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紙の本
人間通 (新潮選書)
著者 谷沢 永一 (著)
社会で重んじられる人になるために必要なのは、ただひとつ、他人の心がわかること。人の最高の喜びは周囲から認められること。それでは、平成の世の日本で、悔いのない人生を送るには...
人間通 (新潮選書)
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商品説明
社会で重んじられる人になるために必要なのは、ただひとつ、他人の心がわかること。人の最高の喜びは周囲から認められること。それでは、平成の世の日本で、悔いのない人生を送るにはどうしたらよいのか?「人と人」「組織と人」「言葉と人」「本と人」「国家と人」について、深い人間観察を六百余字に凝縮した現代人必読の人生論。【「BOOK」データベースの商品解説】
平成の世の日本で、悔いのない人生を送るにはどうしたらよいか? 「人と人」「組織と人」「言葉と人」「国家と人」について、深い人間観察を600余字に凝縮した現代人必読の人生論。文庫収録時の桂文珍との対談を加えた。〔1995年刊の増補〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
谷沢 永一
- 略歴
- 〈谷沢永一〉1929年大阪市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。同大学名誉教授。専門は書誌学、日本近代文学。著書に「紙つぶて」「司馬遼太郎の贈りもの」「聖徳太子はいなかった」など。
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紙の本
書評とは何か
2010/01/04 05:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:狸パンチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家の谷沢永一さんが、人間(とりわけ俗世の)とはどういうものであるかをつづったアフォリズム集です。小見出しでつづってみると、人間とはいかに「吝嗇」で「臆病」で、すぐに「羨望」や「嫉妬」をする存在であるかを、谷沢さんなりの「倫理感」で「言葉を練る」ことをしながら、「霞ヶ関幕府」などを「意地悪」に「引き下ろし」をしたりしている本です。項目はもっとありますが、私の筆力ではすべてをつかってしゃれ込むのは無理なので、このくらいにしておきます。
アフォリズム集ですから、どこから読んでもいいし、自分が気になる言葉を拾い読みできる本です。谷沢さんは、性悪説に立っていますから、ときには自分が説教されているような気分にもなりますが、それはそれで楽しいものです。
そのなかで、「書評とは何か」について考えさせられる指摘を見つけましたので、長くなりますが引用したいと思います。
「書評に重きを置き書評文化を高めるのに最も功のあったのは昭和十年代の戸坂潤であるが、嘗ての書評は或る一冊の内容を要領よ掻い摘んで紹介するのを眼目とした。だから懇切な摘要を絞りあげるのに筆者はおおいに努めたものである。それとは全く逆に現代の書評は著者をそっちのけにして、専ら書評筆者の見識を披瀝する場となっている。昔は如何に簡潔な要約を提示するかが腕の見せどころであった。今は或る一冊を材料(だし)にしてどれほど巧く話を持ってゆき、評者がどれほど眼光炯々たる洞察力の持主であるかを見せびらかす識見展示会(ファッションショー)となった。一般読者が畏れ入って近寄ろうとせぬ所以である」
書評をどう書くかというのは難しい問題ですね。たしかに谷沢さんが言うように本をだしにして、自分の意見を縷々語る評者も新聞でよく見かけます。ただ、摘要というか梗概になってしまうと、読者にとってはその本をもう読む必要がなくなってしまいます。
折衷案をとるとすれば、「内容がうまく要約されていて、それゆえに本の全部や細部を読みたくさせるような書評」が谷沢さんの言う、よい書評なのでしょう。その塩加減は職人芸ですね。でも、本が主要な知的なメディアだった時代に、そういう職人的書き手が数多くいたのかもしれません。昔の新聞雑誌の書評欄を見てみたいものです。