紙の本
小栗虫太郎氏のペダントリー溢れる長編探偵小説です!
2020/05/22 10:02
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、明治から戦前に活躍した小栗虫太郎氏の長編探偵小説です。全編にわたって膨大な衒学趣味(ペダントリー)に彩られており、夢野久作氏の『ドグラ・マグラ』、中井英夫氏の『虚無への供物』とともに、日本探偵小説史上の「三大奇書」、「三大アンチミステリー」に数えられている書でもあります。内容は、名探偵が広壮な屋敷内で起こる連続殺人事件に挑む、という探偵ものなのですが、同書の大きな特徴は晦渋な文体、ルビだらけの特殊な専門用語が多用され、そして何より、殺人事件の実行、解決としては非現実かつ饒舌すぎる神秘思想・占星術・異端神学・宗教学・物理学・医学・薬学・紋章学・心理学・犯罪学・暗号学などの夥しい衒学趣味(ペダントリー)が述べられている点で、そうした装飾が主筋を飲み込んでいる感じもする壮大な作品なのです。江戸川乱歩氏も大絶賛したというわれる同書を、一度、読んでみられては如何でしょうか。
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はい。日本三大奇書のひとつですね。ドグラマグラもまだまだ読みかけですが、この本も俄然読みかけです。ドグラマグラのほうはなんとかまだ読破できそうな気はするんですが、こっちのほうはさっぱり読み終われる気がしません。正直、読んでいてまったく意味がわかりません。困難でいいんかって気になってくるけど、それでもここでやめたらおしまいだって気持ちで読んでるわけですよ。きっといつか気が狂う。そんな気にさせてくれる捻じ曲がった感じの不思議ワールドです。
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1934年(昭和9年)。三大奇書、第一弾。
小栗虫太郎の代表作。夢野久作「ドグラ・マグラ」、中井英夫「虚無への供物」と共に、本邦ミステリの三大奇書と呼ばれている。重厚長大で密度の濃い内容のためマス・ミステリ(大推理小説)とも呼ばれており、噂に違わず難解で、衒学趣味の定義そのもののような作品である。
黒死館と呼ばれる屋敷で起きる連続殺人事件を主題とする。猟奇的殺人に始まり、切れ者の探偵が登場して、犯人を特定して解決する、形式としては古典的な本格ミステリ。
しかし、物語を装飾する為に語られる薀蓄の量がハンパではない。トリックはとても把握しきれず、面白かったのか面白くなかったのかさえ、よく分からないという始末だった。読んでいるうちに何だか謎解きはどうでもよくなってきて、引用されている文献は実在するのか、とか、学術的知見はどこまで本当なのか、とか、最後までこのテンションでいく気なのか、とか、本筋と関係ないことの方が気がかりになってくる。
知識に耽溺したい活字中毒者のための本。読む時には、百科事典またはウィキペディア、独語辞典などが傍らにあると良いかもしれない。
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日本3大奇小説のひとつだそうで。
作者がとてつもない知識を披露してくれます。それを延々と読まされる小説。
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日本三大奇書の一つである本書。
僕が本格的に小説にのめり込むキッカケとなったのは、同じく日本三大奇書であるところの夢野久作『ドグラ・マグラ』を読んだことから始まったのだけど、この『黒死館殺人事件』はそれほど評価に値する小説とは思えなかった。
確かにその衒学ぶり博覧強記ぶりはその真贋を抜きにしても特筆に値する。
だけど肝心の小説としてはあまり面白いものではなかった。
まずその衒学的な引用部を読むのが徐々にだるくなる。
知識をあれだけ披露しておきながら悉く推理を外している法水は刑事として如何なものか。
一応の犯人は判明するのだけど肝心の動機が真偽の怪しい衒学的な心理学に頼っているため弱い(これは解説で澁澤龍彦も指摘しているが)。
なのでミステリーとしてはあまり褒められたものではないだろう。
こういう小説もあるのだな、という学習にはなるが、あまり日本三大奇書という触れ込みに期待し過ぎると肩透かしを喰らうと思う。
小栗虫太郎自身の主義主張がもう少し感じられたならば評価も変わったはずだが、あまりにも人の褌で相撲を取っているところに作家としての「逃げ」のようなものを感じた。
それでもここまで小道具を駆使して書き切ったところは及第点をあげたい。
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黒死館の当主、降矢木算哲博士の自殺後、屋敷の住人を血腥い連続殺人事件が襲う。奇々怪々な殺人事件の謎に、刑事弁護士である法水麟太郎が、膨大な学識と心理分析を駆使して挑む。日本三大奇書のひとつ、中世趣味や衒学趣味(ペダントリイ)がちりばめられた一冊。
「不在証明、採証、検出――もうそんなものは、維納第四学派以降の捜査法では意味はない。心理分析だ。犯人の神経病的天性を探る事とその狂言の世界を一つの心像鏡として観察する――その二点に尽きる。ねえ支倉君、心像は広い一つの国じゃないか。それは混沌でもあり、またほんの作りものでもあるのだ。」
一読では理解できず、二読目は出来事をメモする始末。大量のルビ付き片仮名のペダントリイが読解の邪魔をする。従来の探偵小説だと思ってかかると、チットモ読み進まない。妄想に過ぎない数々の推理、膨大な学識、不完全な動機―。だけど、いったん没頭すると、グイグイと作品世界にのめり込む。じっくり味わって読むと、ストーリーの粗まで見えてくる。衒学、呪術、中世趣味などなどなど、マニアックさを求めているのなら、ぜひともお試しあれ。
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法水麟太郎シリーズ
1月28日の朝、グレーテ・ダンネベルグ夫人が毒殺されたとの一報。過去、黒死館で発生した3度の動機なき変死事件。算哲の弟夫婦の死と算哲自身の死。現場の部屋へ。遺体が発光しており、両こめかみに紋章の文身が。死因はオレンジに混入された青酸カリ。現場は施錠された密室だった。"テレーズ"と記されたメモ。ダイイングメッセージ?自動人形の部屋(鍵が紛失している。薬物室のも)の調査。死体のある部屋に戻る。川那部易介が失踪。久我鎭子談・昨夜の出来事。交霊会でのタンネンベルク夫人の「算哲」という言葉の謎。現場は過去の変死事件により、開かずの間だった。なにかに怯え、この部屋に避難した被害者。異様な神意審問会。
算哲が6人の殺人方法の予言を描いた黙示図川那部易介が甲冑から窒息死体で発見される。時計室へ。押鐘津多子が倒れている。機械仕掛けのテレーズの幻影。火術弩でクリヴォフ夫人が狙撃される。算哲・ディグスビイ・テレーズの関係。事件の動機。伸子が中毒で倒れる。演奏会中、クリヴォフ夫人が刺殺される。殯室へ。レヴェズが首を吊っている。
広間へ。ディグスビイと久我鎭子に関する報告。図書室へ。久我鎭子の訊問。カルテットの秘密。ダンネベルグの部屋へ。算哲の影が。礼拝堂へ。旗太郎、セレナ、伸子の訊問。事件解決。翌日の午後。伸子が射殺されてしまう。
2009年5月1日購入
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読了。三大奇書を読み終わりました~。
>工事中. . .
(後日追記)
もう内容を忘れかけてきています。
三大奇書シリーズの中では、一番読みやすかったような…。
やたら横文字が出てくるのは辟易したけど、
「事件」というだけあって、推理小説の体をなしていたし、
最初から主人公(?)キャラがたっているだけあったぶん、
現代っ子の僕にも読みやすかったです。
でも、奇書というだけあって、
トリックもぶっとんでいるし、本当の映像化不能というのは、
こういう作品を言うのでは?
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この本をニヤリと笑って読むにはどんだけの知識が必要なのか、
考えただけで倒れそうになる。
会話も解説も全てが芝居がかっている。
不可思議な死の状況から、トリックを暴こうとするが
抽象的過ぎて理解できない。
もはやトリックなんてどうでもいい。
犯人と、動機が知りたい。
法水の薀蓄や詩の引用は軽く流しながら読み続け
最後の方で出てきた呪いの正体に愕然としてしまう。
悪趣味としか言いようが無い。
そして因果応報の神(ネメシス)に納得してしまった。
最後まで芝居じみたこの話の最後の言葉は
閉幕である。
やはり奇書だわ・・・
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あまりに広範囲にわたる蘊蓄に正直お手上げ状態でした;
それでも犯人は知りたくてなんとか読了。
黒死館の秘密には驚きました…。結局面白かったんだと思います。
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黒死館の当主降矢木算哲博士の自殺後、屋敷住人を血腥い連続殺人事件が襲う。奇々怪々な殺人事件の謎に、刑事弁護士・法水麟太郎がエンサイクロペディックな学識を駆使して挑む。江戸川乱歩も絶賛した本邦三大ミステリのひとつ、悪魔学と神秘科学の結晶した、めくるめく一大ペダントリー。
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これと、安吾の不連続殺人事件と、中井秀夫の虚無への供物の三冊があれば無人島でも生きていけると思うwww
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中味が濃厚で、章毎の区切りが判然とし過ぎて居る為に、章を読み終わる度に"満腹感"を覚える。併し猶も"腹が避ける迄喰らい尽くしたい、貪りたい"と云う複次元的、或いは極人間的な貪欲の感覚に則り、更に頁を捲って仕舞う。
惹き込まれる程に理解させようとはせず、置去りにされて呆然と立ち尽くし、(自棄的な)虚しさを感じさせるでも無く、押し引きを繰返し、恰も此の本其の物が"音楽の旋律"かの如く、鍵盤の上を往く指の如く、rhythmicalな調子で読み進めさせる本―飽く迄凡てに於いて"使役的"な一冊だと感じた。
歌合戦と云う奇特な遣り取りを記し、其処から相手の心理を探り得る法水。その歌さえ、洗練された言葉が鏤められている。全てが暗号化された、不思議な空間である。
叉、登場人物の発言の中にもある様に、黒死館の"悪魔"は矢張り法水に違いは無いのだろう。
本書にはミステリ小説としての面白さは殆ど無い。本来、加害者の心理等に興味を揺すられるのが、ミステリ小説共通の醍醐味とも云えるだろう。それが、此の本ではソレが無く、探偵である法水の頭脳の俊敏さに圧倒される許りで、心理的な物が一切無い。
三大奇書の内の「ドグラ・マグラ」/夢野久作 よりは遥かに読み易く、全体的に易しい(或いは筆者、小栗の"優しさ")印象を受けた。(奇書、と称すには正直の処、違和を覚える。)
読み詰まる事無く、面白く読み進められたが、語句撰びに関しては秀逸・流麗で在り乍ら、(カテゴリ上、致し方無い事だが)会話文が多過ぎる面では小説として、叉、言葉の有つ繊細さ・美麗さを重視するには不足に感じる。奇書と云うには"奇"の要素が少なく、巧妙なトリックの荘厳さを感じさせるのみではある。
登場人物の人格形成は精緻さの窮みで在り、恰も『黒死館』と称した"人形舘"を想わせる世界が繰り広げられて居る様に感じた。そして其の人形を弄る事が、此の本の、・・或いは小栗の趣旨でも在る気がする。
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本棚のタイトルはこの本からです。
別にキーワードとかではありませんが。
ストーリーについてははぐらかされてる感が否めないが私みたいな趣味の人間にはたまらない一冊。
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青空文庫でiPhoneにDLして読んでみた。
全く違和感なし。
電子書籍でいいじゃん。
内容は呆れるぐらいの知識のひけらかし。
ここまで行くと素直に関心。
一度は読んでおきたかったので、いい経験でした。