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紙の本
ルポ雇用劣化不況 (岩波新書 新赤版)
著者 竹信 三恵子 (著)
過酷な労働と不安定な生活を強いられる非正社員、目先のノルマに追われる正社員…。劣化し続ける雇用は企業の力を奪い、さらなる不況をもたらしている。丹念な取材で今日の雇用の実態...
ルポ雇用劣化不況 (岩波新書 新赤版)
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商品説明
過酷な労働と不安定な生活を強いられる非正社員、目先のノルマに追われる正社員…。劣化し続ける雇用は企業の力を奪い、さらなる不況をもたらしている。丹念な取材で今日の雇用の実態を浮き彫りにし、解決の糸口を探る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
竹信 三恵子
- 略歴
- 〈竹信三恵子〉朝日新聞編集委員。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。著書に「日本株式会社の女たち」「女の人生選び」「ワークシェアリングの実像」など。
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紙の本
大雪山事故は 一年も前に予測されていた!
2009/08/31 22:08
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書第3章「しわ寄せはお客様に」で、2008年春に派遣添乗員から聞いた話が登場する。山岳ガイドを雇わないスイスの山岳ツアーを任された派遣添乗員が、自らがハイキングを決行するかどうかを迫られた、というのだ。彼女はツアーを見送ったが、同じくガイドがつかない他社のツアーでは、天気を読み切れない添乗員が決行したため、旅行者は濃霧に迷ったという。幸い旅行者は生還した、どこかで聞いた話のように思った。今年七月に起こった大雪山事故である。旅行客と共に死亡したのは、正社員ではなく契約社員。正社員は助かっている。
最近海外旅行で添乗員の社名を聞くと、親会社の名前をつけた別会社に所属していることが多くなった。正社員か派遣社員かまでは尋ねないが、あまり旅行客はそういったことは意識しない。要は、安全に、自分達の行きたい所に連れて行ってくれ、何かあった際に責任ある行動を取ってくれれば、身分は構わないからである。
ところが、勤務形態の違いによって、その責任や業務範囲に差があるということは、旅行規約にはうたわれていない。ただ、価格が安いだけだ。そうなると、旅行客は安いツアーを選びたくなる。でも、我々は、自身の安全まで安く見積もってもらおうとは思っていない。問題なのは、見えないところで、大切なところのダンピングが行われ、結果、サービスを受けるはずの顧客が一番不利益を被るということだ。つまりは、このタイトルの通りである。
働く者も疲弊し、劣ったサービスを受ける側も、時に生命の危険にさらされ、危険からかけ離れた所にいる者だけが利益を得る。こんな図式がまかり通っているのは、旅行業界だけではない。我々は、この数年、雇用を劣化させることにより、安全な環境をも劣化させてきたのだ。
我々が望む本当の豊かな社会とは何が豊かな社会なのか。
さまざまな取材から浮かび上がってくる現実を知り、今一度考えてみてはどうだろうか。