紙の本
作家の誕生 (朝日新書)
著者 猪瀬 直樹 (著)
鬼才・猪瀬直樹がベストセラー誕生の秘話に斬り込む。作家を神聖視するいままでの文学史解釈を超えた、生身の作家たちの姿がここに! 文章で身を立てる作家という職業の成立史を示す...
作家の誕生 (朝日新書)
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商品説明
鬼才・猪瀬直樹がベストセラー誕生の秘話に斬り込む。作家を神聖視するいままでの文学史解釈を超えた、生身の作家たちの姿がここに! 文章で身を立てる作家という職業の成立史を示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
猪瀬 直樹
- 略歴
- 〈猪瀬直樹〉1946年長野県生まれ。作家。87年「ミカドの肖像」で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。東京大学客員教授、東京工業大学特任教授。
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昔は、小説を書くことがお金儲けの手段だったんだそうです。ま、今でもメガヒットを出せば億万長者ではありますが、でもそれを目指すために小説家くって言うのは少ないんじゃないでしょうか。志低し、昔の文豪・・・
2007/09/25 20:25
6人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
活動の領域を広げている猪瀬ですが、私が最初に読んだのは第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『ミカドの肖像』で、その後、その続巻を読んで一休み、そして2000年以降『ピカレスク 太宰治伝』、『ペルソナ 三島由紀夫伝』、『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』と作家シリーズを読んで、つい昨年、彼の本領というか『道路の決着』を手にして以来のこととなります。
新書の出版ラッシュですが、朝日新聞もご多分にもれず参戦。とはいえ、らしさはなくて多くの新書の中に埋没感があるのは否めません。とりあえず、私がこの本を選んだのはデザインではなく、猪瀬の名前あってのこと。そんなカバーデザインはアンスガー・フォルマー 田嶋佳子だそうです。
内容はカバー折り返しの文で十分でしょう。
「売らなければ作家でないのか。
売れたら作家なのか。
太宰治は芥川龍之介の写真をカッコイイと思った。
文章だけでなく見た目も真似た。
投稿少年だった川端康成、大宅壮一。
文豪夏目漱石の機転、菊池寛の才覚。
自己演出の極限を目指した三島由紀夫、
その壮絶な死の真実とは・・・・・・。」
読んで意外なのは、作家っていうのはお金になる、っていうこと。特にそれは第4章「一発屋の登場と『文藝春秋』の創刊の賀川豊彦の項に詳しいのですが、賞金のために芥川賞を欲しがった太宰を扱う第6章「イメージリーダーの交代」にもいえます。それに読み終えたばかりの山田風太郎『我が推理小説零年』の終戦直後の豪勢な食事風景を見ても、似た印象をもちます。
この本には、私が先にあげた『ピカレスク』、『ペルソナ』、『こころの王国』を書いたときの知見がそのまま生かされているのでしょうが、個人的に興味を持ったのは川端康成の投稿ぶりと横光利一の登場、あらためて人間性を嫌いになった太宰治と、デビュー作が自費出版なんて思ってもいなかった三島の章でしょうか。
それから、感心したのは46頁に写真が載っている明子(平塚らいてう)の美しさですね。これなら周囲が放っておかないだろうな、って思います。こういう写真、高校あたりの教科書に載っていたんでしょうか。出ていたら彼女の名前くらいは絶対に覚えていただろうな、って思うんですが。
内容的にはスラスラ読むことができるもの。以下は目次と、各章の簡単な内容紹介です。
まえがき
第1章 投稿という新しいネットワーク:田山花袋を中心に
第2章 スキャンダルとメディア:川端康成と平塚らいてう
コラム 投稿少年とブロガー:二人の投稿少年 川端と大宅
第3章 サラリーマンとフリーランサー:夏目漱石、菊池寛、芥川龍之介など
コラム 『こころ』が持つもどかしさ:『こころ』は本当に名作か
第4章 一発屋の登場と『文藝春秋』の創刊:自分の才能を過信した島田清次郎、地道に歩んだ賀川豊彦、そして菊池寛
コラム 自由主義の人・菊池寛:菊池寛の戦前戦後
第5章 文学青年二万人と市場の拡大:横光利一の衝撃
コラム 大宅壮一とは何者か:ライフワーク半ばに倒れた大宅
第6章 イメージリーダーの交代:金のために芥川賞を狙う太宰の卑小
第7章 事件を起こす、素材を集める:心中も単なる取材のための手段
第8章 センセーショナルな死:心中を繰り返す作家の最後
第9章 自己演出の極限を目指す:自費出版でデビューした三島由紀夫
あとがき
参考文献
本文写真・資料提供=日本近代文学館、朝日新聞社
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中々面白かった
2019/02/05 13:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
全体的に面白かった。平塚らいてうについて、夏目漱石と森田草平が買いかぶっていたというのは、面白かった。