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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2009.4
- 出版社: 平凡社
- サイズ:20cm/252p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-582-83432-1
紙の本
幸田文きもの帖
「きものは心意気で着るものです」一生和服で通した幸田文の、ふだん着の、きもの入門。【「BOOK」データベースの商品解説】「きものは心意気で着るものです」 生涯をきもので通...
幸田文きもの帖
紙の本 |
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商品説明
「きものは心意気で着るものです」一生和服で通した幸田文の、ふだん着の、きもの入門。【「BOOK」データベースの商品解説】
「きものは心意気で着るものです」 生涯をきもので通したきっぷのいい東京の女、幸田文がきものの楽しみ方を語った、ふだん着のきもの入門。幸田文の暮らしの知恵を伝える随筆集第3弾。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
幸田 文
- 略歴
- 〈幸田文〉1904〜90年。東京生まれ。幸田露伴の娘。小説家、随筆家。「黒い裾」で第7回読売文学賞、「流れる」で日本芸術院賞、「闘」で第12回女流文学賞を受賞。
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紙の本
幸田文さんのきもの指南
2009/05/23 13:42
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸田文さんから心の行儀を教わる三冊シリーズの中の一冊。
私にとっては、先月読んだばかりの『幸田文 台所帖』に続く、きもの帖です。
「きものは心意気で着るものです」と帯にあり、
一生和服で通した幸田文の、ふだん着の、きもの入門。とも書いてありました。
文さんは全編できものの良さを伝えます。
きものを楽しさを伝えます。
そして「ただ単に着物を着るというのではなく、女ごころを身に纏うといったらいいでしょうか」ときものを着る心構えを伝えています。
あれこれ着物のきまりやしきたりについても、懇切丁寧に、ときに「美しくよき身ごなしでなければだめです。鏡によくご相談ください」などとぴしゃり。でも、それ以前に「意地悪ばあさんのへらず口みたいになるので、嫌なのですが、わる気ではありませんから、どうぞ我慢なさってください」と言われるのですから、不思議なことに真摯に学ばせてもらおうという気持ちになっています。「私も若い頃には、着こなしよくなりたい一心で、いくらか努力もしてみましたが、短気なのでとうとう途中で引きさがりました」ともあり、一生きもので過ごされた文さんでさえ、そうなのだ…ときものの世界の奥深さを感じたのでした。
きものにまつわる文さんの数々の思い出。
心に残ったのは、早くに母を亡くした文さんが結婚衣装という気持も金額も張る買物のに、一緒に行ってくれる人がいなかったと打ち明けていた場面。そして生母が貧しい暮しのために、自分の着物は夫の着古しを仕立てなおしできていて、文さんが「いったいどんな長襦袢を着ていたか」と想いをめぐらすところ。ここはしみじみ心に沁みました。
きものは高価なものだけに、懐ぐあいで持てる数も決まってきます。そこでも文さんは「無ければないように工夫が必要なのである。着物は、自分の肌を覆えばいいというだけでなく、人の目に不快感を与えないのが、ことに女の場合は、責任といってもいいのである。」と言い、続けて「ある人はあるようにやっぱり、工夫しなくては、着物は駄目なのである。」と言われる。 なんだか胸のすくような言葉に、文さんのきものに対する心意気を感じました。
そうして「着物は『その時、その場、その気持」で着るものだというのもその昔からの智恵の一つとして教えられたのである」と伝えながら「その時と場と気持とがみなしっくりすることは、なかなか出来難いのである。」と、その上で、「あまりああでもない、こうでもないと面倒に考えれば、世の中はつまらなくなる。着物は楽しく着、気軽に着るのがいいし、それで結構ひとの目にも快くうつる。」と読者を導く。まさに文さんは着物の魅力の伝道師と言えそうですね。
読後、自分を振り返ってみれば、長い間着物を着てないなぁ~と思う。この春の娘の卒業式、入学式も着物を着ようかな~とちらりと思ったが、どちらも洋服にしてしまった。
次の機会にはいつだろう…そのときが少し楽しみになってきた一冊、でした。