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東京の空の下、今日も町歩き (ちくま文庫)
「町歩き」は、日常の生活圏をぷらぷら歩く散歩とは異なり、ちょっとした旅気分が味わえるもの。気の向くままに横丁や路地に入り込み、河原や土手を風に吹かれて歩いたあとで、見知ら...
東京の空の下、今日も町歩き (ちくま文庫)
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商品説明
「町歩き」は、日常の生活圏をぷらぷら歩く散歩とは異なり、ちょっとした旅気分が味わえるもの。気の向くままに横丁や路地に入り込み、河原や土手を風に吹かれて歩いたあとで、見知らぬ居酒屋へもぐりこみ、その町の人の話に耳を傾けながらの一杯はまた格別だ。青梅、金町、調布、大森…小さな町を歩く楽しみを綴ったエッセイ集。【「BOOK」データベースの商品解説】
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この人が歩くと、町の方から魅力が寄ってくる
2006/11/27 00:37
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
川本三郎氏の東京町歩きの本。あとがきによると、今回は「あまり語られることのない周縁の町を中心にした。とくに、これまであまり行ったことがなかった多摩の町をよく歩いた」(pp.271-272)とのこと。たしかに、青梅・八王子・武蔵村山・東大和・羽村・福生・調布・あきる野など、東京西部の町を歩いている回が多い。他にも練馬区や板橋区、王子に赤羽、池上・千鳥・蒲田、砂町・亀戸・新小岩、柴又・亀有・金町、などなど、「周縁の町」という言葉から連想できるような町が多数登場する。
町の雰囲気は様々だが、この本を読んで思うのは、まず川本氏の文章で紹介されると、どの町も魅力的に見えるということ。そして、川本氏が歩くと、まるで町の方から魅力が寄ってくるように、氏が面白い物事に出会うということ。
例えば八王子、浅川沿いの田町で、廃屋のような建物が並ぶ旧遊郭街のそばに、「古ぼけた食堂が目に入った」(p.66)。「廃屋のひとつかと思ったが、のれんはあるし、よく見るとガラス戸に『営業中』とある」(p.66)し、「つげ義春の漫画に出てきそうな貧しげな雰囲気に、捨て難い魅力がある」(p.66)ので、思い切って入ってみる。
中も、戸を開けたらいきなり厨房だったり、土間の上にござを敷いたような席だけだったり(そして先客が日曜の昼からビールを飲んでいる)、なかなか強烈なのだが、出してもらったゲソの天ぷらや白菜の漬物を食べながらビールを飲んでいると、だんたん店が面白く思えてきて、「ビールを二本飲んで外に出たときは『いい店だった』と満足した」(p.68)気持ちで店を出たという。しかも、先客に近所にあるという北島三郎の家を教えてもらうというおまけつきで。
他にも、東東京を中心に行ってみたいと思う町がいくつもある。赤羽・十条・東十条の「いい居酒屋のそばには、なぜか古本屋がある」(p.136)という古本屋とか、北区の荒川の中にあるという島とか。
もちろん、東京に住んでいない人にとっても、東京の旅行記・紀行文として面白い。また東京に住んでいる人なら、本に登場する場所のどこかに行ってみようという気持ちになるのではないかと思う。