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著者は元製薬会社の研究員。化学物質についてとても分かりやすく説明した本。結構高度な内容も含むが、説明が見事なので理系の高校生程度の知識で大体理解できるはず。
巷にあふれる化学物質は悪者だという主張に、一言申すという感じで読んでいて気分が良かった。それから、世の中には中途半端な知識でとんでもない主張をする人がいるものだと驚いた。
さて、この本で否定されているとんでもない主張を少し紹介。
「ベンゼン環を含む化合物だから、発ガン性、催奇形性などが疑われる」→ベンゼン環を持つ生体物質っていっぱいある。そもそも部分構造だけで、生理作用なんて予測できない。
「インフルエンザにかかってもタミフルは飲まない方が良いかも」→異常行動の原因はタミフルか、インフルエンザかは分からない。タミフルは脳に侵入しないようにデザインされた物質で、実際脳からは見つかっていない。仮にタミフルが原因だったとしても、転落死の確率は約1/200万、新型インフルエンザの死亡率は約60%。異常行動は、気をつけていれば防げる。
などなど、他にもとんでもない主張がたくさんあり、それらが正しい知識とデータによって否定されている。
とんでもない主張がまかり通って、それで金儲けできちゃうところが問題だと思う。こういった書籍が出ることで、国民の教養が深まり、うさんくさい商売や報道が駆逐されていくことを期待する。
個人的には、サリドマイドの話とかがとても新鮮だった。高校化学で、ラセミ体のところで出てくる話。あれが今注目されている。何でもいろんな病気に効果があるとか。副作用と如何に上手く付き合うべきか、考えさせられる話だ。
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著者のHPのファンで買いました。
やっぱりHPでやっているのと、これを仕事にするのは大変なのかも、と読んで思いました。
ちょっと書き方が職業人っぽくなってきましたね。
普通の、ちょっと外から見ているようなコメントと客観的な視点が好きだったのですが、
初めてHPを見て感動した時の印象が薄れていきます。
化学物質としてニュースを取り上げているからなのかも知れないですね。
一冊目の方が好きです。
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「環境問題」:ダイオキシン、環境ホルモン、バイオエタノール等,
「食品不安」:合成着色料、保存料、食品添加物等,
「健康食品」:コラーゲン、ポリフェノール等,
「医薬品」:アスピリン、抗生物質、タミフル等,
現在問題となっている様々な化学物質を、分子の構成図を挙げながらわかり易く解説する。化学物質の問題と課題を、科学的データに基づいて検証。偏ったマスコミ報道による弊害を指摘し、正しい知識による正しい判断の必要性を強調する。
「化学合成された物質は有害で、天然の物は無害である」と今や常識のように言われ、多くの人が信じている。マスメディアでも化学物質の危険性を印象付ける報道が目立つが、報じられるデータには科学的根拠が不明確なものも多い。食品添加物、医薬品、健康食品などの様々な物を例に挙げ、分子構造を示しながら、そのメリットとデメリットやリスクについて科学的根拠に基づき説明している。化学物質をイメージだけで忌避するのではなく、それについて正しい知識を持ち、使う事のリスク、使わない事のリスクを見極める事が大切である
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1.The author emphasizes that Japanese people must give up the idea of "zero-risk". Instead, they have to think about things from a quantitive viewpoint. In other words, you have to compare advantages and disadvantages of something quantitively.
2.Most of so-called "healthy supplements" are ineffective in Sato's opinion. His statements are convincing and concise.
3.BCAA is good for serious athletes and catechin is effective for all to prevent cancers.
4.KEEP IN MIND:You can get sufficient and well-balanced nutriation from standard healthy meals. You don't have to take special supplements in addition as long as you eat properly.
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天然がいいとか・・・添加物はあぶないとか・・・そんな印象だけで当てはめている考えをもう一度見直すんだよっていう化学者からのメッセージ。
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化学物質に対して、過剰な不安をあおる出版業界や、健康ブームに疑問を投げかけた書?いや、歯止めをかけようとしている書。
合成の化学物質が嫌われる傾向にある。
なかには鋭い指摘もあるが、不誠実な業者が利益獲得のために誤解をあおっている側面もある。
本書ではそれらを指摘している。
僕には今まで、化学物質の害を訴える本や情報にしか触れてこなかった。
だからこの本の内容は興味深かった。
やはり、ある意見を読むだけではなく、その反対の意見も読んだ上で、自分の判断を下すことが大切。一方の意見を知っただけで知ったかぶりはダメね。
ダイオキシンに関しては、ほんとに悪い印象しかなかったけれど、、、。
本書の内容をご覧ください(笑)
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ぼやーっとした「環境問題」が嫌いなので、データに基づき考察していく部分が面白かった。「天然」のものだからからだに良い、という説が世の中ではまかり通っているけれど、本当かどうか怪しいと思う。
結局はメディアの伝え方次第じゃないのかな。
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テレビ、新聞、雑誌など、メディアの中で、化学物質の話題がとりあげられるとき、多くの場合、それは悪いニュースだ。化学物質はなぜ嫌われるのか?私たちの生活に深く関わり、私たちの体を支えてもいる化学物質の存在についていっしょに考えてみよう。
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(推薦者コメント)
一般に、「化学物質」と聞くと悪いイメージが持たれる。では地球は、自然は、私たちの体は、何からできているだろうか?紛れもなく化学物質である。この本では、「化学物質」の良い点も悪い点も、どちらも丁寧に解説する。文系理系関係なくおすすめ。
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大学の図書館で筆者の運営する「有機化学美術館」の記事を読んだ所とても面白かったので、筆者に興味を抱いてその場で借りたのが本書。非常に読みやすい文章で、論点や主張も鋭いのでどんどん読み進めていたら図書館閉館前に読み終えてしまった。
有機化学は自分がこれから専攻する予定の分野ではあるものの、世間的には悪い印象が強い分野だったので正直引け目も感じていた。その点で本書は私の心の支えにもなった。
自分が本書の内容の中で最も肝に銘じるべきと思ったことは、引用文にも挙げた「絶対安全を保証することは不可能である」という点である。この論理的な原理により、有機化学を扱う人間は誰でも「危険物を利用して利益を上げる人間」として槍玉に挙げられるリスクを背負わなければならない。これは非常に重大で、かつ解決しようのない問題である。専門外の人間が各化合物の安全性をいちいちチェックすることはできないから、一度批判を受けて悪い印象が世間に根付いた化合物は、例えその批判が荒唐無稽であったにせよ、世間から悪い印象を払拭することはほぼ不可能である。多くの科学者が金と時間と労力をかけた努力の結晶が、自称専門家の恣意的批判により無駄になった例もあるだろう。化学で食べていくということは、常にそうしたリスクに曝されるということでもあるのかもしれない。
もっとも、自分が本当に有機化学で食べていける職に就けるのかについては、まったく別の問題ではあるが。とにかく、有機化学をライフスタイルの中心にして生きるのも悪くないなと思えたのは大きな収穫だった。
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騒がれている化学物質は日常的に考えられる状況で本当に健康を害するのか、という疑問に答えてくれる本です。
例えば「アスパルテーム」という合成甘味料をネットで検索しようとすると、「アスパルテーム 危険性」「アスパルテーム 副作用」とか見るだけで危険そうなイメージを持ちがちです。
しかしながらこの本によると、この危険性は相当科学的には疑念があり、出荷停止までは必要ないと主張しています。
理由は以下の通りです。
1.そもそも人間が今まで栄養分として摂取しているため
・アスパルテームに含まれているフェニルアラニンは、必須アミノ酸であり、きわめて重要な栄養素であること。
・フェニルアラニンは母乳や肉、魚などのたんぱく性食品にも含まれており今まで普通に摂取していること。
2.危険性が高いのはごく限られた方で、かつその危険性をもつか否かは容易に識別がつくこと。
・出生時検査で識別できるフェニルケトン尿症という遺伝病を患っていること(8万人に1人の割合とのこと)。
・かつ、その病気を患っている新生児がフェニルアラリンを大量に摂取すること。
これは本に書いてある一例ですが、他の化学物質や薬品、健康食品などについても触れています。○○が危ないと考えるようになったら、一度この本を手にとってはいかがでしょうか。
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○有機合成化学の専門家で、フリーのサイエンスライターも努める佐藤氏の著作。
○世の中に存在するありとあらゆる「化学物質」について、その悪いイメージとは裏腹な本来の役割、意味などについて、科学的に解説したもの。
○本書中にも登場するが、食品添加物や農薬、医薬品などの化学物質が、人体や環境にどのような影響を与えているのかを分かりやすく説明しており、変な先入観を取り払ううえで大変有益。
○「知らない=怖い」という当たり前のことに流されるのではなく、自分自身、知る努力をしていきたいと思う。
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化学物質や食品添加物、薬品などについて、恐怖を煽るトンデモ本へのカウンターとして実によく出来ている一冊。
誠意ある科学者は科学万能など訴えず、謙虚で中庸である。
時に冷たく聞こえるような主張にならざるを得ないが、その時にはきちんとフォローする表現がある。
それが故に、明確でわかりやすい主張をするトンデモさんの大声に押されてしまうもどかしさはある。
しかし、大人であるなら、世の中は0でも1でもないことをいい加減わかっても良い頃だ。
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[ 内容 ]
テレビ、新聞、雑誌など、メディアの中で、化学物質の話題がとりあげられるとき、多くの場合、それは悪いニュースだ。
化学物質はなぜ嫌われるのか?
私たちの生活に深く関わり、私たちの体を支えてもいる化学物質の存在についていっしょに考えてみよう。
[ 目次 ]
第1章 リスクと向き合う(環境問題の難しさ;ゼロリスクという幻想;リスクの許容ライン;「天然」と「合成」)
第2章 環境問題(ダイオキシンは猛毒なのか;DDTの運命;界面活性剤;環境ホルモン問題は今;ホルムアルデヒドの話;バイオエタノールの是非)
第3章 食品不安(合成着色料;甘味料の話;アスパルテーム;保存料・殺菌剤;『食品の裏側』の裏側;プリン体の話;謎の病原体・プリオンとBSE;中国食品の不安)
第4章 健康食品(健康ブーム;アミノ酸;コラーゲン;活性酸素とポリフェノール;大ブーム・コエンザイムQ10の化学;ワインの威力・レスベラトール)
第5章 医薬の光と影(生命を守る・医薬の闘い;アスピリンの物語;サリドマイド復活の日;抗生物質の危機;タミフル騒動の虚実)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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2015/12/09
有機農法は豊かな先進国だけに許された、非常に贅沢な農法
読みやすい