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紙の本
大衆の反逆 (白水Uブックス 思想)
早くから現代が歴史上の一大転換期であることを見抜き、その危機の克服をめざして警鐘を鳴らし続けてきたオルテガ。現代を大衆の時代と断定し、20世紀の本質を衝いた名著。解説つき...
大衆の反逆 (白水Uブックス 思想)
大衆の反逆
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商品説明
早くから現代が歴史上の一大転換期であることを見抜き、その危機の克服をめざして警鐘を鳴らし続けてきたオルテガ。現代を大衆の時代と断定し、20世紀の本質を衝いた名著。解説つき。〔1991年刊の再刊〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
オルテガ
- 略歴
- 〈オルテガ〉1883〜1955年。マドリード生まれ。マドリード大学卒業。哲学者。著作活動を通してスペインの知的復興に力をつくす。代表作に「現代の課題」「芸術の非人間化」など。
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書店員レビュー
大衆が社会的権力の...
ジュンク堂書店ロフト名古屋店さん
大衆が社会的権力の座に着くことの危険性について警鐘を鳴らしています。
オルテガは今日の大衆の特徴は、凡俗な人間が、おのれが凡俗であることを知りながら凡俗であることを敢然と主張し、いたるところでそれを貫徹しようとするところにあると述べています。そして日本では現在、そのような大衆に望まれて生まれた政治家が国政を担った結果、やはりその政治家もまた凡俗であったということが、今の政治の停滞によって証明されているところです。
彼の言葉は我々に重くのしかかります。
人文書担当松田
紙の本
文明とは、共存への意志である
2019/04/29 21:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wordandheart - この投稿者のレビュー一覧を見る
大衆社会論の草分け的な書だが、その内容がよく知られているとは言えないだろう。
オルテガは大衆の典型がすなわち科学者であるとしているところがユニークで、一般的にイメージする大衆社会論とは若干趣を異にする。科学はその発展のために科学者を専門分化させてきたが、科学者は自分の専門分野には詳しいがそれ以外のことは何も知らない、いわば「知者・無知者」としか呼べないものとなってしまった。「科学の他の分野や宇宙の総合的解釈との接触をしだいに失って」きたが、「宇宙の総合的解釈こそ、ヨーロッパ的科学、文化、文明の名に値する唯一のもの」である。ところが、この世界全体の解釈を試みる科学者が不在なのだ。応用科学技術はその基礎とするものを失えば、やがて活力を失う。
オルテガが大衆について以下のように要約する。
「第一に、大衆人は生まれたときから、生は容易であり、あり余るほど豊かで、なんら悲劇的な限界を持っていないという根本的な印象を抱いている。」「第二に、この支配と勝利の実感が彼にあるがままの自分を肯定させ、彼の道徳的、知的財産はりっぱで完璧なものだと考えせる。この自己満足の結果として、彼は外部からのいっさいの働きかけに対して自己を閉ざし、他人の言葉に耳を傾けず、自分の意見を疑ってみることもなく、他人の存在を考慮しなくなる。心の底にある支配感情がたえず彼を刺激し、彼に支配力を行使するように仕向ける。」
また、このようにも言う。「彼らは安楽しか気にかけていないにもかかわらず、その安楽の根拠には連帯責任を負っていないのだ。大衆は、文明の利点のなかに、非常な努力と細心な注意によって初めて維持されうる驚嘆すべき発明や構築物を見ようとしないのである。だから彼らは、まるでそれらが生まれながらの権利ででもあるかのように、自分たちの役割は、文明の恩恵だけを断固として要求することとだと考えているのである。」
オルテガの鳴らした警鐘は、ITにより情報が溢れかえり、物資的には何不自由のない現代の社会でも当てはまるだろう。連帯責任を負うもののいない文明はどこへ向かうのだろうか?
第二部では国家論に話題が移り、ヨーロッパの超・国民国家、今で言えばヨーロッパ連合へと言及していく。1930年に書かれているのにEUを予言しているところが先見の明があり、とても興味深い。
オルテガは複雑性(または多様性)と少数者への寛容を備え、民族や宗教、地域利害を超えたヨーロッパの連合が可能であると主張している。経済連合からスタートしたEUは今、移民の受け入れと経済格差に揺れている。
市場経済での勝者とは、どれだけ多くの商品を売ったか、あるいはどれだけ多くの利益を得たかであり、いうなれば経済的人気投票の勝者である。そこには多数派の支持が必要である。経済的多数派が席巻する今日にあって、そこから漏れる経済的少数派は富を失い不幸になって良いのか?グローバル経済のもと地球規模で発生している富の偏在や、宗教的または政治的な理由で難民となった人々はこれを放置しておいて良いのか?「文明とは、何よりもまず共存への意志である」と唱えたオルテガならどのような答えを出すのだろうか?
紙の本
「大衆」の認識が変わります
2019/04/14 12:55
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大衆」=「庶民」ではなく、20世紀前半のヨーロッパでは大衆が歴史の推進力であることが理路整然と説かれています。現代にも通じる「大衆」観だと思います。
紙の本
大衆論の原点
2019/03/31 13:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「大衆」と声高に悪い印象を持って叫ばれているが、本来の大衆の恐ろしさを説いた本が本書に当たる。考えることもせず流される大衆。しかし、その大衆が支配権を持つように反転するのだ。それが本書のタイトルに込められたメッセージでもある。
未だに本屋さんでトップに君臨している本書を一度は読んでもいいと思われる。