紙の本
自然科学系の書物だが、大変文学的
2022/04/09 21:09
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
サブタイトルに動物社会学とある。内容は、遺伝子(この本の中では生成子と呼ばれている)を軸にした自然科学系の書物だ。大変難しく、半分ぐらいしか理解できていないと思う。それでも大変面白かった。何故かというと、文章が大変文学的だからだと思う。本文の次に補論1と補論2が載っている。補論2では、唐突に宮沢賢治が出てくる。遺伝子(生成子)と宮沢賢治。大変面白い。
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読み助2008年12月14日(日)を参照のこと。http://yomisuke.tea-nifty.com/yomisuke/2008/12/post-d11a.html
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すごくおもしろかった。われわれが当然のものとして受け取っている「自己」というものを、生物学的「個体」として追究してゆく論述が、非常にエキサイティングで、示唆に満ちている。
要再読。
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最高に面白かった。買って手元に置いておきたい。
2章と6章がとても好き。
人間って利己的な生き物なの?とか、最近ごちゃごちゃ考えていたことに、生物学的な観点から一つの答えをくれる本。
何を考えるにも知識がないと、同じところをぐるぐる回るばかりでそこから抜け出すことはできないなと実感しました。
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「自我の起原 愛とエゴイズムの動物社会学」真木悠介
哲学書。特になし。
第4回さいたま読書会課題図書。
棚-zul
読了。
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遺伝子の概説から、動物行動学的なものを経て、
人間にいたる自我への道行きをたどる。
まったく誠実にして、奇をてらうことのない論だと思う。
そして何段階にもわたる自我そのものであろう割れ目をのぞかせられる。
自由であるがゆえに「私」はここにいる。
拒否しようもなく、制限されようもない自由の原型。
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見田宗介「宮澤賢治」から真木悠介「自我の起源」へ。期待わくわくのつながり読書ですが、こちらの勝手な思い込みを裏切るような新しい世界でした。このジャンプは見田ブランドと真木ブランドの違いか?文学から哲学と科学の融合した世界へ。たぶんもう一度、読まなくてならないかも…でもどちらも宮澤賢治が生み出したワールドであることは感じ取れました。
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時間の比較社会学より読みやすかった。
個体の中の細胞と同じように、地球の中の自分、宇宙の中の地球…、と考えると自分の存在がちっぽけに思えていろいろ楽になれた。利己的になるのも利他的になるのも遺伝子のせい、そして人間は遺伝子の乗り物だと客観的にみるとなんとなく楽になれると思った。
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子供を強くほしいと思わないのはなんでだろうか。
確かに経済の不安定さ、気候変動など不安要素は挙げればきりがない。
でもそれらの不安要素だけでは言い表すことができていない気がする。
本来生物学的には子供がほしいはずなのに、そう思えない自分はおかしいのか。
そんなことを思って、この本を読んだ。
端的にいえば、開かれた愛を求めてしまっているからだとこの本は結論づけるし、割と納得できる。
誰かを愛することは他の誰かを愛さないことを内包する。だけど、我々は個人間の関係だけではなく、知らない他者とも関係をもつ存在である。知らない他者との関係性すらも愛する(=開かれた愛)とすれば、ごく個人的な性を認めることが困難になってしまうのだと思う。
だし、この感覚は進化論的に起こりうるものでなにもバグってわけではないと本紙を読んで解釈した。
このような感覚の起原を動物社会学、生物比較学を踏まえて議論していく。
ミツバチの献身的な女王蜂への行動は包括適応度という遺伝子の利己性を踏まえると合理的に説明ができる。ミツバチは種のために他の個体(女王蜂)の生存と繁栄を支えることで存在の根拠を獲得する。
人間の社会においてもそういった関わり方で存在の根拠を獲得することもできる。人間が哺乳類であることにより、子を産んで保育していくことが必要となる。そのため、長寿になる。(ほかの生物は子を産んだと同時に死ぬこともある。遺伝子的にはそちらのほうが正しくもある。)長寿であるために、長期間の生存の術、知識知恵を身に着けるし、そういう知恵知識を個人が獲得することが社会においても重要なものとしてみなされるようになる。社会から個人が認められるようになる。元々は自分の子を産んで保育するために長寿となる進化を遂げたが、それにより他の子を育てる社会の一端を担うことが存在の根拠となる面を生じさせる。
社会的な存在としてほかの個体を育てることが役割と全うできるなら、それはそれでいいような気がしてくる。
ただ、最後の大澤真幸の解説で、恋愛もしたことがない、子供を愛したことがないような人が、普遍的な愛を求めれるかというとそうではなくて、相手のためにと思える愛の経験がないと他への想像、共感が発生しえないとしているのは大きな意味があるように感じる。個人的なこと(特異なこと)がその相手をこえる普遍的な愛へのとっかかりになるということを示している。
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マーグリスらの理論が明らかにしたのは、真核細胞は異種の生命の共生態として誕生したということであった。ここに進化の派生的自立態として〈個体〉というシステムが成立する。個体はまず「エージェント」的主体として派生するが、進化の高度化はついに個体を「テレオノミー」的に主体化するに至る。それでもなお、個体の共生系としてのありかたは失われていない。本論の表現では、個体は「自己裂開的な構造」を充填された「都市的」存在であり、真木はそこにエゴイズムの克服と我々の個としての自由の鍵を見るようだ。
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”ダーウィンの進化論”や
”利己的な遺伝子”を軸に、
細胞・遺伝子、動物の進化、宗教から宮沢賢治まで引き合いに出して
自我の起原を探って行きます。
知識ゼロですが、紹介されている本や作者の論点を説明してくれているので
作者の用意してくれた船で最後まで楽しむことができました。
「生物はどのように生まれ、自我が生まれるまでに至ったのだろう」という入り口に丁度良かったです。
これを基点に参考本も手にとって理解を深めようと思うきっかけになりました。
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自我という現象を紐解くのに、こういう壮大かつ精密な掘り進め方があるんだな。生物一般における人間の遺伝子の運び屋としての側面と、自我を持ちさらにエゴを相対視できる自律的な側面を描写するアウトラインを軸に、宗教、性を軸に人間の自由のあり方を掘り進める。
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「人間的自我」がどこから発生し、どのように発展してきたかを考察する著作。著者は日本の高名な社会学者である見田宗介。
テーマに惹かれて読んだが、面白かった。
表現は難解な部分が多くて決して読みやすい本ではないが、ロジックの展開は分かりやすくて鮮やか。
構成としては、まず生物社会学の基礎的な達成水準を確認し、個体と生成子(遺伝子)の作用と特徴を説明する。そこから個体が主体化される機序が解説される。
この個体が主体化していくプロセスについての分析が非常に斬新で、ベースはドーキンスの『利己的遺伝子論』へのアンチテーゼがある。つまり「遺伝子」が自らの増殖を目的として個体をその「生存機械」として見做しているのは事実だが、動物個体は遺伝子とは独立したそれ固有の目的を持っているという。
この固有の目的は「テレオノミー的主体性」と呼ばれ、この獲得を可能にするのは哺乳類に見られる高度に発達した群居性・社会性である。
他個体を個体として認識することが、選択的な攻撃性の抑制、およびユニークさの発達に繋がるわけである。
また個体は自立性・自律性を獲得してきたが、完全に閉じているわけではない。なお外部の生成子に対して開かれていて、互いに影響を及ぼしている。
主論の他にも示唆的なメッセージが多くあり、有益な一冊かと思う。
とはいえ、ハミルトンの「包括的適応」理論やローレンツ、トリヴァースといった動物行動学の内容を理解していることが前提で主張が進行するため、その事前知識はあった方が良いかと思う。
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2023年8月「眼横鼻直」
https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/2023/0801-14603.html