紙の本
修復師という<神>の姿
2009/05/14 20:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
花師と絵画修復師の二つの顔をもつ佐月恭壱。
彼は修復を通して、絵画の奥の謎を明らかにする。
北森鴻は、どれほど引き出しを持っているのだろう。
民俗学者、骨董商、ビール専門バーの店主に、寺男、どれも専門知識を駆使してミステリーを超えた独自の世界を作り出している。その世界の一つに、絵画修復師が加わる。
読み始め、骨董の世界との近さを感じた。が、読み進めるにつれてそれは全く違う世界なのだと思い知らされる。
骨董が、作られた世界を守るものであるとすれば、修復はある種の破壊と再生なのだ。
総髪、作務衣に雪駄という時代がかった佐月の姿は、修復をする絵における<神>たらんものであるのかもしれない。
と、いつものように人物造詣が上手い。
花師としての高慢とも言える態度や、時代がかった服装も、佐月をむしろ孤高の人として、そういう明らかな表現をなしに、描くことに成功していると思う。それは、修復という薄氷を渡るような作業の切なさも内包している。
ミステリーとしてももちろんとてもよく完成されている。
とくに表題作の「深淵のガランス」は最後まで息のつけない展開で結末に思わず感嘆の声をあげてしまった。
「凍月」では、若き日の佐月が描かれている。
まだまだ謎の多い佐月なのである。
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k_93: 最近、何冊か読み始めて読み終わらず。。。これは最後まで楽しめました。こんな世界も本当にあるかしら?
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ゼミを思い出す。
『深淵のガランス』は作品(元ネタ)があるのか題名がしっくり来なかった。
深淵の〜の言語イメージに付随して視覚的に赤がくるとは思えない。
表紙はもっと深い赤がよかったなぁ。
双識ぽいイメージ。
狐さん出てきて!
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面白い。
かなり専門的なことも書いてあるけれど
天才的な技術を目の当たりにできる感じで
とても、いいです。
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2009/04/16
購入してしばらく放置。
北森鴻は好きだけど、なんか読む気になれなかった。
が、読んでみればやっぱり面白い。
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著者は1961年生まれ。
2006年発行。95年デビュー。
佐月恭壱という痩身で作務衣姿の花師が銀座の店へ花を生けに行くところから始まる。
懇望されて生けに行っても気に入らなければ帰ってしまう。じつは絵画修復師という面も持ち、納得のいく紹介に限って引き受けている。
贋作事件に巻き込まれる可能性が高いからだった…
やや耽美的なムードのあるミステリ。
画伯の知られざる名品かと思われる作品の修復を依頼され、分割された様子を調べていく経緯。
個人が発見した古墳の壁画を修復するために洞窟に入り込み、絵と同化するような情熱で取り組むシーンなど、熱意を持って描かれていて、引き込まれます。
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久しぶりの北森作品。
相変わらず、かっこよくって面白かった。
新しいキャラ佐月恭壱が登場する。
佐月恭壱とは、絵画修復師を営む天才。
北森作品は、こういうかっこいいヒーローがどんどん登場してぐいぐい魅せつけるわりに、
結構マニアックな話に持っていくところがなんともファンにはたまらない。
骨董品、考古学、歴史学につぎ、今度は、絵画。
ヒーローたちは、味付けであり、実のところ本当の素材は、人間の作り出した尊敬すべき叡知であると思う。
朱大人父娘や前畑といったこれまた興味深いキャラに、
絶対に陶子だと思われる謎の女。
長々と北森作品を読んできてよかったと思わせてくれる。
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北森氏得意の職人シリーズの新版。相変わらずのオタクな知識の展開で読者をグイグイ引き寄せる筆力はさすが。ただ、題にもなっているガランスの意味が理解できなかった自分が悲しい。ピーコの解説がよかった。途中で、おっ~冬狐堂が出てくるかな…と期待したが、残念。
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★あらすじ★銀座で花師を営む佐月恭壱には、凄腕の絵画修復師というもう一つの顔があった。塗り込められた油絵の下には何が隠されているのか?表題作他、厳寒の地で見つかった古代壁画を命懸けで修復することになる「血色管」を併録。
★感想★北村氏お得意の芸術もの新シリーズ。「深淵のガランス」の隠された絵を表に出そうとする者と死守しようとする遺族との攻防や、「血色管」での壁画に使われた画材・当時の状況を分析していく過程は、充分ミステリとして楽しめます。寡黙な男・佐月の絵画修復に懸ける執念。こういう特殊な世界に生きる人物を描かせたら、北村氏は本当に上手い。それにしても登場人物みんなアヤしいw 佐月に仕事を依頼する「女狐」は、やはりあの女性…?
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花師と絵画修復師の二つの顔をもつ佐月恭壱。
彼は修復を通して、絵画の奥の謎を明らかにする。
北森鴻は、どれほど引き出しを持っているのだろう。
民俗学者、骨董商、ビール専門バーの店主に、寺男、どれも専門知識を駆使してミステリーを超えた独自の世界を作り出している。その世界の一つに、絵画修復師が加わる。
読み始め、骨董の世界との近さを感じた。が、読み進めるにつれてそれは全く違う世界なのだと思い知らされる。
骨董が、作られた世界を守るものであるとすれば、修復はある種の破壊と再生なのだ。
総髪、作務衣に雪駄という時代がかった佐月の姿は、修復をする絵における<神>たらんものであるのかもしれない。
と、いつものように人物造詣が上手い。
花師としての高慢とも言える態度や、時代がかった服装も、佐月をむしろ孤高の人として、そういう明らかな表現をなしに、描くことに成功していると思う。それは、修復という薄氷を渡るような作業の切なさも内包している。
ミステリーとしてももちろんとてもよく完成されている。
とくに表題作の「深淵のガランス」は最後まで息のつけない展開で結末に思わず感嘆の声をあげてしまった。
「凍月」では、若き日の佐月が描かれている。
まだまだ謎の多い佐月なのである。
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東銀座に事務所をかまえ、花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く
佐月恭壱は「確かな筋」から受けた仕事でありながら
何故かトラブルに巻き込まれる。
美を巡る世界に巣食う魑魅魍魎はどこにでも顔を出す。
オリジナル(原作者)と同様の心を持ち、それ以上の腕がなければ
成し得ない修復の技。
ミクロとマクロの作業を同時進行させる精神力。
一歩間違えれば贋作者に転落する危険を伴う仕事。
恭壱が修復の作業に入った時は読み手も緊張する。
思わず息を殺して活字を追ってしまう。
恭壱と一緒にいる善ジイもすごくいい!
恭壱の修復作業に必要な道具&材料を絶対に集めて来る。
この人の情報網も侮れない。
あの、洒落にならない悪戯は最高だったわぁ~
そして何より驚いたのが、女狐女史って
あの人だったのね・・・気付くの遅かった・・・
女って・・・怖い(-。-;)
続編も読むぞ!
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途中までしか読めずに返却。
北森氏の作品にはちょっと気取ったミステリアスイケメン&レディが多い気がするが、このシリーズの主人公もそういうタイプ。清涼院みたくやりすぎるとちょっと気持ち悪いけれど、北森さんくらいのだとイヤミなく読み進められる。
美術品を主軸にしたミステリというのも好感度が高い
(あんまりないから
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作者の作品としては、標準レベルか。 しかし、よく勉強して作品を書く作家であったなぁ、と思う。 必ずしもファンというわけではなく、また熱心な読者でもなかったが、結構好きで作品を手に取っていた作家だけに、物故したのは何とも残念。 しかし、一度読んだことがある作品かどうか、書店に行ってもにわかに判断がつかないのは、ちと難儀。
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「血色夢」の美術用語が難しくて、積読になっていたけど
ようやく読破!
「凍月」での若かりし佐月恭壱、つくづく女を骨抜きにする男だなーと。笑
個人的には、表題作の「深淵のガランス」が好きでした。
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ピーコの解説にもあったけれど、
この作家のもつ空気感が心地よく感じる。
世界観に浸れるのがよい。
何度もこの空気に浸りたくなる。