紙の本
東野ファンには若干物足りない
2009/02/07 00:02
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読書は風呂場で - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療サスペンスというが、サスペンス色はそう強くない。
詳細はわからなくても展開の見当はつくので、自分の予想通りかどうかを追いながら読み進めていく感じ。
前作の「赤い指」がなんともいえない、やりきれない気持ちで終わったのに対して、これはすがすがしく読み終えることができて気持ち的にはすっきり。
しかし、うまくいきすぎという感じがなくもない。
人間の中にある憎悪や利己主義的な感情と、良心やこの作品のテーマになっている「使命」とのあいだにもっともっと葛藤があってしかるべきと思う。
その葛藤をもっと掘り下げて書いてほしかったなとも思うが、タイトルにある「魂」が消化できないままなので、もう何回か読み返して読み込んでみたい。
「使命」という言葉は好きだし、健介や西園の「使命を全うする」という生き方にとても共感する。
紙の本
東野圭吾の新作だものやっぱり読んでみなくっちゃ
2007/02/27 22:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
研修医夕紀が医者を志した目的。それは大好きだった父親が手術中に死亡したのはなぜかそれを解き明かすこと。父親の担当医だった教授のもとで研修を続ける内に胸の奥底に秘めていた疑問はだんだん膨らんでいく。ひょつとして父親は殺されたのではないのか・・・そんな時病院に脅迫状が届く。誰がそして何の目的があるのか・・・
物語は二つの視点で進んでいきます。一つは過去をみつめもう一つは現在進行中の事件をみつめています。父親の意外な過去。そして脅迫者の動機。とくにこの動機については今現実に次々と新聞紙上を賑わせている事柄なので凄く身近なものとして感じることができました。
圧巻は最後の手術室の場面。それぞれの思惑が絡まって緊迫感は抜群です。ただここに描かれているのは作者の理想かな。みんなあまりにも前向きでいい人に描かれているような気がします。父親に「人間というものは誰でもその人にしか果たせない使命を持っている。」と言わせていますがその通りにみんな自分の使命を果たそうと努力していく。その姿に読み終えたあと清々しさを感じました。ただミステリーとしては目新しさはあるものの謎解きというよりも人間の心理に重点がおかれているのでもう一ひねり欲しかったかなあと言う感じです。
なにはともあれ用事は全部片付けてからじっくりページを開くことをお勧めします。
紙の本
心を揺さぶられました
2007/10/21 03:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この臨場感とドラマ性は何だろう。いつも感心させられます。
今回は医療の現場。相変わらず専門用語は多発するけれど、全く気にならないし説明も適切。
病院を脅迫する事件が発生し、物語はそれを中心に進むのですが、裏では主人公の心の葛藤があり、最後は事件の結末と共に心の決着に感動。目頭が熱くなりました。
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東野圭吾さんの新作を本屋で見つけて思わず買いました。
この本の前に読んだのが「チームバチスタの栄光」だったので、2作続けての医療ミステリーです。「チームバチスタ」が強力なキャラで迫った来たのに対して、こちらはさすがに東野さんって感じの作品です。
ストーリーは面白かったですが、展開そのものはそれほど驚きもなく、着地点がよく見える作品になっています。と言うか、そこで読者を裏切る展開もありとは思ったけど、少し過激すぎるかな。安心して楽しい本って感じかな(^^)
しかし、このタイトルは何だったんだろう。本屋さんで最初に見たときにも東野さんの作品じゃないのかと思ったくらいうです。「使命」は本文中によく出てくるので分かるけど、魂とそのリミットとは??「リミット」は時間との勝負か?分からないわけではない。魂は、主人公である研修医・夕紀の心の葛藤か・・・でも、このタイトルは少し嫌だなあ。
過去のタイトルは漢字2文字が多いです「変身」「秘密」「悪意」「分身」「幻夜」「宿命」などなど。印象があります。でも、前作の「赤い指」はなかなかいいタイトル。それに比べると「容疑者Xの献身」は少しベタ(^^;
って、考えると今回の作品は「使命」だけでもよかったけど。でもねえ、使命って少し頻繁に出てきているので、インパクトは少ないかもしれないなあ。(って、私がタイトルで悩む必要はないけど(笑))
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ストーリー自体は「のどごし」が良くてするする読めるし、犯人の動機にも意外性があって良いんだけど、軽妙というよりは軽薄かな?すべてが表層的すぎて食い足りない。テンポが良すぎるのも考え物。最後の1行はちょっと陳腐じゃないか?
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語弊のある言い方かもしれませんが、どうも私にも東野作品への「目」が肥えてきたようです。決して悪くはありませんが、これまでに読了してきた作品に勝るものは見つかりませんでした。でも決して悪くはなく、むしろ好き、ラストは終始涙目(・・・でも「時生」だったら人目憚らず泣いてたなとか思いながら;;)。東野さんはラストでうっちゃるタイプなのでだいぶ期待したのですが、私の場合はラスト1行よりも望と穣治のシーンでその波が来てしまいました・・・主人公そっちのけですね笑 でもあのシーンだけは再読したときでも泣けるような気がします。全体的には良くもあったがそれまで、と言うなんともありきたりな形容で済ましてしまう感じでした。
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最新刊!
早速読みきった!
ついに医療系サスペンスですな。と気合十分。
取材もゆきわたってたし、臨場感も伝わった。
さすが東野さんだなと思った。
だけど、読んだ時期が悪かった。
その前に海堂氏の医学系の本を読んだばかりで、やっぱ医者には勝てないよな、と。
物語の終盤のペースダウンが痛かったかな。
あとは、いまいち登場人物の気持ちの変化に対する描写が少なかったかなと思う。
もっと深いところまで暴いちゃってよかったんじゃないかと。
ま、そこまで書いたら何冊になるんだよ!って感じですが。
とはいえ、さすがです。
次回にも期待をこめて、この星の数で。
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悔しいけど、ラストで泣いてしまった。歳をとって涙腺がゆるゆるになってるので、ちょっとツボにハマるとだだ漏れになる。やっぱり巧いと思う。巧いと言うかずるいと言うか…。ネタを徐々に明かすタイミングが抜群で、枝分かれしたストーリーがひとつにリンクする時、タイトルの“使命”という単語が自然と浮かび上がってくるという仕掛け。無駄なシーンがひとつもなく、全体におとなしめで硬派な印象。作家の主張はさりげなく、でも言いたいことは伝わってくる。ミステリ色は皆無に近い。クライマックスは淡白すぎ。よくよく考えればわざと泣かされてる感もあるが、胸に迫り来る想いの方が大きいので、深読みによってその雰囲気を損ないたくないのだ。なんとなく先が見えててもページを繰る手が止まらないという点では、この作家の右に出る者はいないのだろう。
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筋立てには、真新しいところはないのだが、描き方が迫真で、引きこまれた。また、医療現場が舞台、というのも面白い。
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ある自動車のトラブルによる混雑により、
間接的に恋人を失う羽目になった男が、
復讐を遂げるため、
その相手が入院している病院相手に挑むサスペンス。
その心理と、教授・研修医の心理がうまく描かれている。
また、人工心肺に関する記述も生々しく、
素晴らしい取材振りに心打たれる。
週刊新潮に連載されているときから、
読んでいたが、改めて通して読むと
また違う味が体験でき、得した気分。
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帝都大学病院の心臓外科の研修医として働く氷室夕紀は中学生の時、心臓の病を患っていた父を手術中に失ってしまった。名医として有名な西園教授の執刀であったにもかかわらず・・・父の手術前に、母と西園教授が親しげに話す場を目撃していた彼女は、「父は故意に殺されたかもしれない」という疑問が、心の中に生じていた。その疑問の答えを見つけるべく、医師を目指していた夕紀は、父を亡くした医療現場で、この答えを見つけることができるのか!?(2007.1.14)
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年々、著者の伏線は巧妙で自然な物となっている気がする。話は面白いものの、動機等で薄い面がありこの評価。
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元警察官だった父を持つ夕紀は、心臓の手術中に亡くなってしまった
父の真実を知りたくて、医師を目指す研修医。
その指導医で上司にあたる西園医師は、父の手術の執刀医だったのだ。
しかも西園は夕紀の母の再婚相手でもある。
不信感を拭いきれず、自分の胸の奥だけで秘めた「医師」への決意
そして、すべての事件を知っている刑事、七尾。
彼の存在はすっごく大きくて、夕紀の勤務する病院を相手に
「脅迫」の手紙が何通も届き、その事件を追っている刑事なのだが
夕紀の父から「人には、誰でも使命を受けて生きているのだ」と
教わり、尊敬もしていた。
病院への脅迫は、やがて、入院患者である一人の会社社長を
狙ったものだと気づく七尾は、単独行動で、その「裏」を
つきとめる。
犯人の、ほんの少しの「理性」と「後悔」
このへんも、東野圭吾ならでは!の描き方が素晴らしいし。
夕紀の父と西園との関係性の伏線も、それはそれは、おみごと!!
病院もの、刑事者、そしてミステリーの小説が大好きな私には
もう〜たまらない小説でしたね。
この七尾&夕紀のシリーズ化、ぜひぜひお願いします!
東野圭吾さま!!
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読み始めは「医療ミス?復讐?重い話かなぁ。。。」と思ったけど、じわじわとしみてくるようないい作品でした。
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2006年12月 東野圭吾最新作
『心臓外科医を目指す夕紀は、誰にも言えないある目的を胸に秘めていた。あの日、手術室で何があったのか? その目的を果たすべき日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。今日、手術室で何が起きるのか? 心の限界に挑む医学サスペンス』
いつもはすぐにストーリーに引き込まれてあっという間に読み進めてしまうのに、前半なかなか入り込めず。多分それは私自身が医療関係者だからかなぁ。小説ってやっぱり自分の知らない世界を覗き見できるっていう楽しみかたってあるはずだから。 ただし後半は東野さんお得意の理系要素(電子・電気系)が犯行に絡んできて、さらにリアルタイムで手術室内や警察捜査の緊迫感が伝わってくるような展開が楽しめます!!!!
そしてラスト1行に全てが凝縮されます。。。