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血と暴力の国(扶桑社ミステリー)
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.1 30件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2007.8
  • 出版社: 扶桑社
  • レーベル: 扶桑社ミステリー
  • サイズ:16cm/424p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-594-05461-8
  • 国内送料無料
文庫

紙の本

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

著者 コーマック・マッカーシー (著),黒原 敏行 (訳)

ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで、撃たれた車両と男たちを発見する。麻薬密売人の銃撃戦があったのだ。車には莫大な現金が残されていた。モスは覚悟を迫られる。金を持...

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血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

926(税込)

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商品説明

ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで、撃たれた車両と男たちを発見する。麻薬密売人の銃撃戦があったのだ。車には莫大な現金が残されていた。モスは覚悟を迫られる。金を持ち出せば、すべてが変わるだろう…モスを追って、危険な殺人者が動きだす。彼のあとには無残な死体が転がる。この非情な殺戮を追う老保安官ベル。突然の血と暴力に染まるフロンティアに、ベルは、そしてモスは、何を見るのか—“国境三部作”以来の沈黙を破り、新ピューリッツァー賞作家が放つ、鮮烈な犯罪小説。【「BOOK」データベースの商品解説】

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みんなのレビュー30件

みんなの評価4.1

評価内訳

紙の本

コーマック・マッカーシー

2015/11/29 20:44

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:マック - この投稿者のレビュー一覧を見る

コーマック・マッカーシーという作家は独特ですが、この作品は比較的読みやすい部類ではないでしょうか。佳作です。

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紙の本

コーエン兄弟の映画は「ハンニバル・レクター以来、最悪の死の運び屋」という惹き文句らしいのですが、マッカーシーという作家が「麻薬」「ベトナム」に腐らされた「国でなし」をどう書こうとしたのかに注目してみました。

2008/10/14 16:10

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本語には「人でなし」という便利な表現がある。「ろくでなし」が魔に差されたことや生来のだらしなさで人に危害を及ぼすという良心のかけらを残した凡人であるのに対し、「人でなし」は人倫というものを理解できない悪鬼である。
 この小説では、そのような悪鬼が登場し、次から次へと人を殺す。おそらく殺すことで彼の脳内ではドーパミンやエンドルフィンといった化学物質が分泌されるのだろう。だから殺すのにさしたる理由はない。あるいは、そうした快楽につながる生理行為なのではなく、殺すための遺伝子が彼に命ずるのかもしれない。「殺れ!」……と。
 しかし、原題No Country for Old Menを掲げたとき、冷血な殺人鬼が登場して派手にやる犯罪小説に留まらないということが見えてくる。「ノーカントリー」――これは、悪鬼が跋扈する「国でなし」の小説でもあるのだ。

 では、国とは何だろうか。
 それはまず、境界線で区切られた領土に人民を抱えたものである。そして、法により「やってはいけないこと」が取り決められている。このやってはいけないことの内容如何により、独裁国家なのか社会主義国家なのか、自由主義国家なのかが決まる。法が効力を失った状態が「無法」である。この法による統治を以て「権力」が成立する。
 ここで誤解してはならないのは、「権力」は人民が一方的に大樹の陰として依存するものでもなく、かといって一方的に人民を抑圧するものでもないという点。
 権力自体は抽象概念で、為政者がそれを濫用したり、人民が自分のご都合主義で過剰な期待をしたりするから話がややこしくなる。純粋な形では、人民と権力は互いに支え合って国を成り立たせるものなのだ、おそらく。

 原題は、無法地帯と化した国が、もはや年寄りにとっては「国でなし」になったことを表現するものだろう。小説のなかでは、章が改まるごとに、保安官ベルの独白が導入に置かれている。ベルは、シュガーという名の悪鬼がもたらした殺戮の数々に触れる。彼が自嘲気味に米国を嘆いた台詞がNo Country for Old Menなのかと考えられる。
 語り部に、地域住民のための治安、ひいては国家のための治安を守ってきた保安官を据えたということが面白い。西部開拓時代には、ろくでなしのならず者だった人物が保安官に転じたケースも珍しくなかったようだが、ベルはベトナム帰りで、娘を亡くした悲しみを妻と分かち合う庶民であり、正義や真実の何たるかを語り得る者として「人でなし」「国でなし」を嘆く。

「人でなし」の殺人鬼が神も法もなく人を殺すから「国でなし」だという解釈をしてみるが、この解釈では「犯罪小説」「アンチ文学の社会派娯楽小説」という域を出ない。まだまだ小説の説明には足りない。
 別にそういうジャンル分けであっても、解釈の広がりを許すような、説明が親切ではない「伏せた部分」が多い小説であるから、読者が自分なりに楽しんでいけばいい。だが、せっかくの深読み可の小説であるなら、もう少し突っ込んだ解釈をしてみるのも悪くない。
 そこで、作家が書いた悪鬼は、シュガーという、出自も経歴も明らかにされないマッドな男だけなのかということを考えてみる。つまり、「米国という国を国でなくしてしまったものは何なのか」ということだ。
 物語が半ば過ぎまで進んだ第7章の冒頭で、例の保安官が、40年前の1930年代にはなかった学校での問題としてレイプ、放火、殺人、麻薬、自殺が挙げられる状態を「困ったものだ」と語る。『血と暴力の国』では、このなかの麻薬に焦点が当てられている。「国でなし」を作ったものの1つは麻薬だ。だが、依存症の人びとについては1行たりとて書かれていない。悪鬼シュガーが次から次へと人を殺していくのが、麻薬取り引きに関わる金の行方を追っているという設定だけである。麻薬によって国がどう腐らされてしまったのかということを、取り引きに絞って表現していることは注目に値する。法が機能しなくなった無法地帯は、麻薬という通貨が支配する1つの世界を形成する。

 そのような麻薬を切り口とした社会洞察に加え、もう1つ作家が用意したのは、ベトナム戦争というノワールである。ベトナム戦争がいかに米国に影を落としたのかが頭に常にあったのだと思う。
 しかし、この戦争をただ闇のものとして葬ろうという姿勢ではない。麻薬取り引きの金を偶然手に入れてシュガーに追われることになった男モスは、ベトナム帰りの退役軍人であり、語り部の保安官ベルもベトナム帰りだ。ベトナムが彼らの人生のすべてを決めたという風には書かれていない。彼ら2人の姿を借りて、ベトナム後に愚かに生きるのか、真っ当に生きるのかという提示をしている。殺人鬼シュガーも不気味だが、私には、ベトナムを経験してきたモスが最初の場面でハンティングを楽しんでいるというのも不気味だった。

 こうして考えてみると、『血と暴力の国』は血が凍りつくだけの犯罪小説ではなく、読んでいるこちらまで銃撃されたかのような激しい読後の感情は、日が経つにつれて静かに響きつづける余韻によって別のところへと運ばれて行く。
 ウェスタン小説「国境三部作」で書いた無法者たちとは異質の、ベトナム後の無法者を書いたのが本作と言えるのだろうか。どちらの時代のアウトローもブーツで足を固めている。大地に踏ん張って立つときのブーツという細部に注目してみたとき、最新作『ザ・ロード』の、南へ向かう裸足の父子へともつながっていく印象を受ける。
「流血のない世界などない」と作者マッカーシーは言っているという(早川書房『平原の町』あとがきより)。「バカ言ってるんじゃない。あんた、それを、自分の母親に言えるか」と言い返したくもなるが、「みんなが仲良く暮らすことは可能だ、というのは本当に危険な考え方だと思う」ということらしい。「流血」が「誰かの犠牲」という言葉に置き換えられるのだと取れる。
 となると、戦争も征服も、テロも猟奇も黙示録に昇華されていってしまい、「神を待つより他はないのか」と問いかけたくなる。その問いに、わずかに答えてくれているのが、結びで語られる保安官ベルの夢――改めて響きを増して伝わってくる。

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紙の本

この世界の深淵なものを描こうとしているのは、私にもわかる。

2009/07/27 02:02

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る


 この本も、二つの意味でずーっと楽しみにしていました。
一つは、作家コーマック・マッカーシーを始めて読むということ。
もう一つは、実は、私、アメリカ映画ながら、非ハリウッド的な映画として、
コーエン兄弟の映画も好きでして、そのコーエン兄弟が、
コーマック・マッカーシーの本書を映画化したときいて
一体全体どんな風な映画になるのか?。
(映画化名は、ノーカントリー原題が、no country for old manでしてそこからとっている)
 又、マッカーシーとコーエン兄弟、暴力と言う意味ではなんとなく親和性がある気もちょっとしたりと。
いろんな意味で、注目の一冊でした。

 映画は、見ていないので、本に沿った書評でいきます。
ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境地帯の荒野で銃撃の後と思われる車と
莫大な現金を発見します。
 勿論、この現金、非合法なお金。
モスは、この現金をもち出だすのですが、彼のあとを追い、シュガーという名前の殺し屋が現れます。
 そして、両者を追う、保安官。

 保安官の独白のパートを章前に挟みながら
この事件の顛末というか、三人の追跡劇が描かれていきます。

 短い文章で心理描写を極力排し、行動面のみを記述。
いわゆる、ハードボイルド風、アメリカ文学の典型です。
台詞もかぎ括弧をつけず、字の文のまま。描写も極限まで殺ぎ落とし簡潔さを前面に出していて、
ちょっとわかり難いですが、表現としてスタイルがきとんとあり、どこかかっこいい。
 これ、犯罪小説ですが、エンタメじゃないです。
エンタメならあおって書くようなところを淡々と描き、
又、意図的に"決め"のアクションシーンもどこか"すかして"描いています。
そして、なにより、事件そのものは、ページ数にして全体の3/4ぐらいで終わってしまいます。
 が、しかし、このコーマック・マッカーシーがピューリッツァー賞を受賞するほどの
レベルの高い書き手であることは、エンタメ本を多めに読む
レベルの低い私のような読み手でもわかります。
 この社会というか、いや、この人間のすむ世界の深淵なるものを
犯罪小説という体裁をとりながら描き出そうとしているのが、感じられました。

 マッカーシーは、次作、ザ・ロードでさらに自身の世界観を極北へと導き、
すごい褒める人とよく判らなかったと言う人とに二分されているみたいですが、
まぁ、なんとなくですが、マッカーシーについて少しわかった気がします。

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2010/03/16 11:22

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2008/06/07 09:46

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2015/01/28 20:55

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2011/01/03 21:42

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2011/01/24 22:35

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2009/02/25 23:47

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2007/09/16 04:01

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