し出すような作品を手がけるが、本作でも、読者は別世界に遊ぶというよりは、実際に起きている出来事をなぞっているような感覚に襲われる。「名もなき毒」というタイトルは、ほんのささいな「毒」が、自分の身辺にも広がっているに違いないことを自覚させてくれる。

 本書を閉じるとき、宮部の作り出した世界から戻ってくるというよりは、自分がどういう社会に生きているのかを教えられた感じになる。現代社会を分析した硬派の書物ではなく、ミステリーというエンタテインメントに富んだ読み物を通して、これが叶うところが、宮部作品の真骨頂というべきだろう。素直に本作の出来のよさを誉めたいと思う。

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紙の本

日常に存在する毒素

2006/08/31 17:39

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

『誰か』の続編。
逆玉にのって、今多コンツェルン広報室に勤務するサラリーマン・杉村三郎。彼は迷いつつも、この境遇を受け入れていきます。
物語は、彼のアシスタントだったアルバイト原田(げんだ)いずみの一人勝手な訴訟問題と、首都圏で起きる連続青酸カリ無差別殺人事件がメインです。
原田は仕事ができない上に、言い訳と他者への責任転換、怒りに任せた攻撃がひどいため、クビになります。しかし会長宛ての投書で、室内でのいじめ、セクハラを訴えますが、杉村の舅は人を使えばこういうこともあると、勉強のために杉村がこっそり解決する方法を取ります。
その処理の途中で、杉村は青酸カリ連続殺人事件の被害者の孫・古屋美知香と知り合い、その事件の真相に近づいていきます。
日常生活に潜む「毒」。青酸カリ、土壌汚染、ハウスシック症候群といったはっきりしたものだけではなく、原田自身が撒き散らしていく言葉や行動の毒を描きます。また、それらに当たらないかぎり人間は忘れていて、自分には降りかからないと思い込んでいる姿を描きます。
ミステリーは、杉村三郎というテンションの低い男の一人称で語られる割に、緊迫感があり一気苛性に読ませます。
このテンションにも2冊目でようやく慣れてきました。
杉村は恵まれた妻がなんの疑いもなく、富を享受しているのに違和感を覚えます。愛しているけれど、そこはどうしても慣れることができない。そしてそれを指摘することも。
さらには自分がどれだけ恵まれているか——それは金銭的なものだけではなく、人間としての質も含めて——それにまったく気づかない。
杉村はどうしても好きになれません。

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紙の本

爆弾書評のつもりです。わたしは「名もなき毒」として予想外の人物をあげます。そう考えると、しっくり来るんです。天邪鬼は承知ですが、その見方はありでしょ

2006/09/24 21:17

14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

ま、安倍晋三じゃあないんですが、とりあえず褒めときゃ安心、誰も反対はしないよな、っていうのが現在の宮部みゆきなわけで、そいつぁ一寸おかしいんじゃないの、そういうのを相乗り、大政翼賛会的迎合っていうんだよ、って思うのが、かくいう私。特に、カツンとくるのは、これって2003年に実業之日本社から出た『誰か』の続編なんですが、出版社が違うからと前作があったことに触れようともしない幻冬舎のケツの穴の小ささですね。
で、私自身『誰か』の評に、登場人物の年齢を書いているので、引用しておけば
「小説の主人公は、35歳の杉村三郎、会社の広報室勤務に勤務する社員である。妻の菜穂子は29歳。化粧をすると31歳に見えるけれど、素顔だと20歳に見えることが多い。ま、愛する夫の言葉だから、割り引いて考えてもいい。でも、そのまま受け取っておこう。心臓肥大症のせいで、体は弱い。視力が両目とも裸眼で1.5、わざわざこう書いてあるから伏線かな、と思う必要はない。ただし、物流業を核とした今田コンツェルンの会長の娘という点は重要だ。子供は一人、4歳になる桃子である。財界の重鎮でもある義父は今田嘉親79歳、健康ではあるけれど老いは隠せない。
ほかに、よく出てくるのが、嘉親の第一秘書で“氷の女王”と、三郎の上司で入社28年目の広報室長の園田瑛子、アルバイト社員で現役女子大生の椎名嬢こと、シーナちゃん、身長がなんと百七十五センチという容姿不明の性格がいい娘である。」
今回のお話で、桃子は5歳とありますから一年後が舞台。前作で私が褒めたアルバイト社員シーナちゃんは、会社を辞め、その代りに入ってきたのが自称26歳、原田いずみです。この原田、大変なタマでした。編集経験がある、というのはともかく、その能力については全くの嘘。
その原田にクビを言い渡したのはいいのですが、そのことが彼女の闘争心に火をつけ、告訴騒ぎに発展します。その解決を会長から言い渡されたのが、原田の上司にあたる杉村三郎。杉村は以前、原田が勤めていた会社を訪問し、そこで彼女の経歴を調査した私立探偵・北見を紹介されます。北見のところで会った女子高生・古屋美知香の母親が、連続殺人の被疑者と知った杉村は・・・
で、タイトルの「名もなき毒」は、原田いずみであり、連続殺人犯である、社会のどこにでもいる、殆ど目立たない人々、その毒が社会を脅かしている、と解釈されます。で、そんな事件を解決した杉村は、結婚相手が裕福であることに頼らず、慎ましく暮らして、人に頼まれれば「いや」ということが出来ない、優しい人で、もっとこの杉村シリーズが続いて欲しい、というのが殆どの書評の結論。
でも、私はそうは思わない。むしろ「名もなき毒」とは、杉村三郎のことではないのか、そう思うのです。まず、彼は優しいが故に依頼を断らないのではなくて、好奇心ゆえに事件に巻き込まれ、家族を危険に巻き込む。それは十分に予想されるのに、なんら手をうとうとはしません。
むしろ、放置することで事件を拡大させ、それを楽しむ気配があります。奥さんの父親の力を借りない、というのもウソです。積極的に利用することはありません。でも、拒否はしない。放置しておくことで、予想される利益を甘受します。これって、「毒」ですよね。嘘はつかない、でも黙っている、という態度と同じ。
そのままにしておく、とりあえず報告だけはしておく、悪いことはしていないんだから、いいだろ、っていう現代人の常識的な生き方。これこそ「毒」じゃありませんか。実は、『誰か』では、それに気付かず、杉村一家の生き方に共感していたんですが、どうも今回は違います。こんな男に巻き込まれたくないぞ、そう思うのです。同じ読むなら、秋山省吾、五味淵まゆみのコンビの活躍する話のほうが絶対に楽しい。

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紙の本

淡々とした描写に込められたメッセージ。人には毒が潜んでいる。

2008/06/04 20:13

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ココロの本棚 - この投稿者のレビュー一覧を見る

あらゆる毒をテーマに、現代社会の闇をひも解いていくような作品。

いくつかのエピソードで成り立つ本書ですが、一つの軸として語られる「トラブルメーカーのアルバイト女性」のエピソードがとても怖かった。
世の中には常人に理解し得ない人が存在することは確かです。
自分の不幸や苛立ちを、すべて他人のせいに出来る人。(そう出来れば自分は楽だとわかっていても、普通は出来ないことですよね)
自分を守るため、自分を正当化するために、嘘をぬり重ね、他人を攻撃して生きていく人。
作中のこの女性は心に「毒」を持っています。関わった人を侵していく毒。

もう一つの軸として語られる、連続無差別毒殺事件。こちらが本書で一番大きな流れでしょうか。
よくあるサスペンスのように、「毒殺事件の真相を追う!」という展開とは少し違います。
そこは大きな流れとして存在しますが、その流れは現実の事件との距離感に近い気がします。
犯人像しかり。動機しかり。解決に向かうスピードしかり。
とても現実に近いのに何故かリアリティがありません。最近は現実の事件にリアリティが欠如しているからかも知れません。理屈で説明がつかない、常識で考えても理解できない、そんな不気味さ。
ここにも「毒」が存在します。社会の持つ毒。

経済格差、生まれ持った気質。
様々な人間が存在し、ともに社会を形成している。そして、社会のあらゆるところに「毒」は潜んでいる。
淡々とした展開の中に著者からの熱いメッセージが込められた作品だな、と感じました。
最近の宮部さんらしい作品かな。謎ありきでないという意味で。

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紙の本

現代社会に潜む“名もなき毒”を描いた問題作

2006/12/12 18:55

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る

青酸カリによって毒殺されるという連続殺人事件が発生。
ひょんな事がきっかけで、今多コンツェルンで社内報を編集している杉村三郎は、事件に隠された真相を探る事となった。
現代に潜んだ問題を絡めながら、無差別連続殺人事件の真相を探る長編ミステリー。
ミステリーの謎解き部分よりも先に面白味を感じたのは、大企業の娘婿に納まり、世間や親族の偏見も飲み込んで、淡々とした人生を送っている杉村の人柄が巧く描き出されている事だった。
作品の持つ一貫して変わらない独特の雰囲気や、崩れることのない人物造形など卒がなく、安心して読める点においても、感心させられることばかり。
シックハウスや土壌汚染、そしてフリーターや老人社会に至るまでの、近年にはびこった「現代社会の毒」を絡めながらのストーリー展開にも考えさせられる部分が多々あり、確かな手応えを感じることが出来た作品だった。

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紙の本

今そこにある恐怖

2006/09/18 23:10

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る

大好きな宮部みゆきの大好きなミステリー。久々で嬉しいです。
誰でも心の中に一種の「毒」を持っていて、時には犯罪の形でばら撒かれることがある。
最近富に多い気がする理由なき(あるけどちょっとしたきっかけだったり)殺人。昔あった紙パック飲料への毒入り殺人事件。
数々の事件の疑問に対する宮部の”答え”と”警鐘”のような印象を受けました。
実際に日々起きているからこそ感じる恐怖。
これぞ宮部ワールド。

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紙の本

避けられない毒

2006/11/12 08:01

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:歌音 - この投稿者のレビュー一覧を見る

日常を生きていれば、避けようの無い見えない毒に侵食されていく、
という事実を改めて感じました。
いくらその毒を避けようとしても、生きている限り、恐らく不可能なことだと
この作品を読んで思いました。
個人的には秋山氏がいいです。

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紙の本

「宮部ワールド」の甘さはのこるが本格現代ミステリー復帰の予感を覚える

2006/09/17 18:19

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

犬を連れ、散歩途中の老人がコンビニで買ったウーロン茶を飲んで悶絶死した。首都圏で発生していた無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。今田コンツェルンの社内報を編集する杉田三郎はこの犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから事件に巻き込まれる。いっぽう杉田の職場ではアルバイトをしていた26歳の娘をミスが多発するためにクビにしたことから、彼女の執拗、病的なクレームに編集局一同が振り回されている。彼女の異常な嫌がらせはやがて禍々しさが加わり杉田の家庭にまで入り込んでくる。
杉田三郎は女子高生のお祖父ちゃんを殺害した犯人を追う探偵役であり、悪意の塊である女クレーマーの生い立ちにある秘密をたどりつつその悪意に襲われる犠牲者でもある。
「著者3年ぶりの現代ミステリー、待望の刊行」とあった。3年前に刊行された現代ミステリーとは『誰か』のことである。『誰か』は期待はずれであった。それまでの宮部みゆきの持ち味がまるでなくなっていたからだ。著者の代表作は『火車』『理由』『模倣犯』。いずれも傑作の現代ミステリー、クライムノヴェルだった。犯罪の背景にある社会構造を斬新な視点で捉え、そこからこれまでなかった犯罪者像をクローズアップさせた。それは新鮮で刺激的だった。ところがいつのまにか宮部みゆきの作品は現実を回避した、時代小説へ移っていった。そして人々の生活から社会性を捨象した「やさしさ一杯の感動、宮部ワールド」を表現していたのが最近の作品であった。『誰か』ですらそれであった。
『誰か』の杉本さんが登場するからこれもその延長かと思った。ところがどうしてこれは本来の宮部みゆきへの回帰が予感される、まさに現代ミステリーだった。
怨恨か金か名誉か保身か、昔から残酷な殺人事件はあったが、その殺意には周囲が腑におちる理由があった。ところが最近発生している殺人事件には動機が普通の人では皆目見当がつかないのだから、どうしようにもすべがないという不安がつきまとい、それだからひどく不気味である。
しかも、その犯人が周囲の人から「あのおとなしい人が」「あんないい子が」まさかといわれるようないっけん普通に見える人の場合も多いのだからますます困惑してしまう。
現代という社会はなるほど普通の人でも生き難い環境にあるのかもしれない。そう宮部はとらえている。
「現代社会では、<普通>であることはすなわち生きにくく、他を生かしにくいということだ………」
元警察官の北見が語るこの一言に宮部の視線はフォーカスしたようである。
さらにこの複雑で面倒な世の中に直面して戸惑う人間に「自己実現せよ」と押しつけるから怒りが爆発する。これはひとつのとらえかたであり、なるほどとも思う、現実を踏まえた見方だと思った。宮部らしさもある。
シックハウス症候群、住宅地の土壌汚染問題、あいまいな瑕疵担保責任の構成、老人介護問題、そして勝ち組、負け組みの存在をやむをえないとする格差社会。閉塞状態にある人々のぶつけようのない怒りのエネルギー。まさに生きにくい現代を素材にしている。
とはいえ、新たな犯罪者像は曖昧模糊として理解不能なのだ。作家がその想像力にまかせて新概念で説明できるしろものではないようだ。宮部もそこは書き込んでいない。わからないままに放りっぱなしにすることがこの小説のリアル感を担保している。
ただし、読んでいてこれだけシリアスなテーマにもかかわらず全体のトーンに緊張感が欠如している。このギャップに最後までもどかしさをぬぐいきれなかった。それは大金持ちの娘と結婚して贅沢で円満な家庭生活に安住している杉田三郎を狂言回しとしているからなのだが、この設定の意図が私には理解できない。
それと「今田コンツェルン」、杉田さんの義父が会長をつとめる財閥企業の名称なのだが、いまどき○○コンツェルンなどと恥ずかしい名前をつけるオーナーはいません。

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2006/09/24 20:55

投稿元:ブクログ

『私のこの家に、汚染はなかった。家のなかは清浄だった。清浄であり続けると、私は勝手に思い込んでいた。信じ込んでいた。だが、そんなことは不可能なんだ。人が住まう限り、そこには毒が入り込む。なぜなら、我々人間が毒なのだから。』

2008/01/22 07:26

投稿元:ブクログ

「誰か」の主人公が再び登場。シリーズ化するのでしょうか。模倣犯に出てきた少年に嫌がらせをくりかえす女の子がパワーアップした感じ。

2006/10/09 15:11

投稿元:ブクログ

帯より『連続無差別殺人事件。あらゆる場所に「毒」は潜む。どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くした女子高生だった。』

2007/08/29 12:33

投稿元:ブクログ

大財閥の娘と結婚した三郎は、缶ジュースに混ぜられた青酸カリによる連続殺人事件の被害者の孫娘と偶然知り合いになる。一方、会社で雇ったアルバイトのいづみは、トラブルを起こしてクビなったのを逆恨みして嫌がらせを繰り返していた。平凡な日常に溢れるありとあらゆる「毒」を描き、バラバラなエピソードが最後に一つに収斂する。ミステリーとしてはイマイチなんだけど、ディテールがリアルで読ませる。意図的な毒、無意識の毒、思いもよらない毒。世の中いろんな毒に侵されているようで恐ろしくなる。

2007/04/09 14:56

投稿元:ブクログ

誰か〜の2作目・・・図書館の予約ナンバー1なので、楽しみにしていたのに、イマイチ。杉村の描写が、女性的でウ〜ン

2006/10/22 21:38

投稿元:ブクログ

表題の名もなき毒とはいいタイトルですね。毒をもった人間もいるし、青酸カリのような毒そのものもあります、さらに、土壌汚染やシックハウスなど、目に見えない毒もあるわけです。これらの毒をうまく配置している手法は、さすが宮部さんはうまいなあって感心したのです。

主人公は「誰か」でも活躍した(活躍と言うことばがあまり似合わない穏やかな)今多コンツェルン社内報「あおぞら」の編集部に勤務する杉村三郎。財閥で(逆玉だけど)何も悩みがないような姿に、被害妄想的に嫉妬する元アシスタントの猛毒がすごいのですが、こういうのはやっぱり病気なのかな。

その猛毒の強さが強いほど、主人公・杉村の人の良さが対照的で際立つために、少し共に違和感を感じてしまうほどでした。もう少しおとなしい毒が似合うこのシリーズのような気がします。模倣犯やクロスファイアなどに比べたら日常的な謎シリーズに似合いの犯罪を・・って思うほどでした。

500ページ程の大作の本、、読み終えなかったので、沖縄まで持って行って読みました。往復2600km以上・・・(^^)