- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.12
- 出版社: 早川書房
- サイズ:19cm/379p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-208983-0
紙の本
ミレニアム 1上 ドラゴン・タトゥーの女
著者 スティーグ・ラーソン (著),ヘレンハルメ美穂 (訳),岩澤 雅利 (訳)
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることに...
ミレニアム 1上 ドラゴン・タトゥーの女
紙の本 |
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- 税込価格:20,585円(187pt)
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商品説明
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表した。だが、名誉毀損で有罪になり、彼は『ミレニアム』から離れることになる。そんな彼の身元を大企業グループの前会長ヘンリック・ヴァンゲルが密かに調べていた。背中にドラゴンのタトゥーを入れ、特異な風貌をした女性調査員リスベットの働きで、ヘンリックはミカエルが信頼に足る人物だと確信し、兄の孫娘ハリエットがおよそ40年前に失踪した事件の調査を彼に依頼する。ハリエットはヘンリックの一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。ヘンリックは一族の誰かが殺したものと考えており、事件を解決すれば、ヴェンネルストレムを破滅させる証拠資料を渡すという。ミカエルは信頼を受諾し、困難な調査を開始する。全世界で2100万部を突破、2008年度世界書籍売り上げランキング第2位!世界中に旋風を巻き起こした驚異のミステリ3部作の第1部。映画化され、ヨーロッパを中心に各国でナンバー1の大ヒット。【「BOOK」データベースの商品解説】
【「ガラスの鍵」賞】大物実業家の悪事をスクープした『ミレニアム』誌のミカエル。しかし名誉毀損で有罪に。そこへ、実業家のライバルから奇妙な依頼が舞い込む。36年前に孤島で失踪した少女を探し出せば、実業家の秘密を教えるというのだ…。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
登場人物が魅力的なスウェーデン製ミステリ
2009/03/08 10:26
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カワイルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三部作の合計が全世界で800万部を突破という大ベストセラーである。しかし、この作品はミステリのベストセラーにありがちな、薄っぺらなゲーム感覚の小説ではない。物語は自然だし、人物描写が上手く、ユーモアのセンスもいい。こういう作品は何も知らずに読むにかぎる。ここでは最小限のことを書いておきたい。
閉ざされた島で起きた失踪事件という設定は古典的な本格推理小説を思わせるが、読み終わった印象は古くささはなく、むしろ今までにない新しさを感じさせる作品である。それはスウェーデンが舞台になっているということもあるが、何よりも登場人物が個性的で魅力があるからだろう。
主人公のミカエルは正義感の強いジャーナリストだが、大物実業家の違法行為を暴くつもりが、逆に相手の罠にはまり名誉毀損で有罪になるという脇の甘さもある。また、離婚した妻とは今も会っているが、雑誌の共同経営者で結婚しているエリカと不倫関係にある。人好きのするタイプなのはいいが、女性関係は節操がない。
もう一人の主人公はフリーの調査員リスベット。子供のころから問題児として見られ、今も後見人の管理下に置かれているが、天才的なハッカーで警備会社で調査員としての才能を認められる。しかし、人付き合いが苦手で誰にも心を開かない。警備会社社長のアルマンスキーがリスベットに父性本能を持ち、ぎごちない愛情表現をする場面は笑える。
はじめはこのふたりの物語が別々に語られる。ミカエルの身元調査をしたことがきっかけとなり、彼の協力者となる。彼女はやがてミカエルを好きになっていく。
この作品はミステリとして良くできているだけでなく、リスベットの成長の物語としても読めるし、ミカエルをとりまく女性たちの微妙な心理描写も面白い。これがデビュー作とは思えないほど完成度の高い作品である。だが、作者は三部作を残して心筋梗塞で亡くなっている。残念というほかない。
紙の本
全世界で800万部突破! スウェーデン発、驚異の三部作、ついに刊行!だそうです
2009/02/02 07:23
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る
横に広がる家系図。
三ページにわたる登場人物。
家系図が・・・カタカナの名前が・・・と最初は物語に入り込むのに時間がかかりました。
この上巻の途中までは我慢の書です。
30年以上にわたる考察を重ねた事件の全容、長きにわたるヴァンゲル一族の歴史。
やっと頭に入ってきたかなぁと思う頃には、物語も展開を迎えていきます。
む、やるな?
ハリエット行方不明事件と、物語の発端にもなる実業家ヴェンネルストレムの不正事件、両方を追いかけていくミレニアムの発行責任者ミカエルは非常に魅力的に書かれています。
人を思いやる余裕があり、人を受け入れることができ、仕事ができる上にハンサムでかつ股がゆるい(笑)。
ひと癖ある主人公が多い最近の作品の中ではかえって新鮮さがでています。
ふとしたところにすごく「優等生」の面が出てきますが、経済ジャーナリストとして記事を書くミカエルは、著者スティーグ・ラーソンの代弁者となっています。
単なるミステリーとしてだけではなく反ナチズム、女性への暴力と様々な問題提起がなされていて
スウェーデンでは女性の18パーセントが男に脅迫された経験を持つ
スウェーデンでは女性の46パーセントが男性に暴力をふるわれた経験を持つ
というスウェーデンが抱えている問題が扉に書かれています。
そしてミカエルの対極として登場するのがドラゴンタトゥーの女であるリスベットです。
素行に問題があるとしてスウェーデンの後見人制度が適用されている彼女は、その後見人制度によりあらゆることに制限を設けられ、不利益を受けています。
しかしながらリスベットは身辺調査のエキスパートとして仕事を見事にこなし、見かえるの身辺調査を仕事として請け負います。
二人はどのようにして同一線に並ぶのか。
敵対するのか?
協力するのか?
上下巻のセオリー通り盛り上がってきたぁ~と思うと下巻に続く・・・。
すぐそばに下巻を用意しておいてよかった。
紙の本
歴史的なヒロインの個性が輝くスウェーデン発の超ベストセラー
2012/02/05 10:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「名物に旨いものなし」ではないが、ベストセラーはつまらない、という説がある。好みや相性もあるわけだし、だから世界中で2100万部売ったというこの小説も面白いとは限らないと警戒していた。しかし信頼する目利きも絶賛していたから期待もあった。たとえばイギリスのフィリップ・プルマン。ファンタジーとして初めてブッカー賞候補にも入った『ライラの冒険』シリーズの原作者である。日本では丸谷才一が新聞の書評で褒めていたと思う。そして期待通り、いやそれ以上だった。
犯罪の中身はといえば、猟奇的というのか、サイコホラー的なもので、これは個人的には好みではない。しかしそのような素材を扱いながらも、この小説をを読んでいるときの不思議な気持ちの良さは何だろう。つまるところそれは、ヒロインの魅力なのだろうと思う。リスベット・サランデル。これはもう歴史的なヒロインではないか。ちょっとこの頃の日本のマンガのキャラクターのようでもあるが、非常に個性的だ。ツッパリでいて子供っぽく、その真っ直ぐさとヒネクレぶり、過激さと繊細さの混じり合いが絶妙である。
当然のように物語は、犯罪を解き明かすことを軸にはしていても、同時にそれはいろいろ複雑なものを背負っていそうなリスベットの物語でもある。前半は退屈で後半がすごい、という声もけっこう聞くが、この人間への興味からすれば、退屈するというのは理解できないほど前半から面白い。後半はどうなるか半ば心配しながら(無事だった)ワクワクして読んだ。事件が進展しなくても、ヒロインが、そしてそれに関わる人間像が魅力的なのだ。
もちろんミステリーとしても一流である。舞台がスウェーデンという馴染みのない土地であるのも新鮮に感じられた。
3部作シリーズで、あと2つも読めると思うと嬉しい。まだまだ謎めいたヒロインのこともだんだんわかるらしい。しかし本当は5部構成の構想だったそうで、残念ながら作者は途中で突然亡くなったという。これだけ売れるとも知らず執筆途中で亡くなってしまったのはいかにも気の毒だが、読者としては、そう知ってしまうと2部の分、損をしたという気持ちもある。
紙の本
早川書房はなぜ改行ではない行頭に始め括弧類がきたときに、改行の際と同様の二分アキにするのだろうか
2010/05/16 19:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年の海外ミステリーで『犬の力』とトップを争っただけあって、やはり面白かった。『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』上下で一応完結しているので、とりあえずこの作者と作品からは去ることにしたが、後ろ髪を引かれる思いだ。あるいは何かのきっかけで続きを読むこともあるかもしれない。
比較してもしかたがないが、読んだばかりのミステリー、ハイスミス伝(未邦訳)の著者アンドリュー・ウィルソンによる『嘘をつく舌』にくらべて格段に読ませる。やはり一般的な評価には参照すべきところはある。そうした評価なしに面白い小説を探せればベターだが、そこまでミステリー等に入れ込む時間がない。
『ミレニアム』の続きを読まないのも同じ理由、読んでいなくて、面白そうな別の作家のミステリーをできるだけ読みたいからだ。
ところで少し通常の書評から逸脱するが、本書『ミレニアム』を刊行した早川書房の、今日においては独自な、一貫した組版のスタイルを、ここで問題にしたい。
日本語組版処理のサイトを読むと、行頭に配置する始め括弧類(始めというのは括弧の前の部分)の配置方法として、3つのかたちが挙げられている。
(1)は、改行行頭の字下げは全角、折り返し行頭はアキをとらない天ツキ。(2)は、改行行頭の字下げは全角半、折り返し行頭の字下げは二分。(3)は、改行行頭の字下げは二分、折り返し行頭はアキをとらない天ツキ。
(3)の方法は、小説などで会話が多い場合、改行行頭の括弧の字下げを全角や全角半とすると下がりすぎになることから考えられたもので、講談社ほか多くの出版社で採用されている、とか、(2)の方法は、以前の岩波書店が採用していたが現在では(1)の方法になっている、などという説明がされている。
さて、早川書房は、この3つのいずれの方法もとっていない。早川書房が一貫して採用しているのは、改行行頭の字下げは二分、折り返し行頭も同じ字下げ二分というスタイルである。
つまり早川書房の出版物はほぼ例外なく(実は例外があるので、ほぼとしたのだが)、改行の際の括弧の位置と、折り返し行頭の括弧の位置が同じであり、そのため本書『ミレニアム』でもいくつかあるのだが、一行の行末までセンテンスがちょうど埋まって、次行に始め括弧類がきたとき、それが改行なのか、そうでないのか識別できないことが生じる。
『ミレニアム』のような小説の場合、そうした例自体が少ないとしても(第1部の上下巻合わせても10ヶ所程度だろうか)、会話の部分など、登場人物のセリフがすぐ続くのか一息置くのかのリズムはつかめない。
早川書房では小説以外でも当然のごとく、この原則を推し進めており、今年刊行したマイケル・ディルダ『本から引き出された本』などの場合、始め括弧類が折り返し行頭にくる例は多く、美的な意味で非常に気になった。
ところで、早川書房の刊行物にも例外があるのに気づいた。村上春樹訳の『ロング・グッドバイ』と『さよなら、愛しい人』である。
おそらく村上春樹は早川方式に不満で、出版社はそれを受け入れたのだと思う。この二つの訳書では、一般的な(3)のスタイルである。
だが私が推測するに、多くの著者、訳者が、これまでに、そうした要求を編集者に対して示しながら、しりぞけられたのでないだろうか。
あるいは村上春樹の本以外にも過去かなりの「例外」があるのかもしれないが、そこまでは調べられなかった。
仰々しく書いてしまったが、この問題は個人的に少し気にかかっていたこととはいえ、あえて指摘するほどのことではないかもしれない。ただ村上春樹という著者(訳者)に対する別格扱いが気になったので、あえて記す次第だ。
またこの問題は、あくまで刊行されている書籍や雑誌のなかの、しかも改行の行頭(段落における第1行目の行頭)の字下げを全角とする場合にかぎってのことに過ぎない。
この改行の際に字下げを全角とするのは、おそらく明治期に移入された英語文の影響でしかなく、たとえば谷崎潤一郎は一貫して、改行においても字下げなどはなかった。
ともあれ早川書房は変わったスタイルを通しているが、それを徹底して一貫させていることにおいて、こうしたことに統一をとっていない、無頓着な書籍を刊行している出版社よりは、いいのである。
乱雑で、統一がとれていないことが、第一に間違いとだけは言えるだろう。
紙の本
ショッキングなハードバイオレンスの連続にこれがスウェーデン製のミステリーかとびっくりするが、なるほどこれがスウェーデンだったのかとさらにびっくりした
2009/06/23 23:06
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
スウェーデンはなじみのない国だ。知らない国は理解しにくいから、そこの小説はあまり読む気にならないのだが、この作品は世界的なベストセラーになっているとの宣伝についつい乗っけられたことによる。
私にあるスウェーデンの断片は映画のイングマール・ベルイマン『処女の泉』、フリーセックス、高福祉国家程度に過ぎない。『処女の泉』は高校生のころだったが、神との対話という深遠なテーマはまったく理解できず、当時としてはショッキングな少女強姦シーンが話題になっていてそこが見たかった。かつてフリーセックスというとニヤニヤしながらの言葉であったがおそらくそういうイメージの国ではないのだろう。高福祉に伴う高負担だってどこかにあるはずと、いくつかの雑念を持ちながらこの作品を読んだ。ところがそうした雑念の周辺部分がこの物語の背景の一部にあって、私のいい加減なイメージは必ずしも的外れではなかったような気がしている。
「月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは大物実業家ヴェンネルストレムの違法行為を暴露する記事を発表したが名誉毀損で有罪になる。大企業グループの総帥ヘンリック・ヴァンゲルはミカエルの調査能力を見込んで、兄の孫娘ハリエットが40年前に失踪した事件の調査を依頼する。ハリエットはヘンリック一族が住む孤島で忽然と姿を消していた。」
孤島を密室とした設定。ハリエッとの残した暗号。数代にわたりヴァンゲル家にまつわる狂気の血筋。ナチズムの影。聖書の言葉に見立てられた猟奇的連続殺人事件の謎………。この古色蒼然たる古典的探偵小説のガジェット!横溝正史の世界をそのままスケールだけをでっかくしたようなところがある。
ヴァンゲル一族といっても五代にわたる人々であるからこの詳細を分析するところでは正直、退屈してしまう。探偵役のミカエルだが、大企業の悪を告発する男とはいえ、告発の根性が主役としてはいささか不足して迫力に欠ける。女性に対する誠実さに関しては個性的であり、スウェーデンのフリーセックスというのはこういう関係のことをさすのだろうかとも思ったりした。事件の骨格もどちらかといえば類型的である。
にもかかわらずこの作品にはひきつけられた。スピード感、躍動感。ギョッとするサディスティックなシーン。007を一回り小さくしたようなスリリングな諜報活動と申し分のないバトルアクション。息を殺して読むことになるサスペンス。冒険活劇小説の勘所が満載。面白い!これらが退屈しかねない類型的縦軸に楔を打つように断続の横串をさしてくる、そういう構図だからだ。
ドラゴン・タトゥーの女・リスベット・サランデル。この作品はこの特異なヒロインの魅力がすべてだ。
短髪、鼻と眉にピアス。拒食症のようにやせた御青白い肌。ドラゴンやらスズメバチなどで全身を刺青。24歳だが発育不良のようで14歳にしか見えない。他人から見れば内向的でコミュニケーションがとれず、知的障害があるようなふるまい。そこに異様な攻撃的言辞、暴力がともなう。ごみをぶちまけたような部屋で似たような仲間とクスリやらセックスとごろごろしている。ハードロック系のアメカジヤンキーといったところがある。そして日本で言えば禁治産者か準禁治産者のようだから、後見人制度により弁護士の保護、監視下に置かれている。
後見人である人格者の弁護士・バルムグレンは警備会社を経営するアルマンスキーに彼女を紹介し、そこでお茶くみ的アルバイトが始まる。アルマンスキーはやがて彼女の人並みはずれた調査能力を発見する。高度に訓練されたプロの諜報員の実力といってよい。社会からはじき出された人物が探偵として登場することはよくある話だが、ここまで世間から否定された人物を探偵にしたお話にはお目にかかったことがない。そして彼女の超人的才能に目を見張る。読者は物語の本筋とは離れてぽつりぽつりと挟み込まれるリスベット・サランデルの行動に釘付けになるのだが、これがこの作品の上巻であった。バルムグレンの後任として彼女の後見人となったビュルマン弁護士のサディスティック振りには目をそむけたくなる凄まじいものがあったが、「やられたらやりかえす」とリスベットがそれを上回る冷酷な復讐を遂げるシーンなど忘れがたい。下巻ではミカエルと共にヴァンゲル一族の血の秘密を暴くことになる。
企業の腐敗、凄惨な幼児虐待、異常者による性犯罪、異人種の移民への抜きがたい差別意識、弱者に対する過酷な仕組み、スウェーデンもやはりそんなところが問題になっている国なのかと思いながら、このサービス満点のエンタテインメントを楽しむことができた。
この作品を読む途中で、高福祉国家スウェーデンのお国事情にこんな事実があることを知った。
スウェーデンは何よりも社会福祉が充実した国として知られている。また言論・出版の自由、民主主義、人権、男女平等などを標榜してきた国家でもある。ところがその一方で、国家が強制不妊を約6万人(政府発表の1935年から76年まで)に実施していたことが97年に判明、大きな社会問題となったようである。その犠牲者は社会保障費の負担が大きい障害者、ジプシー、混血、多産の未婚の母などに集中したのだそうだ。
ひどい人権蹂躙だと思う。ドラゴン・タトゥーのリスベット・サランデルもそうした国家事情の犠牲者だったのではないだろうかと思えば、『ミレニアム』は輝かしい高福祉国家が長年にわたって容認してきたこの影の体質とその周辺をかたどる国民性への痛烈な告発だといえよう。