- カテゴリ:一般
- 発売日:2006/11/18
- 出版社: マガジンハウス
- サイズ:20cm/1冊(ページ付なし)
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8387-1727-X
読割 50
紙の本
匂いをかがれるかぐや姫 (日本昔話Remix)
昔話を英語翻訳機にかけて、それをまた日本語翻訳機にかけるとどうなるか? 「一寸法師(少量法律助言者)」「かぐや姫(匂いをかがれるとすぐに、プリンセス)」「桃太郎(桃タロイ...
匂いをかがれるかぐや姫 (日本昔話Remix)
匂いをかがれる かぐや姫 ~日本昔話 Remix~
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商品説明
昔話を英語翻訳機にかけて、それをまた日本語翻訳機にかけるとどうなるか? 「一寸法師(少量法律助言者)」「かぐや姫(匂いをかがれるとすぐに、プリンセス)」「桃太郎(桃タロイモ)」のシュールな変換昔話3編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
一寸法師 | ||
---|---|---|
かぐや姫 | ||
桃太郎 |
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書店員レビュー
使ってみた方ならわ...
ジュンク堂書店千日前店さん
使ってみた方ならわかると思うのですが、翻訳ソフトに文章を入れたら結構おかしなことになりますよね?
英訳するだけでもおかしなことになるのに、さらに日本語にまでしちゃうわけですから、それはそれはおかしなことになっているのです。
しかもそのおかしな文章を無理矢理イラストにした挿絵まで入っているわけですから、腹筋が大惨事ですよ。
さすがコンピューター!人間に出来ない翻訳をやってくれる!そこにシビ(以下略)
……ともあれまあ、ネタ本としても楽しい1冊なんですが、おかしな日本文だけでなく日本語原文とおかしな英文も併記されていますので、「どうしてこうなった!?」と原因究明をしてみたり、コンピュータ翻訳は要するに誤訳なわけですから、それを元に正しい翻訳に挑戦してみたり、おかしな英文を真面目に日本語訳してみたりという、ネタ本だったはずなのに使い方によっては英語力アップの学習教材に使えたりします。
ファーストインパクトでひとしきり笑った後には英訳・日本語訳の学習。
「○○に捨てるとこなし」とはこの本のことを言うのかも知れません。
恐ろしい子……!
語学書担当:オチ
紙の本
人間以外の「知性」がもたらす特殊な笑い
2007/03/22 23:12
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上原子 正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンピュータープログラムが人間の言葉から見つけたという思いがけない解釈に、「Time flies like an arrow」(光陰矢の如し)に対する「時蝿は矢を好む」というものがある。確かにこの解釈は可能だが(time fliesを蝿の一種と捉えて主語とする)、人間はこんな風に考えない。普通、コンピュータープログラムのこのような解釈は誤りとして否定的に捉えられるだろう。
それに対して本書は、このような解釈を人間ではなかなかできない意味の変換として利用している。この立場を取ると、言語処理プログラムは普通の文を予想外の文に変換する機械となる。かな漢字変換プログラムを用いたこの種の遊びはコンピューター系のエッセイでかなり昔に扱われていた記憶があるが、本書は題材と手法の選択から視覚的デザインまで一貫して変換の面白さを強調するように行なうことでこの見方を徹底させている。巻末の作者紹介によると、文章担当の原倫太郎は「変換」をキーワードとした作品を制作している美術家で、本書もその一環だろうか。
本書では、一寸法師、かぐや姫、桃太郎の3つの昔話を複数の翻訳ソフトで日本語から英語に変換し、その英文をさらに翻訳ソフトで日本語に変換し、その結果を編集して作られた「新しい昔話」が示されている。「新しい昔話」とは矛盾した表現のようだが、得られた日本語は実際にそんな感じだ。1回の翻訳で既に元の意味が壊れているのに、それをさらに翻訳することで怪しさが二重になり、誰でも知ってる話が謎の表現のかたまりになる。例えば、内容的には妥当だが表現を間違えて、「鬼が島へ鬼退治に」が「怪物アイランドに怪物ハントであります」に。単語の多義性を扱い損ねて、「中納言」が「vice-minister...」を経由して「悪徳大臣」に。こういう表現が延々と続き、人によっては笑いを抑えられない可能性があるので注意が必要だ。私の場合は笑いっぱなしだった。
本書を読む際には、入口と出口の日本語だけでなく、中間の英語も追いかけることを勧めたい。中間の英語を見ると、翻訳ソフトが間違えた理由を理解できることが多く、その思いがけない解釈に感心させられることが多い。立て続けに示される予想外の解釈を見ていると、翻訳プログラムが人間とは別の「知性」を持っているようで、普段は気にもしない人間の思考の枠を意識させられる……と言うと大袈裟か。特殊な感覚の笑いを誘う作品である。