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(2009/7/29読了)とにかく賦課方式ではそう遠くない未来に破綻する。即刻積立方式に移行すべしとの論。
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細かいところは読み飛ばしてしまったが、あらためて、年金・医療・介護の絶望的な状況だけなんとなくわかった。積み立て方式と賦課方式の違いもなんとなくわかった。
もっと詰めてよめば面白いのだろうけど、どうせ絶望的な状況はかわらないのだから、小市民としてはイマイチ関心が持てず。
わかりやすそうで、かつ、良心的な著作であることは間違いなし。貯金たくさんしないと、老後は生きていけなくなるのだろうな、としみじみ。
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学習院大学准教授の鈴木亘氏の「だまされないための年金・医療・介護入門」という本は、社会保障がもたらしている世代間不公平の実態を明らかにしてくれる。
鈴木氏の研究によれば、年金・医療・介護という社会保障全体の世代間の不公平は非常に大きい。厚生年金と健保組合に加入してきた1940年生まれの世代は、この3つの社会保障によって4850万円の得をしている。これは、彼らが生涯受け取る給付の総額から生涯に支払う保険料の総額を差し引いた金額が4850万円にも上るという意味だ。では、2005年に生まれた子供たちは生涯でどの程度社会保障制度で得をするだろうか。答えは3490万円の損である。つまり、この二つの世代の差は、8340万円にもなるのである。どの世代で、この関係が逆転しているかと言えば、1960年代前半生まれの世代である。つまり、私の世代だ。私よりも若い世代は、日本の社会保障制度で「損」をする。
社会保障は世代間の助け合い、という言葉があるが、日本の制度は助け合いになっていない。一方的な負担だからだ。もらう方が、若い世代を十分に助けるのであれば、助け合いになるかもしれないが、現実の日本の制度は、若い世代から1960年以前生まれの世代への所得移転にすぎないのだ。これから高い経済成長が続けば、若い世代の負担はたいしたことがないかもしれない。しかし、過去20年間の日本経済の状況をみた上で、将来の日本の高い経済成長を確信できる人はどの程度いるのだろう。そんな不確実な話で若い世代は納得してくれるだろうか。社会保障による世代間の負担格差は、社会保障制度の大幅な改革がない限り、確定していることなのだ。2005年に生まれた子供たちは約3500万円の借金を最初から背負っているのである。
人口構成の変動が大きい時代に、年金・医療保険がどうあるべきか、という基本的な理解を身につけるために、本書をぜひ読んでほしい。
(大竹文雄ブログ:2009/2/2)
世代間の不公平や経済効率性に重点を置いて社会保障改革を論じた啓蒙書で「日本経済の直面する問題を広範囲な読者に理解可能な形で論じた」として支持を集めた。
(日経・福田慎一:2009/12/27)
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高齢者/現役比率の将来像ははずれにくい
高福祉高負担か、低福祉低負担かという選択肢はなく、低福祉高負担か中福祉超高負担かという選択肢しかない
積立方式では保険料引き下げにはならず、世代間不公平は生じない
後期高齢者医療制度 公費5割、保険料1割、各保険制度からの財政支援である後期高齢者支援金が4割
医師不足 診療報酬単価を自由化して、市場経済の下で価格調整できるようにすればよい
少子高齢化の進行を少子化対策で解消することはほぼ不可能。また少子高齢化社会の到来はほぼ確実な未来像。したがって私たちは少子高齢化の進行を前提に少子高齢化とともに生きる道を探らなければならない
伊丹十三
多くの人が、今度の戦争で騙されていたという。みなみなが口を揃えてだまされていたという。私の知っている範囲ではおれがだましたのだといった人間はまだひとりもいない
だまされていたという一語のもつ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易極まる態度をみるとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感じざろうえない
だまされていたといって平気でいられる国民なら、おそらく今後何度でもだまされるだろう。いや現在でもすでに別のうそによって騙され始めているにちがいないのである。
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http://blog.livedoor.jp/furusatochan/archives/1351211.html
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『はじめに』
・誰に「だまされないための」本かと言えば,もちろん,政府,政治家,厚生労働省,社会保険庁等にだまされないための本です.
『第1章 社会保障制度の「危機」はなぜ起きるのか』
・本書では公的年金,医療保険,介護保険の三つに限定して話をします.
・深刻な財政状況の原因は,「少子高齢化」.わが国の公的年金制度の中止は,「老齢年金」で,「積立年金」ではない.団塊の世代の大量退職は「正念場」でもない.
・厚生労働省の損得負担は,事業主負担を考慮していないため,1985年以降に産まれた人でも得としている.
・諸悪の根源は「賦課方式」にある.積み立て方式にせよ!
・本書の結論.①社会保障制度のすべてを積み立て方式にすべき.②現在の賦課方式からでも十分に積み立て方式への移行がスムーズに可能である.③積み立て方式への移行を早く行うことこそが,少子高齢化による悲惨な未来を避ける唯一の道である.
『第2章 本当に重要なことを最小限にまとめた社会保障入門』
・保険の原則:保険は,同質のリスクを抱える集団の間にかけられる必要がある,からいえば,「若い人がお年寄りを支える」という主張は間違い.
・積立方式から賦課方式に移行する理由.①人口構成が若いときは,賦課方式のほうが魅力に見える.②積立方式から賦課方式に移行する際に,宙に浮いた積立金が発生し,政府にとって魅力となる.
『第3章 年金改革の現状と論点』
・少子高齢化の進展に対する「自動安定化装置」として評判の高い「マクロ経済スライド」は,実際にはほとんどその機能を発揮しないということです.その理由は,第一に,「所得代替率50%を加減とする」という年金改正法附則第二条の規定にすぐに抵触してしまい,それ以上の調整ができないから.
『第4章 医療保険・介護保険改革の現状と論点』
・現在の「割賦方式」という財政方式を保つ場合,将来の医療保険料はどの程度まで上昇するのでしょうか?後期高齢者医療制度の保険料額は,国民年金の満額に対して2100年には23%になる.
・医療費適正化を真剣に目指すのであれば,保険者,患者に対して,医療費抑制のインセンティブを積極的に付与して,各モラルハザードを防ぐ必要があります.
・医師不足の原因は,本来,市場経済の下では医師不足として顕在化する問題ではないということです.
・介護保険料は,現在国民年金の6.2%に過ぎない額だが,2025年には11.7%,2050年には18.6%となる.
.介護においても,介護補遺集単価と言う価格統制があるため,介護労働力不足となる.価格が引き上げられないため,供給量が減少したまま放置されている.
『第5章 最初で最後の社会保障抜本改革』
・「二重の負債が生じるために割賦方式から積み立て方式に移行できない」は間違い.
・積み立て方式移行のポイントは,年金,医療保険,介護保険とも,現在の保険料率をただちに引き上げて将来に渡って固定することにあります.
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日本の年金問題を中心に社会保障制度についての本。タイトルで「入門」とうたっているが、決して軽い内容の本ではなく、きちんと問題点を指摘し、解決策を提案している。しかし国民全員が強制加入の年金に対していかに自分が何も知らないことか!この本が全てではないし、内容全てが正しいかは疑問だが、しっかり年金について考えるためのまさに入門書。
著者の経済学者としての情熱が詰まった一冊。
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日本の未来は「高負担・高福祉」ではなく、「超高負担・低福祉」。政府の無作為、国民の無関心(見て見ぬふり、あきらめ)による当然の帰結。人口減と超高齢化(社会福祉コストの極限化)が進む中、家族を守る為に何が必要かを今から考え、実行していきたい。
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なかなか分かりやすい。
そうか、年金は積立方式ではなかったんだ。賦課方式だったと。
創設期は戦後で被害を受けた人への救済という意味合いで支給した。
となると、積立方式は難しかったということか。なるほど。
この人も年金システムを民間へということを提案してる。
これは俺も賛成。市場で補えない部分を政府が管理すればいい。
介護にも規制があるのか。介護報酬単価。
規制する意味分からん。さっさと自由化すべき。
筆者の言うとおり、ここには情報の非対称性が与える影響は小さい。
年金原資は160兆円程度あるようだけど、どうなっているのか分からない。
100兆は国債になっているが、これもしっかり償却されるのかなあ。
これから、どんどん国の借金が増え続けたらどうなるんだろ。
年金原資から捻出された国債が踏み倒されるという可能性はないのだろうか。
とか、考えると不安は尽きない。
とりあえず自分の老後は自分のお金で養えるようにしないといけないな。
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原則論としては著者もいうように、年金や健康保険を公的に運営する理由はなく、自動車のように民間保険に強制加入させればよい。このところ「格差」論議がやかましいが、その割にはこういう福祉の非効率性を是正しようという意見は、野党からもほとんど出てこない。社会保障も国民背番号で一元管理し、福祉行政は税に統合して厚労省を廃止すれば、最低所得は大きく引き上げることができよう。
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国試のちょっと前に読んだ本。公衆衛生のつまらない国試勉強に対して批判的な態度で臨めるようになりました。公衆衛生に取り掛かる前に読んでおけばよかった。複雑怪奇な保険制度の経緯がかなり理解できたかと思います。
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年金・医療・介護の仕組みと問題点、今後の解決策についてよくまとまっている。この手の本というと、表面的すぎたり専門的すぎたり、なかなかよいものがなかったが、過不足なく、内容的にも理解しやすい。・これから10年は団塊の世代の退職により、高齢者比率が高まってゆく少子化対策などしても、それで増えた新生児たちが保険料を支払うようになるまで二十年以上かかるので、社会保障制度への貢献は極めて限定的・'60年以降の生まれは払い込みの方が受益よりも多く、損。厚生省はこれを否定するようなデータを出しているが、その計算の根拠として、保険料の事業主負担分を「賃金ではない」として計算から除外したり、割引現在価値を算出するのに利子率の変わりに賃金上昇率を使うなど、作為的なデータとなっている。・自己負担率の増加、給付カットで対応するにしても限界が近く、根本的な解決のためには賦課方式をやめて積み立て方式に移行するしかない。移行期には、プール金の拠出などが必要になってくるが、将来のためのコストと割り切るべき・パートタイマーや外国人などの加入を促すという方策も間違い。これは一時的な増収をもたらすかもしれないが、将来の給付を増やすだけになり、トータルでは損。・医療と比較した場合、介護の分野には情報の非対称性が少ないため、民間の参入を促すような施策が有効
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日本の公的な強制保険(年金・健康・介護)のインチキを暴き出す本。確かによく調べてあるし、本書の主張は正しいのかも知れないけど、このことが分かったからと言ってサラリーマンには対処のしようが無いんだよね…。本書を読むと、こういうことに興味を持つこと自体が無駄だと思えてきて、ものすごい無力感に苛まれること必定である。どうせ公的年金だって、厚生官僚がレトリックを駆使して「100年安心」(掛金を上げて給付を減らせば、そりゃあ制度は「存続」できるでしょう)を実現してしまうんだろうし。まっとうな制度に戻すには、もはやデフォルトかクーデターくらいしか道は残っていないんじゃない?(その場合、公的保険がまっとうになったとしても、我々の生活はメチャクチャになるけどね)
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一見わかりにくい、社会保障の基本的な問題点を指摘し、今後の制度についても提言を行っている良書。著者は2011年現在、類書を出しているので、そちらの方を当たってもよいが、特に年金、医療、介護の経済学的な分析は本書が詳細に行っているので、本書を読んだ方がよいかもしれない。
年金は積立から賦課制度になっていることが問題であり、医療も医師不足とはシステムから問題が起こってきていることも指摘している。これらの指摘は冒頭にあるように、①ノウハウ本 ②資格取得のための本 ③専門書となってしまって、入門書として良い本がなかったので、この本のスタイルはよいと思う。
巻末には、参考資料を10冊上げていたので、列挙しておく。
<入門的な本>
①西沢和彦 「年金制度は誰のものか」(2008)
②小塩隆士「人口減少時代の社会保障改革」(2005)
<関連本>
③加藤久和「人口経済学」(2007 日経文庫)
<専門書的>
④椋野・田中「はじめての社会保障(第 版)」有斐閣アルマ
⑤高山憲之「信頼と安心の年金改革」(2007)
⑥駒村康平「年金はどうなる」(2003)
<医療・介護関係専門書的>
⑦池上直己「医療問題」(2006 日経文庫ベーシック)
⑧「改革のための医療経済学(2006)
<古くからの積立式の提言の本>
⑨西村周三「医療と福祉の経済システム」(1997)
⑩八田・小口「年金改革論:積立方式に移行せよ」(1999)
<経済学関係 ⑪が入門書 ⑫が専門書的>
⑪八田辰夫「ミクロ経済学Ⅰ:市場の失敗と政府の失敗への対策」(2008)
⑫小塩隆士「社会保障の経済学」(2005)
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サラリーマンの年収の30%を占める厚生年金・健康保険料・介護保険料について詳しく書かれた本。
一から学べて読みやすい。