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紙の本
文豪てのひら怪談 (ポプラ文庫)
著者 東 雅夫 (編)
好評の「てのひら怪談」シリーズから飛び出した、800文字の新たな文学宇宙!和漢の古典文学から、夏目漱石、泉鏡花らの文豪たち、さらには村上春樹、京極夏彦ら平成の人気作家にい...
文豪てのひら怪談 (ポプラ文庫)
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商品説明
好評の「てのひら怪談」シリーズから飛び出した、800文字の新たな文学宇宙!和漢の古典文学から、夏目漱石、泉鏡花らの文豪たち、さらには村上春樹、京極夏彦ら平成の人気作家にいたるまで—総勢100名にのぼる小説家、詩人、エッセイストの手になる妖しく不思議で奇妙な物語のカケラを蒐めた、極小にして極上のアンソロジー。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
「蒐集者の庭」(抄) | 久保竣公 著 | 12−13 |
---|---|---|
悪の手。 | 車谷長吉 著 | 14−15 |
蝶 | 秦恒平 著 | 16−17 |
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紙の本
万華鏡のような編集の妙。とばさず順番にお読みください。
2009/10/08 20:21
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
基本800文字以内の文豪による、怪談。
いきなり、久保竣公の短編で度肝を抜かれた。こんなの「魍魎の匣」にあったっけ?と考えるのだが…。
これのために、書き下ろしていただいたそうですよ。
なんと豪華な。
800文字なので、どれも劇的に怖いというものではない。オチがないもの、説明の部分が全くないものも多い。そうなったのは、ただ怪異がそういうものであったから。ただ、その事象を見聞きしただけだから、というむしろその視点が怖い。
怪異を前に、それがあるべきものだと、納得できるものであろうか。受け入れられるものであろうか。
さすが、文豪さまは超越されてるもんだなと、感心。
と、アンソロジーは数々あれど、まさに万華鏡なアンソロジーで、恐れ入った。
個々の物語に関連性はない。ないけれど、一つの話は次の話へ、確かにつながっている。
まるで、万華鏡が今の模様のつながりから次第に形を変えていくように、物語は変容していく。
これはただのアンソロジーではなく、1冊の作品として成立しているものだ。
紙の本
諸怪志異、千変万化の妙
2009/08/13 18:32
10人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本と中国の小説家、詩人、エッセイストたちの作品の中から八百字以内で、怖い話、不気味な話、不思議な話を選りすぐったアンソロジー。小泉八雲、泉 鏡花、夏目漱石、岡本綺堂、内田百けん、江戸川乱歩、川端康成といった大御所から、星 新一、筒井康隆、村上春樹、吉本ばなな、川上弘美、加門七海、平山夢明まで、全部で百篇の“てのひら怪談”を収めた文庫本です。
のっけから、久保竣公の「蒐集者の庭(抄)」という作品に出くわして、「やっ! こいつはセンスいいなあ。洒落てるなあ」と、にんまりしてしまった。だって、いきなり京極夏彦の作品の作中作かと思いきや、書き下ろし作品から始まりましたからね。これでもう興味津々、ぐぐっと引きつけられてしまったってぇ次第で。
その後も、入澤康夫のカタカナだけで出来たラルラルラルラな詩や、大岡昇平のほんのりエロチックな掌篇、平秩(へずつ)東作/柴田宵曲訳の“杉浦日向子『百物語』にもあったげな”妙な話、辻 征夫(ゆきお)の寂しいような切ないような詩など、がたり、がたりと、万華鏡が回転するがごとき味わい。まこと、編者が巻末で語っているとおり、<覗きこむ角度次第で千変万化する文学的カレイドスコープとでも称すべき一巻>たり得ているように感じました。
並べられた掌篇同士、テーマが似ていたり、怖いキモのところが通じていたりする配置の妙も見逃せません。梶井基次郎の「温泉(抄)」の次に岡本綺堂の「温泉雑記(抄)」ときて、岡本綺堂の話に出てきた“咳(せき)”が、次の作品「鰓裂(抄)」の中の“咳(しわぶき)”につながり・・・といった件り。あるいは、“人形”というモチーフで、明恵上人/澁澤龍彦訳、夢野久作、吉行淳之介の作品がつながり、吉行淳之介の作品に登場する「列車がくる、列車がくる」の言葉が次の押川春浪の「米国の鉄道怪談」を導き、さらに穂村 弘の汽車綺譚へと展開される件り。編者の粋な計らい、酔狂な遊び心に嬉しくなりました。乾杯!
紙の本
時代とカテゴリーを越えた、バラエティー豊かな怪奇選集。
2011/09/27 16:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、さまざまな作家によって書かれた、怪談・奇談を100編収録したアンソロジー。
その選択の基準は800文字以内。そこから選ばれた100編の作品は、古典から平成まで、そして典型的な怪談から奇怪な詩、果てはユウレイノウタまで、時代とカテゴリーを越えた、バラエティー豊かな選集となっている。
ただ個人的には、夢の中で完結しているもの、詩、ユウレイノウタなどは、怪談とは思えず、これらの作品を収録するならタイトルを「文豪てのひら怪奇選集」とでもして欲しかった。
というのも、文豪たちによって紡がれた、ラフカディオハーンの「怪談・奇談」のような作品が凝縮されたアンソロジーだと思って購入したからだ。
この点は残念だったものの、そういうこだわりを捨てれば、100編の800文字掌編は手軽であるにもかかわらず濃厚で、典型的な怪談、幻想的な怪談、奇怪な詩、妖しい夢の話、たった一行の怪談など、さまざまな怪談を堪能できる。
ところで【ユウレイノウタ/入澤康夫】は、取り扱いに注意が必要である。
すべてカタカナで書かれた読みづらいユウレイノウタを読み砕くと、耳に残るCMソングのごとく頭の中で響き始めるのだ。
「ラルラルラルラマツクラナ、ラルラルラルラヨルノカワ……ラルユレナガララルラルラ、ラルヒガモエルラルラルラ……」
収録作品の中から気に入った怪談をピックアップ。
【たたり/星新一】
タブーへの反抗とスリルのために、お岩さまの悪口をさんざん並べたてた作家たち。
星新一をして「お岩さまの悪口を言わないことにした」と言わしめたその理由とは。
因果関係がはっきりしなくとも、触らぬ神に祟りなし。
【小豆磨ぎ橋/小泉八雲(池田雅之訳)】
その橋の上で、ある謡曲を歌ってはならないという言い伝えの禁を破った侍の話。
これぞ怪談。禁を破った侍を襲った悲劇に驚愕。声も出ないとはこのことだろう。
【夜の杉(抄)/内田百けん】
百けんの見た人魂の話。
単なる青い人魂だけならば、それほど怖さを感じないが、そこに人の不幸と、それにまつわる因縁めいたものがからんでくると、とたんに怖くなる。
【山姫/荻田安静(須永朝彦訳)】
奥深い山中に住む、鮮やかな小袖を纏った美しい女の話。
猟銃から放たれた弾丸を手でつかみ取りニヤリ。
山奥にその女と二人きりという状況を想像すると、かなり怖い。
【金銀/幸田露伴】
なまけもので金銀が欲しいと願かけをしていた男の身に起きた不思議な出来事。
なかなか気の利いたオチがある小咄。
【収録作品】
蒐集者の庭(抄)〈久保竣公〉、悪の手〈車谷長吉〉、蝶〈秦恒平〉、奥州のザシキワラシの話(抄)〈佐々木喜善〉、おいでおいでの手と人形の話(抄)〈夢枕獏〉、白い腕〈阿刀田高〉、昔の思い出〈加門七海〉、遠野物語(抄)〈柳田国男〉、井上円了氏と霊魂不滅説(抄)〈伊東晴雨〉、空襲のあと(抄)〈色川武大〉、王子の狐火〈鶯亭金升〉、懶惰の歌留多(抄)〈太宰治〉、たたり〈星新一〉、お岩さまと尼僧〈横尾忠則〉、ねぇ。〈岩佐なを〉、幽霊の芝居見〈薄田泣菫〉、幽霊〈小松左京〉、ユウレイノウタ〈入澤康夫〉、イヅク川〈志賀直哉〉、箒川〈粕谷栄市〉、土左衛門〈北村想〉、小豆磨ぎ橋〈小泉八雲/池田雅之訳〉、異形の顔(抄)〈平賀白山/柴田宵曲訳〉、『鬼言(幻聴)』(最終形/先駆形)〈宮沢賢治〉、椰子・椰子 冬(抄)〈川上弘美〉、天狗の落とし文(抄)〈筒井康隆〉、こわいもの(抄)〈江戸川乱歩〉、硝子戸の中(抄)〈夏目漱石〉、第三夜―『母六夜』より〈大岡昇平〉、うまれた家(抄)〈片岡廣子〉、張巡の妾〈王士禎/岡本綺堂訳〉、小説・読書生活(抄)〈関戸克己〉、くの字〈井坂洋子〉、医学博士〈小林恭二〉、耳の塩漬〈小堀甚二〉、熱のある時の夢(抄)〈吉本ばなな〉、夢日記(抄)〈島尾敏雄〉、トミノの地獄〈西條八十〉、宙におどる巻物―『法華験記』より〈澁澤龍彦〉、這ってくる紐〈田中貢太郎〉、追っかけられた話〈稲垣足穂〉、異姓〈杜光庭/岡本綺堂訳〉、出会す〈平山夢明〉、犬頭人とは〈長新太〉、七十三枚の骨牌〈城左門〉、魔のもの(抄)〈佐藤春夫〉、内裏の松原で鬼が女を食う話〈福永武彦訳〉、驚狸〈石川鴻斎/小倉斉訳〉、凶(抄)〈芥川龍之介〉、奇怪な話(抄)〈豊島与志雄〉、孟宗の陰(抄)〈中勘助〉、生き物使い〈陶宗儀/岡本綺堂訳〉、新聞〈村上春樹〉、模様〈町田康〉、死刑執行〈多田智満子〉、きりない話〈山田野理夫〉、長い長い悪夢〈都築道夫〉、手術室〈吉田知子〉、再度の怪(抄)〈三坂春編/柴田宵曲訳〉、琵琶鬼〈干宝/岡本綺堂訳〉、一つ目小僧(抄)〈平秩東作/柴田宵曲訳〉、へっぴりおばけ〈知里真志保〉、凶宅〈陶淵明/岡本綺堂訳〉、樫の木〈小川未明〉、取り交ぜて(抄)〈水野葉舟〉、あの中であそぼ〈木原浩勝・中山市朗〉、突然の別れの日に〈辻征夫〉、死者からのたのみ(抄)〈松谷みよ子〉、死者の書(抄)〈折口信夫〉、温泉(抄)〈梶井基次郎〉、温泉雑記(抄)〈岡本綺堂〉、鰓裂(抄)〈石上玄一郎〉、夜の杉(抄)〈内田百けん〉、地上の龍(抄)〈松浦静山/柴田宵曲訳〉、節婦〈紀いん/岡本綺堂訳〉、待つ〈黒井千次〉、心中〈川端康成〉、人魚〈袁枚/岡本綺堂〉、鸚鵡の雀〈尾上柴舟〉、このゆふべ城に近づく蜻蛉あり武者はをみなをしらざりしかば〈水原紫苑〉、鸛〈蒲松齢/佐藤春夫訳〉、夢ばか(抄)〈日影丈吉〉、猫のお株〈日本民話〉、鼠妖(抄)〈堀麦水/柴田宵曲訳〉、人妖〈泉鏡花〉、光遠の妹〈菊池寛〉、山姫〈荻野安静/須永朝彦訳〉、仙境異聞(抄)〈平田篤胤〉、塔〈龍胆寺雄〉、人形変じて女人となる〈明恵上人/澁澤龍彦訳〉、微笑〈夢野久作〉、蛾〈吉行淳之介〉、米国の鉄道怪談〈押川春浪〉、超強力磁石〈穂村弘〉、枯野の歌〈福永武彦訳〉、その後の『リパルズ』〈小栗虫太郎〉、金銀〈幸田露伴〉、狸の睾丸〈北原白秋〉、百物語〈福沢徹三〉、怪を語れば怪至〈浅井了意/富士正晴訳〉。