陰摩羅鬼の瑕 文庫版 （講談社文庫 百鬼夜行シリーズ）

投稿元：

レビューを見る

読了までかなりの時間を要しました。途中の儒学・朱子学の辺りが難解で・・・しかし今回の憑物落としは登場人物たちの、そして私のこんがらがった部分を見事に解きほぐし、並べ替えてくれました。ということで、最後は一気読みですっきりー！共通概念を持つ社会の外にいる人間との認識のずれが生んだ悲しい事件です。ですがなんだか関口君も立ち直ったか？的ラストでよかったです。

投稿元：

レビューを見る

姑獲鳥の夏からはじまったシリーズが再び夏を迎える。関口に始まり関口に終わるって感じか。事件が解決をみても結局彼の不安は癒えてはいない。だが暴走もしていない。さすがに塗仏のまま１seson終わりとかはありえないですよね。それじゃあ関口が哀れ過ぎますもん。ラストの関口が印象的。そして探偵と旅行だなんておいしすぎ。かの探偵はいつまで探偵でいられるのでしょうか。ずっとかわらんでいてほしい。姑獲鳥、鳥、生と死などイメージが幾重にも重なり考えさせられる。境界を描くのが本当にうまいと思う。

投稿元：

レビューを見る

犯人や理由は判り易い。面白いんだけど、前置きや何かがとても長くて‘そこ’にたどり着かないのがもどかしい。薀蓄が多いのは仕方ないんだけど･･･（笑）　もう少し沢山、榎木津さんに出てきて欲しかった〜。

投稿元：

レビューを見る

「おお！そこに人殺しが居る！」探偵・榎木津礼次郎は、その場に歩み入るなりそう叫んだ―。嫁いだ花嫁の命を次々と奪っていく、白樺湖畔に聳える洋館「鳥の城」。その主「伯爵」こと、由良昂允とはいかなる人物か？　一方、京極堂も、呪われた由良家のことを、元刑事・伊庭から耳にする。シリーズ第８弾。

投稿元：

レビューを見る

犯人と動機が予想通りだったのはちょっと肩すかしでしたが、物語全体としては大変満足できました。日頃アタマの片隅でポワンと考えているあれこれが、がっちり文章になっているのが気持ち良かった。

投稿元：

レビューを見る

犯人はシリーズ中もっとも分かりやすいものの、今作に関しては“フーダニット”よりも“ホワイダニット”が重要となってきます。重苦しい館と無数の鳥のイメージが不気味。派手な展開はないけれど、認識のずれが起こした事件の全容を知った時はとにかく悲しく切なくなりました。関口君の鬱っぷりも絶好調。

投稿元：

レビューを見る

そこは湖のほとりの鳥の城と呼ばれる、それは大きな元伯爵家。そこに住むのは青白い顔の、やや神経質そうな、見るものをイラつかせそうな主と。そして執事と、大量のメイドが住んでいる。
その城では、主が結婚をするたびに婚礼の翌日、花嫁は死体となって発見される。そして今回は５回目の婚礼・・・である。

なぜ鳥の城か。
それは物語のごく最初のところでわかる。鳥だ。鳥が。鳥が。鳥が存るのである。その数は100や200という数ではないという。読み進めるほどに堆積していく不安。音がしない。大量の鳥の描写をしておきながら、音が聞こえてこない。

物語の核心は、ある意味単純である。
やはりこれも、物語の最初のところでわかる。瑕があるのである。犯人も、そして事件の原因も、ごく最初のところでわかってしまう。
しかし、読み進めるほどに堆積するのである。なんともいえない不気味な不安が。読者はその不安と対峙させられることになる。

そしてその不安の霧が我慢できないほどに濃密になったところで、事件が姿を現す。そして京極堂の登場でふいに霧が晴れるように徐々に事件の輪郭が明らかになっていく。
そして残るのは哀しい事件の残り香だ。

この話の情景は、「色」を失っている。常にどこか色あせた情景、それが哀しい一つの世界を覗いているのだということを読者に突きつけている。事件が一段落ついたところで、この物語はやっと鮮やかな「色」を取り戻す。そして読者もこちらの世界に戻ってきた、と息をつくことができるのである。

投稿元：

レビューを見る

関口が先に真相を知ってしまうように、今回の謎は物足りなさを感じさせるかも知れない。しかし、それでもこの厚さを最後まで読ませてしまう物語の運びと世界観は不動。事件とは違うところで読者にちりちりと疵や瑕の言葉を埋め込むかのようなねちっこい展開は、異世界を存分に味わうことができる。

投稿元：

レビューを見る

今までのを読んでいると物足りないかも。
結構最初のほうで真相がわかってしまうので・・・。どんでん返しもないため、ちょっとがっかり。
それでも独特の世界観は健在。

投稿元：

レビューを見る

う〜ん‥他の京極堂シリーズに比べて、少々お粗末な気もしなくもない。

毎度ながら、林羅山や異種族間の婚礼についてなどの京極堂の見解はとても面白いが、「異界」である伯爵側の世界が私にはどうも実感しにくく、読後には何だか納得のいかない後味の悪さを感じてしまった。インパクトも弱め。
このパターンは好きではないなぁ。。

投稿元：

レビューを見る

　「貴方にとって」伯爵は私を視た。そして問う。「貴方にとって生きて居ることと云うのはどのような意味を持つのです――」

投稿元：

レビューを見る

2006年9月15日発行。さっそく読みました。
今回は珍しく途中で、どういうことなのか、ふとひらめきました！今回はちょっとわかりやすかったのでしょうか？しかしその後が気になり、半分ぐらい残ってましたが、一気に読んでしまいましたよ。
今回は、鳥の剥製だらけの洋館、通称『鳥の城』で暮らす伯爵のお話。その『鳥の城』に住む伯爵、由良昂允は小さいころから体が弱く、その洋館の中だけで育ち、外の人たちとほとんど関わったことがない。その伯爵は過去、婚礼の翌日に花嫁の命が奪われると言う事件が４度もおこっている。伯爵は今回５度目の結婚をすることになり、その場に探偵として榎木津、助手として関口が招かれることになって…。　　
京極さんの本は色々考えさせられるものがあります。今回は共同体の中で育つということ、生きていることの意味についてでしょう。　　2006年11月12日