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商品説明
三浦武彦と早川和良の手によるヒットCMを網羅した「テレビCM作品集」。2人の対談形式で、作品ごとにテーマや狙い、アイデアが生まれた背景、演出意図など、様々な角度から世界観やCM観、企画・演出手法を解き明かす。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
時代を超越した名作CM
2010/11/10 21:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yosh - この投稿者のレビュー一覧を見る
1987年春の国鉄民営化で設立されたJR東海は、88年12月にある一本のテレビCMを流した。83年に山下達郎が発表したアルバム『メロディーズ』に収録され、コアなファンからは高い支持を得ていたものの一般的には全く知られていなかった楽曲「クリスマス・イブ」。撮影当時15歳で、まだ全くの無名だった深津絵里。この二人のコラボレーションを主体にして、今や伝説となった「シンデレラ・エクスプレス」という素晴らしいCMが生み出された。
それから20年余。このCMの生みの親である三浦武彦氏と早川和良氏のお二人が語り合った『クリスマス・エクスプレスの頃』という本が出版された。本には、お二人が製作したCMも何本か収録され、「クリスマス・エクスプレス」は1作目と2作目(牧瀬里穂篇)が入っている。
まずは、DVDでこの2本の「クリスマス・エクスプレス」を観た。恥ずかしながら涙が流れた。20年前のこの頃、自分は何をしていたのだろうと、年甲斐も無く回顧的で感傷的な気分に溺れた。幾度も幾度も続けて映像を見た後、本も一気に読んだ。そして、このCMの成功は単なる偶然でなく、優秀なクリエーター達の苦労の産物、叡智の結集であることに感銘を受けた。でも、それだけでは、一本のCMが伝説となり、映画ならいざしらず、20年も経ってからわざわざ本のタイトルに冠せられるはずがない。
では何故このCMが「伝説」となり、社会現象にまでなったのか?何故今見直しても、当時見た時の新鮮な衝撃が蘇るのか?「時代の真空状態を埋めた」と三浦氏は語る。バブル絶頂期で日本中が浮かれていたあの時代も、一皮向けば不安と空虚感が支配していた。そういう虚飾の中に潜む孤独感を、このCMは見事に撃った。最後に人が拠り所とするのは、富でも名声でもなく、人と人の触れ合いから生まれるぬくもりであることを見事に証明(映像化)してみせたのだ。だから、今でもこのCMの魅力は褪せない。
当時このCMに心動かされた人も、名のみ知っている人も、この60秒のドラマを改めて体験して下さい。