紙の本
言葉の天才である
2018/05/04 11:33
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
言葉の天才である。中原中也と宮沢賢治は、日本の詩人の中では群を抜いて屹立している。言葉の使い方、選択、センス、リズムの良さ。数え上げればきりがないがこのような人はもう現れないだろうとさえ思える。
電子書籍
中原中也全詩集
2016/06/05 15:42
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投稿者:kiyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
心に沁みる。
ひどく沁みる。
自分のことのように
彼の生きざまがツラい。
もがいてもどうしようもない
人生を彼が描ききってくれた気がする。
紙の本
生きるべし
2020/10/18 21:59
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投稿者:ナオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
未発表詩篇の『嬰児』の「生まれてきたことは嬉しいことなんだ」「生きているだけで既に嬉しい心」の言葉にグッと来ました。
不器用だけどとても真っ直ぐで、どんなに辛くても生きる事を諦めなかった中也だからこそ言える言葉だと思う。
それにしても30歳で逝去。あまりにも早い。
もしもっと生きながらえて、もし息子の文也くんが元気で詩を好きになっていたら...。もっと違う作風になっていたのかなと思うと惜しい。
あと個人的に『玩具の賦』は傑作だと思います。
反論の余地を与えない流れる様な、吐き出す様な感情の吐露。
こんな詩が送られてきたら怒りを通り越して感心するかも。
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こんなものも読んだりします。
散文はよくわかりませんが、口に出してみるのは好きです。
理解するのでなく感じるものだということにしています。
短歌や俳句なども好きです。知識が無いので何を読んでよいのかわからないのが欠点です。
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初めて好きになった詩人が中原中也でした。
教科書に載っているようなのよりも、初期の詩の方が個人的には好き
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トタンの屋根がセンベイみたいに夕陽を食ってしまったとして
それになんの不都合があろう
空と山とに笑われながら、思いの丈を現在に叩きつけても
それはまったく自由であろう
だが自由とは
他者の自由を禁ずる自由でもあったというわけなんですよ
それに気づいた友人たちが
去っていくのを見送ったあと
テンポ正しく真面目にやろうと
思ったときには遅すぎた
中也も息子も早くに死んで
あとには自分のポエムのみ
汚れっちまった悲しみのように
誰も乗らないブランコのように
打ち捨てられていた
のだった
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詩集なので、読後の感想も詩で語りたい。
詩人の言葉には
「骨」がある
「肉」がある
詩人の言葉は
鋭い刃物で
皮膚を切り裂かれて
暗い色の血を流す
詩人の言葉は
夏空の高みに向かって
奔馬のように
駆け上がる
詩人の言葉は
サーカスのピエロのように
滑稽で
哀しくて
詩人の言葉は
底知れぬ絶望から紡がれ
それを読む者への
希望に置き換えられる
詩人の言葉は
100年の時空を超えて
その瑞々しさは
いささかも失われはしない
(了)
中原中也の詩に出会ったことは、紛れもなく私の人生を通じて最良の経験のひとつである。
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2012/02/10読了
若くして亡くなった中原中也の全詩集。797ページのこの本に、中也の喜びや苦悩の全てが詰まっているとも言えるだろう。大学の講義にて、彼のバックグラウンドを知識として得ることができたので、それを踏まえた上で詩を読むと、より一層中也の思いに近づけるように思う。
彼の詩には様々なものがある。一様に詩の形式を固定せず、多方面にチャレンジしたとも言えるだろう。だが歌うようなリズミカルな作品が多い。音楽性を感じ取ることができる。
とはいえ、もともと楽曲の作詞をしていたことから、そこから彼の歌うような世界観があるのかもしれない。
親に最後までべったりだったし、愛する存在を次々に失って、狂ってしまったことすらあった。それでも友人には恵まれた、詩に対する情熱は人一倍だった。それこそ狂うほどだったと彼は詩に記している。
数々の作品を残し、亡くなった中也。
その生き方を再度味わうには、やはり彼の作品を鑑賞するのが一番いい。
以下、お気に入りの詩を挙げる(数字は本書でのページ数)
朝の歌p28 少年時p64 汚れつちまつた悲しみにp88
雪の宵p110 いのちの声p130 夏の夜p160
この小児p164 冬の日の記憶p166 湖上p176
骨p183 残暑p212 一つのメルヘンp230
春日狂想p256 春の日p277 暗い天候p284
夏と私p292 寒い!p297 詩人は辛いp306
タバコとマントの恋p357 初夏p374
(名詞の扱ひに)p387 雪が降つてゐるp467
湖上p483 (七銭でバットを買って)p525
別離p641 十二月の幻想p683 桑名の駅p689
道修山夜曲p717 雨が降るぞえp724
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好きな作家の好きな詩人なので読んだらはまった。
雪みたいにしみてくる。
オノマトペがすき。
サーカスも大好きだけど、湖上って詩がもーっと好きです。
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大正から昭和にかけて活躍した詩人、中原中也の全詩集です。文庫版ですが、読みやすくて良いです。中原中也と聞くとイメージされるのは、「汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる…」と始まる「汚れつちまつた悲しみに……」が一番でしょうか?他にも美しい自然を描いたものや人生の苦悩を絞り出したものなど、たくさんの詩を残しています。作品から想像できませんが、だいぶ破天荒な人生を送っていたらしく、大岡昇平や太宰治とのエピソードは有名です。全詩集なので、気になる詩やグッとくる詩を探しながら読むのは楽しいですよ。
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・・・・・書きかけ・・・・・
103年前の1907年(明治40年)4月29日に山口市に生まれた詩人。1937年(昭和12年)10月22日に30歳で没していますから、絵に描いたような夭折である訳ですが、
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「春日狂想」の「愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない」という冒頭は、かなりショッキングだった。
息子を亡くして書いた詩だとどこかで読んだが、似たような経験をした私は、それでも結局自殺という道を選ばずに最期まで精神不安と結核とたたかった中原中也に勇気づけられた。
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東京に、雪が降った。街に光に照らされて、雪が落ちて行く。
そんな時に、ふと思い出すのが、「今日も小雪の降りかかる 汚れちまった悲しみに」というフレーズだった。そして、本棚から、この詩集を取り出す。それで、読んでみる。その詩の最後のフレーズ「なすところもなく日は暮れる」という終わり方に、雪は心の中にも降りしきるようだ。
この詩集は、不思議なことに、買ったときからずっと持っている。50年以上前の詩集で、紙は日焼けしている。存在感がある。中原中也に憧れた時期がある。悲劇のような喜劇のような詩人である。
京都から恋人の年上の女優になりたい女と一緒に東京に行き、そして小林秀雄と仲良くなって、小林秀雄にその女を取られる。一緒に住んでいた荷物を、小林秀雄の家に持って行ってやるのだ。
寝取られた上に、優しさを発揮する。「汚れた悲しみ」に雪が降って、何事もなかったような白い世界となる。朝になると雪が溶けて、汚れてしまった悲しみがあらわになる。「私はかたくなで、子どの模様にわがままだった。私はおまへの優しさを思ひ、また毒づいた人を思ひ出す。今朝はもはや私がくだらない奴だと、みずからを信じる」と歌う。どこに怒りをぶつけたらいいのか。その自分の不甲斐なさ。酒屋で飲んだくれて、人に絡みついた。悲劇を喜劇のように演じて、詩人は、言葉を磨き続ける。敗者としてのとぎすまされた言葉を磨く。その恋人は、結果として小林秀雄さえも捨ててしまうのだが。
小学校からの友人が、中学生の頃に高村光太郎の「さびしき道」と中原中也の「月夜の浜辺」を教えてくれた。波打ち際のボタンが落ちていて、それを拾ったら、どうする?と言われた。
彼は、海に向かって思い切り遠くまで、投げてやると言った。彼は、野球選手だった。用のないボタンは、もういらないのだと。スッキリしているのだ。私は、やはりポケットの中に入れると思った。
彼はもう地球上にはいない。
30歳で人生を閉じた中原中也。昭和12年。戦争が本格的に始まる頃だ。ピカソがゲルニカを描いた頃。中原中也は、1冊の詩集しか出版していなかった。2冊目を作って、小林秀雄に託して死んだ。
サーカスのブランコは、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」とゆれる。
そして、「私の上に降る雪は真綿のやうでありました。私の上に降る雪はいとしめやかになりました。私の上に降る雪に いとねんごろに感謝して、神様に 長生きしたいと祈りました」
夜の東京で、雪が降ると 雪を歌った詩人のことを思い出す。
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文豪と呼ばれる作家たちの中で、一番大好きな中原中也の全集を本屋で見つけて即買い。やはり心に残る。何度も読み返したい。折角なので好きな詩を。「都会の夏の夜・帰郷・生ひ立ちの歌・春・幼獣の歌・骨・北の海・白紙・修道山夜曲・自滅・初夏・(僕の夢は破れて、其処に血を流した)・昏睡・暗い公園・(嘗てはラムプを、とぼしてゐたものなんです)」。 「また来ん春」と「嬰児」は文也のことを謳っているのだな、と思うと、幼くして亡くした長男のことをどれだけ中也が愛していたかが伺えて、心打たれる。
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350篇もの全詩集です。
長かった!...けど読みやすかったです。
中原中也の詩は先ずテンポが良いのが一つの魅力だと思います。
読む音楽みたいなと言ったら変かもしれませんが、それくらいリズミカルなのが心地良いです。
中原中也という人となりと、言葉や漢字の裏に隠された意味を理解出来ると嬉しくなる一冊です。
お気に入りの詩は勿論たくさん見つけましたが、やはりサーカスが一番好きかな。
ゆあーんゆよーんは何だか可愛らしい表現だと思います。