このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
東北の南端に位置する「合併しない」過疎の町が、なぜ全国から注目され手本とされるのか? 寄贈を募った図書館、商店会のスタンプ券で納税、365日開庁など、矢祭町が行った斬新なアイデアの数々を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
岡村 青
- 略歴
- 〈岡村青〉1949年茨城県生まれ。ノンフィクション・ライター。著書に「血盟団事件」「森田必勝・楯の会事件への軌跡」「「毒殺」で読む日本史」など多数。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
何のための基礎的自治体か
2007/07/26 05:07
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「平成の大合併」は、”まやかし”であった。合併特例債などのアメをひけらかし、国がしゃにむに進めた”いかさま”であった。
波に飲まれるように国の言いなりになった自治体も、地域のためと信じて合併を選択した自治体も、これから様々な弊害が出てくることとなろう。
大盤振る舞いのツケとしての合併バブル到来、大都市に飲み込まれた地域は中心部と周辺部の格差拡大により衰退の一途、それにより引き起こされる行政サービスの低下。
さんざん尻押しをしてきた国は、その時は何も面倒を見てはくれない。そんなことは、これまでいくらでも前例がある。リゾート誘致と破綻、工業団地造成と産業誘致失敗・・・。国は経済界の意向のまま。経済界は一時的に地方からしぼれるだけ絞り取る。あとは知らんふり。誰も面倒を見てくれない。夕張市のように、梯子をはずされた地方自治体と住民はあわれに取り残される。
そんな大きな流れの中で、『合併しない宣言』により国に大きく反旗をひるがえし注目された矢祭町。本当の地域の自立とは何か。地方自治体と住民が一体となって何ができるか。まずは、貴重な成功例として学ぶ必要がある。
本の寄贈を広く一般から募った町立図書館は、何度もニュースに取り上げられている。本が集まりすぎて収容できる容量を軽くオーバーしてしまったとか。そのほかにも、商店会のスタンプ券で納税、365日開庁などといった小自治体であればこそ可能な住民サービスのアイデアに満ちている。
市町村と言う最小単位の地方自治体が何のためにあるのか、といったことまで考えが及ぶ。
ただ一つ。本書で初めて知ったことだが、矢祭町も、ある特定企業に雇用と税収を頼る部分が大きいらしい。特定企業の意向ひとつで地方自治体があたふたするようなことの無いよう、内発的発展を頭に置いた地域振興が求められる。