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犯罪不安社会 誰もが「不審者」? (光文社新書)
治安悪化なんて誰が言った? 効果ある犯罪対策を実施するには、正しい現状分析なくして、正しい解決はありえない。事実と相反する「神話」がなぜ「常識」と化したのか? 統計と思想...
犯罪不安社会 誰もが「不審者」? (光文社新書)
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商品説明
治安悪化なんて誰が言った? 効果ある犯罪対策を実施するには、正しい現状分析なくして、正しい解決はありえない。事実と相反する「神話」がなぜ「常識」と化したのか? 統計と思想の両面から迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
浜井 浩一
- 略歴
- 〈浜井浩一〉1960年愛知県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。龍谷大学法科大学院教授。臨床心理士。
〈芹沢一也〉1968年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。京都造形芸術大学非常勤講師。
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紙の本
犯罪による社会不安ではなく、犯罪過敏社会が治安悪化と誤認識?
2010/01/24 21:32
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
浜井は犯罪学が専門であるが、以前は法務省の職員であった。芹沢は社会学者で、丁度近年の犯罪傾向について二人の考え方が近かったので、共著という形で本書が出版された。章単位で分担を決めている。
大まかな本書における主張の展開は次のとおりである。1章で浜井が統計を使ってわが国の治安悪化について疑問を呈している。2章で芹沢が犯罪の中でも、凶悪犯罪について人々の口で語られる有り様を紹介する。とりわけ子供が犠牲になった犯罪や猟奇的な事件についての一般の人々に関する感情を類推する。
3章も芹沢で、安心、安全、街づくりが喧伝される、地域防犯活動についてのコメントである。最終章は再び浜井が自分の刑務所勤務の経験を書く。罰が重くなり、その結果刑務所に受刑者が溢れたが、その受刑者の実態を報告している。そして、被害者の心情に重点を置くことで厳罰化の傾向に流れているが、結果的には防犯力の向上や犯罪の抑止力にはなっていないと主張している。
さて、やはり共著は難しいという実例が示されているようだ。二人が同じ主張をしているように見えるのだが、やはり論証の仕方が異なるせいか、ピンとこない。浜井の方は統計を用いているので、論理的に見える。たしかに、犯罪の認知は届出がなされたものに限定されるし、届出を受理するようになれば、同時に検挙を厳しく行わない限り、検挙率も低下する。したがって、発生率が上がり、検挙率が下がったからと言って、治安が悪化したとは言えないというのは、一理ある。
しかし、それならば治安が変化していないとか、良くなったというのも同じ理由で正しいとは言えない。2、3章ももっともだと頷ける面はあるが、自己の主張にとって都合の良い裏付けをしているに過ぎないであろう。
私が最も興味深かったのは、浜井の刑務所勤務の紹介である。実際の刑務所での受刑者の過ごし方がよく理解できた。また、受刑者の大半が社会的弱者である高齢者などであることも分かった。刑務所は受刑者の更生、矯正がその大きな目的である。このような刑務所の実態を見ると、犯罪者の再犯率を下げる努力もかなり苦しいこともよく分かった。
ただし、本書の主張がよく分からなかった。タイトルのとおり、現在は犯罪が社会不安を作り出しているわけではないということなのか? しかし、そうではないという証明は為されていない。犯罪件数や凶悪犯罪、あるいは子供が被害を受ける犯罪が昔より増えてはいないことを主張しているだけである。
せっかく、ここまで言うのであれば、二人の社会学者には犯罪防止に関する提言をしてもらいたかった。
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