紙の本
本当にこの本が意図していたこと
2003/06/04 21:22
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀次 - この投稿者のレビュー一覧を見る
みなさん、『青い鳥』を幼い頃に絵本や紙芝居で見たことがありますよね。
幸せの青い鳥を求めてチルチルとミチルは旅に出るけれど、本当の幸せはすぐ近くにあった…そういうお話だと思っていませんか。
私も実際にこの本を読むまではそう思っていました。
でも違うんです。
この本の中には、メーテルリンクから幸せを追い求める人達への痛烈な皮肉がたくさん含まれています。
「君達の言う幸せって、何なんだい?」
そう言われているみたいです。
幸せがすぐ近くにある、なんてことは決して言われていません。むしろ幸せはどんなに頑張っても手が届かない、と言われているようです。我々が今の「幸せ」概念にとらわれている限り。
子どもの本だと侮らずに、ぜひこの本を読んでみてください。
作者からの本当のメッセージをあなた自身で見破ってください。
紙の本
兄妹が垣間見る人間の一生
2019/03/10 19:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『青い鳥』の原作は戯曲だった。児童書でしか読んだことがなかったので、新鮮な驚きを得た。チルチルとミチルが訪れる夜の御殿を描いたひらいたかこさんのカバー絵も素敵だ。
妖女と光の化身に導かれ、兄妹は人間の一生を垣間見る。そして懐かしい死者たちと対面する。短命だった幼い弟妹たちと再会する場面は、舞台で見たら涙を誘うだろう。大勢の子どもを得ながら、生き延びたのはチルチルとミチルの二人だけなのだ。
終盤は、チルチルの将来の伴侶を予感させる。見いだした青い鳥がすぐに飛び去ってしまうのは、幸福の儚さを思わせる。
紙の本
青い鳥はどこに
2001/02/18 23:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
青い鳥は聞いたことはあるけれど実際に読んだことのある人は少ないのではないか。実際に読んでみると童話だからといって馬鹿にできない。
チルチルとミチルの二人がいろいろな国へいってさまざまな体験をする。抽象的な登場人物が繰り広げるドラマ。息をもつかせぬ冒険。青い鳥が見つかるかどうかは見てのお楽しみ。
堀口大学訳もいい。
ちなみに、作者のモーリス・メーテルリンク(ベルギー、1862−1949)は児童文学で有名だがれっきとしたノーベル文学賞受賞者である。
紙の本
宿題を出された思いです
2003/01/29 06:09
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投稿者:あう - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸せの青い鳥を探すという有名なお話ですが、大人になってから初めて活字本として読みました。戯曲ということでシナリオのように書かれており、そのせいか本物の舞台劇を見ているような気分になりました。
妖女ベリリウンヌに、病気の娘のために青い鳥を探しに行くように言われたチルチルとミチルの兄妹は、光、イヌ、ネコ、パン、砂糖、火、水たちと一緒に不思議な国を幾つも通りながら旅をします。「思い出の国」では亡くなったおじいさん、おばあさん、兄弟たちと再会したりします。ここでの「死」についての書かれ方がとても好きです。他に、生まれる瞬間を待つ子供たちについても書かれていたり、子供向けなお話のようでいて、いろいろ考えさせられるかなり哲学的な部分を持っています。
幸せは遠くではなく、本当は近くに、普段の生活の中にこそあるものなんだということをこのお話は教えてくれているように思います。チルチルたちは青い鳥を探す旅を通して、うわべだけでない本当のことを見る目を持つことができたのでしょう。旅の後、何一つ変わっていない自分の家がいきいきと見えたのも、チルチルのキジバトの色が変化して見えたのも、本当に色が変わってしまったというよりも、チルチルたちの物を見る目、心の角度が変わったからではないかと思います。そういう目を持つことができるということこそが、本当に幸せなことなのかもしれません。
でも、残念なことに私がこの本から自分なりに読み取れたことはここまでです。実は、意外な結末とチルチルが私たちに残した言葉に、どう解釈すればいいのか困惑しています。それでも、やっぱり素敵なお話だと思わせてくれる本書は、それだけ魅力が詰まっている証なのでしょう。いつか自分なりの解釈にたどり着けることを願いつつ、自分への無期限の宿題にしたいと思います。
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この童話を子供向けのミュージカルにした時、鹿賀さんがパンの精、滝田さんがカシの大王の役で出演しました。
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中学の図書館で読んだ本の訳者の方のがどなただったかわからないのでとりあえずこれ。あの訳じゃなきゃやなんだ。
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とても早く読める本だけど、人が自然をすぐ壊しやすいことを批判してたり幸せは遠いところじゃなく身近なところにある、などをいいたいんだなあと思う。子供向けの本かもしれないけど、いいことが書いてる。
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小学校一年の時に近所の高校の演劇部の人たちが来て、体育館でこの作品の劇をやってくれたのが今だに印象に残ってて、ずっと原作を読みたかった。
表現がすごい綺麗。抽象的だけど、読みやすい。
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読んだことない人は「青い鳥」を幸せの象徴としてとらえているのではないでしょうか?原作は違います。ましてやファンタジーですらない。シビアです。正直言って、子供が理解できる内容じゃないと思います。大人が読むべき哲学書。
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名作古典。小さい頃に絵本で読んだ記憶しかなかったので、戯曲脚本のほうをちゃんと読むのは初めて。
こんなに深い話だったんだ・・・笑
とりあえず、やっぱり「身近な幸せには気づきにくい。失ったときにその重さを知る」は、古来からの定石なんだなあと思い知らされました。
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先日読んだ産婦人科医・池川先生の著書内で「青い鳥」のことが触れられていて、おぼろげにしか話を覚えていなかったので原作を手にしてみました。小説と思いきや劇の脚本です。
子どもの頃に見聞きしたお話は大人になった目線で再度読むと新たな気づきや発見がありますが、これもまさにそれ。大人が読んでも深いです。深い。
お気に入りは「幸福の花園」の章。心温まります。
幸せとは探しに行くものではなく、自分の周りにたくさんあると気づくこと。「健康である幸福」「青空の幸福」「美しいものを見る喜び」等々。
そして「未来の王国」の章。池川先生の本の後にこれを読むと驚きが止まりませんでした。ちょっと怖くなったほど。メーテルリンクは既に気がついていたのかな?
少しブラックな要素もあるので「チャーリーとチョコレート工場」のような感じでティム・バートンに映像化してもらって見てみたいです。
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有名な物語。
元は象徴劇作家メーテルリンクの戯曲。
子供向けのお芝居かと侮って読み始めたけど、暗いし怖い。
洒落た文体は、ヘタな小説なんかよりも面白い。
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(2008.12.19読了)
題名(「青い鳥」)、作者(メーテルリンク)、主人公(チルチルとミチル)、あらすじ(青い鳥を探しに旅に出たチルチルとミチルは、青い鳥を見つけることができずに自宅に戻ったら、青い鳥はそこにいた)みんな知っているのに、読んだことのない名作です。
「ペレアスとメリザンド」を読んだついでに読んでみることにしました。
1908年に発表された戯曲です。この作品のおかげで、1911年にノーベル賞を受賞しました?クリスマスの前夜のお話ということですので、この時期にピッタリでした。
最初のほうに、登場人物のリストが掲載してあります。そのリストの中にいろんな幸福が出てきます。このリストを見るだけでも、作者の意図が見えてきそうです。
・ふとりかえった幸福たち
お金持ちである幸福、地所持ちである幸福、虚栄に満ち足りた幸福、かわかないのに飲む幸福、ひもじくないのに食べる幸福、なにも知らない幸福、もののわからない幸福、なにもしない幸福、眠りすぎる幸福、ふとった大笑い、その他の幸福
・家のなかの幸福たち
健康である幸福、清い空気の幸福、両親を愛する幸福、青空の幸福、森の幸福、昼間の幸福、春の幸福、夕日の幸福、星の光出すのを見る幸福、雨の日の幸福、冬の火の幸福、無邪気な考えの幸福、露の中を素足で駆ける幸福、はしゃぎきった幸福
前半は、ちょっと怖そうです。「思い出の国」「夜の御殿」「森」「墓地」等の題名が並びます。後半は、「幸福の花園」「未来の王国」等、明るい題名が並びます。
クリスマスの前夜にチルチルとミチルが窓から向かいのお金持ちの子供の家のクリスマスイブの様子を見ていると妖女がやってきて、青い鳥を探してきてくれるように頼みます。
「私の小さな娘がひどく患っていて、その娘の為なんだよ。」(23頁)
妖女は、チルチルにダイヤの付いた青い帽子を渡します。ダイヤを回すと普段見えていないものが見えるようになるのだそうです。パンの精とか砂糖の精とか。
「思い出の国」では、亡くなったおばあさん、おじいさんに会います。「私たちのことを思い出してくれるだけで、お前たちに会うことができるのだよ。」(53頁)
幼くして亡くなったチルチルとミチルの弟や妹たちも出てきます。
次に行った「夜の御殿」には、「幽霊」「病気」「戦争」「陰・恐れ」「沈黙」「星」などがそれぞれの部屋にひっそりといます。
「森」では、チルチルは、「カシワ」の大王から「お前の父親は、わたしたちを随分ひどい目に合わせてきた。わしの身内だけでも、わしのせがれが6百、おじとおばが4百75、いとこたちが千2百、嫁が3百80、曽孫が1万2千も殺されてるんだぞ。」と言われます。チルチルの父親は樵なのです。
さらに「カシワ」は、木と動物たちに「人間どもがわしたちになした数々の悪事」に裁きを下そう、と言います。
チルチルとミチルは、木と動物たちに殺されそうになりますが、ナイフで戦い、犬に助けられて何とか逃れます。
「未来の王国」には、まだ生まれない子供たちがいました。(149頁)
子供たちのなかには、地上に行ったらやる予定の発明品を持っている子もいます。薬、飛行機、���物、等々。
そして、自宅に戻ります。自宅にいた青い鳥は、隣の娘さんが欲しがっていたのであげたら、病がすっかり治り元気になりました。
(2008年12月20日・記)
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青い鳥という言葉ばかりが知られて、意外と読んでいないことに気がついて手に取った作品。
私の心情としては、思い出の国が意外と真実を得ていたような気がする。
ただいつも遠くばかりを見つめている人には、足元を見るのに最適な作品なのでは。
でもきっと本当の青い鳥は、いつだって青く、
そして近くにいるのか遠くにいるのか、それは人それぞれなのではないかと思う。
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「本当の幸せとは?」
私が生きている意味は何だろう?
そんなことを考えさせられる本です。
あえて「セラピスト」の本棚に入れてみました