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  • みんなの評価 5つ星のうち 4.5 2,182件
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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2008/08/05
  • 出版社: 文藝春秋
  • レーベル: 文春文庫
  • サイズ:16cm/394p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-16-711012-3
文庫

紙の本

容疑者Xの献身 (文春文庫 ガリレオ)

著者 東野 圭吾 (著)

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完...

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容疑者Xの献身 (文春文庫 ガリレオ)

税込 803 7pt

容疑者Xの献身

税込 770 210pt

容疑者Xの献身

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商品説明

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【直木賞(134(2005下半期))】【本格ミステリ大賞小説部門(第6回)】【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー2,182件

みんなの評価4.5

評価内訳

紙の本

やがて悲しき直木賞

2008/09/02 21:58

15人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぼこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

 芥川賞・直木賞の発表を聞いても心が躍らなくなった。大仰な設定、思い込みの激しいヒロイックなキャラ、定石通りの筋運びという、デジャヴに満ちたマンガみたいな小説が増え続け、高く評価されるはどうにも辛い。
 で、直木賞に人生を狂わされた東野圭吾。久々に読んでみて内容の薄さに改めて驚く。この程度のネタは以前のこの人ならキレよく短編にまとめていたはずなのに、初めて候補になったあたりからやけに通俗的になってしまった。柄にもないメロドラマ路線を迷走したり、同じ型紙から単行本を二冊書いてみたり。
 本書は純愛モノと言われているらしいのだけれど、人物造形がディック・ブルーナくらいのシンプルさなんで、この長さで読ませるには難がある。そもそも「無償の愛」なんてとうに死語であって、昨今ではこういう行いはせいぜい「無害なストーカー行為」か「女性の人格を過小視した独善主義」と取られるのが健全な成り行き。せめて男女が逆ならまだ救いようがある気もするんだが。でなきゃいっそ軽くブラックユーモア仕立てにするとかな。あと、ここぞという時ヤニワに号泣するという手で乏しい感情表現の帳尻を合わそうとするのはこの人の癖か?それに多分生まれて初めてだと思うが(恥ずかしながら)、私は読んでる途中でトリックが分かってしまった。なんたる体たらくか。評価として星を三つつけたのは、こうした凡庸さに対する皮肉と受け取って頂きたい。
 大体この人は昔から、愛とは一方的な滅私奉公だと考えているフシがあるんだが、このご時世にそういう恋愛のスタイルを世に問うとはあまりにもセンスが古すぎる。実際は度を越した厚意の押し付けなんて今時重いだけだし。ま、今回の場合作者は「愛」ではなく「献身」と呼んでいるのでこれは言いがかりかも知れないが。彼がまだちゃんとした作家だった頃の「魔球」など、情愛方面に関しほぼ最低限の言及しかしていないのだが(単に興味が無かっただけかと思うが)、黙して語らず、という姿勢が一見無機質で独尊主義の登場人物にシブい立体感と奥行きを与えていた。硬く無愛想な殻の内に秘められた真珠のごとき正義、というギャップのあるキャラクターを、あの頃のこの人は憎いほどクールに書いていたものだ。
 そもそもトリックは書いても入り組んだ人間関係は描かない(描けない?)、という金属臭の強さが東野圭吾の持ち味なのであって、推理小説の性質上それはたいした欠陥ではなく好ましい潔さですらあったのだ。情に訴えたりキャラ頼みではなくプロットだけで読ませる、という気骨は今や見る影もない。紋切り型の登場人物がスゴロクみたいにてくてく進むだけ。分かりやすい、読みやすい、まあハズレはない。おみくじでいうと小吉。
 そりゃ私だって質の高いミステリをコンスタントに書いてくれなどと無茶は言わないつもりだが、これが賞に踊らされた結果なら本当に悲しい。
 若者の活字離れが進んでいる、と言われ続けているけれど、私には、本の作り手達こそ重症の活字離れを呈しているように思われてならないのだ。いい作家にはじっくりといい作品を書いて欲しいし、それなりの環境を整えてじっと待つ、というのも編集の仕事なのじゃないか?ジャンクフードみたいな本ばかり量産して土壌を荒らすのはいい加減にしてもらいたい。

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紙の本

こんな時代だから、ここまでピュアな愛情があっても良い!とは、思うけど・・・。

2008/10/21 19:44

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

天才的数学者石神が、隣の部屋に引っ越してきた親子の母親、靖子に恋心を抱く。靖子はある日突然やってきた前夫に迫られ、咄嗟に娘と共に殺してしまう。それを知った石神は、天才的頭脳を使ってトリックを組み上げ警察の目を欺くのだが・・・。
直木賞受賞作に加えて映画も大ヒット中という本作品。期待度120%で突入したのだけれど・・・。うーん、まず天才数学者という設定に、何かピンと来ない。天才数学者モノというと、小川洋子さんの「博士の愛した数式」と森博嗣さんの四季シリーズを思い出す。前者は素数などを使って、とかく冷たく感じがちな数字に温かみや可愛らしささえ感じさせてくれたし、四季シリーズは逆にあくまでパズルチックにかっちりとした美しさを感じさせてくれた。だが本作品に、天才数学者の天才数学者たるゆえん、をあまり感じない。唯一それっぽかったのは、靖子の犯行をズバリ言い当てたあたりくらいだろうか。確かに数学の問題らしきものが散見されはするけれど、「リーマン予想の反証を試みる」と言われても素人には良く分からないし、「人に解けない問題を作るのと、それを解くのとではどちらが難しいか」なんて、数学の問題とさえ思えない。それがまたトリックを解くカギになってたりするので、うーんと首を捻ってしまう。
確かにミスディレクション的どんでん返しは見事!と言いたいけれど、途中である矛盾に気がついてしまうと、そこを追求しきれない警察捜査のおかしさが気になってしかたない。また死体の身元をそんな簡単に隠蔽したりうんぬんかんぬん、出来たりはしないと思う。ラストはそれなりに、ある純愛の切ない成就を感じたけれど、とある分岐点から、完全にそのラストが分かってしまったのも残念。
こんな時代だからこそ、こんなピュアな純愛物を投げかけてみるのは悪くないと思うけど、何だか感動もしないしスカっともしないしやられた感も無かった。東野ファンとして、氏の傑作の一つには、数える事は出来ないかなと。

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紙の本

もちろん原作ありきだが

2024/02/27 18:13

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:栄本勇人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

本のレビューとしてふさわしくないかもしれないが、映画版がより素晴らしい。小説だけ読んでいる人はもったいない。是非観て!

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紙の本

人間ドラマ

2023/06/21 19:15

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みみりん - この投稿者のレビュー一覧を見る

湯川学が主人公のガリレオシリーズの長編。
探偵ものとしても面白いのですが、
何といっても人間ドラマとして秀逸。
石神の靖子に対する想いと自己犠牲を伴ったアリバイ工作。
そして湯川と石神の友情。
ガリレオシリーズの中でも一番切なくて好き。

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紙の本

容疑者Xの献身

2015/09/30 11:10

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しらふ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ミステリーというよりも友情・純愛の物語として読みました。石神の不器用さと結末が切なすぎてため息が出てしまいました。

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紙の本

感情表現が苦手な天才の物語

2022/11/27 18:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うえは - この投稿者のレビュー一覧を見る

愛する人のために殺人という罪をかぶることがどういうことなのかを考えさせられる一冊。
数学の天才というと、人間味のない地味な教授というイメージが先行するが、本書ではその天才の人間性が少し垣間見られるようなシーンもあり、楽しめる一冊。

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紙の本

あっというまです。

2021/01/25 13:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちょびリッチ君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ガリレオシリーズですね。
長編ものは本当に面白いんですよ。
読んでいるとぐいぐい引っ張られて時間も忘れます。

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紙の本

苦しく感動的

2020/07/28 10:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のび太君 - この投稿者のレビュー一覧を見る

これまでの短編とは違い、推理よりも人間ドラマが圧倒的に中心となっている。誰も幸せになっていないようなのは苦しい。

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紙の本

慟哭

2016/01/25 17:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しまんちゅ - この投稿者のレビュー一覧を見る

最初に映画を見て、改めて文庫で読了した。物語の基本ベースはほぼ同じで違和感なく、改めていい作品だと感じた。小説の方では最後の場面がかなりあっさりと描かれていたので少し拍子抜けした。堤真一や松雪泰子の演技が厚みをもたらしていたような気がする

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紙の本

献身

2015/06/03 00:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

東野圭吾先生らしい謎解きミステリー要素もあり。
でも心に響くお話です。
人を本当に愛するってどういう事なんだろうとかんがえさせられます。

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紙の本

容疑者Xの献身

2013/08/15 00:16

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:春日の住人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

良くできたトリックで面白かった。

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紙の本

天才数学者の無償の愛と天才物理学者の友情。

2010/06/10 03:08

23人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書を手にする前に、面白そうだと思って映画を先に観ていたので天才数学者の石神のイメージは、どうしても堤真一さんでした。驚いた事に、本書に登場する石神のイメージが、堤真一さんの迫真の演技と見事に一致する。通常、書籍が映画化するとやはり書籍の方が面白いというのがパターンですが、映画も書籍と同等に面白いので凄いと思う。もちろん、役者さんの演技によるところが大きいけれど、ここまで書籍に沿って造り上げられた映画というのも珍しいのではないでしょうか。

 さすがは直木賞受賞作と言ったところで、トリックは最後の最後まで分かりませんでした。なぜいつまでも警察は花岡靖子に疑いを持ちつつ、一向に犯行へと繋がらないのかと思っていたほどだった。元夫から逃れていた花岡靖子に想いを寄せていた天才数学者の石神が、完全犯罪を企てる。全ての動きが、石神の思惑通りというのも少々怖いほどでした。高校で数学を教えながら、次なる計画を立て、花岡母娘にすべきことを入念に指示していく中、同窓生である天才物理学者の湯川が目の前に姿を現した。

 湯川は石神の才能を認め、理解している。だからこそ、ふとしたことをきっかけに裏を読み取り、自分なりに真実を追求していく。同窓生である刑事の言うことがヒントになったり、石神の言動がきっかけになったり、少しずつ真実はその輪郭を現していく様子が最後まで分からないのが凄い。読み進めている間は何かを掴んでいるんだろうな、くらいにしか思えない。石神が張った罠にまんまと引っかかってしまった刑事とは違い、些細な事で事件の真相は手ごわいと気付いていた湯川。天才数学者と天才物理学者の知恵比べのようでかなり楽しめる。

 自分をストーカーに仕立て上げ、完璧なまでに花岡母娘を救おうとした石神の無償の愛には涙する人も多いでしょう。そんなふうに、愛する人の幸福を心底願い、自分を犠牲になんてできるでしょうか。そういう純粋さが痛いほど伝わってくるので、本書のタイトルに頷けます。ああ、そういう意味で『献身』なんだな、と全て納得がいきます。タイトルの意味が、クライマックスで明かされるのも粋だなぁと感服です。そして、そのまま石神の指示通りに生きていけば、全ては平和にその先を生きていけるだろう花岡母娘。けれど、湯川の石神への友情がまた凄いなと思う。才能溢れる友人を失いたくはない思いもあるだろうけれど、それ以上に石神の想いに気付き、ただただ愕然とした湯川である。心打たれるストーリーだし、トリックも実に巧妙なので盛大な拍手を送りたい一冊でした。

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紙の本

これは、いったい、なんのレッスンなんだ!? 湯川学はきっと心で叫んでいたはず!!

2010/10/13 23:07

13人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

マイ・ファースト・東野圭吾作品である。
前々から気になってはいたが、
あまりに騒がれすぎていたので
逆に読む気が起こらなかった。
そんな読者もけっこういるのではないか。
ま、それはさておき。

この作品は「オール讀物」連載中のタイトルは
「容疑者X」だったとか。
単行本になるときに、「容疑者Xの献身」と改められたらしい。
作者が考えたのか、編集者が考えたのかはわからないけれど、
まさしくこの絶妙なネーミングがベストセラーへの
鍵を握ったのではないかと思われる。

あまりにも有名なこのミステリーの感想を、
いったいどう書こうか、悩むところだが、
この本を読もうかどうしようか迷っている人がいるなら
ぜひ、読んでみてほしい。
ミステリを精読している人にはもしかしたら
ちょっと物足りない向きもあるかもしれないが、
救いようがないくらいに悲惨なのに
心のどこかがあたたかくなる不思議な話である。

ありえない設定をぐいぐいとひっぱり込む手腕には
本当におどろかされる。
そして、危険を冒してまで貫き通す、容疑者Xの、その「献身」の理由。
これは、相手の人物造形をとおしてもよく描かれている。

本作は「純愛」という言葉で謳われることが多いようだが、
せつなさの視点をずらしてみれば、
男の友情に涙をさそわれる。
名ホームズ役である湯川学と、主人公の石神。
ほんとうに得がたい、「好敵手」という関係にあるふたり。
とくに、湯川がすべてに見当をつけ始めてしまったあたりからは
彼のせつなさに、胸がいたくなる。
彼にとって大事な、ふたりの男(石神と草薙)との
それぞれの友情に挟まれ、
さぞかし苦しかったことだろう。
これはいったい、なんのレッスンなんだ・・・と
きりきり締め付けられるような思いで、いたに違いない。

最後の、すべての告白は、涙腺を刺激する。
安っぽい偽善の匂いがしない、高級なエンタメになっているのは、
物語の端々にみられる、作者の論理的思考が効いているからか。
ひとの心の裏の裏をかく、ということ。
それはひるがえって、純粋、ということになるのだろうか。

早々と殺されてしまった被害者に対しては、
本人のそれまでの経緯にかかわらず、少し同情を寄せてしまう。
あまりにも脆弱なかたちでしか、未練を表現できないことに。
そう感じてしまったのは、
容疑者Xの、あまりにも深くて、重い、「献身」に
くらくらと眩暈をおぼえてしまったからかもしれない。

思い悩んだ湯川に、そして彼と同じように胸をいためた読者に、
きっと大きなギフトはあるはずだ、と思いたい。


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紙の本

天才VS天才の戦い、そしてまことの愛とは。

2008/11/06 20:54

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドラマも好調だった物理学者湯川シリーズの長編バージョンです。
もう、皆さんご存知の作品なので、さらーっと簡単に紹介です。
今までは、この物理学者湯川のシリーズは、短編だったので、
ワン・メイク、ワン・アイデアみたいな作品だったのですが、
長編だと、どうなりますやら、、。

 大ヒット本なので、概ねのプロットは、かまびすしい各メディア、
又は、本好きさんにより知ってしまっていたわけですが、
 なんとなく、犯罪を隠蔽するのお話しということで、
同じ隠蔽もので、前読んだ、「赤い指」がけっこう読んでいてツライ、ミステリ。
ツラ・ミスだったので、用心しいしい読んだのですが、
いまさら、私が褒めたり薦めるまでもないのですが、
素直に、エンタメとして、面白い!!。

 これ、捜査物というより、湯川シリーズということで、
しかも、湯川の同級生である天才数学者石神が出てくるわけで
(どっちが敵役かは、わからない)
天才VS天才の頭脳戦として仕上がっていてエンタメとして見事に昇華されているわけです。
 しかし、ラストは、書けませんが、やっぱり多少はツラ・ミスの要素もあります、、、、。
まぁ、タイトルどおり、献身、愛ということで、美しく昇華されているのかもしれませんね、、。

 直木賞受賞で、文句なしのエンタメ本だと思います。
又、謎解きとして、条件開示に問題があり、ミステリの賞が取れなかった
とかあるそうですが、どうなんでしょうね、、。
まぁ、やられた感はありますが、ミステリとしてより小説の完成度を重視する私は、気持ちよくひっぱられていて問題なしですね、、。
 
 関係ないですが、東野さんのこのヒット本の多さとその内容もともなった高打率は、本当に驚異です。
前、どれくらい謙遜なのか、不明だったのですが、インタビューで
自分ほど、本を読まない(途中でやめてしまうの意味)人間はいないと、
そんな自分が最後まで読めるもの(書ける)を書いているので
面白いはず、てなことを仰っていましたが、
どうなんでしょうね、、。

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紙の本

名探偵の苦悩

2008/09/28 11:27

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る

 前作「探偵ガリレオ」「予知夢」と違い、犯罪トリックに科学的要素が使われているわけではない。だから、応用物理学者の湯川学が、快刀乱麻、トリックを暴くというのでもない。終始、人間 湯川学と探偵 湯川学の苦悩が描かれているというべきか。
 そして結局は彼も、名探偵としての道を選んでしまう。

 取り調べにおいては、犯行の動機、というものが必ず出てくる。金のため、恨みのため、快楽のため…。自分と価値観の異なる人間を、自分と同じ価値観で測るためには、必要なステップなのだろう。そして、犯罪の結果として得られる利益が、犯罪が失敗した時にこうむるリスクを上回っていると感じられれば、その動機が正当なものであると社会は判断してくれるのだ。しかし、物事の価値は、誰にとっても一様ではない。

 読後一番に思ったことは、なんてふさわしいタイトルなのだ、ということ。他に適切なタイトルが思い浮かばない。石神の犯行動機はとても美しいものだけれど、おそらく、万人が理解することが出来るものではないだろう。先ほどの動機成立の公式に当てはめれば、とてもではないけれど、利益がリスクを上回っているとは到底思えない。だが、湯川は理解してしまった。
 日常ならば心が通じ合うことは幸いだろう。だが、悲しいことにこれは非日常。石神には望まない形で罪を暴かれたことが不幸だし、湯川には数少ない友人の望みをかなえてあげられないことが不幸だ。

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