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商品説明
「甘え」は日本人独特の心理である。「甘え」という概念について、その論理や病理など、多角的に論じる。変質しつつある日本社会の根底に横たわる危機を分析した書下し論考「「甘え」今昔」を加えた増補普及版。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
土居 健郎
- 略歴
- 〈土居健郎〉1920年東京生まれ。東京大学医学部卒業。国際基督教大学教授、国立精神衛生研究所所長などを経て、聖路加国際病院顧問。医学博士。著書に「〈甘え〉雑稿」など。
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書店員レビュー
「甘え」という言葉を通して日本人の精神構造、社会構造を分析した本です。
ジュンク堂書店ロフト名古屋店さん
「甘え」という言葉を通して日本人の精神構造、社会構造を分析した本です。
著者は日本人のものの考え方、捉え方を理解する鍵はこの「甘え」概念にあると述べています。
「甘え」の本質は、その対象との一体感、同一化にあるとのことで、この本では、具体的に「甘え」に含まれる日本語を例に出して説明していきます。
例えば、日本人の特徴として、異国の文化、技術を巧く取り入れ、それを新たなモノに進化させる能力に長けていることが挙げられますが、これも「甘え」の成せるワザでもあるようで。
なるほど~と思わせる箇所多数。
K-POPを聴いて、韓国文化にハマるのもいいですが、日本人、日本文化について知るのもいいもんですよ!
人文担当 松田
紙の本
日本の精神文化をわかりやすく分析した良書!
2016/06/09 08:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「甘え」というものが日本人がもつ独特の文化であることを解説するとともに、そこにある日本人の精神的構造を多様な例を挙げながら分析した良書です。フロイトの精神分析、サピアの言語文化論などの理論を援用し、「甘え」という精神を徹底的に検証していきます。日本人である私たちの精神文化を再考するためにもぜひ、一度、読んでみたい一冊です。
紙の本
日本人とは・・
2020/05/18 07:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:だい - この投稿者のレビュー一覧を見る
甘えの着想
甘えるという言葉は日本語独特のもの
日本人心理の特性はこの事実と深い関係がある
甘えの世界
甘えは日本の社会構造を理解するための鍵概念ともなり、甘えは、人間交流を円滑にするための欠くことのできないものと言える
人情は依存性を歓迎し、義理は人々を依存的な関係に縛るもの
日本人は、一般的に自分のこととしては遠慮を嫌うが、他人には遠慮を求める傾向がある
これは結局、甘えの心理が社会生活の根本ルールになっているからと思われる
日本人は内外の区別ははっきりしているが、公私の区別ははっきりしないため、公私混同が起き、公共物が私有化される
恥を意識するのは、罪の場合と同じく自分が属する集団との関係においてである
甘えの論理
言語は、それによって人間が感情を表現する手段となるばかりでなく、言語形態の中に人間の心理が刻みこまれている
甘えのアマは天のアマと同じではないか?
つまり、天照大神は母性的人間的な神であり、甘えの語源とも考えられる
甘えの心理は、母子一体感を育成することに働き、人間本来の分離の事実を否定するもの
甘えの心性が幼児的であり、多くの文化的価値の原動力として働いてきた
西洋的自由の観念は個人の集団に対する優位性の根拠ともなるが、日本的自由は甘えに依存するが故、集団からの真の独立はあり得ない
気というのは瞬間瞬間における精神の動きを指し、甘えを気の動きとしてとらえるならば、ある程度まで客観視でき、主体の立場を確保し、それと共に他者との距離を維持できる
甘えの病理
甘えたくても甘えられない心境にある時、その不安を自己の中に包み込むことができず「とらわれ」の状態を引き起こす
対人恐怖は一種の恥の感覚である
恥じらいの気持ちが日本的伝統社会では理解されてきたが、西洋の影響を受け、社会全般に心のゆとりが少なくなってきたためではなかろうか
気がすまない心理は、ある種の病的状態の時に現れる
日本人は本来甘えたいが実際には甘えられないので甘えを否定し、気がすまないという窮屈な心境に低迷する
甘えの挫折、葛藤は種々の精神的障害を引き起こす
甘えが恋愛・友情、師弟愛という形で満足されたとしても安心できない
悔しさの感情は快いものではなく、病的状態に直結するにもかかわらず日本人がこの感情を大事にするのは、この元になる甘えに対して肯定的な態度を持しているためと思われる
人間は人生の途中で決定的な挫折を受けたと感じた時、観念的には理解するが本当に容認することはできないので被害妄想を発し、自らの殻に閉じこもる
甘えと現代社会
現代文明の担い手は自分を置き去りにする
この置き去りという感覚が甘えの心理を前提にしている
新しい世代は自分達が生きていける価値観が欲しいのだが、それが古い世代によって提供されていないことに苛立っている
これは一種の甘えであると言える
洋の東西なく皆一様に子供のごとく甘えているのは、人類的な退行現象なのか、将来の新しい文化創造の必要ステップなのか
これは一つの時代が終わって、新しい時代が始まるしるしであるかもしれない