紙の本
武道の達人技を物理的に究明することは可能な場合が多い…が、
2008/02/17 19:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲベリン - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日格闘技のテレビ中継を見ていてはたと膝を打った。「おおっ、まさにこの本に書いてあった通りだ」と。
激しいパンチとキックの応酬の後、選手の一方があっけなくノックアウトされてしまうのは、相手が腰を決めて繰り出した一撃をくらったときではなく、意外にも相手が腰を浮かせ気味に伸ばしたパンチが顔面に命中してしまったときである。
この本の中では、宇宙ステーション内での宇宙飛行士同士の喧嘩の例として挙げられている。壁に足をしっかりと固定して、腰をひねって鋭いパンチを繰り出す宇宙飛行士と、スーパーマンよろしく拳を固めて身体ごと相手に向かって飛んでいく宇宙飛行士と、勝つのはどちらか?
物理学から導き出される予想結果は、スーパーマンの勝利。(むろん相手に命中すればの話であるが…)その理由は、拳を当てたときの衝撃力と、全体重を拳に乗せてぶつかったときの衝撃力とでは、計算してみると後者の方が圧倒的に大きいから。
この部分を読んだときは「ふーん、そんなもんか」という程度の感想であったのだが、冒頭の場面で深く納得した次第である。
著者は物理学者。この本は物理学者である著者が、武道の達人と呼ばれる人たちの技を物理的に究明しようとした本である。結果として、多くの達人技が物理学で説明のつくものであるとされている。
しかし著者は単純な物理学万能派ではない。全ては物理学で説明がつくと信じたいが、説明できないこともあるのではないか、いやむしろ…という葛藤が、「合気」についての何とももどかしい記述や、著者がペンネームで出版した自著への言及部分などに垣間見える。
それだけ奥が深い本なのであるが、その部分を気にせずとも実に楽しめる本になっている。なおもし「その部分」が気になる方は、著者の最新の本をお読みになることをお勧めする。
紙の本
武道の奥義を物理法則で解明しようとする試み
2008/07/19 08:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全てを経験的に学ぼうとしても駄目だし、全てを理屈で理解しようとしても無理でしょう。それらを車の両輪のようにまわす必要があると思います。企業においても職人技といわれる経験知を、コンピュータプログラム化しようと、可視化の努力しています。武道の達人の技も、理論付けして普遍化できるのではないか、その萌芽がこの本にはあるようです。まだその試みが始まった段階ではあるでしょうが。
従来の武道の達人には自分の到達した境地や技の仕組みについて、表現する能力が無い人が多かったようです。千葉周作はその説明力があったようです。他の道場では三年かかるところを、千葉道場では三か月で修得できると言われたようですから。その他の開祖は、神道や仏教の言葉を借りてなんとか表現しようとしたようですが、かえって何がなんだか判らくなることが多い。
現代人にとっては、物理法則や、人体の解剖学や生理学に基づく解析の方が、理解しやすい。この本で解説されている、破壊力や衝撃力と運動量との関係等。実際に武道の稽古をする場合においても、理屈を知っているのと知らないのでは、上達の早さが違うと思う。もっとも、理屈を知っても実行できるとはかぎらないが。
だいいち、この本は理論解析の始まりを示しているに過ぎないし。例えば、重心と基底面との関係から二本足の人間やロボットの倒れやすさを解説しているが、左右方向と比べて前後方向への倒れやすさの説明はできても、前側より後ろ側の方向が倒れやすいことへの解説は無い。腰の関節の動ける方向と、直立時の重心位置が足指側でなく踵側になることから、説明できると思うが。
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タイトルのアホらしさに惹かれ、予想通りのアホっぷりと真剣さがたまらない1冊です。そして大変勉強になりました。計算式とかが物理オンチの人間でも大変、分かりやすかったです。
何気に著者の方の、多分、深刻に話せばいくらでも暗くなれるだろう境遇とかがすごくバカバカしく書いてあって、その辺がたくましいというか、羨ましいというか…。自分もこんな前向きな人間になりたいなーと思います。
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幼少期から軟弱にして、50歳を過ぎて癌が見つかった理論物理学者が、大東流合気柔術と出会い、その武道の究極奥義を物理学で説明しようと試みたエッセイ。コンセプトとしては面白いが、いくつか疑問点もある。①タイトルに疑問。内容的には本のタイトルのように「武道」と「物理学」が対立してはおらず(するはずもなく)、単に物理学的に説明を加えているにすぎない。 ②武道の「究極奥義」=「合気」を物理学の言葉に置き換えられたのは、それはそれでいいとして、ならばそれは達人の域にまで達せずとも誰でも再現可能なものなのか。著者が自分の非力さと相手の強さを強調するあまり誰でも可能であるかのように読めてしまうが、あくまで武道(合気柔術)の心得あっての話だろう。 ③合気柔術の沿革や他の武道との違いについて言及してもよかったのではないか。この本のキーワードは「武道の究極奥義」=「合気」だが、その「合気」を冠する流派は多く、素人にとっては「武道の究極奥義=合気柔術」なんだと素朴に受け入れるほかないが、話はそう単純ではなく、単に大東流合気柔術の「商品広告」のように読めなくもない。
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生まれつきの運動音痴で軟弱な上に中年癌患者になって、人生あきらめかけていた物理学者の著者がふとしたキッカケから”武道究極奥義”を身に着けてしまった!!
物理学で達人技の謎を紐解く。<三船十段空気投げの謎><グレイシー柔術のマウント崩し><ボブサップの異変><跳び蹴りのススメ>そして<究極奥義解明>
ホンマかいなぁ??!な現象も学術的に説かれると、受け入れてしまえる・・・ような気がする。
「究極奥義の正体は”電磁波”」という理論。怪しすぎる!笑
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[ 内容 ]
科学の力でわかった格闘技の極意とは?
武道の達人技に隠された謎を徹底解析!
三船十段の空気投げから、グレイシー柔術まで世界的物理学者が武道の奥義に肉迫する。
[ 目次 ]
第1章 柔道VS.物理学(三船十段の空気投げ 二足直立の盲点と補強 ほか)
第2章 空手VS.物理学(跳び蹴りは効くのか? 突き蹴りの極意 ほか)
第3章 総合格闘技VS.物理学(ボブ・サップ選手の異変 グレイシー柔術の四つ足技 ほか)
第4章 武道の究極奥義「合気」(異種格闘技戦最強技との対決 究極奥義の威力 ほか)
第5章 合気VS.物理学(万能の究極奥義 触れずに倒すという真実 ほか)
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元々格闘技には縁がない物理学者が解き明かす武道の奥義の本。
三船十段の空気投げを科学的に分析しその仕組みを力学的な観点から解明。
相手の戻ろうとする力を利用して投げるという点は通常の柔道技とあまり変わりはない。 普通体勢を崩されたら自然と送り足をしてバランスを取ろうとするが、継ぎ足が出来ない状況を作り出し抵抗できずにそのままひっくり返されるのが空気投げの様だ。 投げられる前には足の筋肉が最大限に収縮された状態を作り、送り足が出来なくなる、というのがからくりらしい。
また、グレーシー柔術のテイクダウン方法は、慣性モーメントの原理からみると合理的であることを解説したり、同様の原理を用いてマウント状態の相手を倒す為の方法を解説したり。
そのマウント状態をひっくり返す実験として、雑誌社がセットアップした企画に出たり。 そこに出てくる方が格闘界では名前の有る佐藤塾の塾長だったり、格闘技には縁がなかったはずの著者が出会う人々はそこそこ凄い人なのでびっくりもした。
究極は「合気」を究明する章で、極真会の二代目館長である松井章圭氏が出てくるくだり。 大東流合気武術宗範佐川先生の門人であり、著者の知り合いである木村氏が合気で松井氏を突き飛ばす。 文面からは合気の威力を感じることが出来るが、どうやらそのからくりは、体から発生する微弱電流ではないか?という仮説にたどり着く。
しかし、論理的に物理学を駆使して究明を進めるかと思いきや、著者自身を主人公としたドキュメンタリー風な部分もあり、全体的にみると中途半端な構成になっているのは否めない。 武道を科学するのであれば、もっと論理的に理路整然と構成してほしかった。
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全体の構成、文章力など読むに耐えない・・・。お題はおもしろそうだったが、久しぶりにひどい本に出会った。
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武道を物理学で考えると、①打撃や蹴りは、移動エネルギーをいかに大きくして相手にインパクトを与えるかが問題になる、②組合はいかに相手に振り切られず食いつくか、が問題となる(密着した方が離されにくくなる)。
その辺りのことを論考した上で、「空気投げの原理とは?」を考察し、「究極奥義」に言及します。
以前読んだことのある武術の達人佐川幸義氏のエピソードも登場します。
文章は上手とは言えませんが、体力のない、がんを患った著者が武道の奥義に触れた喜びが伝わる本です。
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大体物理学者の書いた格闘技の本は面白いのだが、印象は、トンデモ本に近い。
破壊力が運動量によって決まると、簡単に分けていいとは全く思わない。実感も伴わない。
特に本人が「最高奥義」とのたまう、合気に至っては、吐き気すら催す。
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武道(というか、武術)を物理学で解説という書。
著者は幼い頃から虚弱で50歳を過ぎてガンを患い、その後に武道における究極奥義を身につけてしまったと自称している、大学の教授。
この先生は理論物理学の中でも功績を残されていてなかなか興味深い出だしなのだ。
慣性だとか重力の力学で人間工学的に武道を解説していく・・・のだけども、終盤には電磁波にまで話が及ぶ。
合気は電磁波
これは、おもしろい!
トンデモ本の一つとして挙げられるのもうなづける。
しかし、ホントだったらおもしろい!
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【内容(「BOOK」データベースより)】
科学の力でわかった格闘技の極意とは?武道の達人技に隠された謎を徹底解析!三船十段の空気投げから、グレイシー柔術まで世界的物理学者が武道の奥義に肉迫する。
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【著者略歴 (amazonより)】
保江/邦夫
1951年、岡山県に生まれる。東北大学で天文学を、京都大学と名古屋大学で数理物理学を学ぶ。スイス・ジュネーブ大学理論物理学科、東芝総合研究所を経て、現在ノートルダム清心女子大学大学院人間複合科学専攻教授、専門学校禅林学園講師。確率変分学を開拓し、量子力学においても最小作用原理が成り立つことを示したことで世界的に知られる。大東流合気武術佐川幸義宗範門人
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【目次】
第1章 柔道VS.物理学
・三船十段の空気投げ
・二足直立の盲点と補強
ほか
第2章 空手VS.物理学
・跳び蹴りは効くのか?
・突き蹴りの極意
ほか
第3章 総合格闘技VS.物理学
・ボブ・サップ選手の異変
・グレイシー柔術の四つ足技
ほか
第4章 武道の究極奥義「合気」
・異種格闘技戦最強技との対決
・究極奥義の威力
ほか
第5章 合気VS.物理学
・万能の究極奥義
・触れずに倒すという真実
ほか
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うーん、なんだろう、このもやもや。
前半のカチッとした解説にはなんかごまかしが含まれているような気がするし、後半はなんというか、トンデモ臭がしてしまう。
僕に物理学の素養があれば、否定するにせよ肯定するにせよちゃんと判断できたのになあ。
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色々な武道を物理学の観点から分析した一冊。
かと思いきや、後半は著者の『最終奥義』とやらの話で、しかも全く分析になってない。
前半も通り一遍の話で、読む価値はなかった。
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武道のメカニズムを物理学を使って検証することは、私のような理系武道家には非常に重要なテーマである。そのため、この本をアマゾンで見つけたときは、渡に船とばかりすぐに買った。読んでみると、非常に論理的な部分と、眉唾の部分に分かれることがわかった。 論理的な部分では、ニュートン力学により柔道などの技の原理を解説する。これはなかなか良いできばえで、納得。理系の人を指導するときの指針にもなる。 眉唾の部分は、いわゆる「合気」について書かれている。この「合気」とは、大東流合気柔術の秘伝の技で、簡単に言うと「触るだけで、相手の抵抗力を奪う」こと。著者によると、名人(この名人は、世界的数学者で、私もこの人の論文を読んだことがある。怪しげな人ではない)にこの技をかけてもらった経験により、著者はこの技をある程度習得しているとのこと。物理学者である著者は、この技をかけるときの、人体微弱電流を測ることにより、この技のメカニズムに肉薄する。すごく怪しげなのだが、一方ではすごく面白い。もし、「合気」が物理的に解明され、この習得が容易になれば、柔道やレスリングは成立しなくなる。本当に、そんなことになるのだろうか?結果が待ち遠しい。