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紙の本
基本的で根本的な、「漢文を読む話」
2007/01/27 15:27
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が漢文学の碩学であることは、従来から知っていたが、何故かこれまで敬遠したきた。読んだのは「中国の知恵」と「支那人の古典とその生活」とだけである。 今回は漢文の読み方が書いてあると思い、読んでみた。たしかに、日本で漢文とよばれる、中国古典を日本語に合わせて読み下すことが、書かれている。しかし、漢文法や語彙の読み方の話ではない。もっと基本的で根本的な、「漢文を読む話」であった。漢文は中国の文章語であり、簡潔さとリズムが基本である。それを日本語として訓読する心得として、はじめに理解する必要が説かれている。とくにリズムを整えるために追加された文字については、あえて日本語に置き換える必要のないことが強調されている。日本語として訓読する際も、このリズムを把握しておくことの重要性が強調されている。そして歴史の順序に従って、儒教聖典、史書、碑誌、などのさわりを実例として、読んでいる。漢文読解のための単なるノウハウ本ではなく、漢文学の碩学にふさわしい、味わいのある内容であった。
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私たち日本人の教養に多大な影響を与えた漢文の歴史とその美、特徴などを余すところなく説いてくれる貴重な一冊です!
2020/04/24 09:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、中国の記述方法でありながら、我が国の社会にも深く入り込んで教養となってきた漢文について、その歴史を振り返り、漢文がもつ独自の美しさや特徴などを分かり易く解説した一冊です。同書の著者は、漢文は、「江戸時代には伊藤仁斎、荻生徂徠、明治時代には夏目漱石、森鴎外、幸田露伴、昭和時代には永井荷風、芥川龍之介などが漢文を愛し、日々の覚えや自らの思いを漢文で記していた」と述べています。また、「古来、論語、五経、史記などの古典は私たち日本人にとって必読の書でもあった」とも説かれています。こうした私たちに深い教養を与えてくれ、我が国の知の文化の構築の礎ともなった漢文の魅力を余すところなく解説してくれる一冊です!