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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2007.6
  • 出版社: 幻冬舎
  • サイズ:20cm/410p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-344-01343-8

紙の本

反転 闇社会の守護神と呼ばれて

著者 田中 森一 (著)

アングラ社会に通じ、海千山千の犯罪者から「落とし屋」鬼検事として恐れられた、伝説の特捜エースは、なぜ「裏」世界の弁護人に転向したか。アウトローにしか生きられなかった男の自...

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反転 闇社会の守護神と呼ばれて

税込 1,870 17pt

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商品説明

アングラ社会に通じ、海千山千の犯罪者から「落とし屋」鬼検事として恐れられた、伝説の特捜エースは、なぜ「裏」世界の弁護人に転向したか。アウトローにしか生きられなかった男の自叙伝。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

田中 森一

略歴
〈田中森一〉1943年長崎県生まれ。岡山大学法文学部在学中に司法試験に合格。東京地検特捜部検事として活躍の後、弁護士に転身。2000年に逮捕、起訴され上告中。

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評価内訳

紙の本

「歴史書」と言うほかない

2007/08/27 00:07

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:狸汁 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本を置くことができず、明け方までに一気に読み通させられるおそろしい本だ。アウトローと政治家の癒着、検察・警察の闇、「闇社会」を流通するめまいがするような巨額のカネ、そうした事実に圧倒されるだけではない。本書は、バブル、ひいては日本の「戦後」に落とし前をつけた驚愕すべき「歴史書」であり「民族誌」となっているからだろう。本書はもっとも近い歴史のもっともなまなましい記録であるのだ。

本書の概要を紹介しておこう。著者は、元大阪地検と東京地検の特捜部のエースとして、ロッキード事件以来の政治家逮捕にいたった「撚糸工連事件」や、現職警官を摘発した「大阪ゲーム機汚職」などを手掛け、平和相互銀行事件などで政治家の圧力に屈する検察にいやけが差し、弁護士となった後は一転して山口組や許永中らバブル紳士のみならず清和会など政治家の代理人となり暗躍した。そしてかつての検察の上司に狙いうちされ、石橋産業詐欺事件で実刑判決を受けた後、自分がかかわってきた「闇社会」の克明な事実を、まさに「洗いざらい」告白したものだ。

 著者は自決するつもりではないか、と思うほど事実は生々しい。裏社会からわいろをうけとる政治家、政治の圧力で事件を潰す検察幹部、自分の絵図通りに事件を捏造していく検察・警察、そしてバブル時代の想像を絶するようなカネと欲望のありさま。それがすべて実名で明かされている。

 思わず唸るような事実は読んでいただいたほうがいいが、印象的で象徴的に思えたのは、大阪の焼き鳥チェーン「五えんや」の中岡信栄のエピソードだろう。小学校もでていない中岡は松下の社員食堂に勤めたころ松下幸之助に気に入られ、1本5円の焼き鳥屋からはじめ、金融で成り上がった。字も読めない自分がエリートや有名人とつきあえるうれしさから、あいさつをすれば100万円をわたし、お祝いには1000万円をわたし、彼に政治家、大蔵官僚、芸能人、有象無象が群がった。

 著者も中岡にどこか思い入れをもって書いている。それは自らもそうであった「成り上がり」への共感でもあり、同時に深い自嘲でもある。しかし、成り上がりとは「ハングリー」から生まれたものであって、その時代精神を描写しきった…が、本書をすぐれた歴史書にしたのだと思う。

 著者は長崎・平戸の貧漁村で漁師の長男として生まれた。まさに赤貧洗うがごとしの暮らしが記されている。苦学、というよりサバイバルのような苦労の末、検事となる。弁護士として巨額の収入を得るようになって、7億円のヘリコプターを購入する。しかし、乗ったのは故郷の平戸に凱旋するための1回だけだった。これが絶頂であった。

 戦後とは、貧困という厳然たる現実から人々がはい上がる時代だった。そんなことは当たり前だと言われるかもしれないが、若い世代は実はよくわかっていないだろう。それが「歴史」になったとき、つまり「現代」をつくった理由がはっきりとするから、ぼくたちも骨身にしみることができる。

 著者はこう総括している。「日本人は、高度成長による経済発見の結果、金銭や物に対する欲望を全面的に肯定する社会になったように思えてならない」、そして「堀江貴文や村上世彰のようにバブル紳士以上に金儲けに貪欲である、実際に信じられないような大金を手にしている。しかし、その裏側で年収100万円にも満たず、公立の小中学校に通うこともできない子どもが増えている」「異常事態である。しかし異常な状況だという危機感すらない。そんな社会になってしまっている」。

 おそらく、多くの人々が語ってきた陳腐にも聞こえる結論かもしれない。しかし、本書でバブルという究極の欲望に溺れ死に、それをすべて記した著者が言うとき、重みはまた違ったものになるだろう。

 バブルの本当の落とし前は、本書でかなりの部分がついたような気がする。バブルとそのしっぽの何年かで終わりを告げた戦後が、「遠景」となり「歴史」となった音が聞こえたようだ。

 「歴史」となったというのはどういうことか。戦後の欲望を振り返り、総括していない現代の日本とは何かという問いがそこから現れてくる。著者が指摘する通り、「ワーキングプア」の問題をはじめとして、時代の欲望の裏側にひろがる「新しい貧困」とは何かが突きつけられるのだろう。

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紙の本

カレイドスコープ

2007/12/02 20:11

13人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 極貧の農家に生まれ、苦学の末岡山大学法学部に進み、在学中司法試験に合格し、検事になる。特捜にまで昇りつめ、やがて転落する。一言で言うとこうなるが、人生のカレイドスコープを感じる。郷愁と暴力、出世と転落そして反転。まさに人生の万華鏡。
 著者は要するに、只者ではない。あったことはもちろんないが、検事で、しかも他書評にあるとおり、暴力団とも渡り合い、政治家にも先生先生と呼ばれる。タダならぬ人間的迫力を備えた人物であることは容易に想像できる。
 そして、在学中に司法試験に受かったということは、並はずれた天才である。司法試験とは、言わずと知れるが、国内で1番難しい試験である。倍率では他にもたとえば司法書士などは2%程度である。しかし、それでも司法試験が一番難しいというのは、攻略法がないところにも現れる。受験の神様和田秀樹さえも、お手上げと断言している。それほどまでに圧倒的ボリュームと条文だけを頼りに応用を効かせた法解釈の技法というのは、極めるのに一日8時間の勉強を10年続ける必要がある。それを著者はほんの数年で成し遂げたのであるから、やはり天才である。
 内容を読んでみると、若いころから自身が裁かれる場面に向けて、光と影を対比的に構成している。学生時代極貧の兄弟からなけなしの1000円の仕送りの郷愁的エピソードから、7億のヘリを節税のために買い、1000万円バッグを無くしもきづかないほどの超リッチ弁護士生活との対比はリアリティを生み出す。文章もさすが検事だけあって、簡潔で分かりやすい。もっとも、これは幻冬舎が出版社である以上、社長の肝入りであろう。
 内容はほんとに強烈である。安倍晋三の父である晋太郎や竹下総理がやくざまがいから金を受け取る場面、自身がお世話になり尊敬までしているというヤクザの組長(宅見組長)との関係・・それはそれは強烈である。それゆえに、それゆえにこそ代え難い迫力が漂っているのであろう。
 検事になった後の検事の内情もリアルである。しかし、若干記述から誤解を生むようではある。いわゆる赤レンガ派とは法務省勤務経験の長い者たちであり、出世するというが、この人たちは国家一種ではなく、司法試験に受かった人たちのはずである。そののち、検事の現場ではなく、局付検事として法務省に長く勤務するわけである。こういう人たちが、検察庁に帰って行って、検事総長になるわけである。これは、法務省国家1種で採用され、ある局に勤務する友人から聞いた話であるが、1種組は出世はあきらめろと上司から言われたことからも明らかであろう。
 ちなみに、法務省と検察庁は組織法上は明確に法務省が上だが、現実には検察庁が上である。事実、事務次官はNO4という認識が常識である。ちょうど、米国大使が1位という外務省を考えるとわかりやすいだろうか。
 著者は、赤レンガではく、現場で捜査取調べを続けてきた現場組である。本の中にも自身の現実の取調べ現場の壮絶なやり取りが描かれている。中には、警察がヤクザに拷問を加えている様まで暴露されている。特に、大阪がひどいんだそうだ。
 これに眉をひそめ、朝まで生テレビで検察が糾弾されていたが、日本の法制の中で、まともに取調べなんかしていたら、不起訴・無罪の嵐である。盗聴も超限定的、伝聞法則も厳格で、司法取引もダメ。これでどうやって有罪にしろというのだろう。当然、検事は工夫することになる。そうでなければ法治国家は維持できない。
 壮絶な取調べ現場を渡り歩いて特捜にまで上りつめた著者は、その後弁護士へと転身する。ここからが本番である。バブルの華々しき時代、しかも辞め検弁護士である著者は刑事専門であるにもかかわらず、莫大な金を稼ぐ。その過程でやくざ、政治家など、そしてキョエイチュウとのエピソードなどが描かれるわけである。
 バブル時代の凄まじさを実感するとともに(株で20億稼いで20憶すったとか、ある人は会うたびに3000万事務所に持ってきただとか)、人生の深さを感じる。これほどの人生、常人には到底歩けまい。
 しかし、やがて古巣である特捜に牙をむかれる。確かに著者の行動は検察からしたら厄介だし目障りだったことだろう。この顛末は本書で読んでほしい。顛末に向かうまでの人生模様は、本を注文して家に届けるに値する内容であると保証したい。
 
 

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紙の本

日本のジャーナリストは一体何をやっているんだ!おめーらが記者クラブに閉じこもってスパスパタバ吹かしている間に、「闇社会の守護神」と恐れられた田中弁護士が、こんな素晴らしい「バブルの歴史書」をかいてしまったではないか!

2007/11/05 22:20

9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る

バブルはなぜ起きたのか。バブルで日本人はどういうように狂い、それはどうして崩壊し、その後始末に日本人はんぜ失敗して、天才政治家小泉純一郎と天才経済学者竹中平蔵が不良債権処理を断行するまで、どうして日本人は10年超も時間をロスしたのか、これを一巻で纏め上げたジャーナリストはいまだに日本に登場していない。田中角栄の蓄財の闇を暴いたのは外様の若手ジャーナリスト・立花隆だった。日本の官僚が築き上げた特殊法人の闇を白日の下に晒したのは同じく外様のジャーナリスト・猪瀬直樹だった。どうしてバブルの全貌を解き明かすジャーナリストが出てこないのだ(関岡英之のような、低劣なアメリカ陰謀論を垂れ流す輩しか、日本にはいないのか!)。と、思っていたら、何と、元東京地検と食特捜部のエースにして鬼検事にして、その後ヤメ検弁護士としてバブルにどっぷりつかり、バブル生成の一方の主役、山口組若頭宅見勝、イトマン事件の主役許永中・伊藤寿永光、自民党の大物竹下登・安倍晋太郎、はたまた関西の焼鳥チェーン五円やのオーナーらから「先生、先生」と崇め奉られた「闇社会の守護神」田中森一氏が、こんなヴィヴィッドな「バブル日本史」をものしてしまった。普通この手の本は全部仮名を使う。政治家T、事業家Kなど、アルファベットのオンパレードで、分かる人には分かるんだろうが、一般人には誰が誰だかわからんような本ばっかりだ。ところが本書は全部実名で出てくる。山口組若頭も詐欺師も自民党大物政治家も全部実名で出てくる(もっとも政治家については、全部故人か塀の中に落ちた山口敏夫くらいなのでだが)。この迫力たるや、すごい。長崎県の離島の極貧の家庭に生まれ、普通科の高校に進学できず定時制の夜間高校に進まざるを得なかった著者。それでも苦学して岡山大学法学部に進学すると座らずに立って本を読むなどして睡眠時間を削る猛勉強をして在学中に司法試験を突破し、検事になる著者。しかし本書を読むと、検事にも厳然とした階級があって、最上部は東大法学部から国家公務員上級職試験を突破して法務省経由検察庁に就職したキャリア組や閨閥をバックにしたエリート組と、そうでない司法試験突破の末検察庁に就職した現場組の二つに別れ、現場組が検察庁内でトップに登りつめることは容易でないことが分かる。それでも現場組でも、その威光は相当なもので、地方(と、いっても広島や博多といった政令指定都市の大都会)に赴任すると、たかだか30代のペーペー検事でも、駅長室に特別歓迎会場が設営され、駅長、市長、警察署長、消防所長、税務署長以下が駅長室に赴任歓迎の出迎え挨拶に馳せ参じ、挨拶にこないのは県知事と地方裁判所長くらいなんだそうな。もちろん検事の仕事は激務で、家に帰らないことはしばしばという残業に継ぐ残業。それでも自分があげた犯人が逮捕されるとそれが新聞紙面を飾り埋め尽くすという達成感。これで家庭崩壊もかえりみず検事は働き続けるのだという。あと、ヤメ検。東京地検特捜部のエースが検事をやめて弁護士になると、事務所開きのパーティーにヤクザ、地上げ屋、詐欺師が数百万円、一千万円を紙袋にご祝儀としてつめて持参し、瞬く間に顧問契約が結ばれて数億円の顧問料が転がり込み、節税の為に自家用ヘリコプターを購入してしまう話はすごくリアルだ。家庭は崩壊するも、クラブに行けばホステスに持てまくり、「ヘリコプターに乗せて、乗せて。その前に私に乗っていいからさ」と迫られる始末。あっという間にクラブでの飲み代で数百万円数千万円が消えて行って、一体何時どこでいくら使ったが分からなくなり、検事時代、取り調べたヤクザが「数百万円、どこで使ったか覚えていないんです」と答えたことは、あながちウソじゃなかったんだなと思い直す下りもすごくリアル。しかし、ここまで書いて、本当に田中さん、大丈夫なんだろうか。ヒットマンに殺されたりしないだろうか。いや、よくよく読んでみると、書いてあることは死んだ人のことばかいで、今、現に生きているヤクザや政治家のことは何にも書いてないな、さすが元検事と思い直してみたり。まあ、とにかく売れていることだけのことはある、すごい本であることは間違いありません。

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この“闇”は心底辛くて暗い

2008/02/05 18:04

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る

正直 何とも悲しい気持にさせてくれるものだ。
私と同世代であるだけに、尚更に暗澹たる気持になる。
1943年、長崎平戸に生まれ、戦後の赤貧の中から這い上がった人生。
地方大学を苦学の上卒業、国家権力の象徴検察庁・特捜部に任官。
佐賀県知事汚職・阪大ワープロ汚職・文部省ノンキャリア汚職・撚糸工連事件・平和相銀不正融資・三菱重工CB事件・福岡苅田町長汚職事件などに活躍、“正義の味方”として“鬼検事”の勇名をはせた辣腕検事。
1987年、検察上層部の事件“揉み潰し”への嫌気と金銭的魅力から検事退官、弁護士となる。
一転して山口組若頭宅見勝、イトマン元常務伊藤寿永光、コスモポリタン池田保次、地上げ帝王末野謙一、“光進”の小谷光浩、詐欺漢代議士の山口敏夫などバブル時代に暗躍した“紳士”達に密着、“闇社会の守護神”としての人脈を広げ巨富を稼ぐ。
年貢の納め時か“国策捜査”か、許永中との接近も徒となって2000年、石橋産業手形詐欺事件逮捕、2006年実刑判決上告中の身である。
元特捜検事・弁護士の田中森一氏の半生記というか、不当逮捕への弁明書、“虎の尾を踏んだ”政財界に向けての暴露本である。
60年安保闘争の学生時代の逸話が語られる。昼は学校側の用心棒として学生達に殴り込みを掛け、夜は女子学生目当てのデモに参加。
当時のうぶな一般学生の生態、よーく解る。
田中先生はそうした姿勢を終生通されたようだ(60年安保世代の限界?)
私の貧困な経験から言っても、当時の官学貧乏学生の屈折した意識は相当なものだった。
不思議な事にエリートと言われる東大・京大出身者にして、より一層屈折していた。
“今に見ろ、きっと這い上がってやる”と言う社会的嫉妬心はエリ-ト意識の屈折した半面だったのだ。
戦後赤貧の中で鍛えられているから有能なのだ、実行力もある。
生の権力欲・金銭欲、屈折した上昇志向がやむにやまれぬ“イケイケドンドン”で成長期日本の波を駆け上がる。
検事時代の田中先生、“上”に上がろうと頑張った訳ではない。
彼にとって既成の権力構造なんて“キサマ、何様やと思うとるんや”と殴りかかる存在でしかない。
しかし“正義”のために頑張った訳でも無かろう。
権力から容認されて国家権力の暴力機構を蹂躙出来た“驕りの満足”だったかも知れない、兎にも角にも有能な“兵士”だったのだ。
国家は権力である、権力や金銭は“悪”であると見据えた上で、“場”を得る事で大活躍されたのだ。
“病弱の母親を看たい”という契機で弁護士に転じ、金銭渦巻く世界に身を投じる事になる。
年俸何億と言う収入を不動にし、故郷に豪邸を建てたが母親と同居したという話はない。
節税のため日本有数のヘリコプターを購入したが仕事で乗り回していた訳でもない。
マンション1棟分の金銭を賭けた賭けゴルフ、高級クラブ・ホステスへの蕩尽、名刺代わりにン十万から1000万もの金がやり取りされる政財界。ヤクザ・政治家・バブル紳士との交際。
億単位の金が乱れ飛び、万円が百円にも値しない金銭感覚、勿論そうでなければ生きていけない世界だったのだろう。
司法試験受験時代食わせてくれた糟糠の妻は去り、息子達にも背を向けられる。
お祭りは終わった、国策でバブルをあおり立てた国家権力が反転する。逮捕・拘留。
先生は刑務官に怒鳴る“俺の体に指一本でも触れてみろ。ただではすまんぞ”
単なる強がりでもなかったようだ。
実刑判決と引換に、政財界の巨悪が実名入りで本書等に暴かれる事になる。
法破りの弁護士、転じてベストセラー作家である。
確かに我々庶民、“あの先生は裏社会ではそんな事をしていたのか?”と情報を頂き、“金を儲ける”とは、“権力を握る”とはこう言う事なのだと、あからさまに教えて頂く事は有り難い。
でも現実は直視せねばならぬが、これは手に余る現実だ、救いようのない程腐れ果てた現実だ。
赤貧の田舎から青雲の志に燃えて出てきた有能な青年でさえ陥った“落とし穴”に通ずる“闇”
この“闇”は心底辛くて暗い。
この腐れ果てた現実を暴露する田中先生は“悪”は“悪”でも“必要悪”だと言って憚らない。
だから自分の行いも“必要悪”だと弁明されているかのようだ。
“ちんぴら”の“悪さ”を牽制してくれる本物の“ヤクザ”達。彼らがやり取りする巨億の金はどこから吸収された物だろうか?この金があればどれ程多くの若者が救われただろうか?
どれ程多くの人達が安心出来る老後を送れただろうか?
闇社会の住人は“社会的弱者”だと、弁護士をやめても“弱者”救済に生涯をかけられる決意の先生だが、
本当の“弱者”は誰か、先生だって良く解っている筈だ。
“俺には力がある、俺は強い力の結晶だ”と日夜念仏を唱えられる先生は所詮“強者”の“用心棒”だったのか?




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紙の本

慢心

2007/09/02 22:25

12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

辣腕特捜検事から悪徳弁護士への反転。全く正反対の立場ではあるが、著者の人生を貫いているのは、慢心だと思った。その慢心は検事の時には比較的よい方に向かっていたと言えるが、弁護士になってからは、倫理に反する方に向かってしまっている。
 
 平凡な市民である私と同じような読者から見れば、エスタブリッシュメント(政官財のトップたち)とアウトローのトップたちの癒着(それには騙し合いや裏切り、しっぽ切りまでが含まれる)が垣間見れて、腹が立つ。腹は立つが、こんな本がどんどん出版されるべきだと思う。最近、『歪んだ正義』宮本雅史(角川文庫)や『特捜検察の闇』魚住昭(文春文庫)も読んだが、多くの証言をつきあわせないと全貌が見えてこないからだ。だれでも随想する時には自己を正当化する心が働くからだ。
 
 ここに登場する政治家たちの行動だけ見ても、ひどいものである。お互いの裏切りや騙し討ちで抹殺されていく彼らには同情する気など起きないが、最終的に犠牲になっているのが、国益であったり、一般国民であったりするのが許せない。
 
 この本を読んでますます感を強くしたのは、
  
 ・情報公開の必要性
 ・公務員給与の低さ
 ・「正しいことをするために偉くなる」ことではなく、
  「正しいことをして偉くなる」ことの大切さである。
 
 もっとも、この本に登場する人物たちはほとんどがそのどちらでもない。これでは日本がよくなるはずはない。改革を叫んでいる政治家たちに言いたい、改革を阻んでいるのはあなたたち自身なのだと。そして改革最大の抵抗勢力は官僚だと。公務員の給与を上げて、天下りする必要をなくし、そのかわりほんのちょっとした不正でも解雇し、関連業種に就職できないようにすべし。国民は飲酒運転より官僚・政治家の不正の方が重大な犯罪だと思っている。飲酒運転に対する処罰より、重くなければ納得がいかない。

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権力とは何か

2008/04/26 13:27

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

 国家権力という言葉を知っている人は多いだろう。しかし、現実の「国家」「権力」の力の源泉を認識している国民はどれだけいるのだろうか。

 著者も、かつては国家権力を行使した人間である。具体的には検察官だ。彼にまで上がってくる案件は、ほぼ刑事立件が可能であったろう。

 その彼が、いまでは国家権力に対して反論している。あまりにも都合よくないだろうか?

 なんで素直に受刑しないのか。

 すくなくとも検察官のイメージを貶めたことに、間違いはなかろう。

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2007/08/04 22:06

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2007/08/29 12:46

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