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- カテゴリ:幼児
- 発売日:2010/10/14
- 出版社: 岩波書店
- サイズ:26cm/68p
- 利用対象:幼児
- ISBN:978-4-00-111216-0
紙の本
おかのうえのギリス (大型絵本)
著者 マンロー・リーフ (文),ロバート・ローソン (絵),こみや ゆう (訳)
むかし、スコットランドにちびっこギリスというおとこのこが住んでいました。ギリスは将来、谷間の村と山の村、どちらにすむかを決めなければなりません。ためにし声で牛を呼び集める...
おかのうえのギリス (大型絵本)
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商品説明
むかし、スコットランドにちびっこギリスというおとこのこが住んでいました。ギリスは将来、谷間の村と山の村、どちらにすむかを決めなければなりません。ためにし声で牛を呼び集める谷間の牛飼いのくらしと、息をこらえてまちぶせする山の狩りのくらしを送っていました。その間にギリスの肺はとてつもなく大きく強くなり、その肺のおかげで思わぬ転機がおとずれます。【「BOOK」データベースの商品解説】
スコットランドの男の子ギリスは、大声で牛を呼び集める谷間の牛飼いのくらしと、息をこらえてシカを待ち伏せる山の狩りのくらしをそれぞれ1年間送るうちに、とても肺が強くなり…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マンロー・リーフ
- 略歴
- 〈マンロー・リーフ〉1905〜76年。アメリカ生まれ。作品に「はなのすきなうし」など。
〈ロバート・ローソン〉1892〜1957年。アメリカ生まれ。「ウサギの丘」でニューベリー賞受賞。ほかの作品に「はなのすきなうし」など。
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紙の本
【読みきかせ・年長~小中】とても売れそうにない、渋くて地味な絵本。しかし、米国の絵本黄金期に生まれたこの本の「芯ある物語」「絵の線の迫力」には、子どもの育ちに求められる力強さが備わっているのだと思います。
2010/12/08 15:55
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
渋い! 渋すぎるぜ、岩波。
何も岩波書店の渋さは、絵本や児童書に限ったことではないでしょう。学術書でも文芸書でも出版価値が高いのは分かりますが、「いったい何人読むんだ、この超専門的な本を」「何部刷るんだ、この売れそうもない本を」と、ひとけないリアル書店の片隅の書棚の前で、半ば呆れつつ感嘆することが多いです。
しかし、もしかすると、「こんな渋い本は、自分のような者しか読まない」と、矜持を持って岩波本を買い続ける読書子が少なくないから、実は、そう心配するほどのものでもないのかもしれません。
ゲド戦記シリーズも、『床下の小人たち』もアニメになって注目され、ロングセラーの部数をまた一気に伸ばしましたし、岩波新書で国民的ベストセラーになるものもありますし、最近出たウンベルト・エーコの『バウドリーノ』も年末年始休暇用の需要もあってか評判が良さそうです。このように、たまに思い出したように岩波から売れる本が出ると、何やらホッと胸をなでおろしているファンもいると思います。
そういう岩波書店の出版物から、この秋に出た絵本で、とびっきり売れそうになくて、けれども、とびっきり面白いものを紹介してみます(暴言は、スルーしてください)。
表紙からしてとても地味で、男の子の顔が描いてあるけれどイケメンではありません。『おかのうえのギリス』という題名からアッピールしてくる要素もありません。
私の場合は、タータンチェック好きで、「おお、これはもしやスコットランドの話か」と思えたのと、お話を書いたマンロー・リーフが良い作家だということを知っていたので、読んでみようかという気になりました。
マンロー・リーフには『はなのすきなうし』や『ヌードル』など素敵な絵本があります。『おかのうえのギリス』の絵は『はなのすきなうし』を描いたのと同じマンロー・リーフです。『おかのうえのギリス』を紹介することで、『はなのすきなうし』がついでに紹介できるから、そちらだけでも誰かに注目されて売れてほしいな……などという気持ちもあります。
本文は、表紙のカラフルなタータンチェックとは異なり、これが黒一色で、渋いといったら渋いこと、この上ありません。おまけに文字量がそこそこあり、本文が65ページもあります。短い絵本をさっと読んで、子どもを早く寝かしつけたいというようなニーズにはとても合わないでしょう。
しかし、しかしですよ。
今ちょうど上野の国立国会図書館国際こども図書館で、2011年2月上旬まで「絵本の黄金時代展」が催されていますが、『おかのうえのギリス』も1938年という、まさにその黄金期に米国で出された佳作の一冊で、言ってみれば銀河の連なりを構成する1つのキラ星です(1938年という年には、この本と似た体裁の名作『アンディとらいおん』も出ています)。
お話の展開の面白さと、百戦錬磨のデッサン力という感じで描かれた迫力の絵によるこの一冊は、じっくり時間をかけて子どもたちと味わう価値があります。
OECDの国際学力調査「PISA」の最新結果では、どうやら日本の子どもの読解力低下が下げ止まったようですが、こういう良質の「絵本→絵童話→童話」に親しんでおけば、状況や心情、意味を読み取る力は、楽しんでいるうちに自然に身につくのではないでしょうか。
そして、そういう効果の他に、この絵本には、スコットランド特有の文化伝統を知るという異文化に触れる面白さ、自分という存在について考えるきっかけを期待できる普遍的な哲学的要素も含まれています。
良い児童書というのは、そのように、ふところがどこまでも深いものなのではないかと私には思えます。
ギリスはスコットランドに生まれた男の子です。お母さんは谷間の村生まれで、そこの村人たちは牛を飼って暮らしています。お父さんは山の村生まれで、そこの村人たちはシカを狩って暮らしています。
ギリスは、2つの村のどちらで暮らすのかをいずれ選ばなくてはなりません。2つの村の人たちはギリスのことをかわいがってはくれますが、互いの村を見下しており、話を聞いただけでは、どちらが良いのか分かりません。
ギリスは、まず1年間、お母さんの親せきがいる谷間の村で暮らすことになりました。そこで牛の放牧を手伝い、牛を呼ぶために大声を出せるようになり、「肺」を鍛えました。次の1年間は、お父さんの親せきがいる村でシカの狩りを手伝い、シカを待ち伏せするのに息を止める練習をして、「肺」を鍛えました。
その次の年は、再び母の生まれ故郷へ、その次の年は、再び父の生まれ故郷へ行き、ギリスの「肺」は相当強くなっていきました。
スコットランドのお話で「肺」ということになると、察しのいい人はある楽器を思い浮かべるかもしれません。バグパイプです。バグパイプは羊の皮袋に、パイプから空気を送って音を出す楽器です。この先の展開は、バグパイプをめぐって、ギリスの肺の力が発揮される流れになっています。
スコットランドの谷と山の様子は、黒一色なのに表情豊かに描かれています。村人たちの意地悪そうな顔つき、徐々に成長していくギリスの生き生きした動作や動き、バグパイプの迫力やふくらました頬の愉快さなど、色のない絵が作り出す印象は、力強く深いものです。
物語と絵の線が持つ力強さは、子どもたちが求めるべきものであり、実際、常に求めているものなのかもしれません。渋くて地味なこの絵本には、今の日本で出版される大多数の絵本には欠けた、その力強さが備わっていると感じ入りました。
紙の本
絵本
2017/05/23 06:01
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投稿者:タタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵本としては好みの分かれる作品になっている感と感じましたが好きな人には好きでハマるのではないかなと思います。