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聖者の戦い
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.8 15件
  • あなたの評価 評価して"My本棚"に追加 評価ありがとうございます。×
  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2009.3
  • 出版社: 集英社
  • サイズ:20cm/291p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-08-771280-3
  • 国内送料無料

紙の本

聖者の戦い (小説フランス革命)

著者 佐藤 賢一 (著)

真の敵は何処に。今こそ、真実に殉じる勇気を。革命の本道を目指し、天下をかけた戦いが始まる。仮面の聖性と宿命の俗性。【「BOOK」データベースの商品解説】【毎日出版文化賞特...

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聖者の戦い (小説フランス革命)

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商品説明

真の敵は何処に。今こそ、真実に殉じる勇気を。革命の本道を目指し、天下をかけた戦いが始まる。仮面の聖性と宿命の俗性。【「BOOK」データベースの商品解説】

【毎日出版文化賞特別賞(第68回)】1789年10月。革命の舞台はヴェルサイユからパリへ。富を独占する聖職者がついに槍玉にあげられる。自ら教会の破壊を推し進めるタレイランの目的とは何か? 革命の本道を目指し、天下をかけた戦いが始まる。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

佐藤 賢一

略歴
〈佐藤賢一〉1968年山形県生まれ。東北大学大学院で西洋史学を専攻。「ジャガーになった男」で小説すばる新人賞、「王妃の離婚」で直木賞を受賞。他の著書に「傭兵ピエール」など。

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みんなのレビュー15件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

ひとごとではないお話

2010/04/03 13:31

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『聖者の戦い』といえばいかにも響きは良いが、その実はというと利権絡みであれこれともめている、いかにも俗っぽい聖者の姿が覗いており、実に皮肉なタイトルである。

1789年、フランス革命が成って政権交代するはずが、ではその放り出された政権を一体誰が主導していくのか?という所で議会は紛糾し、議会に自分達の価値を決められたくないと聖職者はもめまくる。そして依然として新たなる権力闘争が巻き起こり、頭を挿げ替えただけで、新たな支配層が台頭する。熱狂した民衆を置き去りにして。

まるで日本の政権交代からの騒ぎを見るようだ。時代にシンクロするように登場する小説というのはあるのだとつくづく思う。


それぞれの登場人物のキャラクターが立っており、これぞ生きている歴史という感じ。後世ではその結末から、独裁者だの暗殺者だのと悪い評価を頂く一方の人物も、それ以前の姿が描かれているため、納得感が高いプロセスを経ている。10巻を通じて表舞台に登場しては去ってゆくそれぞれの身の処し方、成長の過程などがじっくり読める歴史絵巻。

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紙の本

個性的な革命家たちの群像をあざやかに屹立させる著者の手腕は見事なもの

2009/05/23 08:36

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る

名もなきパリの民衆、とりわけ下町の女性や弁護士デムーランなどの大活躍でベルサイユの国王や王妃をパリに「奪還」したわけですが、貴族たちが国外に逃亡した後の三部会、いや国民議会は肝心の憲法を制定するどころか右派と左派、そしてバチカンの顔色をうかがいながら保身にきゅうきゅうとする聖職者たちの間で、フランス革命のイニシアチブをめぐって果てしなき混迷が続けられます。

さて本巻に登場するのは、これまでにもめざましい活躍をしてきた以下の面々です。

まずはライオン丸こと伯爵ミラボー。議場で獅子吼すれば泣く子も黙るこの陰謀家は、あろうことか革命の大義を裏切ってひそかにフランス王ルイ16世に急接近しようとするのです。この術数にたけたプロバンスの貴族は、なぜかヴェルディのオペラ「椿姫」に出てくるアルフレードの父ジェルモンを思い出させます。

さらにはオータンの司教にして議会の小澤的黒幕タレイランや国民衛兵隊司令官とパリ方面軍司令官を兼務してルイ16世の覚えもめでたいアメリカ帰りの白馬の騎士ラ・ファイエット将軍。こういう海千山千の政治家たちが議会の三頭派デュポール、ラメット、バルナーヴなどの頭越しに憲政を壟断しようと暗闇でうごめいています。

のちに恐るべき独裁者に成り上がるロベスピエールやマラー、デムーラン、快男子ダントンなどはまだまだひよっこのようなちっぽけな存在ですが、やがて彼らが次第に頭角を現して彼ら守旧派の親玉たちを歴史の表舞台から退場させるのです。

過去の名著のみならず英米仏など内外の最新フランス革命史を参照しながらこれらの個性的な革命家たちの群像をあざやかに屹立させる著者の手腕は見事なものです。そしてはねっかえりの革命児サン・ジュストがロベスピエールに接近していくところで全一〇巻シリーズの第三巻が幕を閉じるのですが、続く第四巻の登場がこの秋とはなんと待ち遠しいことでしょう。


♪革命の光は失せて二〇〇年いずこへ消えしや自由平等博愛 茫洋

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紙の本

私としては、ミラボーの不調が気になって仕方がありません。彼に元気がないと、お話までつまらなくなってしまう。やっぱり、ミラボーはフランス革命のパヴァロッティ?

2009/09/25 19:16

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

佐藤 賢一『聖者の戦い―小説フランス革命〈3〉』(集英社2009)

書店に入って書棚をみれば、この本のありかがすぐわかる、そういう意味では素晴らしい装幀です。まさにカバーの色の勝利。ま、色を除いたデザインについては垢抜けない、という印象もありますが、人目を惹くという役割は十二分に果たしているといえます。そんな装丁は、博識な松田行正と日向麻梨子、お馴染みの装画は八木美穂子、地図制作は金城秀明です。

全17章のタイトルを書けば、1 大貴族、2 神殿、3 ジャコバン・クラブ、4 新しき秩序、5 新聞、6 紹介、7 腐れ縁、8 僧衣の亡者、9 切り崩し、10 モンモラン報告、11 談合、12 対決、13 会見、14 アヴィニョン問題、15 連盟祭、16 告発、17 仲間として、となっていて初出誌は「小説すばる」2008年1月号~6月号、単行本化にあたり、大幅に加筆・修正してあります。

出版社のHPにはこの巻について
            *
革命の舞台はパリ。追及の手は聖職者へ
1789年10月。革命の舞台はヴェルサイユからパリへ。ついに、聖職者たちの富の独占が槍玉に挙げられる。教会の破壊を精力的に押し進める高位聖職者オータン司教・タレイランの真の野望とは?
            *
と書いてあります。私はあまりフランス革命と教会・聖職者とを結び付けて考えたことがなかったのですが、議会では聖職者たちの特権をはく奪し、教会財産を国有化し、かわりに聖職者たちに国が俸給を与えるということが決議され、宗教の自由化も論じ始められているというのですから、驚きです。ま、知らないのは私だけなんでしょうが、学校で教わった記憶もありません。今回は、それをめぐる聖職者階級、ブルジョワ階級、第三身分との対立の巻きです。

それとアメリカで起きたスペインとアメリカとの戦争をめぐって、王権と議会、そのどちらが参戦などの主導権を握るべきかということも話に密接に関係して来ます。そして、そういった論争で表舞台に立つのが、ミラボーです。二巻では体調不良故に主役の座を降りた感がありましたが、第三巻で再び話の中心に戻ってきました。

ただし、体調不良についてはこの巻でも続いています。それに女性とのお遊びについてもあまり語られることはありません。そしてなにより、彼が行うことが殆ど裏目に出ます。まず、ロベスピエールが離れます。聖職者たちの覚えもあまりよくはない。彼が大切に思うルイ16世にしても、マリー・アントワネットにしても彼のことを殆ど理解していない。

それでも、やはりミラボーなんです。この人がいなければお話が少しも面白くありません。デムーランなんて少しも魅力がありません。そんな男に惚れるか、リュシル? なんて思ったりもします。そしてタレイランです。名家の出の議員で、オータン司教でもあるシャルル・モーリス・ドゥ・タレイラン・ペリゴール。ただし、この巻ではまだまだ脇役に甘んじている感があります。やはりフランス革命のハイライトは、これからなんでしょう。

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紙の本

革命の中で宗教はどういう目にあったのだろう。軍事力は実際にはだれの手にあったのだろう。さらに聖職者と軍隊と王権がどのように絡み合っているのか。第一巻、第二巻はそんな疑問が消化不良のままにあったが、私の期待に応えるかのようにこの第三巻で佐藤賢一はちゃんと押さえてくれていた。しかも引き続きドラマティックな語りである。

2009/05/31 18:38

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

議会決議に対する拒否権を王は持つべきなのか。
封建制廃止法。
議会議員を閣僚に加える法。
高額所得者のみが選挙人・議員に立候補できる選挙法(マルク銀貨法)。
全国統一の税制。
聖職者民事基本法。
教皇権至上主義かガリア教会主義か。
王、議会のいずれに宣戦布告および講和終戦する権限を付与するのか。
この議会は各階層間で丹念な議論を尽くしつつ、あの人権宣言を加え、これからの国の枠組みを決める重要法案の数々を一年というスピードで次々と成立させたものだ………とどこかの国の政治や国会が空回りしているようにしか見えない私から見ると実に驚異的なレベルの高さである。
これが革命なのだろう。
そして国際紛争の種がまかれたことになる。どう対処すべきか。
それぞれの論点には現代に通じるエッセンスがいっぱい詰まっていて、えっ!そんな議論がこの時代にもあったのかと、他人事とは思えないリアルさにひきつけられた。

それはそれとして、
とりあえずブルジョワジーの天下になったとは言え、旧体制の生き残りの勢力は衰えておらず、しかも自分のことだけしか頭にない奴らばかりで、ここに参政権をもたない圧倒的多数の大衆層が加わったのがトータルとしてのフランス国民である。そして底辺の大衆は無知蒙昧の輩ではあるが、そのエネルギーは恐るべき破壊力がある。
だから統合は難しい。国民の利害が一致する政策などありはしないのだ。
そこで、大政治家としては、事をなすにあたって、万民を納得させる「魔法」が必要だと、これはミラボーだけの特許ではないのだ。ミラボーの「魔法」とは国王の権力を温存し、議会と拮抗させ、国王とは万民のために叡慮をつくす存在であるとのコンセプト形成にあった。しかし、あまりに国王と癒着が目立てば、これはそろそろボロが見え出したようだ。

第三巻の舞台の主役は聖職者と軍人である。彼らの「魔法」をじっくりと見届けよう。

オータン司教・タレイラン。聖職者として特権的利得を享受していた貴族階級である。貴族が敗れ平民が勝利したこのご時勢、自由主義、民主主義に傾倒するつもりはさらさらないが勝ち馬に乗るのが利口だ。と、彼は教会財産の国有化や教会組織の官僚化を積極的に進め、なるほど革命の先導者であるかにみせる。そして国有化された教会財産を担保として発行されたアシニア債を巡る利権を掌中におさめる俗物である。
大貴族・ラ・ファイエット。軍人となってアメリカに渡り独立戦争に参加した、自由主義貴族で人権宣言の起草者でもある。ミラボーの政敵。新大陸の英雄として人気のあった彼はバスティーユ事件直後、国王の信頼を受けパリ国民軍司令官に任命された。すでに軍事体制はブルジョワジーが全国各地で編成した国民衛兵軍が連盟をなし、英雄ラ・ファイエットはその頂点にあった。

バスティーユから一年後、革命一周年を記念し、国王も参加する連盟祭が行われる。第三巻の山場である。祭祀をつかさどる聖職者として国民統合のリーダーシップをとろうとするタレイラン。国民的人気に便乗し軍事力を誇示するラ・ファイエット。二人の天下取りの野心がここで火花を散らす。

この覇権争いの結果は?
しかし、それよりも気をつけるべきは「魔法」である。
仕組まれた「国家挙げての国民的行事」に熱狂する市民たちを見よ。
一時的に生活苦を忘れ、政治の混乱に目をつぶり、新体制の明日を知ろうともせず、
革命万歳、フランス万歳、国王万歳と狂喜乱舞する。
遠い国の昔のお話でもなさそうだ。

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2009/05/18 21:26

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2015/10/19 13:45

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2012/03/30 22:16

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