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企業や組織の中のコミュニケーションの問題を取り上げ、議論や会話などとは異なる社会構成主義に立脚した「対話(ダイアローグ)」によるアプローチが学びにつながるというもの。ビジネスの文脈で語られてはいるが、もちろん、教育現場にも十分に落とし込めるなぁと考えながら読みました。「教員組織の学び」として捉えるのもよし、「学習者の学び」として捉えるのもよいだろうなぁと。
英語教育の文脈でよくある「達人の技を伝授的ワークショップ」などで起こっているコミュニケーションはどうなっているか、一方通行になっていないか、対話になっているか、と考えてみることは面白いのではないだろうか。別にワークショップを批判しているのではなく、「情報を有形のものとして伝達する」ことになじんでしまった教育現場で、同様の形で情報を得ようとワークショップに集まる、というループに陥ってしまってはいないか、と警戒しておきたいところ、とでも言えるかな。そんなことを考えさせてくれた一冊。
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■概要
東京大学の中原准教授と、産業能率大学の長岡教授による、最新の書籍。
SNSなどの非公式なネットワークや、パワーポイントを使ったプレゼンテーションなど、情報の伝達・共有などが一昔よりも容易かつスピーディーに行われるようになったものの、「なんか伝わらない」「行動に移らない」という問題意識を時々耳にする。組織の理念浸透やOJTなどにしても、みんな言葉や技術、数値、やり方はそらで言えたりするのに、懸案が一向に解決しなかったりする。これらの問題は、すべてコミュニケーションのあり方に起因する、と著者らは言う。
唯一絶対的な解釈などない、人は事象に対して主観的な意味づけをすることで物事を解釈する、その解釈は人と異なって当然のものであり相互作用の中でつむがれ意味を成していく。という、社会構成主義の考えに則り、「早く考える」から「深く考える」ことを提案している。
対話(ダイアローグ)とは、ギリシャ語で「ディアロゴス=ディア(分かち合う)+ロゴス(言葉)」の意味。「客観的事実」と「意味づけ」の関係に焦点を当てる社会構成主義的な視点を持ちつつ、相互理解を深めていくコミュニケーションの形態。
■仕事に参考になる点
・わかるとかわるは違う:情報の一方的な受信により理解したと錯覚する状態から、いかに行動変容につなげるか
⇒「私」にとってどういう意味を持つのか。数字や論理だけでなく感情による理解。ストーリーの共有が、人の行動変容には大事。
効果測定結果を解釈するためのセッションや面談を持つことで、行動強化につながるのでは(千)
施策として、よくワークショップや面談を企画します。きっとそこでは、それなりに議論が盛り上がりはしているのだと思います。
でも、議論が盛り上がったからといってその施策は成功とはいえません。
あれこれ話してフラストレーションの発散にはなったけれど、特に何も新しいことは生まれていないとか、「上司の言い分は解る。でも…」と部下のモヤモヤは晴れていなかったりとか。
そのような事態を防ぐためには、施策のベースに、深いレベルの人間理解や哲学(それをフレームワークと呼んでもいいと思いますが)が必要なのではないかと思い、考え方のヒントを求めて読みました。
印象的だったのは、「我々」「一般的には」「業界では」ではなくて、「私」を主語に、自分の持つ思想との関わり方を物語らせるという試みです。
それから、「導管メタファー」と呼ばれる、情報の伝達に効率を求める考え方に自分が浸っているという気付きを得ました。
効率よく情報を伝えるとか、均一に情報を浸透させるとか、よく私も書いてしまいますが、これは人材育成を考える際に、陥りがちな罠なのでは?と思いました。
(同時に田坂広志『なぜ日本企業では情報共有が進まないのか―ナレッジ・マネジャー7つの心得』を読みました。そちらもおすすめ)
(さわ)
対話(オープンコミュニケーション)とは何なのか、
また、その重要性や問題点が理解できた。
「知識の共有」、「組織の変革」に関する各社の取組みは
非常に参考になる。
情報の意味づけ、ストーリーモードでの他者との対話、
ヒューマンネットワークがキーワード。
「個人の主体的な行動」を生み出すためには、
一方的な施策では効果が薄く、対話を取り入れた
双方向の観点をもち、長期的な視野にたって
実行していく必要があると感じた。
(山)
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■中原さん本、3冊目読破しました。
「大人の学びを科学する」33歳の東大准教授中原先生に魅了されております。
企業内人材育成論で、大人の学びの教科書を作り、その後次々と良書を世の中に送り出しています。
順番としては、『ダイアローグ』→『リフレクティブマネジャー』(まだ読んでいませんが、)→『職場学習論』という順に読むと良いかもしれません。シリーズではありませんが、中原先生の思考が徐々に広がり、深まっていく様子が感じられるからです。
『ダイアローグ』については、他の方がレビューを丁寧にされているので詳細については、記載しませんが引き続き勉強させていただきたいと思います。
仕事においても理論的な裏づけがある状態で人材育成を語れるよう、意識して今後も勉強していこうと思いました。
(のぐ)
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購入者:鶴岡
コメント:日立ハイテクの教育センタ長から薦められた。
「コーチング」という言葉はでてこないが、
我々がやりたいことが「教育学」の観点で書かれている。
「一斉授業」の伝統と弊害などについての言及もあり、
メタファー集めにもいいです。
著者の中原氏は東大の教育学の研究者で、
”ラーニングバー”という企業の人材開発担当者
及び教育ベンダー向けの交流会を開催している。
今度ラーニングバーに参加してきます。
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とても分かりやすい。従来のコミュニケーションの問題点は「情報の移動」だけを考えていた事。相手の共感を得られないと「伝わらない」。
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☆UL
テーマ:ダイアログについてポイントを教えてほしい
P77 : 「ボトル半分ほどワインが入っている」という客観的事実について、二人は知っている。でも、その意味付けについては必ずしも共有しているわけではない。
P147 : 知識共有と経験の語り合い
P913 : あうんの呼吸が当たり前に存在していたが、その反面、絆に縛られた個人が主体性を発揮することは困難。情報化の時代で個人が主体的に情報を発信することは可能となったが、導管メタファー的な発想が定着してしまった。
⇒ダイアログを単なる会話と理解をしていたし、会話を自らの情報を発信すれば目的を達成したと考えていた。情報化の時代だからこそ、ダイアログは重要であり、ダイアログをすることで知識からノウハウに変換することができると思う。
☆通読での主な内容
・「対話」と「会話」の違い
対話は人々が物事やそれぞれの立場を理解したり、わかったことを行動する、そのきっかけとなるような創造的なコミュニケーションが対話。会話は通常のおしゃべり。
・メールは一方向のコミュニケーションで双方向ではない。
・「導管メタファー」=パイプに情報をポンと情報を投げ込めば相手に情報が伝わるというコミュニケーション感。いいぽう的であって、対話とは言えない。
・「対話」は、共有可能なテーマで聞き手と話し手で担われる創造的なコミュニケーション行為。「私は〜と思う」といった一人称の語りを重視するとよい。
・「議論」は最終的に何かを結論を出すが、「対話」は結論がでなくても双方の価値観を共有することができる。
以上。
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第8回(09.06.24)山本
・「対話」と「会話」の違い
対話は人々が物事やそれぞれの立場を理解したり、わかったことを行動する、そのきっかけとなるような創造的なコミュニケーションが対話。会話は通常のおしゃべり。
・メールは一方向のコミュニケーションで双方向ではない。
・「導管メタファー」=パイプに情報をポンと情報を投げ込めば相手に情報が伝わるというコミュニケーション感。いいぽう的であって、対話とは言えない。
・「対話」は、共有可能なテーマで聞き手と話し手で担われる創造的なコミュニケーション行為。「私は〜と思う」といった一人称の語りを重視するとよい。
・「議論」は最終的に何かを結論を出すが、「対話」は結論がでなくても双方の価値観を共有することができる。
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大人の学びをテーマに研究する中原淳さんと、長岡健さんによる本。仕事におけるコミュニケーションの重要さと、その中での「対話」の必要性を説く内容には共感するところ大。
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個人的に著者のファンでもあるのでひいき目ではあるが、人材育成、組織マネジメントに携わる人は読んでほしい一冊。
僕が今までマネジメントした組織には上手くいったものも、そうでないものもあるが、上手くいったチームの時は必ず充実した部下との対話があった。と、言うことを改めて振り返ることができた本。
著者はサードプレイスの場を提供しているが、人気があって入れないのが玉に瑕。
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コミュニケーションの在り方としての対話。伝える・伝わるとは何か、真の情報共有とは何か、コミュニケーションの本質をつく秀逸の一冊。
コミュニケーションの本質を一方通行の客観的事実(知識・情報・データなど)の伝達ではなく、客観的事実に対する意味を創造・共有していくことと説く。そして対話とは相互の意味づけを相互に確認するプロセス。対話の効果は真の理解を得ることから変容すること(これを筆者は学習と言っている)へつながるという。
「物事の意味とは客観的事実ではなく、社会的な構成物である」という社会構成主義の主帳を一つのアカデミックな視座として持ち、認知科学などの知見からもサポートするこの本は非常に納得感がある。また例えが身近であり入りやすい内容となっている。
とにかく多くの人に読んでもらいたい。そして対話を大切にする世の中になればいいと思う。
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ちょっと理論によっていたもので、実際的ではなかったかも。とは言え、事例集ばかりだといけないので、こういう本もあった方がいいのだろう。
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久しぶりにビジネス書を読んでみた。とはいえ、学的根拠がちりばめてあり、他の類書とは奥行きが違う。
書かれていることには、ほとんどの部分で共感できた。意味付け・共有、ストーリーモード、サードプレイス等の考え方は、まさに我が意を得たりだ。
でも、実際問題、そもそも「対話」ができる、通じる相手は自組織に何人いるだろうか。相手を問わず対話を積み重ねれば、組織変革が起きて、望ましい方向に向かうのだろうか。そこにはやはり、ある種の壁があるのは受忍しなければならないだろう。
また、実践の際には、「対話」や「サードプレイス」を設定する上での金銭的・時間的コストと効果を比較考量が必要だと思う。個人的には、各人が、本書206頁の図におけるサードプレイス中における、数多の「場」を種別化し、選択して集中することにより、次のフェーズに移行することができると考える。
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昨今やたらと言われるコミュニケーション関連本。
フォーマルではない、でもトピックのないダベリでもない。そんな位置付けのダイアログ。自由な対話。
ラウンドテーブル、ワールドカフェ。そっち系と似ている?
重要性はよくわかるし、実際うまく機能していた組織はよく対話していた。具体策となると組織風土や日頃の人間関係も大いに関連するのですよね、これ。
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導管メタファーでは伝えきらないことを「対話」で解決することの大切さを教えてくれる本。
読まれ易さを意識した装丁(一見稚拙に見える)もこの手の本には大切な要素で好感が持てる。
具体例を多用した記述はイメージが容易で非常に判り易い。
情報やデータをそれぞれがどのように「意味づけ」を行った上で「対話」というコミュニケーションで相互理解に帰着するか?という半分ワインの入ったボトルの話なんか秀逸。
僕自身は「対話」の大切さを著者とのFace to Faceの「対話」で学んだ訳ではなく、活字を通した「対話」で理解することができた。
「対話」はちゃんと書かれた活字をちゃんと読めれば、すなわちコミュニケーションする者同士が”ちゃんと読み書きできれば”成立する。
本書が活字を通した「対話」が十分成り立つ示唆であったのも事実。
最終章で言及される「サードプレイス」こそ、ソーシャルネットの社会ではヴァーチャル空間がその役目を果たすのではないだろうか。
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「対話」の重要性を伝えている一冊。
普段、「対話」=「雑談」のように感じている私たちにとって
非常に重要な指摘をしている。
また、そのまま物事を伝えようとする、導管メタファーにとらわれすぎていることも指摘されており、
企業人でなくとも一読に値すると思う。
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組織内のコミュニケーションのあり方について「ダイアローグ(対話)」をテーマに心理学・教育学の分野から学術的に説明してくれる本書。
自分が所属する組織でも本書にあるような問題が起きているので、とても参考になった。
・「導管メタファー」というコミュニケーション感。情報はそのまま相手に伝わらない、情報に対しての「意味づけ」は人によって異なる。
・他者を理解することで自分を理解する
・Serious Fun 物事を真面目に楽しむ
・学ことは知識を得ることではなく、行動や思考様式を変化させること