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商品説明
限られた日々を見据えた、清冽にして、つよい、40日間のまさに珠玉の言葉…。ガンの告知を受けた故中野氏が、平成16年2月8日から同3月18日まで、検査通院を繰り返し、治療のために入院する日の朝までを記したもの。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
死ぬという務めを遂行する努力
2007/07/22 07:15
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:cuba-l - この投稿者のレビュー一覧を見る
中野氏はその晩年、人生や死に対して様々な先賢の言葉を紹介し、人々を励ますメッセージを発信し続けた文学者である。中野氏自らのガン宣告--余命一年--に際し、何を思い、何を考え、いかに行動したのか、読者としては興味を持たずにはおれないところだ。
それでもやはり、常々、ローマの哲人セネカや唐代禅僧の言葉に親しんで死に対する心構えをしてきたと言っていた中野氏でさえも、様々な迷いや動揺に直面したことがこの本で明らかにされている。
なによりいたずらに苦痛をもたらして終末を非人間的な環境の中で死を迎える現代医学に嫌悪を抱き、長く生きるよりも善く生きることを大方針として、入院や治療を拒絶することを願いながらも、結局は周囲の負担や迷惑を考えつつ、「我一人生きるにあらず、(入院して現代医療の中で死を迎えるという道に組み込まれるのも)人々のなかに生きる人間の、それが務めか」と思い至るところが、読者にもたらす意味は大きい。
中野氏は数々の著作の中では、巧みに先賢の言葉を紹介しながらまるで達観したように生と死の問題を説いていて、読者の私も分かったような気になっていたものだが、実際の死に際することとは、そんな知識を基礎としつつも結局個人的な努力をもって乗り越えていく問題である事をまた示してくれた書であるともいえそうだ。