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高島野十郎画集 作品と遺稿
著者 高島 野十郎 (著),川崎 浹 (監修),西本 匡伸 (監修)
花や果実が置かれた卓上静物と、山野や田園、仏閣などの風景、そして蠟燭を生涯にわたって描き続けた高島野十郎。全画業の主要な作品を、晩年から初期に遡るように収録。彼の思考の軌...
高島野十郎画集 作品と遺稿
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商品説明
花や果実が置かれた卓上静物と、山野や田園、仏閣などの風景、そして蠟燭を生涯にわたって描き続けた高島野十郎。全画業の主要な作品を、晩年から初期に遡るように収録。彼の思考の軌跡が綴られた遺稿も全文掲載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
高島 野十郎
- 略歴
- 〈高島野十郎〉1890〜1975年。福岡県生まれ。東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業。画家。世の中の趨勢に見向きもせず、主に個展を作品発表の場とし一貫して写実を追究する。
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紙の本
ぜひ福岡県立美術館へ
2019/10/24 12:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はるはる - この投稿者のレビュー一覧を見る
蝋燭やからすうりの画で有名な画家である。死後に評価が高まったという所は、画家が若いころ影響を受けたというゴッホのようである。福岡県立美術館は、画家の作品を多く収蔵し、新たに寄贈を受けた作品も含めて、現在、高島野十郎展が開催中でわずか300円で鑑賞できる。画集を手に取るだけでなく、ぜひ福岡県立美術館へ足を運んでほしい
紙の本
死ぬまで好きな絵を描いていたからといって、幸せだったとは思えないんです。孤高の芸術家?いえ、私には孤独な画家としか映らない。人間の幸せってなんだろう、って思います。
2008/09/18 18:26
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKの美術界に及ぼす影響力って、大きいなってつくづく思います。美術好きの間で言われているのが「『日曜美術館』でとり上げられる前に行け」。あの番組で放送される、それだけで混雑度が軽く倍は違います。それ以外にも日本放送協会には『迷宮美術館』、NHKスペシャル、ニュースといった強力打線がある。
しかもです。そのあとで会場に行けば、テレビ番組でゲストが喋っていたことを、己の知識かのように語る輩の声が雲霞のごとく飛び込んできます。NHKご推薦で世評が固まった代表的な画家といえば、まずは若冲、次が田中一村、そして高島野十郎、私はそう思っています。無論、作品自体に魅力があることも事実ですが『日曜美術館』なくして彼らの今の評価はなかったんではないでしょうか。
なかでも一村などは、会場で売っている図録もNHKのものだったりして。でも高島野十郎のこの本は違います。ある意味、日本人画家の画集と言えばここ、といってもいい求龍堂が版元。しかも、何かとタイアップした気配もありません(ま、私の情報網に引っ掛からないだけかもしれませんが)。
おまけに造本がとってもいい。久しぶりに手にする本格的な画集で、ハードカバーゆえにずっしりと重たく、その堅牢さが高島野十郎の作風にピッタリです。本当はもう一回り大きな版型のほうが画集らしいとは思いますが、こればっかりは価格影響するし、それが売れ行きにも響くので軽々しくはおねだりできません。でも立派。そんな装丁は晴山季和。
作品のいくつかはテレビで放送されたもので、ビデオで録画してある筈ですが、たしか作品はローソクを描いたものと、空、からすうりが中心だったような気が。そういう曖昧な記憶に対して、まず、カバー画の 割れた皿(部分) c.1958 福岡県立美術館蔵 が「おお」と驚かせかす。日本画といってもいい、或は高橋由一が描いたといっても肯いてしまう古風な作品です。
表紙画の 桃とすもも(部分) 1961 も似たような印象。そして前見返画には、私が惚れ込んでいる からすうり(部分)。そういう意味では後見返画 葡萄(部分)もいいです。余談ですが、画家さんにとって葡萄っていうのは描き易いんでしょうか、感心する作品が多い。洋画、日本画、写実、デザイン的なものを問わず、私はそう思います。
カバー後の折返しには
全宇宙を一握する、是写実
全宇宙を一口に飲む、是写実
高島野十郎遺稿『ノート』より
とあります。実は今回のメインは、画であるよりも、この高島野十郎遺稿『ノート』にある、といってもいいかもしれません。それについては巻末で監修者の一人である川崎 浹が詳しく書いていますのでお読みください。西本匡伸が伝える高島像とともに、画家というものの孤独、いや孤独な画家というもののありかたや晩年の寂しさが見事に浮かび上がってきます。そうか、やっぱり施設に入るのはいやなんだ、とか。
でも、私はそういう悲惨に目を背けひたすら画業のほうをおいかけます。目次と、その章に掲載された作品のうちで特に印象に残ったものを列記していきましょう。
1 月/太陽:1962~1967年までの、月、太陽をテーマにした作品
個人的には 4 満月、5 月、が好き
2 一九四五‐一九七五:静物、風景、花など
個人的には 11 からすうり、12 さくらんぼ、13 すもも、14 洋梨とすもも、15 古池、22 早春湖畔、23 すいれんの池、24 割れた皿、25,26 壺とりんご、39 りんご畑、54 れんげ草、69 睡蓮、が好き
3 蝋燭:1912以降に描かれた蝋燭の小品群
個人的には 11 からすうり、12 さくらんぼ、13 すもも、14 洋梨とすもも、15 古池、22 早春湖畔、23 すいれんの池、24 割れた皿、25,26 壺とりんご、39 りんご畑、54 れんげ草、69 睡蓮、が好き
4 ノート:高島野十郎が書き残した『ノート』の全文
5 一九一四‐一九四三:自画像、静物、ヨーロッパの風景など
個人的には 90 静物、109 秋たけなは、121 壺とりんご、が好き
6 解説・年譜
日誌から発見した野十郎 川崎 浹
野十郎『ノート』註釈 川崎 浹
高島野十郎
その生としての画、あるいはその画としての生 西本匡伸
高島野十郎 年譜 西本匡伸・編
掲載作品目録
大きな作品は意外と少ないです。それといい作品にはちゃんとした所蔵者がいる。大学だったり美術館だったり。個人的な発見は、ヨーロッパ風景です。小品ばかりですが、これが実にいい。それと静物。年代の古い暗い感じの壺なんて、いいです。存在感があって、暗いけれど我が家にも飾りたい、って思います。
こんなに凄い画家が、実は東京帝国大学農学部水産学科を首席で卒業している。藝大ではないんです。東大農学部水産学科。あとは独学。豊かさとは縁がなかったかもしれませんが、不幸ではなかったと思います。無論、外から見れば悲惨、ともとれる晩年ではあります。でも、芸術家にとってはこれもまた一つの選択。ただし、彼が亡くなったのは明治のことではありません、1975年。
私と同じ空の下で、同じ空気を吸っていたんだ・・・
ちなみに、最初は凄いと思って見た印刷ですが、よく見ようと目を近づけてみるとかなりドットが目立ちます。写真誌のようなノペットした美しい印刷ではありません。写実的な作品を扱う画集では読者は必ず目を近づけます。この画集の印刷レベルではそういった読者を満足させることは出来ません。そういう人はあくまで美術館に行って実物で確認?
でもミルキィ・イソベ『ブックデザイン ミルキィ流』(毎日コミュニケーションズ2008)と見比べてみてください。イソベの本は値段は安くても、印刷レベルも内容もこれぞお手本といえるもの。どんなに目を近づけても、図版がドットの集合に見えることはありません。理由は色々あるんでしょうが、やればできるんです。次は美術本出版老舗の意地を見せてください。