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紙の本
闇色のドルチェ・ヴィータ (ラヴァーズ文庫)
著者 神奈木 智 (著)
「報酬は私への忠誠です」たったひとりの心の支えだった従兄弟を亡くした要は、自分と従兄弟を不幸に陥れた人物を恨んでいた。そんな要の前に、ひとりの男が現れる。その美しい男、宝...
闇色のドルチェ・ヴィータ (ラヴァーズ文庫)
闇色のドルチェ・ヴィータ
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商品説明
「報酬は私への忠誠です」たったひとりの心の支えだった従兄弟を亡くした要は、自分と従兄弟を不幸に陥れた人物を恨んでいた。そんな要の前に、ひとりの男が現れる。その美しい男、宝生はホストクラブ『ドルチェ・ヴィータ』の経営者であり、裏の顔は“復讐代行人”。理不尽な仕打ちを受けた要の代わりに宝生が恨みをはらしてくれるという。代償は、幹部ホストたちの世話と、宝生にベッドへ呼ばれたらどんな時でも従う事…。美麗なホストたちに囲まれ、平凡に生きてきた要の甘い生活と闇の復讐が始まろうとしていた—。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
変人の純愛。
2007/04/14 23:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
清く正しく天然に生きているはずなのに、立っているだけで闇の世界の住人に魅入られてしまうタイプというのが、お話の世界にはよく出てきますが、主人公の要はまさにそれでした。
何の落ち度もないのに、電車で痴漢の濡れ衣を着せられたところから人生にケチがつき始め、ふと気がつくと、毒虫のような悪徳警官の竹林に強請られて収入を搾り取られ、従兄弟の悟史ともども、人生を破壊されてしまいます。
やがて悟史は不審な死を遂げ、葬式にまで押しかけてきた竹林に嘲笑されるに及んで、喪服のまま雨の中を裸足で逃げだして町中でうずくまっていた要は、美しい青年たちにオーナーと呼ばれる謎の男と出会います。
雨の道にひざまずいて、要の裸足の足を手でぬぐってあたためてから、あつらえたばかりの高価な靴をうやうやしく履かせたばかりか、「私が君を選んだ」「君を助ける」などという意味不明の言葉を残して去っていった男は、どう考えても足フェチの変態であり、まともな人間ではなさそうなのに、引き寄せられるようにして、ドルチェ・ヴィータというホストクラブに出向いた要は、そこのオーナーである宝生と再会し、自分と従兄弟を破滅させた竹林への復讐代行を依頼することになります。宝生への報酬は、彼に忠誠を誓ってホストたちの生活の世話をすることと、宝生の手によって乱れるという、途方もないものですが、木訥で天然で、自己評価の低さに由来する謙虚さから、要はその報酬を払うことを決意し、ドルチェ・ヴィータに住み込んでの奇妙なハウスキーパー生活がはじまります…。
結構楽しく読了しておいて、こんなことを言うのもなんですが、この宝生という男、ちらちらと本心の片鱗は見えるものの、内側に抱えているものの総体がさっぱり見えず、過去が語られることもありません。不幸な人間の思考を読み取れてしまう超能力者なみのセンサーを搭載していることといい、そういう人間を依頼人として引き寄せた上で復讐代行を楽しんでいる様子があることといい、感情表出の理解不能なズレ方といい、宇宙人か異次元の生物じゃないかといった風情であり、はっきりいって相当に不気味です。通常こういった人物は恋愛の対象にはなり得ません。できれば跨いで通過したい対象です。
宝生は要にとって、結果的には頼りになる人物であったとはいえ、要もよくこんな分けのわからない人間に真正面から「好き」と告白して信じるつもりになったものだと思います。こんな宇宙的レベルの変人の、一体どこが好きなのか問いただしてみたいほどですが、はっきりと言葉で語る理由以外の部分で通じ合ったということなのでしょうか。よく考えてみると、要という青年も、ただ単にハウスキーパーとして働いていただけで、そろって得体が知れない上に恐ろしくクセのあるホストたち全員に慕われ、家族のように愛されるという特異能力を発揮した人物ですし、もしかしたら、宝生とは丁度良い組み合わせであるのかもしれません。
なんにせよ、謎の多いまま終わってしまったお話なので、続編を読んでみたいところです。