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紙の本
スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)
著者 香山 リカ (著)
かつてはアヤシイと思われていた守護霊、前世、魂の話題が、いまや軽く明るく普通に語られるようになったのはなぜか? 時代の空気を読むスペシャリストが、ブームの深層にひそむ日本...
スピリチュアルにハマる人、ハマらない人 (幻冬舎新書)
スピリチュアルにハマる人、ハマらない人
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商品説明
かつてはアヤシイと思われていた守護霊、前世、魂の話題が、いまや軽く明るく普通に語られるようになったのはなぜか? 時代の空気を読むスペシャリストが、ブームの深層にひそむ日本人のメンタリティの変化を解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
香山 リカ
- 略歴
- 〈香山リカ〉1960年札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。帝塚山学院大学人間文化学部教授。著書に「老後がこわい」「テレビの罠」「ぷちナショナリズム症候群」他。
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紙の本
「そのまんまのあなたでいいんだよ」と言われたい?
2007/01/30 22:15
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nory - この投稿者のレビュー一覧を見る
これを読んで、みんな自己肯定されたいんだな〜と大きくうなずいてしまった。悩んでいても、「そのままのあなたでいいんだよ」という言葉を求めているんだなと。
それを言うのは簡単だけど、先に進まないというか、何も変わらないというか。
そう言ってもらいたい気持ちはよくわかる。しかし、良薬口に苦しであえて破壊されてしまってもいいのではないか。そこから新しい何かが生まれてくるんじゃないかと。
本来、スピリチュアルな世界というのは、「自分の魂を磨き、まわりの人の幸せのために力を尽くす」というようなことではないかと思うのだが、今では「現世利益」のみ。お金儲けや恋愛成就のためのスピリチュアル。
そんな批判の中、意外と江原啓之氏の手法や主張を認めていたのにはちょっと驚いた。ハマらない派の著者もそこは評価するんだ。
ずいぶん忘れかけてきたオウムとの対比も興味深かった。少し前まで、「オウム前、オウム後」とまで言われていたのだが、あのエリート信者たちが自分探しの果てにたどり着いた場所からずいぶんカジュアルな世界になってしまった。日本は何事もきちんと清算することなく前に進んで行く社会だからなあ。
結局、著者はスピリチュアルがどうのこうのよりも、自分の頭で考えなくなった人たちのことを書いているのだと思う。苦しみを自分の力でひとつずつ乗り越えることより、『軽く、早く、マジカルに』問題を解決してもらいたいという気持ちが、ひとっ飛びにそこに飛びついてしまっているのだと。そして、結局最後は自己肯定で終わるのかな?
紙の本
現世利益を求めるのはアジア人の一般的傾向なのでは。
2007/01/07 16:07
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビで一躍有名になった江原啓之氏が教団を設立したらどうなるだろう、と考えることがある。オウム真理教と同じく盲信する信者、それも女性を中心とする信者で溢れかえるのだろうか。
昨夏、河口湖でのコンサートで江原啓之氏がステージに登場したとき、女性を中心に会場全体がどよめいたのを覚えている。
そして、接近する夕立雲に降られるのを覚悟していたのに雲は会場を避け、厚い雲に覆われていた富士山までもが晴れ渡り、幻想的な背景を醸し出していた。
そこにぱらぱらと落ちてきた小粒の雨。江原氏がいうには「浄化の雨」とのこと。
信じない人にはまさに偶然のものでしかなく、江原氏信奉者であるエハラーにとっては偶然ではなくこの世の穢れを落としてくれる必然の、それも私のためだけの特別な雨とでしか捉えないだろう。
江原氏はテレビにレギュラー出演しているが、さらに多くの本も書いている。
その本の内容の根幹は過去に出版されたものと重複するものであり、真新しいものは無い。にもかかわらず、さまざまな方向から語られる内容はその都度、社会の変化に対応したものであり、付録と称してお札までがついてくることがある。
テレビは無料であり、本にしても高額なものではない。会費を徴収されることもなければ、集会への参加を強要されるわけでもなく、さらには友人知人を勧誘しなければならないというものでもない。現代社会における複雑な人間関係のもつれを解説してくれる事柄はエハラー個々人の悩みであり、個々人への解決策である。
しかしながら、著者も本書の最後に書いているが、江原氏が本当に知って欲しいことや靖国問題について言及したことについて、なんら意見や関心をもたないエハラーが多い。エハラーは自己中心的な現世利益を求めるファンクラブと称されてもいたし方はない。
数年前、ドクターコパの風水や細木氏の六星占術が大いにもてはやされたが、移り気な世間の関心がいまだに続いているとは思えない。
いつしか、エハラーも熱から覚めて江原氏に興味を失っていくのだろうか、それとも江原氏の言葉に気付いてなんらかの新しい動きをするのだろうか。
江原氏が新しい境地を切り開くのか、はたまた氏の理想についていけないエハラーは離れていくのか。一歩、距離をおいて江原氏の周辺をみるのもいいかもしれない。
本書は本質の見えない、心理学者の表層分析書という感じであり、だからいったい何を言いたのだというのが正直な感想だったが、客観的に江原氏を見詰めるにはよい冷却材になると思える。