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失われた時を求めて 完訳版 9 第五篇 囚われの女 1 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)
語り手はアルベルチーヌをパリに伴って行き、二人の同棲生活が始まる。しかしアルベルチーヌを他の女から引き離してしまうと嫉妬は鎮められ、あとには倦怠しか残らない。アルベルチー...
失われた時を求めて 完訳版 9 第五篇 囚われの女 1 (集英社文庫 ヘリテージシリーズ)
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商品説明
語り手はアルベルチーヌをパリに伴って行き、二人の同棲生活が始まる。しかしアルベルチーヌを他の女から引き離してしまうと嫉妬は鎮められ、あとには倦怠しか残らない。アルベルチーヌは真実を語らず、語り手は彼女の行状に疑惑の目を注いで、ありとあらゆる可能性を想像してはひとり苦しむ。そんななかで、語り手はヴェルデュラン夫人のパーティに出かけようとして、ごろつきのような若者を従えてやってくるシャルリュス男爵に出会う。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
死後出版
2018/07/02 03:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の死後の出版となる巻。バルベックからパリに戻った主人公はアルベルチーヌとの同棲生活を始める。彼女の「悪い趣味」を疑い嫉妬に苦しめられほぼ室内だけの奇妙な生活。主人公はアルベルチーヌと別れヴェネツイアに行きたいと願う。印象的な場面にも事欠かない。嫉妬の残酷な一面も描いてはいるが、これはやはり恋愛の吐露でもある。「甘い生活」が、2にで迎えたパリの朝の、行商人たちの上げる客引きの声が次々に聞こえてくる場面も鮮やかで当時の情景が浮かぶよう。アルベルチーヌがねむる時、嫉妬がやんで一転して主人公が安らぎを感じる場面。その変奏として登場するシャルリュスとモレルのソドミーな関係。ベルゴットがフェルメールを見ながらこと切れる挿話。とても甘美な巻である。
紙の本
嘘がかかわる二人の関係
2011/01/26 20:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
第九巻は第五篇「囚われの女」。アルベルチーヌと語り手の関わりがクローズアップされる。これと次篇ではタイトルから思うにアルベルチーヌについての話が前面に出てくるだろうと思われる。
主人公は前篇のラストでの決意を受け、アルベルチーヌをパリに連れて帰り、彼女を自宅に住まわせることになる。囚われの女、という表題通り、この巻では語り手の愛と嫉妬の複雑な動きのために、まるで囚われたように自由を奪われたアルベルチーヌが描かれている。もう既に愛してはいないと語ったり、反面強い嫉妬を現したり、そうかといえばやはりアルベルチーヌへの愛を語ったりと、語り手の感情は強く揺れている。
「自分でも分かっていたが、私はこれっぱかりもアルベルチーヌを愛していたわけではない。恋愛とはおそらくある強い感動のあとで、なお魂をゆり動かす波紋のひろがりにすぎないのだろう」P41
アルベルチーヌもまた、息を吐くように嘘をついていたりしている。しかし、嘘のなかには語り手に簡単に見透かされるものもあれば、まったくばれずにいるものもあり、女を嫉妬によって所有しようとする愚かな男とそれを手玉に取る狡知を持つ女、というような簡単な図式にはなっていない。息を吐くように嘘をつくので、語り手が裏付けを持たないようなことがらについては何の問題もなく信じこんでしまい、後でその嘘に気づき愕然とするわけだ。
もうひとつ、シャルリュス男爵とモレルとの関係もそこそこ重要な話題として語られる。ここでも嘘、というこが大きくクローズアップされていて、モレルの以前の行動にかんして大きな嘘が介在していたことが明かされる。そして彼らの関係にも危機が訪れる。
嘘がかかわる二人の関係、ということで、語り手とアルベルチーヌ、シャルリュス男爵とモレルという二組が印象的だ。
全巻まとめ