紙の本
大人にも通用する独学の大切さ
2009/03/25 12:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:新井宏征 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちくまプリマー新書から出ていますが、大人が読んでもたくさんの気づきがある一冊です。
著者は現在東京大学の柳川准教授。本書を読むとすぐにわかるように、著者は高校に行かずに、大学は通信課程という経歴の持ち主。その経験から、独学、そしてそれを通した日本というシステムについて、著者なりの考えが展開されています。
共感できる部分が多かった本ですが、例えば冒頭の方で、独学をしていると人に聞くことができないという話が出てきます。そのような体験を通して、著者は「そういう時に、どうやって乗り越えていくのかとか、どこでがんばるとか、どのへんまで粘るかとか、そういう知恵があるというのは、論文を書くときにかなり役に立つ」と言っています。
これは、自分の仮面浪人中の体験からも、すごく納得できる話でした。「考えること」の重要性が叫ばれている今、この自ら問題を乗り越えていく体験の大切さは、もっと多くの人に伝わってほしいメッセージですね。
他にも例えば、独学を通して「勉強や研究の自分なりのマスターの仕方を、自分なりに工夫することが実はとても大事だという点」を学んだというように、今の自分の勉強の仕方を再点検するきっかけとなるヒントが詰まっています。
本書は『独学という道もある』というタイトルの通り、著者は独学を全面的に薦めているわけではありません。独学と既存の日本の教育システムを公平に見た上で書かれているのも、とても好感が持てました。
また、本書の所々、そして最後の部分で見られる著者の考える日本についての話も、今の日本というシステムだけでなく、そのシステムの中で教育を受け、仕事をしている我々個人にとっても、現状を冷静に見つめ直すきっかけとなるものだと思います。
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
思っていても、なかなかできないのだけど、いつか何かを身につけたいと思う。思えば、調理師も独学で取ろうと思ったが結局できなかった。
しかし何かしてみたい。
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高校いかずに東大教授。こんな道もあるのかと思わされる一冊です。でも高校行かなかった理由が、父が仕事でブラジルに駐在していてそれについて行ったからというもので、なんだかんだ恵まれた環境にあったんだなとは思いました。
人の人生の歩み方には環境というものがとても強く影響します。彼がこのような道を歩めたのも、「環境が良かったから」という部分がまったくないわけではないと思います(もちろん成功の要因のほとんどは本人の努力ですが)。
でも、世の中には勉強すればあらゆる可能性が開けてくるということを全く知らないで(教えられないで)育っている人がたくさんいます。そういう人たちに、勉強の効用を伝えたい、と思うけど、そうすると結局はこの本で著者が言ってるように、上から道を強制されることになるので、言われた側はますます勉強嫌いになってしまいます。
やはり、結局は環境が強く影響するということになるような気がします。
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簡明な文章
多分後数ヶ月したらそれほど感動しないのだろうけど、今の私にとって非常に大きな癒しをもたらしてくれた
独学で高校、大学卒業資格を手にいれ、公認会計士の資格を取得というすごい経歴の方
でも、いやみったらしいところが無いのは好感がもてる
そして自分の今を振り返るきっかけをくれた
落ち込んだ時の一冊に追加決定
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面白い
…ことは面白い。
異色と言えば異色、という経歴の著者。
やはり凡人とは違う環境に身を置いていたからこその、今だろう?とついツッコミたくなった。
単なる私のヒガミです(苦笑)
独学うんぬんはあくまで手段。著者が今に至った要因は、海外生活経験で得た刺激と広い視野、そして積極性だ。それを持つ若者が、今どのくらい居るか…ここまで動ける人は、いそうで実はいない。
独学の仕方というより、独学を選択するか否かの参考書。
こんな生き方もある、ということを学ぶ本。
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筆者の生き方は痛快で本当にすごいと思った。
本書でも触れられているが、彼の経歴は「慶應義塾大学経済学部卒、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了」と記載されている。
しかし、この本を読むと、慶大卒は通信過程卒だったことが分かる。高校も卒業していません。正直、とても驚いた。
東大の准教授になる人物の奇想天外なキャリアに。そして、もっと驚いたのが筆者の勉強のスタイル。
筆者が、いい論文を書いて、学会で認められていき、それが社会へ還元される様を見て私も胸が熱くなった。
本書の内容はすばらしく、筆者の生き方に憧れるが、私は自由に生きることの代償は既存のレールから外れるということを読んでいて逆にとても強く感じた。
一方でやはり個としてもっと強く生きたいとも思ったのだが、、、
筆者の具体的な勉強法も書いてあるので「独学」(個人的には勉強にとどまらずもっと広義の意味のように感じる)に興味がある人は楽しめると思います。
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著者の勉強法について、そして生き方について書かれた本。
日本社会における生き方の柔軟性のなさを突いている。
自分の勉強の仕方、生き方と通じる部分も多く、自分の考え方を補強できた。
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独学云々より、著者のブラジル在住経験に共感する部分が多く、思わずうなってしまいました。
「経済」に翻弄されてきた、そして今も翻弄されている日本人移民とその子孫たち。
日本にとどまった人たちより多大な苦労をしている人が大多数という事実に
ブラジル駐在中ずっと胸を突かれっぱなしだったのは著者も私も同じ。
独学は・・・強固な意志がないとやはり難しいような気がします。
独学と学校通いをうまく組み合わせて効率よく学ぶのが一番だと思います。
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高校へは行かずブラジルで過ごして大検を受け、大学は日本の通信制、そういう経歴で東大の経済学の先生になった人がいる。柳川範之さんだ。ちくまプリマーから出た「独学という道もある」は、彼の体験的エッセイだ。受験秀才でないと学者になれないと思っている人は多い。テストに強いことと研究者として優れているということは、全く関係がないというわけではないが、世の中の人が思っているほどではない。経済学者の世界について、柳川さんがこの本で書いていることは、私の経験からも同意できることばかりだ。
私は以前、アンケートで、「一流大学卒業、一流企業入社という成功モデルが崩れた今、これからの成功モデルはなんですか」という質問を受けたことがある。その時、私はそのアンケート作成者が、単一の成功モデルしか頭になかった人なんだろう、と感じた。現実には、日本にも結構いろんな価値観があって、様々な成功モデルがあるのに、単一の成功モデルだけを信じてきたのだと思う。実際、それが日本の閉塞感の原因かもしれない。この本は、単一の成功モデルに振り回されている人にこそ読んでもらいたい。自分の向き不向きをどうやって見つけるか、偶然の出会いをどうやって生かしていくか、この本を読むことで学ぶことができると思う。(大竹文雄ブログ:2009/2/15)
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人は「私にはこの道しかない」などと思い込んでしまいがちだけれど、確かに世の中に選択肢はたくさんあって、道から外れたってどうにか生きていけるくらいの余裕はあるんだと思う。選択するのは結局自分なのだから、できない理由は他人ではなく選択をしない自分なんだろう。人目を気にせず何でも自由にやってみよう、と少し元気づけてもらいました。ただしかなりの努力が必要である、という所は耳が痛い。
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高校、大学時に海外にいて、
高校に行かず大検を受け、
大学は慶応の通信で学んだ人の話。
いろいろな道があっておもしろい。
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[ 内容 ]
高校へは行かずに、独学で大学へ進む道もある。
通信課程の大学で学び、学者になる方法もある。
レールはひとつではない。
世界の価値観は多様だ。
自分のペースで学び、生きていくためのヒントと勇気をくれる一冊。
[ 目次 ]
第1章 道はたくさんある―高校へは行かないという選択(高校へは行かない生活 ブラジルでの独学のスタート 独学時代の一日の過ごし方 ほか)
第2章 こんな勉強をやってきた―大検合格法(ノートは作らない マーカーは引かない テキストを二回読むようになる ほか)
第3章 いつでもやり直せる―通信大学から研究者の道へ(慶応の通信で経済学を学ぶ 自分に合った本を探すことが大事 大山道広先生との出会い ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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独りで勉強するのが好きな人とか独りで勉強している人とか独りで勉強してみたい人とか、そういう人は読むといいと思います。
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なるほどこういう道もあるのかと目からうろこでしたし、大きな勇気をもらいました。外国での暮らしが長く、中学卒業後は独学で学び、通信課程の大学から大学院へ、現在東大大学院准教授である著者の歩んできた道は日本で考えられている普通の道とは異なるけれど、こういうやり方も確かにあるなぁと思わされました。外国で暮らしたことがこういう道を選びやすくさせた気もします。同一であることを強く求める傾向にある現在の日本にあってこれと同じ道を進もうとすると、ずっと強く他との違いを意識せざるをえなかったのではないかと思うからです。もともと異邦人である外国では、選んだ道が周りと違ってもそう差異を感じなかったのではなかったのではないでしょうか。これは親の立場からみてということでもありますが。何か違うルートがあったり、選択肢が広がったりすることが活力を生み出す重要なファクターであり、道からはみ出すことを心配して、そろそろと歩く社会からは活力とか希望というものはあまり出てこないのではないか、という著者の言葉には共感できます。これは別に若い人に限ったことではなく、年齢を重ねた人達にもあてはまるのでは、という点においても。歳を重ねることで得た知識や経験が、思考を硬直させるのではなく、様々な考え方・物事に対するアプローチの仕方・人としてのありようを認められる心の広さにつながる人でありたいと強く思います。
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ちょっと前にフラッと中古で購入。
大学時代に授業うけたことがあったから、読んでみました。
著者(先生)は、こんな経歴だったとは知りませんでした。
世の中、可能性、ルートなんていくらも広がっているんだなと思った。
“既定路線”以外に対する挑戦をしていきたい。