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紙の本
海洋国家日本の構想 (中公クラシックス)
著者 高坂 正堯 (著)
西洋でも東洋でもなく、資源に恵まれない日本ゆえ「通商国民」として大きな利点を持つ。エリートの情熱と国民の直感が紡ぐ、通商国家・日本の拓くべき未来とは。海洋国家日本形成の可...
海洋国家日本の構想 (中公クラシックス)
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商品説明
西洋でも東洋でもなく、資源に恵まれない日本ゆえ「通商国民」として大きな利点を持つ。エリートの情熱と国民の直感が紡ぐ、通商国家・日本の拓くべき未来とは。海洋国家日本形成の可能性を説く著者の初期論文集。〔増補 1969年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
時代を超えて生きる戦後論壇の金字塔 | 中西寛 著 | 1−20 |
---|---|---|
現実主義者の平和論 | 3−30 | |
外交政策の不在と外交論議の不毛 | 31−56 |
著者紹介
高坂 正堯
- 略歴
- 〈高坂正堯〉1934〜96年。京都大学法学部卒業。国際政治学者。専門は国際政治学、ヨーロッパ外交史。哲学者・高坂正顕の次男。著書に「宰相吉田茂」「国際政治」「古典外交の成熟と崩壊」など。
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紙の本
国家ビジョンが不透明ないまこそ読むべき「現実主義者」による日本外交論
2010/02/14 21:30
12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
2010年以降の「日本の立ち位置」はいったいどこにあるのか、これを真剣に考える人にとっては、いまこそ議論の出発点として振り返るべき論文集である。中公クラシックスという形で、古典として出版された意義は大いにある。
本書は、いまから45年前の1965年、著者31歳のときの処女作である。
単行本タイトルともなった「海洋国家日本の構想」と巻頭におかれた「現実主義者の平和論」だけでなく、「外交政策の不在と外交論議の不毛」、「二十世紀の平和の条件」、「二十世紀の権力政治」、「中国問題とは何か」、「核の挑戦と日本」の全7編、いずれも読み応えのある論文である。
大半が雑誌論文として発表されたものであり、1964年当時の一般の知的読者向けに平明な文章で書かれているが中身の濃い、読み応えのある内容となっている。今回、初めて全編とおして読んでみて思うのは、時代の制約があるのは当然としても、本質においてはまったく古びていないことだ。たとえば日米安保条約について、現在の迷走する状況をあたかも予言しているかのような記述を目にしたとき、その透徹した「現実主義者」のまなざしには思わず恐れ入った。
著者の論点が本質においてけっして古びていないのは理由がある。
それは、日本をめぐる国際政治的”状況”は大きく変化しても、日本がおかれている地理的条件に基づいた国際政治的”条件”が基本的に変化していないからだ。日本は地理的には「極東」でありながら東洋ではなく、開国以来の政策によって西洋世界の「極西」となったが西洋ではない。アイデンティティがはっきりしない宙ぶらりんの存在なのである。
島国として大陸から距離があることが、著者は「東洋の離れ座敷」と表現しているが、この地理的条件のおかげで、中国文明、西洋文明、アメリカ文明の圧倒的影響を受けながらも、日本人による取捨選択を容易にしただけでなく、直接国土を蹂躙されることもなく今日までやってこれたのである。
しかしながら、地理的条件からいえば欧州に対する英国に近いのにかかわらず、英国とは異なり「海洋国」としての意識が弱く「島国」のままではないか、というのが著者の懸念である。
海洋によって世界とつながっている日本がとるべき道は、太平洋を圧倒的に支配する米国海軍による通商保護体制のもと、必要な軍備を備えた通商国家として、知的能力でもって世界に貢献することではないか、と。
あくまでも政治を権力の観点から捉え、イデオロギーでみることを排した高坂正堯は、現実追随主義ではない現実主義者であった。解説者の中西寛・京大教授のコトバを借りれば、それは「理念を実現するための手段を選択する上での現実主義」である。
京都人特有の柔らかな語り口に潜む、現実認識と強靱な論理によって貫かれた本書は、政治の本質、国際政治の本質を考えるうえで、日本人に残された大いなる遺産であるといえよう。
アクチュアルな問題を論じて本質について語った本書の諸論文は、今後も振りかえるべき古典として残っていくであろう。
紙の本
我が国を代表する国際政治学者であった高坂正堯氏の現代における海洋の問題を早くに予言した書です!
2020/07/16 09:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和期に活躍された国際政治学者であり、社会科学者でもあり、思想家、法学博士であった高坂正堯(こうさか まさたか)の名著です。同書では、海洋国家として政府にしか出来ない長期的な政策課題を二つ挙げられています。一つは「低開発諸国の開発」であり、もう一つは「海の開発」です。同書は、国連海洋法条約が批准される以前に書かれているのですが、海が持つ意味の変容を的確に予言されており、海の持つ資源性に注目が集まり「自由な公道」ではなくなるということを的確に述べられています。同書では「海は残された最大のフロンティア」と述べられ、漁業資源や海の鉱物資源のみならず、自国の防衛にも資すると指摘されています。そして、自らの周辺の環境を知ることは防衛の要諦であるということも主張されている名著です。同書の内容構成は、「現実主義者の平和論」、「外交政策の不在と外交論議の不毛」、「二十世紀の平和の条件」、「二十世紀の権力政治」、「中国問題とはなにか」、「核の挑戦と日本」、「海洋国家日本の構想」となっています。
紙の本
色褪せないその内容
2017/03/30 23:20
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
今から半世紀前に書かれた文章だが、恐ろしいことに現代の安全保障を巡る議論に見事に対応した内容となっている。