紙の本
自らの正義を諦めない
2016/09/18 14:37
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投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
トラックの脱輪事故で若い母親が亡くなる事件がかつてあった。
トラックの整備不良かトラックの欠陥か、亡くなった家族と運送会社、トラックメーカーのそれぞれの視点から事故の原因に迫っていく。
企業倫理が問われるサスペンス。
自己の責任を負わされる運送会社が企業の責任を暴いていく。それは並大抵の苦労ではない。証拠を全て握っているのは企業側だからだ。執念の闘いだ。
紙の本
空飛ぶタイヤ
2013/01/15 22:29
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投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
何という感動、胸のすく結末。そこに至るまでの暗闘。長さを一切感じさせない密度の濃い構成。著者には他に多くの著作があるが、この書がなぜ注目されていなかったのかと大いに疑問。多くの書評家たちは何を読んでいるのか。銀行に留まらない新たな池井戸ワールドを堪能してください。早、文庫本にもなっていますね。
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面白い!本当に読み出したら止まらなかったなあ。実は今、夜の布団の中でこの本を、日中は「図書館戦争」を、会社に出勤したら朝の空き時間に別の本を、、都合3冊同時。しかし、布団の中で読みだしたら止まらない、朝起きたら読みたくなると、、、これは困った一冊でした。同じ池井戸さんの「下町ロケット」より先に書かれた作品で、まえからこの本と「鉄の骨」と「下町ロケット」が面白いとは聞いていました。
構図的には下町ロケットと同じで中小企業と大企業、それに銀行が絡み、内部では自己保身が渦巻く構図なんです。下町ロケットが直木賞でしたが、この作品は第136回の直木賞候補作品でした。しかし、その時は「該当作なし」という結果に。でも、これも直木賞だよなって思ったけどなあ。ただ、この作品は三菱自動車のリコール隠しの事件と密接に関係する部分で、少し弱かったのかな。しかし、「下町ロケット」を読む前にこの本を読んでいたら、私の評価は「下町ロケット」を上回るものになっていたでしょう。
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トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも…。自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族…事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして「容疑者」と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともにたったひとつの事故の真相に迫る、果てなき試練と格闘の数か月。
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果たして自分の会社が窮地に陥った時に、この本のような中小企業の社長でいれるのか?多くの企業が事故原因は整備不良で泣き寝入りをしている。しかし、社員を信じあくまでも戦いその結果、会社も危機に陥り、それだけでなく、家族にも被害が及び、子供はいじめにあうという状況にもかかわらず、真相究明にのために戦うのは、罪なき人が事故に巻き込まれて亡くなったことにしたする無念さの共感によるものだろう。
「空飛ぶタイヤ」と「下町ロケット」。。。空を飛ぶのはロケットだけにしてほしいものだ。
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大企業の横暴の中、真面目に頑張る
中小企業頑張れ!!
世界に誇れる
日本を支えてるのはこういう企業だ!!
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久しぶりの大当たりといえる小説だった。
巨大企業であるホープ自動車に立ち向かっていく小さな運送会社の社長:赤松。
財閥系の非常識な常識に、何度もプライドを粉々にされ、絶望しながらも立ち向かい続ける。
このあくなき執念に目頭を熱くした。
現実の世界で起きた数年前のM自動車のリコール隠し事件。
このことを嫌でも思い出してしまうため、妙なリアリティがある。
しかし恥ずかしながらオレ自身とすれば、赤松よりも大企業側の担当者に感情移入してしまった。
「自分の場合だったらどうするだろうか・・」なかなか答えが出せなかった。
ネタバレになってしまうが、最後は赤松の努力が報われる。
出勤途中の朝食時、ドトールコーヒーで読み終えた際に思わず泣いてしまった。
サラリーマンのみならず、ぜひ読んでいただきたい小説。
おそらくは後悔しないのではないか。
なお見逃してしまったが、この「空飛ぶタイヤ」は4月にWOWOWでドラマ化されたようだ。
やはり題材としてM自動車のリコール隠し事件が連想されるため、CMのある民放では無理だった様子・・。
しかし1点解せない理由がある。
主人公とも言えるべき赤松運送の赤松社長。
小説の表現を借りれば「かなりしょぼいオヤジ」「髪も薄くなり疲れきり、脂の浮いた額」・・
それがドラマの中では仲村トオルだそうです。
やっぱりドラマだね〜(笑)
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ぱっとみで購入。
事故を巡るそれぞれの箇所の
動きとか人の考え方がよく書かれている
○○だから安全だ!だから...。
自分たちで解決の糸口を見つけようとする
姿勢や仕事だけではない人生が垣間見える。
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タイヤ脱落死亡事故の嫌疑を負わされた運送会社社長の赤松。財閥系自動車会社の不具合に対して論証すべく立ち向かう姿は圧倒されます。メモ。(1)悪意と正義は紙一重だ。不満が言えるのも会社あってのこと(2)いつか風向きが変わる時が来ますって。それまで歯を食いしばってやれることは全てやる。今はそれしかない。(3)俺は納得出来ない。割り切れないんだ(4)この男もまたサラリーマンだな、と思った。会社の都合と個人の都合を使い分け、体良くつつがなく定年まで勤めようとするサラリーマンだ。
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整備不良で飛んだトラックのタイヤが人を殺したけど整備不良じゃないとトラック会社が奮闘する話。話の上げ下げが上手い。
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山頂は分厚い雲に覆われて見えない。
歩いているときには、登っているのか、下っているのかもわからない。
それでも、雲が切れ、登頂できるのは、歩き続けたもののみ。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○”社員には経営者の発想で仕事しろいってるんです”って。だから私はいったわけ。”じゃあ、あなたの会社はみんな社長さんと同じ給料をもらっているんですね”(P.172)
○つらい時、人はそれがいつかは終わると確信しているから強くなれる。だが、いつ終わるとも知れない戦いがもたらすものは、絶望と脱力だ。(P.231)
○会社がヒトでできているのなら、会社が本当の終焉を迎えるのは、金がなくなったときではなく人がいなくなったときだ。(P.242)
○サラリーマンである以上、給料が下がる転職は決して成功とはいえないと沢田は思う。(P.362)
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トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも……。自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族など、事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして「容疑者」と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともに事故の真相に迫る。オヤジの戦いに思わず胸が熱くなる! 直木賞候補となり、選考委員の高い評価を得た、イッキ読みの圧倒的エンターテインメント巨編!
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赤松運送のトラックのタイヤが外れて起きた死亡事故。何故起きてしまったのか? 赤松運送の整備不良なのか、自動車会社の製造欠陥なのか?
読み手の立場で感情の置場が異なる作品かもしれない。「自分がこの立場ならどうするだろうか…」そんなことを考えてしまう。
大企業には大企業の、中小企業には中小企業のその持場立場でなければわからない世界があるであろうから、私ごときがその体質云々を語ることはできないけれど、一つだけ言える事は勧善懲悪。そう、正義は必ず勝つということ。悪事は必ずや明るみに出るということだ。
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「負けない」ことが如何に難しいか。勝つことはそれ以上。運を味方に人から応援してもらい、家族に背中を支えてもらう。だとしたら、自分に負けないこと、勝つことなど簡単だろ?
それが出来れば、パパはもっと話をしているね、きっと。
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2段組み500P弱。長かったが読み応えのある作品だった。実際に起こった大型トラック脱輪死亡事故やリコール隠しがモデル。ホープ自動車と名を変えているけど、誰しもあの企業では?と分ってしまうが大丈夫なんだろうかと心配になってしまった。財閥系大企業の腐りきったエリート意識、顧客であるはずの中小の運送業者は虫けら扱い。巨悪に立ち向かって満身創痍になりながらも筋を通し諦めなかった赤松にエールを送り続けながら読んだ。また、色々な方面から銀行が絡んでくることで面白さが増したと思う。著者が元銀行員ときき納得。
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今話題の池井戸作品を読みました。
この人の本、実は2作目です。
下町ロケットも読まず、ロスジェネの逆襲を発売当時に
読む(前の2作は全く触れずに)というよく分からない
読み方をしていました。
ロスジェネも、続編と知らずに読了する始末。。。
そんなこんなで、しばらく池井戸さんには触れてきません
でしたが、この空前絶後の半沢ブームに乗っかり、
ドラマも毎週見ています。
そんでもって、ドラマの原作には手を出さずに、空飛ぶタイヤに
手を出しました。
この題名見て、最初はホンワカストーリーだと思っていたのですが、
まったくの間違い。
運送屋の配送トラックが、人身事故を起こすところから物語がスタートします。
そんでもって、この事故の責任はだれにあるのか?整備はちゃんとしていたの
に。。。
という所から、トラックのリコール問題まで発展していき、、、
運送屋の人間関係、運送屋の社長の息子の学校問題、銀行、自動車会社、自動車販社
それぞれの立場の人間が、それぞれの立ち位置でこの問題に翻弄されている姿が
描かれて
いますが、完全にこれ三菱自動車のリコール問題のお話です。
三菱重工、三菱UFJ銀行等々。。。
これを読んでしまうと、三菱の車乗りたくないわ!という人出てくるんじゃないかと
不安になるくらいインパクトがでかい。
いやーな奴も色々出てくるんですが、中でも一番ストレスたまるのが、主人公の
運送屋の
社長が、小学校のPTA会長をやっている(押し付けられてる)んですが、そこ
に文句を
言ってくる女王蜂と呼ばれるおばさん。
こいつが完全におかしなおばちゃんなんですが、絶対にいるんですよね。どこに
もこういう人。
子供が学校に入ると、どうしても出会うんだろうなぁと思いながら、なるべく避
けたい道ではある。
余分な話になりましたが、やっぱり人気出るには理由がある。
この作品おススメです!
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基本面白いし、引き込まれる。それぞれの登場人物のプライドや情熱に。狭い社会の通念に毒されてまともな考えができなくなってくる。サラリーマンには身につまされる。
ただ、題名や目次が、ふざけていて軽くて、内容と合っていず、いまいち。この題名を見てこの内容を想像できる人はいないだろう。
P172
社長「社員には経営者の発想で仕事しろと言っているんです」
インタビューアー「じゃあ、あなたの会社はみんな社長さんと同じ給料をもらっているんですね」