- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.7
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/376p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-208839-0
紙の本
マジック・フォー・ビギナーズ (プラチナ・ファンタジイ)
【ネビュラ賞】【英国SF協会賞】【ローカス賞短編集部門(2006年度)】ある夜、少年がかけた1本の電話は、世界の壁を越えて物語の世界へと繫がった…。ファンタジイ、ゴースト...
マジック・フォー・ビギナーズ (プラチナ・ファンタジイ)
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商品説明
【ネビュラ賞】【英国SF協会賞】【ローカス賞短編集部門(2006年度)】ある夜、少年がかけた1本の電話は、世界の壁を越えて物語の世界へと繫がった…。ファンタジイ、ゴースト・ストーリー、青春小説、おとぎ話、主流文学など、センス溢れる9篇を収録した異色短篇のショウケース。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
妖精のハンドバッグ | 7-37 | |
---|---|---|
ザ・ホルトラク | 39-80 | |
大砲 | 81-91 |
著者紹介
ケリー・リンク
- 略歴
- 〈ケリー・リンク〉1969年生まれ。ノースキャロライナ大学で修士号を取得。「マジック・フォー・ビギナーズ」でネビュラ賞、英国SF協会賞などを受賞。他の著書に「スペシャリストの帽子」など。
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紙の本
ファンタジーからエンタメを通り世界文学まで幅広く
2008/04/21 17:02
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
去年の秋(というか、晩夏)に、横浜で第65回SF大会が開かれました。
それにあわせて来日したのが、ケリー・リンクとデヴィッド・ブリンの両名。
そして、それにあわせて出版されたのが、
ケリー・リンクは本書、「マジック・フォー・ビギナーズ」であり
D・ブリンのほうは、「キルン・ピープル」です。
D・ブリンのほうは、「知性化戦争」などで既知でしたが
ケリー・リンクは、全く知らない状態で、本書を読んでみました。
本書は、K・リンクの短編集でして、色んな作品が収録されています。
(ほんとうに、幅広い色んな作品)
全部纏めてしまうとやっぱりファンタジーということになるのだろうけれど、
短編が純文学の雑誌「新潮」に掲載されたことがあったりと
(新潮って翻訳の世界文学も載せるの!?)
文学といってもいい作品もあります。
夏目房之介さんなんか、時々表現するのに、
半径50センチのリアリティという言葉があるのですが、K・リンクの場合まさにそうで、
本当に私たちの日常の身の回りのものや、出来事にほんの少し、
(少し出ない場合もありますが)ファンタジックな要素、
ちょっとした創作的(正に)マジックをかけて不思議な世界を紡ぎだして読者に提示しています。
そして、描かれているテーマも本当に身近なものばかりで
そうか、とか共感して読んでいるうちに、気がついたら、
ぽーんと異世界やリンクが描きうる世界に飛ばされている感じです。
笑ってしまったというか、著者としては、文章表現のちょっとした
“くすぐり"程度でしょうが、地の文での
「まだ、読んでいますか?」には、笑ってしまいました。
「読んでいますよ!!。」
個人的に良かったのは、
ベタで一番わかりやすい、「妖精のハンドバック」
これは、エンタメ路線でほんとわかりやすいです。
で、Q&A形式で書かれ、なんとなくよく判らない、
「大砲」
これも、元々他の作家がQ&A形式で書いたのに対するリンクなりの答えだそうですね、、。
文章表現、テキストとしてのQ&Aってだれが開発した手法なのかしりませんが、
恩田さんも最近やっていますよね、
(自粛してあんまり詳しく、つっこみませんが)
後、表題の「マジック・フォー・ビギナーズ」
まぁ、定番でしょうが。
ちょっとよく判らない作品もありますが、
その判らなさがぼやーとした世界観をかもし出し
良かったりもします。
紙の本
海外で高い評価を受けた作品が、ときとして日本の読者を戸惑わせる好例
2007/09/07 22:30
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、SFやファンタジーといったジャンルの境界線上で、独特の世界観を提示してくれる作品だ。ヒューゴー賞などの著名な賞を受賞しているのだから、専門家の折り紙付きである。
しかし、翻訳ものにありがちな「この本のどこがそんなにすごいのだろう」という不安を抱えながら読み進めることになる。
どうも、英文で書かれた文章のリズムと、日本語の文章のリズムの整合性がよくない。読書をしているというより、解読作業をしているような負担感を覚えてしまう。
SFとファンタジーが美しく融合した世界を提示してくれる有名な作家と言えば、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアということになるが、この作家の一連の本を読み慣れている人には、楽しい作業になるに違いない。
しかし、読み慣れていない人には、本書の著者の描く世界を、頭の中でなぞってみるだけで、あっぷあっぷであろう。
本書は本来、作家がもてる想像力のすべてを費やして遊んでみせている作品のはずだ。そこで読者も一緒に遊んでみる・・・。だが、残念なことに、それが叶わなかった。
それは、訳が硬いというよりは、もともと日本語に適した文章のリズムで書かれていないせいだろう。英文で読めば、きっと違った印象を持つに違いない。SFやファンタジーのファンだけでなく、幅広い読者を楽しませるためにいろいろな試みをしている作品である。それは、英文では成功しているのだろ。日本語の読書では、もっと肩の力を抜いて楽しみたいので、私にはテイストが合わなかった。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアが好きかどうか、それが最初のリトマス試験紙となるだろう。