紙の本
見つめていたのは未来だけではない
2008/04/30 08:37
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジェニファー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「星新一 1001話をつくった人」を読んで、もう一度星新一を読み返したいと思ったのだが、1001作に及ぶその著作のどこから手をつければよいかわからず、しばし呆然としていたところ、この本を発見。早速読んでみた。
新井素子が選者ということだが、だれが選んだとしても必ず入りそうなスタンダードな作品が多く、どんな読者にも楽しめる内容になっている。しかし、こうして並べてみると、改めてそのシニカルな視点に驚かされる。あとがきで新井素子自身が言っているように、たまたま新井素子が選んだものがそういうラインナップだったということもあるのだろうが、それにしてもここまで客観的に社会を見つめられる人というのも珍しいのではないだろうか。
特に「殉教」という作品にそれが如実に表れているので、ちょっと内容に触れるが、死後の世界と会話できる機械が発明され、「死後の世界がどんなに素晴らしいか」ということを死者たちが語るのを聞いて、人々が先を争って自殺していく。そんな中でも、死後の世界もその機械もなぜか信じることができず、生き残る人びとがいる。そうして残された人間たちが築く新しい世界とは…?というストーリー。
星新一は間違いなく、生き残る人間なのだろう。そこで信じたほうがきっと幸せだとわかっていても、どうしても信じることができない。そんな、星新一自身の内面が垣間見える作品だと思う。
星新一の作品は、子どもたちが初めて読む小説として優れているのはもちろんだが、大人になってから改めて読み返すと、かつて読んだときとはまた違った視点で楽しめるのではないだろうか。
紙の本
星への敬愛
2021/01/05 15:44
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ショートショートの第一人者への、リスペクトに満ちあふれたチョイスばかりです。「午後の恐竜」など、いま読んでも時代を感じさせません。
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小学生の時に「おーい でてこーい」を読んで、ものすごい衝撃を受けた。
何十年経っても作品が色褪せずにありつづけるってすごいことだなと改めて思った。
一番好きな作品をあげろと言われても、星さんは無理。ありすぎて。
新井素子さんのエッセイも楽しく読んだ!
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まあ要するによくある傑作選、とだけ解釈してしまったらもったいない。物語の合間合間に収録されている、著者自身のショートエッセイだけでも十分魅力的。星新一を長く読んでいればいるほど、この一冊にはハマるのではないだろうか。54篇、悩み抜いてのこのチョイスだろう。本当に偉大な、偉大な作家。
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星新一の素晴しさを改めて実感。
作品とエッセイ、両方が収録されているのが良い。
セキストラが収録されているのも、ファンとしては嬉しいものである。
新井素子については詳しくないので、これを期に読んでみようかしら。お弟子さんのようだし。
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やはり いきなり ぼっこちゃんだったというのが裏切らない設定でありましたが
この人を一番読んだ時期が中学生くらいだったと思うんだけれど
まだ あまし 理解できなかった大人の機微が 今なんとなくわかる気がする。
ただ 著者が何度も時代に合わせて手直ししてきたというが
古いとは感じないのがすごいところだ。
ブラッドベリは大好きな海外の作家だが
比べようも無いからしないけれど
シンクロニシティというのはあるのだなと実感する。
人間の本能は共通だということなのかもしれないなあ
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星新一氏のショートショートに初めて出会ったのは、中学一年生の時。
国語の教科書に載っていました。
その作品を読んだ時、単純に「コレ、おもしろい!!」と思いました。
作品の短さにも感銘を受けました!!
そして、それから、星新一ショートショートの世界にのめり込んだのでした。
その時の教科書の掲載作品が「殺し屋ですのよ」
今回、本書に掲載されていて「そうそう、コレコレ」と、懐かしく読みました。
星新一氏が鬼籍に入られて10年以上が経ったそうです。
当時、このニュースを聞いたときにはショックでした。
そして、もう、新作は望めないのかと非常に残念に思ったものです。
もっとも、私は全作読みきれていないのですが・・・
氏が書いた一番古い作品は、50年以上前とのこと。
しかし、今もその作風は色褪せることなく、ほとんど違和感を感じさせません。
編纂者の新井素子氏も触れていますが、「星さんの昔書いたことが、2007年(この本の初版が2007年)に現実になっている!」というのが、作品の違和感を感じさせないところかも知れません。
もちろん、「時事風俗は書かない」とか「固有名詞を出さない」という、作者のこだわりが、より時代を感じさせないようになってはいますが・・・
本書は、星新一氏の作品がタップリ収録されているだけでなく、単行本初収録!のエッセイ「星のくずかご」、新井素子氏の解説、新井素子氏と最相葉月氏の対談など、盛り沢山な内容です。
でも、収録されているのがショートショートなので、読みやすい!
ふとした合間にチョコチョコ読んでいると、すぐに読み終わりますよ♪
P.S.
エッセイ「星のくずかご」には、「なぜ、作品中に“エヌ氏”の名前が多いのか」ということに触れた内容があります!ファンとしては、こんな内容が楽しいです
P.S.2
本書編纂者の新井素子氏の作品も、中学時代に読みふけりました(年齢がバレる)
今でも大事にとってある本があります。そのうち、ご紹介するかもしれません。
P.S.3
「ボッコちゃん」の文庫本は、氏の自選短編集で今でも書店で平積みされています。
代表作が詰まっているので、特に初めて星新一を読む方にオススメです!
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星の煌き、時を経ても変わらず。
10数年ぶりに読んだけど、今読むとより面白いと思える。
数十年後に読んでも、きっと変わらない味のある数々の作品。
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ショートショートの草分け的存在の星新一さんの名作を54話も収録したベスト版。
いつ読んでもこちらの意図したものとは全く異なるオチが用意されていることにただただ感心するのみ。
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時間がかかった〜!
めちゃ分厚いの。しかしおもろかった。
読んだことない話も含まれてた。
父が星さんのファンで家にめちゃ文庫があったのだ。
小学校の教科書に載っているのを知ると嬉しげにワタシに与えたのだ。
思えば、初めて読んだ文庫が星さんやったんかな。
「午後の恐竜」がうすら恐いです。
やるせない悲しみ、終末感がえも言われぬ。
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星新一のショートショートって多すぎて、どれを読んだか忘れてしまう。
それなのに、新刊が出てると手にとってしまう。
この本も「決定版」て書いてあったのでついつい読んでしまった。
装丁が好きだ。
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星新一ショートショート傑作選プラス星新一エッセイ。
編者である新井さんも仰っていることですが、星新一さんの作品ってたしかに古さを感じさせません。シンプルでスタイリッシュ。だけどこれを書かれた時代を考えると、びっくりです。予言と言えなくもないですよね。まあ「覚醒剤」の記述にも少しびっくりしてしまうのだけど(笑)。
そもそもこれが「傑作選」なんだから全部いいに決まっていて、どれがいいと言えるはずもないのだけれど。昔に読んで衝撃的だった「ボッコちゃん」「午後の恐竜」はやっぱり凄いなあ。
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小中学時代に読んでそれっきりの人は必読。大人になって改めて読み直してみて、普遍性は驚愕の一言。多分、大人が読んだほうが味わい深いので子供向けと馬鹿にしないほうが良い。この先も世代を超えて生き残る数少ない作家。合間の新井素子の文章も膝打ち。
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なじ■
星新一をたっぷり堪能できる大ボリュームで
読み終えて非常に満足でした!
改めて本当に凄い人だ…と深く感じまくりでした。
ちょっと脳が疲れてきたかな…というあたりに
単行本初収録のエッセイが挟まっていて
個人的に気分転換に良かったです。
ショートストーリーのメイキング(的なもの)など、
エッセイ内容も興味深かった。
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星新一のショートショートを新井素子が編集。
名作集となっている。
全50の短編と創作ノートを収録。
この作品集を読むと、星新一が次世代のSF作家や漫画家に多大な影響を与えた作家だというのがよくわかる。
特に共通性を感じたのが、藤子不二雄F。
星新一の短編の奇妙小説の世界を漫画で挑戦した作品集を遺している。
どの作品も一定のクオリティを担保しているのと、その旺盛な発想力に驚くばかりであった。
この作品集で特に面白かったのは星新一の創作ノートである「星のくずかご」。ボツにしたアイディアを紹介するとともに、ボツになった経緯を説明しているのだが、コレが結構面白い。
星新一は晩年になって右腕を患っていたようで、その苦労と作家人生に対する不安などを、「星のくずかご」の中で素直に吐露してあったりする。
星新一は非常にストイックな性格らしく、小説以外のほとんどの興味を抑え込んで創作に打ち込んでいたらしい。
本来音楽好きであった星新一が三十年も音楽の趣味を封印していたエピソードなどは、驚きを超えて感動すらおぼえた。
編者の新井素子は星新一を敬愛してやまないらしく、この作品集もファン目線でつくられているようだ。
星新一ファンはもちろん、初めて星新一作品に触れる方にもお勧めできる内容になっている。