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商品説明
敗戦後も中国に残り、共産党軍と戦い続けた日本人たちがいた。彼らに3年半もの死闘を強いたのは誰だったのか。なぜ国は彼らを逃亡兵として切り捨てたのか。元残留兵らの執念が暴き出す歴史の闇。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
池谷 薫
- 略歴
- 〈池谷薫〉1958年東京生まれ。同志社大学文学部美学及び芸術学専攻卒業。テレビ・ドキュメンタリーのディレクターを経て蓮ユニバースを設立。映画監督作品に「延安の娘」「蟻の兵隊」がある。
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紙の本
戦争の不幸とこの国の無策
2007/12/13 03:39
10人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎県の東国原知事が「徴兵制があってしかるべきだと思う。若者は1年か2年くらい自衛隊などに入らなければいけないと思っている」と発言し物議を醸している。
知事は後に「徴兵制とか軍隊とか言わないですけど、若者にはある時期、規律を重んじるような機関で教育することは重要だと思う。道徳や倫理観の欠落が、今の規律の喪失につながっている気がする」と釈明とも開き直りともとれる発言を繰り返した。
残念な発言である。昨今の凶悪犯罪や若年犯罪のニュースを耳にした時、「倫理観の欠如」を感じることは誰にもあろう。しかし、「規律の喪失」を嘆き、その回復を軍隊に求めるようでは、この人自身の「倫理観の欠如」が疑われる。
軍隊は決して教育機関とはなりえない。むしろ、個人の感情を押しつぶし、人間を機械にする。そこでは上からの命令に従順に従うことが最上の価値とされる。いびつな価値観を押し付ける洗脳機関である。
ましてや、その軍隊への入隊を“強制”する「徴兵制」が軽々と口の端にのせられるようであれば、この国の民主主義は簡単に崩壊する。
第二次世界大戦終結後も、中国に残り、いや残らされ、中国内戦に参加した、いや参加させられた兵士達がいる。
徴兵制で戦場に借り出された彼らは、戦争終結後も強制により戦闘を続けさせられた。究極の人権蹂躙と言えよう。
「蟻の兵隊」映画HPより抜粋する。
【終戦当時、中国の山西省にいた北支派遣軍第1軍の将兵のうち約2600人が、ポツダム宣言に違反して武装解除を受けることなく中国国民党系の軍閥に合流。戦後なお4年間共産党軍と戦い、約550人が戦死、700人以上が捕虜となった。さらに、長い抑留生活を経て帰国した彼らを待っていたのは逃亡兵の扱いだった。国は「自らの意志で残り、勝手に戦争を続けた」とみなし、元残留兵らが求める戦後補償を拒み続けてきた。】
本書では、なぜこのような世界史上例を見ない“売軍行為”が為されたのかが、徐々に解明されていく。
当時の日本軍司令官達の保身のための軍閥との密約。そして彼らが残留の名目とした「祖国復興」という狂気じみた策略。
残留日本人問題と同様の構図が見えてくる。ここにも、国家に翻弄され、軍国主義の犠牲となった多くの者達がいる。戦争が一般の国民を徹底的に不幸にするシーンがまた再現される。
そして、さらにここでも繰り返される国の無策。国により丁重に救いの手がさしのべられるべき国民を、反対に思いっきり踏みにじる。
われわれは、この国にもう何も期待できない。