- カテゴリ:小学生
- 発行年月:2008.3
- 出版社: 偕成社
- サイズ:22cm/315p
- 利用対象:小学生
- ISBN:978-4-03-540480-4
紙の本
漂泊の王の伝説
著者 ラウラ・ガジェゴ・ガルシア (作),松下 直弘 (訳)
砂漠の王国、キンダの王子ワリードは貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれてしまう。憎しみにかられ、ワリードはその男に難題をもうしつける。人類の歴史をすべて織りこん...
漂泊の王の伝説
紙の本 |
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- 税込価格:16,390円(149pt)
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商品説明
砂漠の王国、キンダの王子ワリードは貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれてしまう。憎しみにかられ、ワリードはその男に難題をもうしつける。人類の歴史をすべて織りこんだ絨毯をつくれ、と。それは、成しとげられない命令のはずであった…。スペインのバルコ・デ・バポール児童文学賞にかがやき世界八カ国で翻訳された、傑作歴史ファンタジー。小学校高学年から。【「BOOK」データベースの商品解説】
【バルコ・デ・バポール児童文学賞】貧しい絨毯織りの詩によって、夢と名誉をうばわれた王子ワリードは、憎しみにかられ、その男に難題を命じる。「人類の歴史をすべて織り込んだ絨毯をつくれ」というその命令は、成しとげられない命令のはずであった…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ラウラ・ガジェゴ・ガルシア
- 略歴
- 〈ラウラ・ガジェゴ・ガルシア〉1977年スペイン生まれ。バレンシア大学で学ぶ。「漂泊の王の伝説」で自身2度目のバルコ・デ・バポール児童文学賞を受賞。
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紙の本
虚栄心からの罪を購うことと許しの物語
2011/12/11 16:55
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この物語は、作者はスペインなのですが、大学時代学んだアラブ古典文学から影響をうけ
想像の沙漠の王国、アラブの世界を作りだしました。
5世紀ごろアラビア半島に実在したと言われるキンダ王国の王子、ワリード王子は、姿も美しく
最高の教育を受け、武術にもすぐれた、人徳もある「国王となるべき人」でした。
ワリード王子は、特に詩作に才能があり、自他ともに認める「一番の詩人」でしたが、キンダ王国
伝統の詩のコンクールで、優勝まちがいなしと思ったところに意外な詩人があらわれ、優勝を
奪われてしまいます。それは、貧しい絨毯織りの男が作った詩を幼い息子がラーウィ(詠み手)
として暗唱した美しく、人々を陶酔させる真実の詩でした。
優勝するとどうなるのか?もちろん賞金も出ますが、何よりも名誉なのは最高の詩人として
神殿の垂れ幕にその名が金文字で掲げられることなのです。
ワリード王子は、賞金など今更必要ない身分、欲しいのは名誉という形のないものでした。
ワリード王子はその特権を利用して絨毯織りを王宮に閉じ込め、無理難題をふっかけます。
最後に「人類のすべてを描いた絨毯を織れ」・・・・絶対に無理だと思ったのに。
いつも王子の心の隅にある、自分より才能のあるさげすむべき身分の低い者への嫉妬。
どうしても、天賦の才能では自分が勝てないことが認められない王子の苛立ち。
しかし、そのことから王子は、絨毯をめぐっての贖罪と探求の冒険譚となるのです。
砂漠の国で、アラビアの雰囲気が満ちた中で、罪を贖うために、ひたすら放浪しなければならない王子。
ワリード王子は暴君ではありませんが、何よりも「自分の名前が掲げられる」という名誉欲と
嫉妬から、なにもかも破滅に導いたことに苦しみ悩み、傷ついて、命を落としそうになっても
ワリード王子のさすらいは続きます。
いくらきれいな言葉を並べても王子の作る恋愛詩は、あくまでも頭の中で創り上げた恋愛に
すぎず、絨毯織りの恋愛詩は本当に愛している人の描写、恋する気持、恋人の崇高さをたたえる
その正直さに人々は称賛してやみません。実はそれが一番よくわかってしまったのがワリード王子なのです。
わかっているけれど、認めたくない。そんな誰でも持つ気持。
この物語は、子ども向けのロマンあふれる物語であると同時に、大人の寓話的な要素をたくさん含んでいます。
時々、この人は口だけのきれいごと言ってるなぁ、とか、偉そうなこと言っていても虚栄心いっぱい
な人だなぁ、などと思うことがあるのですが、ワリード王子はそういう「虚栄心」の象徴であり
そのせいで犯してしまった罪を償うには、どんなに苦しい、辛い思いをしなければならないか、
虚栄心を満たすことに腐心することへの警鐘ともなっており、強欲な人はおそらく満足すること
なくよりもっと・・・という欲を重ねていくだけだ、ということをこの物語は強く訴えています。
しかし、この物語は単なる贖罪の物語ではありません。
命がけの冒険譚、アラビアンナイトのようなめくるめくエキゾチックな美しい描写にの中にとても厳しい筋を通しています。
人類のすべてを織り込んだ絨毯。
それは未来も含みます。作者は、あえて過去という時代を設定してそこから現代へと想いを伝えます。
その伝え方が大変、独創的で読み進めながらただの教訓話ではない、ただものではない、と
身が引き締まるような思いがしました。
紙の本
砂漠の風景、王子の苦悩、数奇な運命…なんておもしろい!出会えたことがうれしくなる物語。
2010/04/25 01:33
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うっちー - この投稿者のレビュー一覧を見る
これだけの深い内容を、難解な言葉を使うことなく物語として一気に読ませる。これだから、児童書を読むのは、楽しい! 作者のストーリーテラーとしての力量に感謝したくなる。確かな歴史観に基づいた、人生への希望と人への信頼を感じさせる物語である。
砂漠にあるキンダ王国の王子ワリードは、生まれたときに「ジン(精霊)が体にふれた」と言われるほど、外見や能力に優れ、心も美しい、申し分のない王子だった。しかし、彼がもっとも望んでいた詩人としての名誉を、ひとりの貧しい男ハンマードに奪われてから、ワリードは、変わってしまう。彼が優勝するはずだった詩のコンンクールで、勝利を得たその貧しい絨毯織りに、ワリードは、嫉妬のあまり無理な仕事をおしつけるのだ。そして、ひとつめの仕事を完璧にこなしたハンマードに、更なる難題を言う。それは、「人類の歴史をすべて織りこんだ絨毯」を織るようにということだった…。
美しくみごとな詩を作るハンマードを、嫉妬から追い詰めてしまうワリード。自分が犯した過ち~罪のないひとりの人間の人生を奪うということ~のおかげで、とりかえしのつかないことが起こり、ついにワリードは、国を出て、砂漠をさまようことになる。罪の意識に苦しみ、つぐなおうとするワリードの、波乱に満ちた生活、人生の変転、彼自信の心の葛藤と成長が描かれる。
未来は、かぞえきれないほどあり、かぎりない可能性を持っていること。個人の意志と夢が、その望むところにつれていくこと。これが、この物語が伝えるテーマだ。過ちを犯してしまう人の心の醜さや人生の厳しさを描きながらも、人類の歴史に希望を感じさせる物語であり、何よりファンタジックな色合いを帯びた冒険物語として楽しめるものになっている。読後、ため息が出るほど満足した。
紙の本
おもしろかった
2017/10/28 11:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
児童書ですが、大人が読んでもおもしろかったです。
王子ワリードの数奇な運命…。
話の運びもわかりやすく、すんなりと読めました。