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紙の本
壮大なファンタジー
2006/01/15 20:38
16人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:喜八 - この投稿者のレビュー一覧を見る
未来の地球を舞台とする壮大なファンタジーです。かつて繁栄をきわめた文明社会は「火の7日間」と呼ばれる最終戦争により崩壊。1000年後、陸地の大部分は「腐海」と呼ばれる有毒な瘴気を発する森に覆われていて、巨大な昆虫たちが支配する禁断の地となっています。
辺境都市ペジテの地下で最終兵器「巨神兵」が発見されたことにより、強大なトルメキア王国とペジテとの間に戦乱が生じます。両国のあいだに位置する小国「風の谷」は否応なしに争いの渦に巻き込まれてゆくことに。風の谷ジル王の跡継ぎナウシカ姫は、総ての生き物と世界を助けるために立ち上がりました・・・。
感想は「とにかく理屈ぬきで面白い!」これに尽きます。さらに付け加えるなら「宮崎駿さんはプラモデル少年(青年)だったに違いない」という印象もありました(それが間違っていないことは後に分かりました)。
まず最初の腐海の場面でナウシカが所持している「長銃」は第二次大戦中にドイツ軍が使用していたマシンガン「MG-34」に酷似しています(ナウシカの銃は単発式ですが)。
ナウシカが自由自在にあやつる軽飛行機「メーヴェ」が上方や後ろから見ると第二次大戦時ドイツのロケット戦闘機「Me163B(愛称:コメート)」に似ていることは経済学者野口悠紀雄氏が指摘されています(「『風の谷のナウシカ』に関する主観的一考察」、『「超」整理日誌』新潮文庫収録)。
トルメキア軍の大型飛行艇は、これも第二次大戦時ドイツ軍の巨大輸送機「Me323(愛称:ギガント)」と、前から見た姿がそっくりです。機首が大きく開き中から戦車を吐き出す、敵の攻撃に弱く簡単に撃ち落されるなどの特性も共通しています。
そしてトルメキア軍の戦車は第二次大戦時イタリア軍の突撃砲「セモベンテ」を彷彿させます。
これらの相似は私(喜八)自身がかつてプラモデル少年であったため気づいたのです。国内の田宮模型、イタリアのイタレリ社などの製品を通じてお馴染みであった軍用機・戦車・銃の面影が『ナウシカ』には次々と登場します。
ずっと後に宮崎駿監督の著書『宮崎駿の雑想ノート』大日本絵画(1992)を読み、かつての宮崎氏が熱狂的なプラモデル青年であったことを確認しました。
ところで『ナウシカ』の世界は未来の地球ということが明らかになっているのですが、はたしてどこなのか? という疑問があります。この点について前述の野口悠紀雄氏は次のように推測しています。
《いずれにせよ、この物語の舞台が中央アジアであることは、疑いない。第三、四巻に添付されている地図は、トルコから中央アジアにかけての地図の東西を圧縮し、鏡像にしたものと見えるのだが・・・・・・(「『風の谷のナウシカ』に関する主観的一考察」より引用)。》
また野口教授はトルメキアの皇女クシャナと部下の将兵が身に着けている鎧が映画『アレクサンドル・ネフスキイ(原題:Aleksandr Nevskiy)』エイゼンシュテイン監督(1938)に登場する13世紀ゲルマン騎士団の甲冑とそっくりであることも指摘しています。
以上瑣末な点をいろいろと考察してみましたが、『風の谷のナウシカ』が「とにかく理屈ぬきで面白い」作品であることには間違いありません。不朽の名作であると思います。
紙の本
母なる大地
2008/10/20 23:44
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:helmet-books - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画版を10年位前に
見た気がするのだけどそれっきり
映画版は、コミック版の2巻までとのこと
コミック版が全7巻ということで
映画版より更に宮崎駿の哲学にふれられた気がした
「自然と人間の共生」がテーマなだけに
このコミック版でも語りつくせぬことがあるのだと
宮崎氏は最後に言い残していた
となると同時に人間が語りつくせるような
人間だけの問題ではないのだとも思った
実際、現在において
人類が地球の破滅を導いていると、
科学(人類にとって信頼度が高いモノ)が
実証しているのだけど
それでも回復の道を歩けない矛盾や葛藤は
人類を進化の道の途中なんじゃないかと思う
そして、
物語に出てくる腐海の拡大は
一見破滅に思える現象なのだが
それを単なる地球の移り変わりの時期だと
勝手に決め付けることは
もっと危険なことなのだと
ナウシカは教えてくれた
人類の男にとって
ナウシカは究極の理想の女性像だと思う
女として妻として、
そして母として
helmet-books
紙の本
映画とは全く別の作品
2006/02/02 02:26
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Shinji - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、月刊アニメージュに連載途中で映画化されたので、そちらをご覧になった方も多いと思います。映画の方は、家族で楽しめるようにきれいにまとめられていましたが、コミックの方が、スケールの大きさ、人物の深み、問題の多様性と深刻さからいって格段に優れています。ただし、小さなお子さま(笑)や、どろどろしたものが嫌いな人にはおすすめしません。
この作品では、単純な善悪二元論や安易なカテゴライズは、あらゆる場面で拒否されています。人々の生活を脅かす腐海には浄化の機能が秘められており、破壊の最終兵器である巨神兵はオーマ(無垢)と名付けられ、飽くなき権力欲に憑かれた王が最後にナウシカの命を守ります。
終盤ナウシカは、希望を否定して滅びにまかせようとする虚無と、悪を否定して人為的に善を生み出そうとする「教団」宗教をともに斥け、善と悪をともに抱えた人間のありのままの姿を肯定する道を進みます。
宮崎駿の人間観、世界観の良い意味できまじめな部分がもっともよく現れた作品ではないでしょうか。
紙の本
一生読み直していきたい。
2021/02/21 18:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:briglie - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初にナウシカを読んだのはアニメ化前だったような。。
コミックもそろえてたけど、ボロボロになってしまったので改めて購入。
若い頃とは自分の考えも時代も変わっていく中で読み直すと、宮崎駿という人の才能に恐れ入る。
宮崎駿の作品を同じ時代で触れることができるのは本当にラッキーだと思う。
これからさらに何年、何十年たっても読み直していきたいと思う。
紙の本
ファンタジー
2020/06/16 05:32
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎駿の代表的作品。数々のエピソードを持つ作品だがその構想や考えさせられるテーマは不朽のものだ。映画では味わえない底深さを堪能できる。
紙の本
ナウシカ
2016/07/08 22:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鴫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「風の谷のナウシカ」はとても有名ですが、映画はオームの怒りが収まり、ナウシカが金色の野原を歩くところで終わっています。
しかし、この話にはまだまだ続きがあって、映画の内容はたった二巻までの話なのです。その後、3,4,5,6,7,と続いており、物語はスケールを増して、壮大な終わりを迎えます。
科学技術の発展による代償や、自然とのつきあい方など、多くのことを考えさせられました。
紙の本
圧
2022/10/31 20:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画は序盤の方だと聞いていたが、確かに、そしてかなり序盤の話を映画用にまとめたのだなと思った。
描き込みの熱量に加えて複雑で重厚なストーリーで、思いの外読むのに時間がかかった。後半になるにつれ、より複雑に、そして哲学的に考えさせられる部分も出てきて難しくなってくる。ページを捲る紙の重さだけではない重みを感じるような感覚。読了後は溜め込んだ息を深く吐き出してしまうような、そんな体験だった。
読むにはまとまった時間と体力が必要だが、読んで損はしない。