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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.4
- 出版社: 扶桑社
- サイズ:20cm/284p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-594-05584-4
紙の本
大和ごころ入門 日本の善によって現代の悪を斬る
国家権力の中心にいた、参議院のドンと外務省のラスプーチン。人生の転機となった逮捕・拘留の後、見えてきたものとは。そして、日本を救うためにするべきこととは。危機に喘ぎ始めた...
大和ごころ入門 日本の善によって現代の悪を斬る
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商品説明
国家権力の中心にいた、参議院のドンと外務省のラスプーチン。人生の転機となった逮捕・拘留の後、見えてきたものとは。そして、日本を救うためにするべきこととは。危機に喘ぎ始めた日本の真姿について語り合う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
村上 正邦
- 略歴
- 〈村上正邦〉1932年福岡県生まれ。KSD事件で東京地検特捜部に逮捕、上告中。
〈佐藤優〉1960年埼玉県生まれ。外務省主任分析官として活躍したが、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕、上告中。
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紙の本
スリリングな「思想の対決」
2008/04/23 12:08
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:喜八 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『大和ごころ入門』扶桑社(2008)。村上正邦さん(元労働大臣)と佐藤優さん(起訴休職外務事務官・作家)の対談本です。
村上正邦さんは「KSD事件」で、佐藤優さんは「鈴木宗男問題」で「国策捜査」の対象となり、「かなり疑問のある裁判」を経て(※)、それぞれ有罪となりました。村上正邦さんは先日最高裁で有罪・実刑が確定。佐藤優さんは一・二審で執行猶予付き有罪判決を受け現在上告中です。
(※検察官がひとたび「有罪」とスジを書いたら即「有罪判決」となるのが日本の司法なのか?と思ってしまいます)
村上正邦さんといえば「憲法改正(大日本帝国憲法への回帰)」を主張し、「元号法制化」「国旗・国歌法制化」に奔走し、天皇を中心とした日本国家を理想とするバリバリの右派政治家です。したがって「リベラル」「市民派」「左派」の方からは頭から忌避されてしまいそうですが・・・。
村上さんは「意見が違う他者」を頭ごなしに否定することのない、多元主義と寛容の人でもあります。それは「元・日本共産党幹部」の筆坂秀世さんや「自他共に認める小沢一郎の参謀」平野貞夫さんとの鼎談本『参議院なんかいらない』『自民党はなぜ潰れないのか』を出されていることからも察せられます。筆坂秀世さんは、村上正邦さんが「参院のドン」といわれていたころ、共産党の意見もきちんと聞く、自民党議員としてはきわめて公平な人であったことを証言しています。
佐藤優さんによれば、村上正邦さんはたとえ年下の相手であっても呼び捨てや「~くん」付けにすることなどなく「~さん」と丁寧に応対されるらしい。そして城内実さんから聞くところでは、普段の村上さんは笑顔を絶やさない至って穏やかな方なのだそうです(ただし「いざ」というときは大変な迫力らしい)。城内さんは「村上先生こそ真の国士です」と仰っていました。
一男三女のよき父親で、昭和43年(1968)に生まれた末っ子のお嬢さんはダウン症という障害を持っていました。そのお嬢さん明子さんとは「どこへ行くのも一緒」。パーティでも、コンサートでも、旅行でも、村上正邦さんと奥様とお嬢さんの3人で出かけるそうです。この話を『証言 村上正邦 我、国に裏切られようとも』講談社(2007)で初めて読んだときは思わず涙がこぼれました(私《喜八》は涙もろい男なのです)。
あたかも「兵法家」のようなごつい容貌。南北朝動乱時の南朝武士のような佇《たたず》まいの村上正邦さんですが、その言葉使いには優美なところがあります。自ら詩と俳句を詠む習慣をもつ村上さんが紡《つむ》ぎだす言葉は、たとえ政治分野の発言であっても、叙情的とさえ感じさせる一瞬があります。剛毅にして繊細、繊細にして剛毅。なんとも不思議な印象の方です。
「KSD事件」で逮捕されて以来約6年経ったいまでも、村上正邦さんを慕って多くの人が集まってきます。『大和ごころ入門』で佐藤優さんが指摘しているように「いまの村上先生に直接的な見返りを求める人はいない」(同書177頁)。それなのに立派な人たちが村上正邦さんを応援している。これはまさに「奇跡的な」光景ではないでしょうか。
残念ながら、先にも記したように、村上正邦さんの実刑・有罪は確定してしまいました。日本の国のために精一杯働いてきた村上正邦さん、城内実さんが「真の国士」と呼ぶ村上正邦さんが70代の半ばにして刑務所に収監される。「なんとも無残」というしかありませんが・・・。村上正邦さんは必ずや不死鳥のごとく復活されるでしょう。「憂国の古武士」には「最後の働き場所」が用意されているに違いない。それが「天命」であると私(喜八)は堅く信じます。
『大和ごころ入門』における村上正邦・佐藤優対談は大変に興味深い問題を多く含んでいます。村上・佐藤で真っ向から意見が対立することも多々あります。たとえば憲法改正問題では、村上正邦さんは現行憲法はアメリカによる『占領基本法』であるから速やかに自主憲法を制定すべしと主張する改憲論者です(※)。そして佐藤優さんは現行憲法の全条を護持するべきと主張する自称「かなり強力な護憲派」です。「国旗・国歌」問題でも、法制化に尽力した村上さんに対して、佐藤さんは国旗・国歌は法制化に馴染まないと反論する。お2人とも「自分とは違う意見」を正面から受け止め、大人の態度で議論を進めていく。非常にスリリングな「思想の対決」を見る思いです。
(※ただし、村上正邦さんも「今の二世三世の議員」「一般庶民の生活も知らなければ苦労も分からない」「親の財産をそのまま受け継いで努力も何もしない」者たちによる改憲には反対しています。「今は憲法を変える時期ではない」とも発言されています。『証言 村上正邦 我、国に裏切られようとも』237頁)
ご興味のある方は『大和ごころ入門』を一読されてみてください。「右・左」「国権派・民権派」「改憲派・護憲派」の違いを超えて、得るところが多い一冊であると思います。私(喜八)の場合は「もっと日本の古典を読もう」「吉野に実際に行ってみよう」と思うようになったのが、本書『大和ごころ入門』の最大の収穫でありました。