紙の本
これ一冊でちょっとした「フジツボ百科」。
2009/11/14 13:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フジツボは甲殻類ということまでは知っていましたが、あれは自分の分泌した物質(殻)の中に、エビが鋏で地面をつかんで逆立ちしているのでしたか。腹筋運動をしながらお腹にあるひれ足でエサを招きよせているとは。
写真も多く、可愛い漫画イラストも入っていて、あまり主役としては登場してこないこの生き物をとても楽しく勉強させてくれる一冊です。
まず、日本で見かけることができそうなフジツボ31種のカラー図鑑、写真があります。各章の前扉の写真にも、意外なところについているフジツボとか富士山。フジツボの話を読んでくると、富士山が偉大なフジツボに見えてきます。どれもが大変キレイです。
目次を引用して並べるのはあまり趣味ではありませんが、今回は内容の豊富さをお伝えするために各章のタイトルを並べてみることをお許し願います。図鑑、写真のあとはこう続きます:
1 エビ、カニ、フジツボ
2 浮世離れなF生活」(評者注:著者はフジツボを愛情をこめてときおり「F]と呼ぶ)
3 ダーウィンの「愛しのフジツボ」
4 文化とのつながり
5 偉大なる付着生物
あとがき
付録 フジツボを観察しよう/フジツボをつくろう!
博物学的なこと、生態学的なことから絵画や文学、歴史的できごとまで、沢山の分野をカバー。そこに「都市伝説」やら「学会に集まる人々」の話まではいるのですから、こんな小さい本によくいれたものだ、と感心してしまいました。
米粒に手足、のようなちっちゃな幼生が付着場所を探している姿は可愛らしいですね。移動しなくなってから大人になるのですから、繁殖はどうしているでしょう?その答えもちゃんと書いてあります。
フジツボの名前は中国では藤壺。日本でも昔は「富士壷」ではなく「藤壺」だったとか。源氏物語の藤壺はどういうイメージでつけられたのでしょうか。想像が膨らみます。
アクセサリーの作り方やベーパークラフトまでついているのは、著者の愛情を感じるところ。「観察をしよう」は磯に行くときの注意まで載っていて親切です。
貴重な図譜や写真を沢山入れて、広範な内容。「クマムシ!?」から始まった岩波科学ライブラリーの生きものシリーズ。楽しくて充実したものになりました。
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これほどまで愛ある「フジツボ本」は初めて見ました。博物図譜・写真・イラスト・科学的テキスト・パラパラ漫画・ペーパークラフト他。F(著者曰くフジツボの事)に今まで興味の無かった人にも是非読んで頂きたい一冊。
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著者の並々ならぬフジツボへの愛が詰まった1冊。
フジツボを愛をこめて「F」と呼び、彼らの生態を時には学術的に時には情緒的に時には情熱的に書き倒した良書。
フジツボの生態からフジツボ料理、フジツボで作るアクセサリー、果てはフジツボペーパークラフトやフジツボパラパラマンガまでついています。
「フジツボって海岸で見るなんか汚いアレでしょ」
という人が読んでも、目からウロコが落ちて思わずフジツボを愛してしまうに違いない。
とりあえず私はフジツボも著者も大好きになってしまいました。
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[ 内容 ]
泳ぎ、歩き、逆立ちし、慎ましく脱ぐ。
つぶらな瞳と招く脚―。
ダーウィンが愛した魅惑の生物、その殻に隠された素顔がいま明らかに。
人体に生えるって本当?
東郷平八郎がバルティック艦隊に勝ったのはフジツボのおかげ?
なぜ歯医者さんが注目?
美しい写真や歴史的な博物画も満載。
巻頭に図鑑、巻末に観察ガイドとペーパークラフト、そしてページ右下に変態パラパラ付き!
充実のオールカラー版。
[ 目次 ]
1 エビ、カニ、フジツボ(貝なのか?;あぁ、あなたは甲殻類―殻のつくり ほか)
2 浮世離れなF生活(足でお食事;こっそりと脱ぐ ほか)
3 ダーウィンの「愛しのフジツボ」たち(やはり載るのは貝の図鑑?;八年間のF時代 ほか)
4 文化とのつながり(江戸時代の本草画とF;藤壷と夕顔 ほか)
5 偉大なる付着生物(汚損生物としての歴史;フジツボ海戦 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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フジツボというとまず浮かぶのは、「気持ち悪い」とか「邪魔な生物」といったマイナスのイメージ。しかし、そんなフジツボの「魅惑的な」生態をユーモラスに、愛情たっぷりに描いているのがこの本だ。
マイナーなものを扱っているものには、単なるマニアの自己満足に終っていて一般人には受け入れがたいと感じるものが少なくないが、この本はとても興味深く、ページをめくるのが楽しかった。人間と同じように、フジツボの一生にもフジツボドラマがある。人間味たっぷりのフジツボの描写は、フジツボを「F」という愛称で呼ぶ筆者ならではの視点で書かれており、オリジナリティに溢れている。とても楽しい本なのだが、ページ数が比較的少なく、量的にはちょっと物足りない感じがしたので☆3つ。
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2011 8/12読了。先生に貸していただいた。
日本動物学会で作成・頒布しているフジツボの綺麗なイラストが描かれたうちわを先日もらったのだけれど、そのときにフジツボに関する面白い本としてご紹介いただいた。
全編フルカラーで、フジツボの綺麗なイラストや銅版画、写真と、フジツボにまつわるさまざまな解説、エピソードが楽しめる本。
生き物/海の生き物/無脊椎動物好きクラスタにはぜひおすすめしたい。
件のうちわのイラストを見ても思ったことだけど、フジツボってこんなに多様なのか、かつこんなに綺麗なのかとびっくりする。
それでいて甲殻類だからおいしいとか。
フジツボスープ食べたい。
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フジツボの生態がイラスト付きでとてもわかりやすく書いてあり、読みやすいです。
この本のおかげで我が家で飼育していたフジツボの謎の行動がなんであったのかがわかりました。
フジツボの魅力満載の本です。
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フジツボの生態がくわしく書いてあり、イラストもあるので読みやすいです。
フジツボの魅力にすっかりはまってしまいました。
磯遊びに行く度に岩についているフジツボを覗くようになりました。
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面白い生き物だとは判ったが、ビッシリなあの光景が度々浮かぶとどうにもゾワゾワ。ゾワゾワしながら読み進めるも、文から溢れ出る著者の猛烈なフジツボ愛が素敵で笑える。何としてでもこの魅力を伝えたいという熱意も感じるしアレコレ工夫もしてるあたりにも好感もてる。
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岩波科学ライブラリーの一冊。
フジツボの研究者でもある、倉谷うららさんのフジツボ本。フジツボアクセサリーなども作りフジツボ一色の人が書いた本はどんなものだろうと思っていたら、結構専門的でした。
主だったフジツボのカラー図鑑とか、フジツボは貝よりもエビ、カニなどの甲殻類の仲間だとか、素人にも読みやすいようには書いてあります。
フジツボに馴染みがなかったオイラはフジツボの一生とか、あのダーウィンがフジツボ研究に熱心だった時代があったとか、はじめて知ることだらけで面白かったです。
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フジツボって、踏んだり擦ったりすると怪我するし、びっちり岩に貼り付いた姿は不気味だと思っていた。
でも、これを読んだらフジツボが好きになってしまった。
特に二本の腕で貼り付くところを探しているキプリスがかわいい。お弁当とセメント持って場所探し、お弁当がなくなると焦って変なところに貼り付いてしまうところもいとおかし。
フジツボのセメントが役立つ日がくるかもしれないとはダーウィンも考えなかっただろう。
著者作成のフジツボアクセサリーもかわいい。
私の中でフジツボは源氏物語じゃなく、海の生き物になった。
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フジツボ好きのフジツボ好きによるフジツボ好きのためのフジツボ入門編の一冊。 作者のフジツボ愛が存分に含まれて胸焼けする可能性のある本である。 またこの本から溢れるフジツボ愛を気持ち悪いと言われてしまっても仕方がないかもしれない。 しかし、ここまで一直線にフジツボLOVEを語ることができるのは素晴らしいことだ。 そして実はフジツボは奥が深いこともよく分かった。分類ができるようになりたい。
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フジツボの本です。面白いです。
フジツボって甲殻類だったんですね。つまり、エビやカニと同じ。
この本では、フジツボの知られざる生態が語られますが、それだけでなく、フジツボに魅了されたダーウィンの話などが語られて、興味深いです。そう、進化論のダーウィンは実はフジツボの研究者でもあったのです。ははぁ。。。
そして全編を通して作者のフジツボに対する愛が感じられて、読んでて気持ちいいです。
このシリーズは他にも興味深そうなモノが色々あるようですね。ちょっと集めてみようかな。
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フジツボが甲殻類だったのは知らなかった
YouTubeでフジツボの蔓脚運動を見たが確かに美しかった
全体的にフジツボへの愛が溢れていて、尚且つセメント質や付着生物としての話など実用についての記述もありバランスの良いフジツボ入門書だった