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紙の本
Wの悲劇 長編推理小説 新装版 (光文社文庫)
著者 夏樹 静子 (著)
新雪に包まれた山中湖畔。日本有数の製薬会社・和辻薬品会長の別荘で、突然、悲劇の幕は開いた!和辻家のだれからも愛されている女子大生の摩子が、大伯父に当たる当主の与兵衛を刺殺...
Wの悲劇 長編推理小説 新装版 (光文社文庫)
Wの悲劇
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商品説明
新雪に包まれた山中湖畔。日本有数の製薬会社・和辻薬品会長の別荘で、突然、悲劇の幕は開いた!和辻家のだれからも愛されている女子大生の摩子が、大伯父に当たる当主の与兵衛を刺殺したのだ。一族は外部からの犯行に見せかけるため、摩子の家庭教師・一条春生に協力を要請し、偽装工作を…。名作『Yの悲劇』に挑戦する、著者会心の本格長編推理傑作。【「BOOK」データベースの商品解説】
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電子書籍
なぜ
2021/04/06 00:28
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
女子大生に家庭教師がいるのか……等々ツッコミたいところはあるけど、確かに……この犯人ならば、かばうしかない立場なんだな、と思いました。犯人が、その人間の心理を読み、そして、相続権を考えれば……納得の結末
電子書籍
言わずと知れた
2022/01/17 15:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰もが題名位は聞いたことがあるであろう作品。映画やドラマ化もされ、まさに女性ミステリー作家の草分け的存在の夏樹静子作。大富豪の一家が身内の犯行を偽造するところから物語が始まります。ですが終盤は真犯人が判明したり新たな事件が発生したりと最後まで楽しめる名作です。
紙の本
これは先が読めないっ!!!でも…ちょっと、やりすぎ?!
2011/04/18 13:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハジメマシテの作家さん。火サスや土ワイで原作としては何度も楽しませていただいた経験があるのだが、本を読むのはほんとにハジメマシテだ。
お正月の別荘で起こった、製薬会社会長殺人事件。犯人は、一族の誰からも愛される摩子という女子大生。最愛の摩子を守るため、別荘に集う一族と、たまたま居合わせた家庭教師の一条春生とが一致団結し、偽装工作を行うのだが…。
これは先が読めないっ!!!
なんとひねった――工夫を凝らした――プロットなんだろう。
クインの『Yの悲劇』に感化されて、本書を著したそうだけれど、その『Yの悲劇』もこういう展開なのかしらん?と、翻訳書強化年間なだけに、興味がむくむくとわいてきた。
とはいえ、アラが見えないわけではない。途中で登場する警察のマスコミ発表について、そんな「疑い」の段階でいろいろ発表しちゃっていいの?とか、細かい部分には突っ込みどころも――はっきり言って、数えきれないほど――あるけれども、総体的に、すごい。
ただ、「悲劇」という言葉に拘った故か、著者はラストにもうひとつの山場を用意しているのだけれど、これは蛇足かな。ここは引き算をして悲劇感を際立たせるほうが、より悲劇的で可笑しさと哀しさが深まると思う。(本家の『Yの悲劇』を模倣して…など意図があるのかもしれないけれど。)
タイトルの「W」に込められた意味も深くて、興味深かった。ひとによっては、とりたてて言及するほどのことでもないかもしれないけれど。
細部に拘らず、全体的に愉しむべき作品だろう。
ちなみに菅野美穂主演でドラマ化されているらしい。そのドラマはコメディタッチらしく、ぜひとも見てみたいと思う。
紙の本
読みながら映像がアタマに浮かんでくるミステリ
2011/05/27 22:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もしかするとネタバレになる可能性のある表現が含まれてしまうかもしれないので、未読の方はご注意いただきたい。
冒頭で女子大生である摩子が「おじいさまを殺してしまった・・・」と告白。そこは一族が集まった別荘。和辻一族が集まる中でただ一人、摩子の家庭教師である春生だけがヨソ者である。さて、そこから一族の隠蔽工作が始まる。摩子が告白した殺人を外部の人間による犯行だと見せかけようとするのだ。その仲間には被害者の主治医も含まれていたから、今まで見たこともないようなトリックを使って、死亡時刻をごまかそうとする。
時間も手間もかけてじっくり練った完璧なはずの偽装工作だった。
本作は、「倒叙ミステリ」という分野を上手く利用したミステリであると思う。「倒叙ミステリ」というのは、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」などのように、冒頭部分で犯罪が行われる。読者は当然最初から犯人を知っているわけだ。それを探偵役がどうやって犯罪を暴いていくか、その過程を楽しむミステリ。この作品でも、冒頭で摩子が「私がおじいさまを殺した」と告白している。そして、それを隠すために用いたトリックを刑事が徐々に暴いていくのだけれど・・・。
ひねくれ者のミステリ読みである私は、冒頭部分から疑ってかかっていたので、ラストはあっけなく感じた。あぁ、やはり・・・といった感じ。疑いながら読むと、いろんな部分で引っかかってしまう。この辺り、もったいないと言うべきか。
摩子の殺人を隠すために和辻一族が用いたトリックは見事なものだ。これを惜しげもなく、こういう形で使うの~!と思うほど。
ミステリとして「Yの悲劇」には及ばないが、本作には別の魅力がある。女性を描いた作品として、とても面白い。つい昨年もドラマ化されたし、1984年には薬師丸ひろ子主演で映画化されている(映画のほうは劇中劇という形をとっているけれど)。読んでいても、映像化に向いている作品だと感じた。