紙の本
名著をコンパクトに
2009/08/15 07:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北狐 - この投稿者のレビュー一覧を見る
広く読まれているものから、日本ではまだまだマイナーなものまで50冊を取りそろえた、
戦争研究、戦略研究の入門書となっています。
すでに名著を読まれた方が読み直すのにも向いていますし、
あらためて名著を読んでみたいという方にも格好の入門書です。
『名著で学ぶ戦争論』
はじめに
第 I 部 古典に学ぶ軍事戦略
1 多角的な戦争史叙述に挑んだ傑作——ヘロドトス『歴史』
2 戦争を引き起こすのは「利益」「名誉」「恐怖」——トゥーキュディデース『戦史』
3 「曖昧さ」が支配する戦場——カエサル『ガリア戦記』
4 地政学の父——マッキンダー『マッキンダーの地政学』
5 世界最古・最高峰の兵法書——孫子『孫子』
6 戦略研究の未開の地——陳寿『正史三国志』
7 国家の興亡を人から描く——司馬遷『史記』
8 政治的行為としての戦争——作者不詳『甲陽軍艦』
9 運命と力量に左右される政治権力を支えるのは軍事力——マキアヴェリ『君主論』
10 ナポレオン戦争とその衝撃を活写——トルストイ『戦争と平和』
第 II 部 クラウゼヴィッツ『戦争論』に学ぶ
11 真の戦略思想家——クラウゼヴィッツ『戦争論』
12 付加価値高い「決定版」——クラウゼヴィッツ『戦争論』英訳版
13 珠玉のクラウゼヴィッツ論——ハワード『クラウゼヴィッツ』
14 小編ながら最高峰——ハワード『第一次世界大戦』
15 平和とは秩序にほかならない——ハワード『平和の創造と戦争の再生』
16 勝利するための原理を追究——ジョミニ『戦争概論』
17 最高の評伝——パレット『クラウゼヴィッツ—『戦争論』の誕生』
18 思想家の影響を重視した戦略研究の古典——パレット『現代戦略思想の系譜』
19 戦略形成における文民の役割——ブロディ『戦争と政治』
20 ドイツ第三帝国の『戦争論』——ルーデンドルフ『総力戦』
第 III 部 戦争の哲学に学ぶ
21 豊富な経験に裏打ちされたゲリラ戦争のバイブル——毛沢東『遊撃戦論』
22 社会科学としての軍事研究——マルクス=エンゲルス『マルクス=エンゲルス全集』
23 哲学者の平和観と戦争観——カント『永遠平和のために』
24 戦争と平和をめぐる哲学的分析——ギャリー『平和と戦争の哲学者』
25 傑出した戦略思想の系譜——ガット『軍事思想の歴史』
26 広い視野から文明と戦争の関係性をとらえる——ガット『人類文明の中の戦争』
第 IV 部 システムとしての戦略論
27 核兵器を前提とした戦略を問う——オスグッド『制限戦争』
28 社会の変革はいかに戦争を変えたか——フラー『制限戦争指導論』
29 「間接アプローチ戦略」の提唱者——リデル・ハート『戦略論』
30 シー・パワーの重要性を訴えた不朽の書——マハン『海上権力史論』
31 歴史から導き出された実用的戦略——マハン『海軍戦略』
32 統合戦略の主唱者——コルベット『海洋戦略の諸原則』
33 空軍戦略の創始者——ドゥーエ『制空』
第 V 部 国家と戦争の関係から学ぶ
34 戦略思想の原典の集大成——フィリップス『戦略の源泉』
35 コンパクトな戦争史記述——ハワード『ヨーロッパ史と戦争』
36 戦争を理解するための最良の入門書——フリードマン『戦争』
37 軍事史を学問として確立——デルブリュック『政治史的枠組みの中における戦争術の歴史』
38 政治と戦争の関係を突き詰める——リッター『国家政策と戦争手段』
39 ドイツの新しい軍事史研究の集大成——キューネ、ツィーマン『軍事史とは何か』
40 リベラル主義の観点からのユニークな通史——キーガン『戦略の歴史』
第 VI 部 現代の戦略論
41 戦略のパラドックス——ルトワック『戦略』
42 世界秩序回復の壮大な事例研究——キッシンジャー『回復された世界平和』
43 クラウゼヴィッツに対するアンチテーゼ——クレフェルト『戦争のアート——戦争と軍事思想』
44 最もラディカルな戦争観——クレフェルト『戦争の変遷』
45 アメリカ外交の生き証人——ケナン『アメリカ外交50年』
46 戦略の本質は不変——グレイ『現代戦略論』
47 核戦略は戦略と呼べるのか?——フリードマン『核戦略の進化』
48 戦争のパラダイムシフトを喝破——スミス『軍事力の有用性』
49 プロセスとしての戦略——マーレー『戦略の形成』
50 現代戦に勝利をもたらすもの——ビドル『軍事力』
おわりに
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戦略・戦争の名著の紹介
2015/08/24 11:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般読者向けに戦略・戦争の名著を紹介したものです。
初心者・初学者はまずこの本や、後に刊行された「戦略論」(勁草書房)(欧米で広く使われている標準テキストの基本部分を抄訳したもの)や「戦略原論」(日本経済新聞出版社)、本書のように12冊の名著を選び解説した「戦略論の名著」(中公新書)から読み始め、次にそれらの本の中で紹介された本を読んでいけば良いと思います。2009年刊行なので、その後新たに翻訳・新訳などがされた本が何冊かあることには留意する必要があります(ルトワック・クレフェルト・ガット・スミスなど、グレイも近刊?)。
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軍事戦略家が書いた名著を要約・解説した本です
2010/07/11 21:44
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:龍. - この投稿者のレビュー一覧を見る
軍事戦略家が書いた名著を要約・解説した本です。
古今東西の名著を集めているだけあって、実に様々な本が出てきます。
個人的には、カエサルのガリア戦記が好きです。
しかし、戦略論というとなんといってもクラウセヴィッツ。
「戦争論」はその後のこのテーマの本に多大な影響を与えているだけあって、古典というくくりだけでは語れない書籍です。
戦争を政治の延長としてとらえ、その態様について様々な定義を与えたところも、名著といわれるゆえんでしょう。
本書は、読むための本というより、自分がこれから読みたい戦略論についてのガイドとして考えた方がよいです。50冊が紹介されているため、内容については、本のさわり程度しか紹介されていません。
また、現代ではリアルな戦争というよりも経営をバーチャルな戦争としてとらえると、これら戦略論は実践で使えるものにもなります。
本書を読んでいると、何冊か読んでみたいものがきっと出てくるはずです。
龍.
http://ameblo.jp/12484/
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これもブックリスト用にゲット。
・ハワード「第一次世界大戦」
・リデルハートとリベラルな戦争論
・毛沢東「遊撃理論」
・マハン「海上権力史論」
・キッシンジャー「回復された平和」あたりに興味あり。
だが、良く見てみると「リデルハート・・・」はこの本の編集者の著書じゃないか!ま、いいんだけどね。
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ナンの因果か(笑)紛争防止のプロジェクトに、関わりだして
そんなに敵対視されてる「戦争」ってナニ?
という問題意識があって
毛並みのチガウもの読みたいモードの中、手にした一冊
結構、おもしろかった
戦争の意義や位置をあつかうモノや
「戦争」そのものにおける勝ち方・ふるまい方
など、いくつか分野があって、経営学に似てたりもする
戦争の意義に関するギロンの大半は
軍事力を行使する衝突であり
ある組織(国家とする学者が大半)の目的達成の一手段
そこに、文化との関係・影響を主張する学者サンもいた
だから、
「戦争」そのものでは目的達成がゴール。というとこまでは各者共通してるが
勝ち方は「殲滅」か「限定的」かは論が分かれるようダ
ってことを、わかりやすく整理してくれている入門書デス
あとは、経済的・産業的側面の議論もちょっとカジってみたい
所感ですが
じゃあ、
「目的」ってナニ?というと、広く言えば
「コントロール」かな。ただし相手がいることなので
「均衡」するコトが必要となる。しかも「平和的に」
かつ状況の振幅に「許容範囲」を持たせて
その目的のために
政治、外交、宗教、文化、経済などと同様に
「戦争」というか軍事というピースがある、
という冷静な位置づけは必要だと思う
なんか、このクニのギロンをみてると
「平和的に、相互が目的達成にむけて、納得いく範囲でコントロールできる、均衡状態」がナニで
そのために
どのピースをどう位置づけて
どう整備して、どう実行し
どう検証し、どう軌道修正するか
っていうソモソモの青写真と設計図がOut Of ガンチュウ
なんだと思ふ
「平和」ってのは状態であって、目的じゃぁないんだよなぁ。。。
日本にも軍隊もって暴走して、やらかしちゃったという
「あの」ケースを見つめて評価する、という「BA」が必要なのでは?
自分たちの「目的」をみつけて
それを他国と「平和的に」「均衡」した状態で実現する為に。。。
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古今東西の軍事戦略の50の名著を精選し、そのエッセンスを背景も含めてわかりやすく解説する軍事戦略ガイド。
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孫子、ヘロドトスなど気になる人を解説してたから買ったけど。
正直難しい!読みづらい!自分の脳みその容量ではだめでした。
気になったワード
「ハートランド」「マッキンダー」
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争いごとを根本から解決させるのに必要なもの - 読んだものまとめブログ http://t.co/CNYCRpM via @sadadad54
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「戦略に興味があるけどどんな本を読んだらいいかわからない〜」という方のための読者ガイドです。
一見、戦略とは関係がなさそうな「三國志」や「戦争と平和」といった本も取り上げられており、戦略論とは学際的な学問であることが分かるでしょう。
中にはかなり高度な内容の本や未訳のものが含まれており、まったくの初心者向けではありませんが、これらの書籍の概要を把握するには十分です。
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戦争論の名著 50冊を紹介したダイジェスト版。
軍事関係、戦争論を読むためには、このような本を最初に読んで、それを元に読み進めることがよいかもしれない。
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古い孫子やら古代ギリシャぐらいから、ついこないだ翻訳されて読んだばっかの戦争の変遷とかまで紹介されてる。
エッセンスをわかりやすくって感じなんで入門書みたいな。隙間時間に少しずつ読めてよかった。
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戦略というものを研究するにあたって有用な古今の名著をダイジェスト風に紹介したもの。とっかかりにはとても便利だと思われる。ただし、とっかかり、ダイジェストと馬鹿にしていると痛い目にあうかもしれない。こういうものをまじめに考察する素地がないと結構難しいよ。
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一番の印象としては
「戦争について考えることは、平和について考えること」
ということ。
戦争についての優れたプロセスを組み立てるのが「戦略」であり、
その戦略も「経済学や環境学」など多角的な視点で語らなければ
ならないことが分かる。
本書を読んで、戦略について考える事と、
示唆に富んだ名著たちの魅力に気付かされた。
とくに燦然とした存在感のクラウゼヴィッツと、
西洋文書がひしめく中、異色の存在となる
孔子、甲陽軍鑑、毛沢東は原書を読んでみたいと思った。
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名著と呼ばれるものを数ページづつでまとめようという野心的な本なのだが、やはりそんなことは難しいのだなと思った。
戦争論史ではなく箇条書きのような羅列の仕方なので全体を鳥瞰したような書き方ではない所が残念。
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オフィス樋口Booksの記事と重複しています。記事のアドレスは次の通りです。
http://books-officehiguchi.com/archives/4158301.html
この本では、戦争・軍事戦略を勉強する初学者にとって参考になる本が50冊紹介されている。この本の著者である石津氏の書評は読者にとって参考になると思われる。
2015年8月23日に書誌情報を追加しました。次のアドレスにアクセスしてください。
http://books-officehiguchi.com/archives/4121751.html
p3・p4より引用
「本書は、一般読者が軍事戦略や国家戦略について、より身近なものとして考えるためのガイドである。古今東西の戦略思想に関する名著を紹介するとともに、執筆陣が専門とする時代や領域、すなわちナポレオン戦争以降、現代の戦争にいたるまでのヨーロッパの戦略思想史や戦争史を中心とする著作も取り上げている。
『孫子』や『甲陽軍鑑』といった読者になじみの深い古典はもとより、近代ヨーロッパ以降の、ナポレオンの衝撃、ドイツ統一戦争、アメリカ南北戦争から第一次世界大戦まで、第二次世界大戦への道、核兵器と冷戦、といった時代を画する戦略思想を理解するために最低限必要とされる書を紹介した。
軍事戦略や国家戦略の名著を学ぶ意義としては、次のような点が挙げられる。第一に、名著を名著として単純に楽しむという目的は言うまでもない。しかしながら第二に、今日の複雑な国際情勢を理解し、その中で生き残るためには、名著の中からいわゆる教訓を学ぶことがきわめて重要になってくる。というのは、結局のところ戦略とは、「生き残り」を目的とした術(アート)であり、こうした術(アート)を理解するためには、当時のベスト・アンド・ブライテストの思想や「生き様」が凝縮された古典的な名著こそ、最良の教師だからである。その意味において本書は、軍事や戦争に関心を寄せる読者はもとより、経済戦略や経営戦略といった分野で活躍されている方々にも読んでいただける内容となっている。」
目次
第Ⅰ部 古典に学ぶ軍事戦略
1 多角的な戦争史叙述に挑んだ傑作―ヘロドトス『歴史』
2 戦争を引き起こすのは「利益」「名誉」「恐怖」―トゥーキュディデース『戦史』
3 曖昧さが支配する戦場―カエサル『ガリア戦記』
4 地政学の父―マッキンダー『マッキンダーの地政学』
5 世界最古・最高峰の兵法書―孫子『孫子』
6 戦略研究の未開の地―陳寿『正史三国志』
7 国家の興亡を人から描く―司馬遷『史記』
8 政治的行為としての戦争―作者不詳『甲陽軍鑑』
9 運命と力量に左右される政治権力を支えるのは軍事力―マキャヴェリ『君主論』
10 ナポレオン戦争とその衝撃を活写―トルストイ『戦争と平和』
第Ⅱ部 クラウゼヴィッツ『戦争論』に学ぶ
11 真の戦略思想家―クラウゼヴィッツ『戦争論』
12 付加価値高い「決定版」―クラウゼヴィッツ『戦争論』英訳版
13 珠玉のクラウゼヴィッツ論―ハワード『クラウゼヴィッツ』
14 小編ながら最高峰―ハワード『第一次世界大戦』
15 平和とは秩序にほかならない―ハワード『平和の創造と戦争の再生』
16 勝利するための原理を追究―ジョミニ『戦争概論』
17 最高の評伝―パレット『クラウゼヴィッツ――『戦争論』の誕生』
18 思想家の影響を重視した戦略研究の古典―パレット『現代戦略思想の系譜』
19 戦略形成における文民の役割―ブロディ『戦争と政治』
20 ドイツ第三帝国の『戦争論』―ルーデンドルフ『総力戦』
第Ⅲ部 戦争の哲学に学ぶ
21 豊富な経験に裏打ちされたゲリラ戦争のバイブル―毛沢東『遊撃戦論』
22 社会科学としての軍事研究―マルクス=エンゲルス『マルクス=エンゲルス全集』
23 哲学者の平和観と戦争観―カント『永遠平和のために』
24 戦争と平和をめぐる哲学的分析―ギャリー『平和と戦争の哲学者』
25 傑出した戦略思想の系譜―ガット『軍事思想の歴史』
26 広い視野から文明と戦争の関係性をとらえる―ガット『人類文明の中の戦争』
第Ⅳ部 システムとしての戦略論
27 核兵器を前提とした戦略を問う―オスグッド『制限戦争』
28 社会の変革はいかに戦争を変えたか―フラー『制限戦争指導論』
29 「間接アプローチ戦略」の提唱者―リデル・ハート『戦略論』
30 シー・パワーの重要性を訴えた不朽の書―マハン『海上権力史論』
31 歴史から導き出された実用的戦略―マハン『海軍戦略』
32 統合戦略の主唱者―コルベット『海洋戦略の諸原則』
33 空軍戦略の創始者―ドゥーエ『制空』
第Ⅴ部 国家と戦争の関係から学ぶ
34 戦略思想の原典の集大成―フィリップス『戦略の源泉』
35 コンパクトな戦争史記述―ハワード『ヨーロッパ史と戦争』
36 戦争を理解するための最良の入門書―フリードマン『戦争』
37 軍事史を学問として確立―デルブリュック『政治史的枠組みの中における戦争術の歴史』
38 政治と戦争の関係を突き詰める―リッター『国家政策と戦争手段』
39 ドイツの新しい軍事史研究の集大成―キューネ、ツィーマン『軍事史とは何か』
40 リベラル主義の観点からのユニークな通史―キーガン『戦略の歴史』
第Ⅵ部 現代の戦略論
41 戦略のパラドックス―ルトワック『戦略』
42 世界秩序回復の壮大な事例研究―キッシンジャー『回復された世界平和』
43 クラウゼヴィッツに対するアンチテーゼ―クレフェルト『戦争のアート―戦争と軍事思想』
44 最もラディカルな戦争観―クレフェルト『戦争の変遷』
45 アメリカ外交の生き証人―ケナン『アメリカ外交50年』
46 戦略の本質は不変―グレイ『現代戦略論』
47 核戦略は戦略と呼べるのか?―フリードマン『核戦略の深化』
48 戦争のパラダイムシフトを喝破―スミス『軍事力の有用性』
49 プロセスとしての戦略―マーレー『戦略の形成』
50 現代戦に勝利をもたらすもの―ビドル『軍事力』
おわりに