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- カテゴリ:一般
- 発売日:2009/06/01
- 出版社: 河出書房新社
- サイズ:20cm/552,16p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-309-70960-4
- 国内送料無料
紙の本
世界文学全集 2−08 パタゴニア
著者 池澤 夏樹 (個人編集),チャトウィン (著),芹沢 真理子 (訳),フエンテス (著),安藤 哲行 (訳)
【毎日出版文化賞(第64回)】幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶をもとに綴られる、イギリス紀行文学「パタゴニア」と、メキシコで反乱軍に加わり、愛と憎しみに引き裂かれつつも...
世界文学全集 2−08 パタゴニア
紙の本 |
セット商品 |
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商品説明
【毎日出版文化賞(第64回)】幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶をもとに綴られる、イギリス紀行文学「パタゴニア」と、メキシコで反乱軍に加わり、愛と憎しみに引き裂かれつつも移動と戦闘を続ける男の姿を描く「老いぼれグリンゴ」の2編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
殺されたはずのプッチ・キャシディが、しぶとく生き延びていた!?
2009/07/29 19:00
11人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
パタゴニアといえば社員がいつでも海でサーフィンして構わないふとっぱらのスポーツウエアの会社ですが、これは南米のさらに南の文明の果てパタゴニア地方を旅行しながら当地ゆかりの人物とその事績を延々と執拗に追及したルポルタージュ小説です。
歩きながら思考するというこの手法は、我が国では古くは松尾芭蕉、最近では司馬遼太郎氏も試みていますが、若き行動派英国人の海の深さと山の高さをものともしない行動力には初めから勝負になりません。
古今東西の文献を博引傍証しながら、怪獣プレシオサウルス、「ビーグル号航海記」のダーウィン、コールリッジの「老水夫行」に影響を与えた難破記録、アントニー・ソートというアナーキスト、ヤガン語の辞書を作ったトーマス・ブリッジなどなど現代史の表舞台から杳として消えた足跡を荒涼の地の草の根を分けに分けて現地探索する著者の情熱の秘密はどこにあるのでしょうか?
1989年に48歳の若さでエイズで死んだ著者に直接尋ねる機会は永遠に失われたわけですが、その代わりに、たとえばジョージ・ロイ・ヒル監督の手で映画化され、「明日に向かって撃て」の主人公、プッチ・キャシディ(映画ではポール・ニューマン)、サンダンス・キッド(同ロバート・レッドフォード)、エタ・プレイス(同キャサリン・ロス)となった3人のパタゴニアでの行状をつぶさに追った著者が、プッチ・キャシディの妹に会い、警官隊の待ち伏せに遭って殺されたはずのプッチ・キャシディが、しぶとく生き延びて郷里ユタ州サークルヴィルで平穏な晩年を送ったという証言を、パタゴニアのリオピコにあるプッチ・キャシディの墓と並べて読者の前に「さあどうだ」とでも言うように差し出す時、「すべてを疑え」という彼の呟きが南の風とともに聴こえてくるような気がするのです。
そして私たちが本書に添えられたサンダンス・キッドとその情婦エタ・プレイスが優美に盛装して寄り添う夢のようにロマンチックな2ショット、映画の2人を凌駕する一世一代の美男美女の艶姿に出会う時、まさに「事実は映画より奇なり」の思いを新たにせずにはいられません。
併録のフエンテス著「老いぼれグリンゴ」の舞台も南米です。
1842年アメリカのオハイオ州に生まれたアンブローズ・ビアスは「悪魔の辞典」、そして私の大好きな短編小説「空を飛ぶ騎手」の作者として有名ですが、南北戦争に従軍し、ジャーナリストとして活躍した後、2人の息子と妻にも先立たれ、70歳の時、傷心のままメキシコに赴き、そのまま行方不明となりました。
この小説は、この伝説の作家ビアスをモデルに、暴力と革命の地南米メキシコを舞台にした恋と血と詩と死の物語です。「死と呼ばれるものは最後の苦痛にすぎない」とビアスは語ったそうですが、すべてに幻滅したビアスを思わせる老作家は、精悍なトマス・アローヨ将軍率いるメキシコの反乱軍に身を投じ、そこで文字通り死を恐れない英雄的な戦闘を繰り広げます。
そこに登場するのがニューヨークからやってきた若くて美しい女教師ハリエット・ウインズロー。ここにお決まりの恋の鞘当て、愛の三角関係が始まる、とみせかけて実は老作家グリンゴとハリエットは実の親子なのです。
そうとは知らぬハリエットは恋敵のグリンゴを殺そうとするアローヨ将軍の人身御供となって、そのスレンダーで美しいプロポーションが眩い全裸を、野蛮人の前に惜しげもなく晒すのです。
飛んで火に入る夏の虫、蓼喰う虫も好き好き。落花狼藉を地でいく凌辱は深々と沈みゆくベッドの上で2度にわたって繰り広げられ、第1ラウンドにおいては獰猛な男が、リターンマッチにおいてはみずから2度目を求めた乙女が、当然のことながら勝利するのです。
あらすじを書いているうちに阿呆らしくなってきたのでこれくらいにしますが、いったい著者はアンブローズ・ビアスという素材を借りてきて、何を言いたいのかが、読めば読むほどわからなくなってくる世紀の迷作といえましょう。
♪この次はもう生きてはあらぬと思いつつテレビで眺むる皆既日食 茫洋
紙の本
突然の写真。
2019/02/16 19:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
『パタゴニア』はフィクションだと思いながら読み進めていたので
突然の写真ページに急にリアリティを感じて不思議でした。面白かった。
『老いぼれグリンゴ』はハードボイルドというか何というか。
原文は知らないが、訳文がやたら詩的。性描写が個人的に苦手な感じ。