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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2009/09/29
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/312p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-128781-2

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ボトルネック (新潮文庫)

著者 米澤 穂信 (著)

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻っ...

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ボトルネック (新潮文庫)

税込 693 6pt

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税込 605 5pt

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商品説明

亡くなった恋人を追悼するため東尋坊を訪れていたぼくは、何かに誘われるように断崖から墜落した…はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る、青春ミステリの金字塔。【「BOOK」データベースの商品解説】

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書店員レビュー

ジュンク堂書店那覇店

主人公が崖から転落し...

ジュンク堂書店那覇店さん

主人公が崖から転落して、気づいたときは自分が住んでいた世界とは違う世界になっていた。
普段、本を読まない人でも、読みやすい作品だと思います。
今話題になってる米澤穂信さんの青春ミステリーです。

文庫 宮里

みんなのレビュー912件

みんなの評価3.5

評価内訳

紙の本

自分の存在がボトルネックだと知ったら

2009/11/01 12:23

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

異相世界への平行移動という設定はよくあるのですが
本作品では、人間の存在意義を問います。
それを高校1年の幼く繊細な精神をグラグラと揺らします。

もうひとつの世界では、流産だった姉サキが生まれ、
子どもはふたり、と両親は決めており、
サキの前に兄がいるため、
嵯峨野リョウは生まれませんでした。

そして、リョウの世界の、不仲の両親、母親の虐待、
交通事故で意識のない兄などはなく、
明るくサバサバしたサキによって、
もうひとつの世界は小さなイイコトが発生しています。

この現実をつきつけられたリョウのショックは大きく、
さらに彼は二年前に東尋坊で死んだノゾミが生きていて、
一気に別の彼女の側面を見ることになります。

自分の存在意義など考えるまでもないですし、
そんなことを考え始めれば、誰もが不安になるはずです。
その不安をこの小説は突きつけてきます。

生きにくさや不運などをすべて受け入れて
生きてきたはずのリョウは
その生き方そのものを否定されます。
実は「ボトルネック」となっていたのは
自分自身だと気づきます。
現実を変えようとしなかった消極さを
ごまかして生きていただけでした。

米澤穂信はまた、作品を発表するごとに
古典的な小説手法を踏襲するのですが
この作品ではリドルストーリーに挑戦しています。
これが成功しているかどうかはわかりませんが
ただ前向きに変化するリョウよりも、
このようなラストが似合うのかもしれません。


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紙の本

異空間の世界に入り込む

2019/02/16 17:30

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る

米澤穂信の初期の作品である。これを読んで米澤の発想は面白いと思った。自分が生まれていなかった世界にワープするなどは、あまりにSF的で詰まらないと思わせるものだ。しかし、そこを我慢すると後は興味深い世界が味わえる。ワープの仕方などはあまりにステレオタイプでやれやれと思う。問題はその後である。

 自分が生まれなかった世界に忽然と現れる自分。そういう世界にワープしたとは思わず、帰宅したが誰もいないはずの自宅には、見知らぬ若い女性がいた。お互いにお前は誰だと驚きと自己防衛で喚きあう。この辺りから読者は引き込まれてしまう。これから何が起こるのか? 相手の若い女性は一体何者なのか? という疑問である。

 タイムマシンとは異なるが、異空間と言えば異空間である。タイムマシンであれば、時間の経過とともに様子が分かってくるのだが、話が合うこともあれば、合わないこともある。全く異空間でどのように生きていけばよいのか苦悩する主人公である。

 この2つの別の空間では実在する人物も同じである。同じというのは名前や年恰好が同じということで、当然主人公から見ればすでに顔見知りだと思う。ところが、相手は自分が誰だかわかっていないように思われた。ますます、理解しがたい世界に映るだろう。

 この小説もミステリーというのだろうか? まことに不思議な世界を見たような気がした。続編も読みたいところであるが、やめた方がよさそうだ。

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紙の本

挑戦する作家

2022/02/08 11:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る

直木賞受賞の「黒牢城」を読んで今までの小説も読んでみたくなり手に取る。

東尋坊で気を失った主人公了は何故か金沢市内で目が覚める。
しかしその世界は了がいた世界ではなくて、了がいなかった世界。
生まれてこなかったはずの姉と共に、亡くなったはずのノゾミや兄に出会う。
自分が何事にも「受け入れるしかない」と生きてきた事によって、みんなは失われてしまったと気付く了。
了はボトルネックの意味を理解し、この世界のボトルネックは自分だと考える。

米澤穂信はミステリー作家だが、物語もしっかり面白い。
本作もSF的な異世界を舞台に、物語をしっかり描き、単純な結末に終わらせない凄みを感じる。

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紙の本

救いのないM

2009/11/18 10:40

10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

非常に、非常に暗く、救いのない、痛ましい物語だった。
紹介欄を読むと死んだはずの姉が生きている別世界に飛んでしまった主人公の物語・・・これはパラレルワールドもの、そしてその世界で自分を見つめなおすようになる、いわゆる少年の成長物語かなと思って読み始めたのだが、そんな優しく可愛い想像を最後まで見事に裏切ってくれた。少なくとも私はそう、解釈する。
主人公はあらゆるものに冷め切って無関心を決め込んだ諦念タイプの少年。正反対に好奇心旺盛で人好きのする姉の存在がなければ、この物語は進行せずにたちまち頓挫するであろう、そのくらい彼の行動には停滞と退歩はあっても進歩はない。

まず中学二年の冬、事故死した現場である東尋坊へ恋人ノゾミを弔いに来たその帰路、主人公である「僕」リョウは軽い眩暈と共に崖から転落した。目が覚めると僕は金沢に戻っており、自宅にはサキと名乗る死んだはずの姉がいて、僕・リョウは存在すらしていない世界にいることがわかる。僕の世界とサキの世界との「間違い探し」をしに街へ繰り出した姉弟だが、そこで見つかる違いは僕にとって残酷なものでしかなかった・・・

彼はその「違い」に自分と姉の価値の有り無しと、人や世界への有効性を見せ付けられ自分自身に失望していくわけだが、本当の失望、いや、絶望は「違い」ではなく「共通点」にこそ隠れている。

両親の仲が「酷い状態」のまま兄もノゾミも死んだ僕の生まれた世界と、サキの存在一つで両親の仲もノゾミも兄も関係者の運命が皆、好転しているこちらの世界との格差を見せ付けられた僕に、追い討ちをかけるような衝撃的な事実が観察眼の鋭いサキから告げられる。
自虐的で他人にも友人にも両親にさえも無関心で冷めている僕。正反対に社交的で明るくおせっかいな姉・サキ。
それぞれ二人の性格に酷似してノゾミ。

自分たちと同じく「酷い状態」に悩み、落ち込んでいたノゾミがそれぞれの世界で彼ら姉弟にそれぞれ出会い、それぞれ真逆に変貌したわけだが、その変化こそが「共通点」であったことが彼に大きな絶望を与える。それはどういうことなのかは読んでいただくとして、正直、これは恥ずかしい。ナルシスト、独り善がり、自虐的、マゾ、どういわれても仕方がない・・・ある意味それほど衝撃的な事実が隠れている。

三日間の「間違い探し」で思い知らされたパターン、それは、どんな局面でも、ぼくの世界よりもサキの世界の方が良くなっているということだとリョウは言っているが、むしろそう自虐的に悲劇に埋没していく彼自身が「パターン」なのではないか?そう考えるとなお更、救いがない。

ラストの言葉に、一縷の希望を見ることは出来るしこれをハッピーエンドとれないこともない。そこをどうとるかは、あちらの世界をまだ見ぬ私たちには、解らないかもしれない。

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紙の本

失われていく全能感と生まれる暴力性、その刃は自らの内へと向かってゆく。

2010/09/26 10:43

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雪無木 - この投稿者のレビュー一覧を見る

お互いに不倫をしている両親。流産で産まれなかった姉、大学受験に失敗し、バイク事故にあって植物人間になっている兄。好きだった恋人の死。

主人公の嵯峨野リョウは、二年前に死亡した恋人を弔うため訪れた東尋坊で、パラレルワールドに”飛んで”しまう。

そこは現実とは真逆の世界。自分が生まれず、生きている姉、解決された両親の不仲、事故に合わずにすんだ兄、死なずに生きている恋人・・・羨ましいほどに幸せな世界だった・・・そのもうひとつの世界の中で、何も出来なかった自分の無力感と自己存在への疑問に、主人公は深く打ち砕かれてゆく。

思春期における”全能感”の揺れ動き、変化してゆく過程を描く、2010年度版「このミステリーがすごい!」作家別投票第1位受賞作!

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紙の本

ボトルネックがトラウマに

2023/04/10 03:50

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る

これからしばらくはボトルネックという言葉に敏感に反応してしまいそうです。
Twitterで鬱小説として紹介されていて気になって読んだけど、これは確かに凹む。
自分のいない世界が順調に回っていたら…考えるだけでゾッと。

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紙の本

銀杏も人間も

2020/09/29 13:41

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ねむこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

不思議なタイトルですが、パラレルワールドに迷い込んだ主人公は自分が「ボトルネック」では?と思ったのでしょうね。
母から(?)のメールはどっちに向けて背中を押したのでしょう。

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紙の本

釈然としない

2019/07/31 17:37

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る

パラレルワールド的なストーリーといえばいいのでしょうか。
最後まで読んでも、どこか釈然としないというか、すっきりしないというか。
決して不快ではないんですが。

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紙の本

SF要素だけではなく

2017/10/25 03:05

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイムスリップやパラレルワールドのワクワクだけではなく、現実的なメッセージも込められていました。青春のほろ苦さを感じました。

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紙の本

パラレルワールド

2017/09/03 09:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る

米澤穂信の初期作品の代表作の一つ。パラレルワールドの物語はいくつか読んだことがあるが、たいてい頭が混乱してしまうのが困る…。この作品もやはり若干苦戦した。

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紙の本

ブラックな話

2015/11/21 15:47

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オスカー - この投稿者のレビュー一覧を見る

個人的にはこういうブラックな話は好きです。
この物語の大まかな話は主人公がタイムリープし、姉が生まれて自分が生まれていない可能世界へとワープしてしまい、そこでは想像力豊かな姉が終わりきった家庭環境などを解決させていて、主人公は自分の無力さを思い知らされるというような感じです。
そして、元の世界に戻り、母からメールがきて主人公はどう思ったのかは読者の推理によって決まります。
僕はきっと主人公は死のうと思ったのだろうなと思います。以上です。

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紙の本

ボトルネック――なるかならないかは自分次第

2010/01/15 20:28

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:惠。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

【ボトルネック】
瓶の首は細くなっていて、水の流れを妨げる。(改行)そこから、システム全体の効率を上げる場合の妨げとなる部分のことを、ボトルネックと呼ぶ。(改行)全体の向上のためには、まずボトルネックを排除しなければならない。(p.153より引用)

ボトルネックと単語を耳にすると、以前の勤め先を思い出す。そこの代表が良く言っていたのだ――「ボトルネックを見つけて排除しなきゃ」と。ほとんどの社員がその台詞を聞くたびに思っていた――「○○さん(=代表)、ボトルネックはあなたですよ」と。

そういう風に、人を指してボトルネックと呼ぶこともある。まぁわたしが挙げた例はあんまり誉められたものではないけれど。

亡くなった恋人と東尋坊で追悼していたぼくは断崖から墜落した次の瞬間、地元である金沢の街中にいた。不思議に思ったぼくは急いで帰宅するも、出迎えたのは見知らぬ姉だった。ぼくの記憶では彼女は、僕が生まれる以前、この世に生を受けることなくなくなっていた。

どうやらぼくは「ぼくが生まれなかった世界」へワープしてしまったらしい。

ぼくの両親の間には子どもが二人――これはこの世界では絶対効のようだ。しかしここから世界は二つに分かれる。ひとつは長男とぼくの二人兄弟。もうひとつは長男とぼくの世界では流産したことになっている姉の二人兄妹。

ぼくの生まれなかった世界では、亡くなった恋人は生きていて、両親は仲睦まじい。それに比べてぼくが生きる世界は…。ぼくは潰されてしまわないように、全てを受け入れ、何も考えないことにした。

主人公の「ぼく」こと嵯峨野リョウはぼくが生まれなかった世界に突然迷い込んでしまう。その世界では、リョウとは全く違う性格を持った姉・サキが嵯峨野家の末っ子として日常生活を営んでいた。

リョウの世界においてもサキの世界においても、日々起こる出来事は同じ。しかしこれら二つの世界では同じ原因をもってしてもそこから生まれる結果が天と地ほど違う――これが「ぼく」とサキの違いなのか。

「自分が生まれなかった世界」における「自分が生まれた世界」よりもはるかに優れた日常の光景を見せつけられたリョウは、衝撃的な「あること」に気づく…。


この作品のラストに対して「救いがない」、「絶望的」といった感想が目立つのだが、わたしは最後まで本書を読み切って、そういったネガティブな感想は抱かなかった。わたしの感性は鈍すぎるのだろうか。

確かに「嵯峨野サキの生きた世界の方が、嵯峨野リョウの生きた世界よりもいい場所だという事実」をリョウはこれでもかというほど見せつけられる。何もかもを受け入れようと努め、何もしてこなかったリョウ。それは彼が生きる術でもあった。

一方サキは、リョウと同じ境遇に陥っても「何か」をしようとし、「何か」を成し遂げていた。その二人の生き方の違いが、パラレルワールドに差をつけた。

その対比にリョウは絶望する。受け入れ難い現実を受け入れることを余儀なくされる。だから絶望感は多少感じられる。だけど…救いがないとは思わない。

本作のラストは明確には書かれていないのだけれど、わたしはそこに希望を見てしまう。自分が生まれた世界よりも良い「生まれなかった世界」を見てしまったリョウ。サキの生き方を見て、状況を変えること、考えることができる、ということを知ったリョウ。全てを受け入れることも生きる術だけれど、それ以外の道を知っった彼はきっと明るい未来を手に入れることができるだろう、と。

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クライマックスがボトルネック

2011/03/28 21:28

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

これはミステリなのかSFなのか文学なのかファンタジーなのか? 正直どこに向かっているのかよく分からなかった。そして読後もその印象はあまり変わらない。典型的なパラレルワールドものかと思いきや、どうやらすこし雲行きが怪しい。文体はライトなのにやたらとペシミスティックな世界観。切れ味抜群の謎解きを披露したかと思いきや、あっさりと棄却される解決編。様々な要素を内包しつつ、本作の舞台である金沢の空の雲のようにどんよりと低く流れてゆく。

しいて言えば「ひねくれミステリ作家が描くすこし不思議な青春文学」といった所存か。無力な自分に打ちのめされ、運命のいたずらは自らの存在自体を否定する。そう、所謂「生まれてすみません」。若かりし頃の鬱積した思いを独自のアプローチで描いた快作であることには間違いはないが。

巷の評価は両極端。好みが分かれるというか賛否両論あるみたいだけど、私的には意外と中途半端な☆三つ。自己の尊厳と存在意義への欺瞞を文学的に突き詰めるのか? SFやミステリの鮮やかな帰結を目指すのか? クライマックスのどっちつかずな印象が、どうしても自分の中でボトルネックになっている。混沌さを表現しているのだと言われればそれまでなのだが。

ちなみに読了したのは震災発生前日。このタイミングでなんてもん読んでしまったんだ。まるでこの小説の主人公の兄のようにタイミングの悪い自分に超鬱。

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紙の本

むかしむかし「若いという字は苦しい字に似てるは」という歌があった。ぼくってなぁに?パラレルワールドに彷徨う悩める若者の自己発見のプロセスである。いかなる境遇にあってもその運命に勇気をもって立ち向かえとする著者の哲学的教訓は大切だと思うのだが………。

2010/04/25 17:21

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

学生時代から馴染んできた東京の繁華街に渋谷、新宿、池袋があるのだが、新宿や池袋はそのころの名残がまだあるのだろう、街をうずめる群れの中には私と同じ体臭を漂わせる人たちも少なくない。
ところが渋谷はどうだ、あれは異界である。居心地が悪いのだ。若者の街の風俗にケチをつけるつもりはなく、むしろ物分りのよいオジサンのつもりなのだが、
「あなたなんかがいる場所ではないよ」
と街全体から無言の警告を発信されているようで、いたたまれなくなるところだ。
東上線に地下鉄の副都心線が乗り入れて渋谷まで直行となったものだから、懐かしさも手伝い十数年ぶりに行ってみた最近の印象がこうだった。

この作品は2006年にハードカバーの初版があって、最近文庫本が発売されたあたりから再評価され始めたということらしい。

「亡くなった恋人を追悼するために東尋坊を訪れていたぼくは、なにかに誘われるように断崖から墜落した………はずだった。ところが気がつくと見慣れた金沢の街にいる。不可解な思いで自宅へ戻ったぼくを迎えたのは、見知らぬ「姉」。もしやここでは、ぼくは「生まれなかった」人間なのか。世界のすべてと折り合えず、自分に対して臆病。そんな「若さ」の影を描き切る青春ミステリーの金字塔」

昔から使い古されたパラレルワールドをあつかっているとなれば新機軸を楽しめるかもしれない。最近の若者にある「若さ」の影とはどんなものなのかなと青臭い懐かしさも手伝って手にしてみた。

父と母がそれぞれ愛人をつくり家庭を留守にして遊びほうけている。顔を合わせば暴力沙汰の喧嘩だ。ぼくの不幸はここから始まったんだ。
醜い大人を見ていると大人に成るのが生理的に怖くなる。だから恋人の手も握れないでいる。そんな思春期の影って今の若者にあるのかしらと、昔の少女小説にはそんなテーマもあったかもしれないが、くすぐったくて読んでいられないのはオジサンだからなのだろう。

ところが同じような境遇にありながらぼくがいないで姉がいるこの世界では姉は楽天的に生きているではないか。しかも、二人で二つの世界の差異を検証してみたところでは、ぼくの周りの人たちには不幸ばかりが訪れたのに対して、こちらの世界では姉の周りの同じ人たちには幸福がもたらされているではないか。

ぼくってなんだったんだろう?

やがてぼくは生きていくうえで大切なことに気がつくのである。

自分自身を確立し前向きに世の中にぶつかっていこう。
そうすれば幸せをつかめる、と著者は読者を勇気づけている。

それをお説教口調ではなくスウィートにソフトに語りかけているのが今風といえばそうなのだが、昔から「良書」といわれるものはお説教のようなものだった。

「あなたなんかが読む小説ではないよ」
といわれたような気がした。

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紙の本

パラレルワールド

2022/02/08 02:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

無かったはずの世界が、現実に-。ちょっと……いや、かなりこわい世界が……。米澤穂信作品には、後味の悪いものは少ないけど、これは別。読後感は、悪かったです。

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